自信がないことで悩む女性

ネガティブにしか考えられなくて、自分が何をやっても上手くいくとは思えない。

褒めてもらえても素直に受け取れず「失望されたらどうしよう」「怒られたらどうしよう」と常にビクビクしている。

「本当にこれで合っているのか、大丈夫なのか」と不安になってしまうから気が休まらない。

謙遜を美徳とする日本だからというのもありますが、自分に自信が持てないことで悩んでいる人は多いです。

自信とは?

自己肯定感と自己効力感

自信は自己肯定感と自己効力感の概念から考えるとわかりやすくなります。

自己肯定感はありのままの自分に価値があると思える自信。別に何もできなくとも自分の存在を肯定できる感覚です。

対して、自己効力感は努力して何かができるようになって得られた自信。自分ならできるという感覚です。

一般的に自信は後者の自己効力感を指す言葉として使われています。

例えば、「今度の国語のテスト、90点以上取れる自信ある?」と聞かれて自信あると答えるのは、国語が得意で今まで90点以上取っている、もしくは、90点以上取れるだけの勉強をした人ですよね。

自己効力感だけで自信を持つこともできなくはないのですが、自己肯定感の土台がないと不安定になります。

勉強ができる自分に自信は持てるけど、勉強ができない自分には自信が持てない。

周りが自分より能力が高い人ばかりになると相対的に自分がダメに思えて自信を失うといったことが起こる可能性があるからです。

自信を持つためには自己肯定感が大切

「根拠のない自信」という言葉がある通り、自信を持つために根拠は必要ありません。

他人より優れた部分が多くても自信がない人はいるし、逆に他人より劣っている部分が多くても自信がある人はいる。

勉強や部活等、たいして何かを頑張ってきたわけではないのに自信がある人だっていますよね。

ありのままの自分に価値があると思える自己肯定感が高ければ、根拠なく自信を持つことができるのです。

自己効力感による自信も含め、自信がない状態になっているのには理由があります。

なぜ自信がない状態になっているのか、どうすれば自己肯定感を高めていくことができるのか。

自分に自信が持てない悩みを解消し、自信が持てるようになる具体的な方法をお伝えしております。

自分に自信がない状態になる原因

ありのままの自分を受け入れられなかった親子関係

親からの過干渉や過保護、親の顔色をうかがって良い子にしていたことで自分を見失い、自信が持てなくなっている人は少なくありません。

親にとって都合のいい自分は受け入れてもらえても、ありのままの自分が受け入れてもらえるかどうかはわからない。

受け入れてもらえないと思っているから自分を出すことができず、自分に自信を持つことができなくなってしまうのです。

受け入れてもらえていない状態では安心感がなく、不安や恐怖に飲まれて行動できない。

自分なりに考えて行動する機会がほとんどないことで、「自分なら大丈夫」と思える感覚を得ることができないままになっています。

ありのままの自分を受け入れてもらえていなかった過去が自信のなさに影響している可能性があるのです。

他者からの否定と失敗体験の結び付き

誰からも褒めてもらうことがなく、逆に否定されたり馬鹿にされたりすることばかり。

実際に何かやってみても上手くいかない、続かない。

周りから言われる否定的な言葉と実際の失敗体験が結びつき、「自分はダメな人間なんだ」というイメージが定着していきます。

自分がダメな人間であるように振る舞い、上手くいったことがあっても足りないところを探しては失敗経験に分類する。

相手に否定されていないと頭ではわかっていても、常に否定されている感覚がつきまといます。

そして、失敗を恐れて守りに入り、責任を追いたくないがため他人に判断を委ねるようになっていく。

気付いたときには自分に自信が持てない状態になっているのです。

世間や他人基準による自己評価

自信がない人は自分の基準で自分を見ることができていません。世間や他人の基準で自分を見ているのです。

例えば、休みたい気持ちを何とか堪えて出勤したとしても、「仕事なんてみんな当たり前にしてることだし」と他人の基準で見て「当たり前のことをやっただけ」と思います。

しかし、実際は仕事を苦にしていない人が出勤するのと、休みたいほど苦痛を感じている人が出勤するのとではしんどさを感じる度合いが明らかに違う。例えるなら平熱の人と高熱が出ている人くらいの差です。

世間や他人を基準にしてしまうのは、家族からの言葉、学校という集団生活、メディアニュースやSNSといった外的要因も大きいと感じています。

親から兄弟姉妹や優秀な同級生と比較されることもあれば、クラスのみんなより劣っている自分をダメだと思ったり、スタイルのいい芸能人を見て自分の体型を醜いと感じたり…

世間や他人の基準で自分を見ているから自信が持てない状態になっているのです。

自分に自信が持てるようになる3つの心がけ

自信とは自分を信じること、つまり、自分との信頼関係を築くことになります。

信頼関係を築くために大切なことは何でしょうか?

