「対人恐怖症があるから今はできないんですけど、克服できたらやりたいことはあるんです。」とおっしゃる方は多いです。

この考え方になっている人は以下のようなイメージを抱いています。

  1. 対人恐怖症があるからやりたいことができない
  2. 対人恐怖症を克服
  3. やりたいことができる

だから、対人恐怖症を克服しようと必死になる。

この流れだと「対人恐怖症を克服すること」が最重要になりますからね。

しかし、この流れで考えている限り対人恐怖症に苦しみ続けます。

なぜでしょうか?

続きを読む前に少し考えてみてください。

ゴールがないと現状にとどまるしかなくなってしまう

「対人恐怖症が克服できたらやりたいことができる」と思っている人は克服後のことを考えません。

漠然と考えることはあっても「対人恐怖症があるからできない」という前提がある以上、具体的に考えることはないわけです。

そんなことは克服してできるようになってから考えればいいと思っていたりもします。

しかし、「克服してから考えればいい」というのは「ゴールしてからゴールを決めればいい」と同じ。

意味わからないですよね。

ゴールがないのにどうやってゴールするんですかって話です。

どこに向かえばいいかわからない、どうすればいいかわからない。

だから、対人恐怖症がある現状にとどまり続ける。

当然のことと言えます。

克服するためには克服後のことを考えないといけない。

そして、対人恐怖症がある今の自分でもやりたいことを少しずつでもやっていくことが必要。

続けていく中でゴールが見えるから対人恐怖症が克服へと向かうわけです。

過去の積み重ねである現状を抜け出すから克服できる

過去の記憶にとらわれ、過去のせいで自分はこうなった。

昨日の自分はこうだったから今日もこうなった。

今日の自分はこうだったから明日もこうなる。

この思考の流れで対人恐怖症を克服できるわけがありません。

上手くいっていない過去をもとに明日を考えたところで上手くいかない現状が繰り返されるだけになりますからね。

今と違う流れの未来を考え、膨らませていくこと。

過去ではなく未来との因果関係をいかに強めていけるか。

グーグルマップで目的地を入力することによってルートが表示される、だから目的地に到達できるのと同じ原理です。

「でも、みんなそんなこと考えていないじゃん。」と言う人もいます。

だから、うつ病、依存症が増えているのです。

みんな本当に自分がどうしたいかを見失い、日々の義務感に駆られながらストレスを抱えてゲームやアルコール、ギャンブルに依存。

会社に行かないとと思うのに体が動かない。エネルギーが湧かない。

高度経済成長期のようにとりあえず目先のことをこなせば、年功序列で終身雇用、お見合い結婚、老後には安定した年金という時代は終わりました。

代わりにユーチューバーやコスプレイヤー、いろんなものが出てきて選択肢がものすごく増えている。

その中から選択をして生きていかないといけないわけですから自分の意志が必要な時代になったと言えます。

対人恐怖症を克服したいのであれば、現状から抜け出したいのであれば、自分がやりたいことやありたい姿についてしっかり考えてみてください。

まずは対人恐怖症がなかった場合の今を考えてみるところから

「もし、対人恐怖症がなかったら今どういう生活をしていますか?」具体的に教えてください。

と言われても答えられないですよね。

いきなりでびっくりされたかもしれませんが、この質問にパッと答えられる人はすでに克服しているでしょう。

人間の脳は具体的にイメージできる臨場感が高いことを現実化します。

症状がなくなった状態が漠然としていて、症状がある状態が具体的で臨場感が高いとなれば症状がある状態が現実化されてしまう。

症状がある状態が続いてしまうわけです。

具体的で臨場感の高いことが現実になるという話はイチロー選手の卒業文集が有名ですよね。

「プロ野球選手になる」という漠然としたものではなく、プロ野球選手になるまでの過程、今何をすべきかまで具体的に描かれています。

対人恐怖症がなかった場合の生活を具体化させることの必要性をわかっていただけたでしょうか。

対人恐怖症がない生活ってどんな感じ?

今の自分をベースにすると難しいので、対人恐怖症で悩んでいない人の生活を考えてみるとわかりやすいです。

当然ながら症状について考えることはありません。

多少なり「他人からどう見られているか」を気にすることはあっても、とらわれて一日中考えたりすることはないですよね。

だから、たいていは自分の好きなことや興味関心があること、自分にとって大切なことを中心に考えて日々を過ごしています。

美味しいものを食べに行くのが好きな人であれば「今度の週末はどこに食べにいこうかな」「どのお店がいいかな」なんて考えていたり。

スマホのゲームにハマっている人であれば「次のイベントはいつ始まるのかな」「あのキャラ欲しいな」とか考えたりするわけです。

試験に向けて勉強のことで頭がいっぱいの人もいるでしょうし、転職を考えている人もいると思います。

パソコンをどうすれば安く買えるか考えて必死に調べているかもしれません。

友達関係や恋愛のこと、子育てで悩んでいる人もいるでしょう。

今、対人恐怖症で悩み症状のことばかり考えている人も、本来ならこういうことをメインに考えるはずなのです。

対人恐怖症がない生活を具体化して臨場感を持たせる方法

しかし、現状は症状のことばかり考えていて、どうすれば症状がなくせるかをネットで調べまくったり、関連する本を読んだり、さっき会った人に嫌われたんじゃないかと考えたり、来週の飲み会をどうやって断ろうと考えたり…

この状態のままで対人恐怖症がなかった場合の生活を考えてもなかなか臨場感が生まれません。

他人事のようになってしまうだけです。

どうすれば臨場感が生まれるのか?

ほんの少しだけでもいいから対人恐怖症がなかった場合の生活を今の生活に取り入れていくのです。

実際に行動を起こすのが難しいのであれば本来考えたいはずのことに意識を向けることからでもかまいません。

比率が高まれば高まるほど臨場感が高まっていきます。

対人恐怖症がなかった場合の生活に近づくわけですから当然ですよね。

ただ、自分が本来考えたいはずの「自分の好きなことや興味関心があること、自分にとって大切なこと」を見失っている場合は、カウンセリングで少しずつ見つけていくことから。

対人恐怖の症状は症状として置いといて、好きなことをやろうとしたり、話したりするようになっていくのである。好きなことを熱心に聴くことは大切である。自分はこれでいいんだ、という意味での自信を育てるように思う。好きなことは、自然なこころの発露であり、人間の本質とつながっているからである。

引用元:大学生の対人恐怖症者の臨床的特徴と治癒過程 : 治癒の過程における内閉の意味について、2000、神奈川県立外語短期大学紀要総合編

好きなことや興味関心があることを見つけるだけでなく、カウンセリングで話すこと自体にも意味があるのです。

対人恐怖症がない生活のイメージから本当は自分がどうしたいかを見つけ出し、その延長線上にある自分が望む未来に目を向けられるようにしていきましょう。

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