自己臭恐怖症とは、自分の身体から発せられる口臭や体臭が非常に強いものだと思い込み、その臭いのせいで「他人に迷惑を掛けて嫌われているのでは」と不安や恐怖を感じる恐怖症。

確信型対人恐怖症の一種で、自臭症、自己臭症などと呼ばれることもあります。

実際に周りに嫌がられるような臭いがしているケースは少ないですが、ワキガや口臭などで本当にニオイが発生していることもあるため、どちらの問題なのかという判別も重要です。

PATM等はまだまだ認知度が低いため自覚できていない人も多いと思います。

現在までの臨床経験で自己臭恐怖症は醜形恐怖症と並ぶ強者だという認識はありますが、カウンセリングを継続していくことで改善は可能です。

自己臭恐怖症で悩んでいる人の特徴と発症のキッカケ

几帳面、潔癖、完璧主義といった特徴を持つ人がなりやすく

  • 自分のことをくさいと言われたように感じた
  • 会話しているときに相手が鼻に手を当てた
  • 車に同乗したときに窓を開けられた

といった感じの他人の言動や行動がキッカケとなって発症することが多いです。

普通の人には気にならないような許容範囲のニオイであったとしても、「臭いから○○なんだ」とうまくいかないことがある度、自分の臭いのせいにして「自分は臭いんだ」という思い込みを強めていきます。

「くさい」という言葉に非常に敏感なので、言われてないのに勝手に聞き間違って「くさい」と言われたと思い込んで落ち込んでしまうことも多々あります。

また、相手の仕草にも敏感で、鼻に手を当てた、鼻をすすった、咳やくしゃみをしたといった近くの人の反応を常に神経を張り巡らせて観察しています。

普通の感覚の人からすれば「そんなん関係ないやろ」と言われるくらいニオイと関係なさそうなことでも、「自分が臭いからだ」と決め付けてしまうのです。

エレベーター、職場、教室、車、バス、飛行機、電車等といった人が密集する空間や対面での会話など臭いをかぎとられる状況に過剰な恐怖を抱くため、必要以上に人とのかかわりを避ける傾向が見られます。

感情の抑圧がにおいを放っている感覚を生み出す

自己臭恐怖症で悩んでいる人は完璧主義で抱え込みやすい傾向が見られます。

他人に弱みを見せず一人で頑張って解決しようとする。

本当なら「もう無理」となるはずが、我慢の習慣で感情がマヒしているから耐えれてしまう。

何度も胃潰瘍になったり、体に明らかな異変が起こるまで自分が無理していることを自覚できない人もいました。

自覚できないうちに限界を超えてしまっていて、抑圧しきれずに漏れだした感情がにおいを放っているような感覚にさせる。

つまり、においというのは抑圧された感情であると言えます。

莫大なストレスを抱えている状態であるため、実際に口臭や体臭がしてしまうケースもゼロではありません。

すべてを自分の臭いに結びつける思い込み

自己臭恐怖症の特徴的な考え方として、うまくいかないことを何でもかんでも自分の臭いのせいにしていることがあります。

「人と仲良くなれない=自分が臭いからだ」

「職場でみんなの輪に入れない=自分が臭いからだ」

「あまり話しかけてもらえない=自分が臭いからだ」

という感じで、キツい言い方をすると本質と向き合うことから逃げることを繰り返しているわけです。

別に臭くても人と仲良くなれる人もいます。話しかけてもらえる人もいます。

つまり、本当の原因は臭いではないのです。

でも、その原因と向き合うには怖すぎて、もしかすると自分の存在自体を脅かすものかもしれないと莫大な恐怖心を抱えているから、臭いのせいにしているほうが安全なんですよね。

この部分に少しずつ感覚的に気付いていくことができたときに、自己臭恐怖症克服への扉が開けます。

自己臭恐怖症になってしまうと「くさくない」「におっていない」と誰かに言ってもらえても、気を遣って嘘をついてくれているのではと思ったりでなかなか信用することができません。

他の対人恐怖症に比べてかなり時間はかかりますが、根付いてしまった「自分が臭い」という強烈な思い込みを少しずつ思い込みだと気付ける状態にしていくことで克服できます。

ちなみに、身体ではなく精神的な問題ですので、実際に強い体臭や口臭で悩んでいる人は該当しません。

自己臭恐怖症を克服するためには?

自己臭恐怖症は強烈な思い込みが根付いていますので長期のカウンセリングが必要となります。

「ニオイがある自分」という自分の存在自体を否定する状態になっているのですが、人間である以上ニオイは切っても切れないものであるため、「ニオイがある自分」を受け入れられる状態にしていくことが克服への道となります。

カウンセリングを受けながら、今までずっと消したいと目を背けてきた自分のニオイと向き合うことが本当の自分と向き合うこととなり、奥底に眠っている自分の存在意義、自分の本音に少しずつ気付けるようになっていく。

しかし、自分の本音に気付けば気付くほど、ニオイによって叶えられないことに対する失望、苦悩が頭をもたげて苦しむことになります。

それでも、一緒に考えてくれるカウンセラーの支えのもと、どうすれば「ニオイのある自分」で本音を表現して自分らしく生きていけるのか、よりよい人生を歩むことができるのかを真剣に考えて行動していくことによって自己臭恐怖症は克服できるのです。

自己臭恐怖症の克服において、実際にニオイがあるかどうかの判別とカウンセラーとの信頼関係構築が非常に重要であるため、電話やSkypeでの克服はなかなか難しく、基本的に対面でのカウンセリングをお願いしております。(遠方にお住まいの方の場合は対面と電話を併用していただくケースがあります)

症状がひどく強い不安を感じて苦しい場合は抗不安薬で和らげるのも一つの方法です。