友達との関係に置き換えてみたところ以下の3つが出てきました。

1.約束を守る

人との関係において約束を守ることは当たり前の話ですが、自分に対してもちゃんとできているでしょうか?

明日から筋トレをすると決めたにもかかわらず、「今日は面倒くさいからいいや」「今日は気分が乗らないから無理だ」と何かしら理由をつけて、ダラダラと携帯をさわってやらないのは自分との約束を破ったことになります。

自分がやろうと決めたことを言い訳せずにやる、これが自分との約束を守ることです。

ただ、大前提として守れるレベルの約束をすることも大切ですから、自分はどこまでのことができてできないかを知ることも必要となります。

2.嘘をつかない

これは信頼を得るためというより、信頼を失わないために最低限必要なことですね。嘘をつく人は信頼できないですから。

自分に対して嘘をつかない。これは自分の気持ちに正直になることです。

職場の人と仲良くなりたい、友達が欲しい、結婚したい…

自分の本音を誤魔化さずに向き合って、どうすればできるようになるか考えること。そして、必要な行動を起こしていくこと。

これが自分に嘘をつかないことです。

3.思いやる

思いやるためにはまず自分のことにちゃんと目を向けることです。

自分が落ち込んでいないかどうか、疲れていないかどうか、頑張り過ぎていないかどうか等。そして、どうすればいいか考えてやってあげるのが自分への思いやりです。

落ち込んでいたら落ち込んでいる気持ちに共感する、疲れていたら身体を休めてあげる、頑張り過ぎていたらペースを落としてあげる…

自分に厳しい人は自分を思いやるどころか、失敗を責めたりどちらかというと自分を追い込むようなことをしています。

自分に優しく思いやりを持てる人は、他人にも本当の意味で思いやりを持つことができますね。

自発的な行動をとって初めて自信が付く

以上のようなことを自発的に繰り返すことによって、自分との信頼関係(自信)を築いていくことができます。

逆に、反対のことをしてしまうと信頼関係は崩れ、信頼されなくなってしまう。これが自分との間でも起こっているのです。

自信のない人は基本的に誰かの意見や世間の基準に基づいて行動しています。もしできなくても誰かのせいにできますからね。

しかし、そのままの状態ではいつまで経っても自信が付くことはありません。

自分で考えて自発的に行動した結果はすべて自分の責任になりますが、そのリスクを背負った中で行動を繰り返すことが自分自身を成長させ、結果として自信が付くことになるのです。

自信がない、自信をつけたいと思っているのなら、自分と信頼関係を築けることを少しずつでも続けてみてください。

自分に自信を持つために有効なこと

自分の基準で自分を評価する

自分の基準で自分を見るためにはまず自分を知ることが必要となります。

自分にはこういう性質があって、こういう考えを持っていて、こういうことが好きでこういうことが嫌いで、今はこういう状態になってて…

自分を知ることによって世間や他人ではなく、自分を基準にして自分を見ることができるのです。

今の自分ってこうなんだ。ここまではできるけどこれ以上はできないんだ。もともと持ってる性質の影響でこうなってるんだ。

それを踏まえた上で考えてみると意外と自分なりには頑張ってるんだな。周りに比べたら劣ってる面は多いけどそれが自分だし。

他人や世間から求められてもできないのが今の自分で、それなりに頑張ってるから良しとしようか。

こういう感覚になれば自信が少しずつ積みあがっていき、自分の中に実は優れた面もあるんだということにも目が向けられるようになっていく。

カウンセリングでは、まず自分を知ることからおこない、世間や他人と自分を切り離せる感覚を身に付けられるようサポートしております。

自分に対する偏った評価を見直す

自信がない状態の人は自分のネガティブな面ばかりに焦点を当てているため、自分に対して偏った低い評価をしています。

本来あるはずのポジティブな面が見えない状態になっていますので、以下の質問の答えを書き出して自分の長所(良い所)に目を向けてみてください。

  • どんなに些細な一瞬のことでも自分を好きだと思える所はどこですか?
  • あなたが持っていない短所は何ですか?
  • 家族や友人はあなたのどんな所が長所だと言ってくれますか?
  • お世辞でも褒めてもらった所はどこですか?
  • 今までに達成したことは何ですか?(どんなに些細なことでも構いません)
  • あなたができることは何ですか?(上手に、完璧にできないことでも構いません)

