対人恐怖症で悩んでいると「症状があるからできないこと」が増えていきます。

  • 症状があるから友達に誘われても断る
  • 症状があるから学校に行けない
  • 症状があるから近所のスーパーに買い物にいけない
  • 症状があるから知り合いにあっても挨拶できない
  • 症状があるから会話が続けられない
  • 症状があるから習い事が始められない

症状があるからあれもできない、これもできないとなっていくわけです。

こうやってできないことが増えれば増えるほど自分はできない人間だと思いやすくなり、何もできないんじゃないかと思うようになっていきます。

そして、できるようになるためには症状をなくすしかないという発想にいたり、症状への執着を強めて悪化していくのです。

対人恐怖症だからできないの繰り返しでは克服しようがない

対人恐怖症だからできないと確信している相談者とカウンセラーの対話をご覧ください。わかりやすくするために、本音で話した場合をイメージして書いてみました。

相談者:「この症状はどうすれば消えますか?これさえ消えればやりたいことができて問題なくなるんですけど。」

カウンセラー:「症状を消したいなら、自分がどうしたいかに従って行動してください。」

相談者:「いえ、私が聞きたいのは症状の消し方です。症状が消えれば行動なんていくらでもできるのでそんなのはやる必要ないんです。それに症状が消えてないのに行動なんてできるわけないでしょ?」

カウンセラー:「えっ?症状消すための方法が症状が出ながらでも行動していくことなんですけど…まずは自分が本当はどうしたいかに気付くところからですね。」

相談者:「いや、自分がどうしたいかなんてわかってますよ。行動も症状が消えればできるんだから今はやる必要ないんです。何回言わせるんですか。症状を消せる方法知らないならもういいです。ありがとうございました。」

(注)実際のカウンセリングでこんなやり取りはありえません。

ちょっとキツイ表現で書きましたが、本音はこんな感じだと思うのです。

そもそもやろうと思えばできるという確固たる自信があるなら症状は出ません。

心の奥底でやっても上手くできないんじゃないか、受け入れてもらえないんじゃないかといった莫大な不安等、何かしらの問題を抱えているから症状が出るのです。

「症状が消える→問題なく人とかかわれるようになる」ではなく、「問題なく人とかかわれるようになる→症状が消える」の順番です。

症状が消えさえすれば問題なく人とかかわれるようになると思い込んでいると、症状が消えるまで行動しない。

行動しないから克服できないという悪循環に陥ってしまうんですよね。

「対人恐怖症のままでもできること」を探していく

できないことばかりの日々で失う自己効力感

自己効力感とは能動的に自分をコントロールできる感覚、「自分ならできる」と思える感覚です。

自分で考えてできたことがあれば「やっぱり自分ならできるな」と自己効力感を強めますが、逆に何をやってもできないとなれば「自分はできないんだ」と自己効力感を失います。

自己効力感を失うと受動的になり、「あの人がこうだから自分はこうなってしまう」「周りの人の反応がこうだから自分はこうなってしまう」といった被害者意識が強まります。

本来自分の人生は自分でコントロールできるはずなのに、他人にコントロールされているような感覚に陥ってしまうわけです。

「症状があるからできない」というのは症状にコントロールされている状態ですよね。

自己効力感を高めていくためには自分で考え自分で行動して「自分はできる」という実感を得ていくことが必要となります。

今の自分にもできることはあるはず

どれだけ悩み苦しんでいたとしても少なからず今の自分にできることはあるはずです。

盛り上がるような会話はできずとも、話しかけてもらったら「そうですね」と一言返すだけならできるかもしれません。声が出せないとしてもうなずくだけならできるかもしれません。

「できない、できない」とできないことにばかり目を向けていてはできることもできなくなっていきます。

人間は思い込みの生き物です。

できると思えばできるし、逆にできないと思えばできなくなります。

今の状態の自分にでもできることはないか、あるとしたら何なのかを考えてみましょう。

ずっとできないことばかり考えていたから簡単ではないと思いますが、「自分にできることなんてない」と考えるのを諦めないでください。

答えが出なくとも考えてみるだけで意味があります。

考えるのが苦痛なら状態がマシな時にほんの少し考えてみるだけでも大丈夫です。

気持ちに沿って行動していくことが大事

だからといって、目的本位とかエクスポージャーとかで無理やり行動するのは違います。

人間は感情の生き物であり、感情を無視して行動することほどしんどいことはありませんから。

自分の感情と行動のバランスをとりながら、しっかりと事前準備をした上で、自分の本音に従った行動を繰り返す。

繰り返す中で他人からどう思われるかの考えから抜け出し、自分がやりたいことをできる範囲が広がっていきます。

その結果、自分に自信が持てるようになり、対人恐怖症の症状や緊張から解放されるのです。

脳にプログラミングされた不安や緊張を生み出す考え方のクセは、行動しながら新しい価値観を取り入れていくことで変えていくことができます。ここが変われば根本的に改善したことになりますので、再発することもありません。

バランスの取り方や事前準備の仕方は人によって異なりますので、カウンセリングでサポートさせていただいております。

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