対人恐怖症で悩む女子高生

思春期真っ只中の高校生が「人からどう見られるか、どう思われるか」に敏感なのはおかしいことではありません。

性欲がピークに向かう時期となる男子は女子からの目をとくに意識し、世の中の男性から性の対象として見られるようになる女子は男性からの目を意識する。

これは人間の成長過程において誰もが経験することだからです。

青年期は,生物学的および心理社会的に著しい変化を遂げる時期である.加えて,様々な対人関係上の葛藤や不安を体験し,それに対処する心理社会的な適応機能を獲得していく時期でもある.そのような中で,他者から自分がどう見られているかを気にするあまり,自意識過剰や対人過敏になりやすい

引用元:自己関係づけと対人恐怖心性·抑うつ·登校拒否傾向との関連、2003、日本パーソナリティ心理学会

そもそも日本人は周りの目を気にする文化が根付いているのでより敏感になってしまう。

生まれながらの気質と親子関係や学校生活などの環境要因が重なることで、高校生になって対人恐怖症を発症するケースも少なくはない。

「対人恐怖症かも?」と思って調べる高校生が多いのもうなずけます。

対人恐怖症と自我同一性(アイデンティティ)の関連性

思春期が始まる小学校高学年くらいから少しずつ自分の価値観が芽生えてきます。

親の価値観がすべてだったのが、学校を中心とする他者とのかかわりによって自分なりの価値観を持つようになるのです。

そして、中学、高校に進むにつれ親の価値観と衝突が起こり、反抗期を迎えていく。

自立へと向かう気持ちと親に依存したい気持ちとの葛藤に苦しみながらも、他人との境界線を引いて自分と切り離せるようになります。

高校生頃になると、次第に「自分は自分、他者は他者」という感覚が育ち、自分と違う面を持つ他者を受け入れることが可能になります。これは自我同一性の獲得の基盤ができたことを意味します。

参考:e-ヘルスネット「思春期のこころの発達と問題行動の理解」

しかし、親の過干渉などの影響によって自分の価値観が育たず心が自立に向かわない。

他人との境界線が引けないままでいると、自分が思っていることを他人も思っているような感覚になる。

対人恐怖症の発症は自我同一性獲得の基盤ができなかったことが影響しているのです。

対人恐怖症のことを調べるのは逆効果

インターネットや本でいくらでも対人恐怖症や他の精神疾患に関して調べることはできます。

しかし、調べれば調べるほどに症状へのこだわりが強くなるだけでなく、間違った情報で悪化していくことも多々あります。

なぜなら、人は深い悩みに陥ったとき、極端に視野が狭くなり、客観的に考える力を失ってしまうからです。

ましてや、高校生の場合は精神面でも発展途上ですから、そもそも客観的に見る力も備わってはいません。

その状態で吸収しようとする情報は、正しい情報であっても間違った解釈をしがちになりますので、調べること自体悪化していくことにしかつながらないのです。

もし、毎日のようにインターネットで対人恐怖症に関する情報を調べているのであれば今すぐやめましょう。

症状は本当の自分を抑え込んだ結果である

対人恐怖症で悩んでいる高校生は、見た目を整えたり、当たり障りのない接し方ばかりすることによって、自分の本当の姿を見せないようにしています。

確かに、本当の自分を隠すことで表面上は何とかなっているのかもしれませんが、続ければ続けるほど本当の自分が出せなくなって症状は悪化していきます。

自分を苦しめる症状は、抑え込んだ本当の自分が出しているサインです。

「相手からどう見られるか、どう思われるか」ばかり考えて、本来自然に出るはずの笑顔を抑え込んだり、面白くもないのに笑おうとしたり、ムカつくのに笑顔で受け流したり…

やればやるほど自分の感情は抑え込まれ、ストレスを生み出し、脳の働きや自律神経に異常をきたした結果出ているのが今の症状なのです。

本当の自分に気付き行動していくことが克服へとつながる

対人恐怖症を克服するためには、まず自分自身と向き合って、抑え込んでいる本当の自分に気付くことが必要です。

具体的に何をすればいいかというと、普段の生活で自分がどう思っているのか、どう考えているのか、どうしたいのか、何をしたくないのかを日記をつけるなりして振り返りながら、カウンセリングで話すことになります。

カウンセリングで自分のことを話していく中で「本当はこんなことを思っているんだな」と実感を持てるようになり、自分がどう思うか、どう感じるかという自分の本音に気付けるようになっていくのです。

そして、本音に気付けるようになってくれば、その本音に従って素直に行動します。

  • 自分がやりたいと思うことはやる
  • 自分がやりたくないなら断る
  • 親に甘えたいなら甘える
  • 話したいことがあるなら話す
  • 泣きたいなら泣く

できる範囲から少しずつ取り組んでいくことによって、本当の自分を成長させていくことができるのです。

対人恐怖症の症状を打ち破れるのは成長した本当の自分

人と接する場面で症状が気になってできないことは多々あると思いますが、本当の自分が成長して「自分はこうしたいんだ」という自分基準の考えが強くなればなるほどできるようになっていきます。

人間はどんな困難が立ちふさがっても心の奥底からやりたいと思うことをやり遂げる力を持っているからです。

つまり、今ひた隠しにしている本当の自分を成長させて、

「相手がどう思うか < 自分がどうしたいか」

の状態になったときに、対人恐怖症は克服できたと言えるのです。

人がどう思うか、どう考えるかばかり意識して見失った本当の自分を取り戻すのは簡単ではありませんが、自分と向き合うことを諦めない限り必ず克服することはできます。

最後に

対人恐怖症の克服は感覚的なものであり、勉強のように頭で理解するものではありません。

頭で考えるのではなく、自分の感情や感覚にしっかりと目を向けて、心を成長させていくイメージを持っていただければと思います。

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