今まで短所ばかりに焦点を当てていたせいでなかなか出てこないかもしれませんが、考えていくうちに少しずつ出てくるようになっていきます。

書き出せたならそれを定期的に見返すようにしていく。毎日でも、週1回でも、月1回でも続けられるペースでやってみて下さい。

継続していく中で少しずつ長所と短所のバランスが取れ、自分に自信が持ちやすくなっていきます。

変えることができない性質との付き合い方を身に付ける

生まれ持った性質はもちろん、後天的に形成された性質でも変えることができないものはあります。

神経質な傾向、感受性の高さ、感覚の過敏さ、HSP発達障害、性癖、身体的な問題…

例えば、生まれつき不安を感じやすい傾向があったとしてそれは変えることができません。でも、不安と上手く付き合うことができれば不安障害等で苦しむことなく生活できます。

ADHDで物事を順序立てて計画的に取り組むのが難しい性質があったとしても、事前に紙に書いてまとめるなり、やることを後回しにせず今すぐやる習慣に変えるなりしていけば問題を起こさないようにできますよね。

自分の中にある変えられない性質との付き合い方は、まず変えられないものだと気付き、問題が起こらないようにコントロールする習慣を身に付けることで上手くいくようになります。

変えることができない性質は自分固有のもの。つまり、個性です。

自分の個性が持つ長所を活かすことができれば自信になり、短所で問題が起こらなければ自信を失うことがなくなります。

個性と呼ぶには抵抗があるほどの特性を抱えている方もいますが、カウンセリングでは具体的な状態をお聴きした上で生活に即した付き合い方を一緒に考えていきます。

他者に自分を受け入れてもらう

本来自然と人が自信を持つようになる過程で一番大切なのは他者からの受容です。

幼少期の自我が形成されていない段階で自分で自分を評価することはできません。親や身近な人からの評価をもとに自信をつけていくことになります。

ありのままの自分を受け入れてもらえていた人は自信を持ちやすく、逆に周りにとって都合の良い自分でないと受け入れてもらえなかった人は自信を持ちづらい。

黒柳徹子さん、乙武洋匡さん等、一般的な人と明らかに異なる特徴を持つ人が、親にありのままを受け入れてもらい、肯定し続けてもらえたことで自分に自信を持てたという事例は少なくありません。

他者からの受容が自信を持つことにどれだけ大きな影響を与えるかわかっていただけるのではないでしょうか。

親に受け入れてもらえるのが理想ではありますが、絶対に親である必要性はないため、親以外も含めた他者とのかかわりで自分を受け入れてもらうことができれば自信を持つことができるのです。

ただ、相手に迎合して受け入れてもらえても自信にはつながらず、逆に自信を失うことになってしまうので、カウンセリングではありのままの自分を表現する経験を重ね、受け入れてもらいやすいコミュニケーションが取れるようサポートしております。

本当の自信とは?

自信の土台となる『存在価値』

人間の価値には存在価値と機能価値の二種類があります。

存在価値(Being)はそこにいるだけで生まれる価値、存在そのものの価値です。

機能価値(Doing)は能力や外見、収入等の社会的な機能で測られる価値で、どれだけ社会に役立つか、優れているかで評価されます。

赤ちゃんは親の手伝いもお金を稼ぐこともできないので機能価値はありませんが、この世に生を受け存在している時点で存在価値はあります。

ただ存在するだけで周りを笑顔にするところもあれば、ミルクやおむつ替えで負担をかけるところもある。

良い悪い関係なく何かしらの影響を与えているから存在価値があるのです。

人間だけでなく、動植物、物であったとしても、影響を与えている以上、存在価値があると言えます。

仕事が上手くいかなかったり、誰かに否定的なことを言われたり、頑張っているのに誰からも評価されなかったり、過去の失敗体験を思い出したり…

私たちはどうしても機能価値で見てしまいがちですが、存在価値で見ることができるようになれば自信がないと悩むことはなくなります。

自分が自分の存在を認める感覚が本当の自信

自信がない状態というのは、自分が自分を否定している状態でもあります。

「自分の見た目に自信がない」と言う人は、自分の見た目を否定的に見ていますよね。

だから、反対の肯定、自己肯定をすることが自信につながるのですが、そのままの状態で「これでいいんだ」とすべて肯定することはできません。

どこか納得いかない、嫌だなと否定的に思うところがありながらも、これが自分なんだと思えるようになる感覚。

否定も肯定も両方ありながら、ただそこにあることを認めている感覚が本当に自信がある状態ではないかと思っています。

デカルトの「我思う、故に我在り」ではありませんが、「嫌でも何でもそれがあるからこそ自分なんだ」という感覚が本当の自信であり、その自信は揺るがないものになるのです。

カウンセリングでは自己肯定感を高めることで自己否定とのバランスを整え、ただただ自分の存在を認める本当の自信を持つことができるようサポートしております。

自分に自信が持てないことでお悩みでしたらご相談ください。