思春期真っ只中の高校生が「人からどう見られるか、どう思われるか」に敏感なのは当然です。
性欲がピークに向かう時期となる男子は女子からの目をとくに意識し、世の中の男性から性の対象として見られるようになる女子は男性からの目を意識するようになるからです。
これは人間の成長過程において誰しもが経験することであって、無い方がおかしいと言えます。
しかし、生まれながらの気質や親子関係、過去の経験、脳の働きなど様々な要素が重なって、「人からどう見られるか、どう思われるか」を意識し過ぎる対人恐怖症になってしまうケースがあるのです。
対人恐怖症のことを調べるのは逆効果
インターネットや本でいくらでも対人恐怖症や他の精神疾患に関して調べることはできます。
しかし、調べれば調べるほどに症状へのこだわりが強くなるだけでなく、間違った情報で悪化していくことも多々あります。
なぜなら、人は深い悩みに陥ったとき、極端に視野が狭くなり、客観的に考える力を失ってしまうからです。
ましてや、高校生の場合は精神面でも発展途上ですから、そもそも客観的に見る力も備わってはいません。
その状態で吸収しようとする情報は、正しい情報であっても間違った解釈をしがちになりますので、調べること自体悪化していくことにしかつながらないのです。
もし、毎日のようにインターネットで対人恐怖症に関する情報を調べているのであれば今すぐやめましょう。
症状は本当の自分を抑え込んだ結果である
対人恐怖症で悩んでいる高校生は、見た目を整えたり、当たり障りのない接し方ばかりすることによって、自分の本当の姿を見せないようにしています。
確かに、本当の自分を隠すことで表面上は何とかなっているのかもしれませんが、続ければ続けるほど本当の自分が出せなくなって症状は悪化していきます。
自分を苦しめる症状は、抑え込んだ本当の自分が出しているサインです。
「相手からどう見られるか、どう思われるか」ばかり考えて、本来自然に出るはずの笑顔を抑え込んだり、面白くもないのに笑おうとしたり、ムカつくのに笑顔で受け流したり…
やればやるほど自分の感情は抑え込まれ、ストレスを生み出し、脳の働きや自律神経に異常をきたした結果出ているのが今の症状なのです。
本当の自分に気付き行動していくことが克服へとつながる
対人恐怖症を克服するためには、まず自分自身と向き合って、抑え込んでいる本当の自分に気付くことが必要です。
具体的に何をすればいいかというと、普段の生活で自分がどう思っているのか、どう考えているのか、どうしたいのか、何をしたくないのかを日記をつけるなりして振り返りながら、カウンセリングで話すことになります。
カウンセリングで自分のことを話していく中で「本当はこんなことを思っているんだな」と実感を持てるようになり、自分がどう思うか、どう感じるかという自分の本音に気付けるようになっていくのです。
そして、本音に気付けるようになってくれば、その本音に従って素直に行動します。
- 自分がやりたいと思うことはやる
- 自分がやりたくないなら断る
- 親に甘えたいなら甘える
- 話したいことがあるなら話す
- 泣きたいなら泣く
できる範囲から少しずつ取り組んでいくことによって、本当の自分を成長させていくことができるのです。
対人恐怖症の症状を打ち破れるのは成長した本当の自分
人と接する場面で症状が気になってできないことは多々あると思いますが、本当の自分が成長して「自分はこうしたいんだ」という自分本位な考えが強くなればなるほどできるようになっていきます。
人間はどんな困難が立ちふさがっても心の奥底からやりたいと思うことをやり遂げる力を持っているからです。
つまり、今ひた隠しにしている本当の自分を成長させて、
「相手がどう思うか < 自分がどうしたいか」
の状態になったときに、対人恐怖症は克服できたと言えるのです。
人がどう思うか、どう考えるかばかり意識して見失った本当の自分を取り戻すのは簡単ではありませんが、自分と向き合うことを諦めない限り必ず克服することはできます。
最後に
対人恐怖症の克服は感覚的なものであり、勉強のように頭で理解するものではありません。
頭で考えるのではなく、自分の感情や感覚にしっかりと目を向けて、心を成長させていくイメージを持っていただければと思います。