「この症状さえなければ」と思う幼児的万能感と対人恐怖症

「この症状さえなければ」と思う幼児的万能感と対人恐怖症

こんにちは、西橋です。

前もって言いますが、今回のメルマガではきついことを書きます。

対人恐怖症で悩んでいる方の希望的観測を打ち砕く内容になりますので、読みたくない方は閉じてください。

この問題は深く認識している部分ではありましたが、直接話せば全力で否定される部分でもあり、いつもお伝えするかどうか迷います。

本来であれば、人とのかかわりの中で何となく気付いていただきたいと思っている部分だからです。

しかし、気付かないままに何年、何十年苦しんでいる人がいる事実があるわけですから、伝えないといけないことかなと思い、今回お伝えすることにしました。

対人恐怖症で悩んでいる方は「この症状さえなければ」という淡い期待を抱いています。

ですから、「対人恐怖症がいつ克服できるのか」「症状がどうすればなくなるのか」ばかり気にされます。

これは痴漢や盗撮などの性的問題行動とも共通していることでもあるのですが、表面化している問題がなくなれば自分は大丈夫なんだと思っているのです。

人によっては元々優れた能力を持っているのに、対人恐怖症のせいでせっかくの能力が発揮できない。症状さえなければ完璧なのに。本当の自分ならもっとできるはずなのにと信じ続けている方もおられます。

しかし、残念ながらそれは幻想でしかありません。

小さい頃に「空が飛べる」「魔法が使える」と信じていた何でもできる感覚、幼児的万能感と呼ばれるものでしかないのです。

本来、幼児的万能感は成長と共に現実に直面しながら失敗や挫折を経験していく中で、どんどん消えていきます。

そして、客観的に自分を見つめ、他人との距離感をはかり、相手の気持ちを考えることができる大人に成長していくのですが、親に甘やかされて育ったり、大きな失敗や挫折をしてこなかった(もしくはそういう場面から逃げてきた)人は、幼児的万能感を抱えたまま大人になってしまうのです。

私自身も高校生の頃、「るろうに剣心」というアニメの非現実的な必殺技が自分にも使えると信じていたために、ボールペンを刀に見立ててインクを撒き散らした恥ずかしい過去があります(笑)

その後、社会人になってからも営業でたまたま成績が良かった経験から、「自分はどこに行っても売上があげれる人間なんだ」という幻想を抱いて対人恐怖症を克服するまでの期間ずっと売上があがらず苦しみました。

「俺は営業ができる人間なんだ」という愚かな幼児的万能感は、上司のアドバイスを聞き入れず、たまたま売上があがったときに自慢げになる最悪な態度に表れ、最終的に解雇されてやっと消えたのです。

今考えればそんなことできるわけないだろうと思う馬鹿な話ですが、当時の私は真剣にできると信じていました。まさに幼児的万能感というやつだったわけです。

それでも、幼児的万能感によって「自分ならできる」というポジティブな感覚だけ抱くのならまだ良いですが、もう一つ厄介な側面があります。

それは、自分が何でもできると思うがゆえに他人のことまでコントロールできる錯覚を持ってしまうことなのです。

  • 自分が価値の低い人間だから相手が挨拶をしなかった
  • 自分がおかしいから周りの人が見てくる
  • 自分が上手く話せないから相手が沈黙してしまう
  • 自分が睨んでしまうから相手が目をそらす
  • 自分の表情がぎこちないから相手もぎこちない感じになる

このように、自分のせいで相手の反応が変わったと考えるようになるのは、他人のことも自分がコントロールできると思っている証拠だと言えます。

そもそも、他人のことなんて自分ではコントロールできないと思ってるなら気にならないですからね。

頭では自分のせいだけじゃないとわかっている方がほとんどだと思いますが、それでも相手の反応が気になってしまうのは根っこに幼児的万能感を残したままになっているからです。

幼児的万能感を改善して「自分が何でもできる」という感覚が薄れてきたときに初めて、自分と他人を切り離して自分のせいじゃないと思えるようになるのです。

冒頭でショックを受けるので読みたくない方は読まないでください的な注意書きをしておいてこんなことを言うのはあれですが、たぶん読んだとしても幼児的万能感を抱いている人は自分のことだと思わない可能性が高いだろうなと思っています。

それでも、もしかしたら気付いてくれる人がいるかもしれないという期待を込めて書きました。

対人恐怖症は症状が幅広く、幼児的万能感だけで片付くものではありませんが、多くの方に当てはまるのではないかと感じています。

症状がなくなりさえすれば大丈夫だ、すべてが上手くいくなんていう甘い考えは捨ててください。

本質的な問題は症状にはありません。

幼児的万能感を抱えたままでは、普通に人生を楽しんでいる周りのみんなにどんどん置いていかれますが、今から地に足を着けて周りのみんな以上に努力すればいくらでも挽回できます。私も挽回し追い抜きました。

少しずつ現実を見て地に足を着けて、本当の自分を認めて成長させていくこと。

そうすれば、対人恐怖症は必ず克服できます。

具体的にどうすればいいかは人によって異なりますので、カウンセリングでサポートさせていただいております。

追記(補足事項)

今回のメルマガへの反響が多く、勘違いされている方もおられたため以下の補足を追加しました。

Q:自分の症状で他人が変わることは普通にあると思うのですが…

ここでの変わるは「影響」を意味します。

たしかに、こちらがガチガチに緊張していれば相手にも緊張感が伝わってしまうことはありえます。何かしらの症状が出ることで相手の反応が変わることもあります。

しかし、症状によって相手をコントロールできるかというとできないわけです。

私が言いたかったのは、影響ではなくコントロールができないということです。

一時期、対人恐怖症の方に同行してカウンセリングをおこなったことがあり、症状が出た時の相手の反応は嫌という程目の前で見てきました。しかし、症状が出たことで変わる人もいれば、まったく変わらない人もいたわけです。

当たり前の話ですが、相手の変化に鈍感なタイプの人は症状が出ていようがいまいが変わりません。

幼児的万能感が強い人は、無意識にこういったところまでコントロールできると思っているがために自分のせいだと苦しむわけです。

あくまでも、無意識で理解できてないという話であり、頭では理解しておられる内容だとは思います。

Q:幼児的万能感はポジティブな面があるから良いものではないでしょうか?

いえ、違います。

たしかに幼少期において幼児的万能感はプラスに働きます。

自分の欲求を満たすために行動を起こすことで様々な経験が積めるからです。

しかし、思春期を迎え、大人になっても抱き続ける幼児的万能感の非現実的なポジティブは人との関係で支障をきたします。

相手の立場になれず自己中になってしまうため、自分の思い通りにならないだけで些細なことにでもイライラしやすく、素直に相手の話を受け入れられない面が出るからです。

そもそも、ポジティブな面だけでなく、一つ目の質問にあったネガティブな面もセットになっているという点も忘れないで下さい。

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