「緊張しない方法」を教えて欲しいと言われることがありますが、緊張をゼロにすることはできません。

そもそも緊張するのは人間として生理的に当然のことだからです。

ただ、その緊張に飲み込まれてしまうから顔が真っ赤になったり、手足の震えが止まらなくなったり、頭が真っ白になったりして苦しむことになるのです。

緊張をゼロにすることはできませんが、緊張に飲み込まれずにコントロールすることができるようになれば苦しむことはなくなります。

活躍しているプロのスポーツ選手は、緊張をコントロールして、自分のプラスの力に変えることができているから良い結果を出している。

緊張すること自体は悪いものではなく、飲まれるのが問題だということ。

緊張が生み出される背景には不安と恐怖があります。

いかに不安や恐怖をコントロールできるようになるかが緊張しないために必要なのです。

不安や恐怖をコントロールして緊張しなくなる方法

対人恐怖症のカウンセリングを重ねる中で不安と恐怖への対処法は常に考えてきました。

面接やプレゼン、発表で緊張しない方法を教えてほしいという相談は多いですからね。

以下の4つの対処法を実践していただければ不安に飲まれずに生活しやすくなります。

効果は実証済みの方法なので不安をなくしたいと思っているのであれば少しずつでも継続してください。

緊張は生理現象だと理解する

緊張してしまう原因の一つに緊張を排除しようとしていることがあります。

緊張してはいけないと思うから緊張するということです。

しかし、先程からお話しているように緊張するのは人間の機能として当然のもの。

逆に緊張しないのは生きていく上で危険性があります。

人間は不安や恐怖を感じたとき、戦うか逃げるかをしやすいように手に汗をかいたり、消化器が働かなくなったりします。

これが緊張と呼ばれるものであり、健全な人間である以上、誰にでも起こりうる生理現象です。

身体症状としては赤面、震え、発汗、喉の渇き、呼吸の乱れなどがあります。

ただ、緊張すると思考停止状態になってしまうから、話すときは上手く言葉が出てこなくなったりして困るんですよね。

目的を意識する

目的を意識することで不安や恐怖を感じなくすることができます。

森田療法の目的本位や選択理論心理学の考え方に近いですが、私はこの「目的意識」というものに非常に救われています。

人前でスピーチする場面であれば「何を伝えたいのか?」「何を伝えなければならないのか?」に集中するというように、その行為の目的に集中します。

目的に強く意識を向けることができればできるほど「失敗したらどうしよう」「上手く喋れなかったらどうしよう」といった不安が薄れていきます。

感情的になることは誰にでもありますが「その感情から出てくる行動が自分の目的を果たしてくれるものかどうか?」「それとも、それを邪魔するものなのか?」を考えることで行動が変わります。

私の場合はこれをやり過ぎて、怒らないのが不満だと妻に言われますので、たまには感情のままに動くことも大切ですね(笑)

ただ、感情をコントロールする方法としては優れていると実感しています。

人間は誰しも欲求に基づいた「目的」に従って日々の生活を繰り返しているのですが、無意識の部分が多くなかなか気付けないことも多いかもしれません。

そんなときは「何のために今これをやっているの?」と自分自身に質問してみてください。

その答えが「目的」です。

もし、質問をしても出てこないようなら目的が小さすぎて把握できないのかもしれませんので、そういう場合は無理をしてまで考える必要はありません。

まずは、気付きやすい「目的」を意識することから試していただければと思います。

相手の反応に対する捉え方を変える

緊張しやすい人は物事をネガティブに捉えてしまう傾向が強くあります。

私自身も悩んでいた時期は「自分の話が下手だからわかりづらいのかな」「こいつ大丈夫かなと思われているのかな」とかよく思いましたからね。

でも、実態はたまたま反応が薄い人だったとか、真剣に話を聞いてくれているだけだったとかでした。

原因は相手が作り出してるんじゃなくて、結局は自分が勝手に作り出しているに過ぎなかったのです。

朝礼のスピーチで退屈そうに聞いている人は、眠くて頭がぼーっとしているのかもしれませんし、たいして意味をなさない朝礼自体が嫌いなのかもしれません。

面接で険しい顔をしている面接官は、もともと強面なのかもしれませんし、真剣に話を聞こうとしているからこその顔なのかもしれません。

相手の立場になって考えてみましょう。

相手の反応をいつものネガティブな捉え方以外、自分以外の原因と結び付けてみると緊張しづらくなります。

頭で理解するのではなく感覚的に理解することが必要なのでなかなか難しいですけどね。

最悪の事態を想定して具体化しておく

失敗を恐れていると緊張しやすいのはあります。

「失敗したらどうしよう」という不安が強ければ強いほど緊張してしまうのです。

人前で発表するときに失敗したとしても死ぬわけではないのもわかっている。

でも、失敗して恥ずかしい思いをする、上司に怒られるのは何としても避けたい。

まるで失敗したら取り返しがつかないほどのことに思えてくるから緊張が高まってしまう。

だから、もし失敗したらどうなるか、最悪の事態を想定できていれば緊張しづらくなります。

例えば、朝礼で緊張しすぎて言葉が出なくなったとします。

周りは「どうしたんだ、大丈夫か」となるでしょう。

でも、それほどの緊張であれば赤面や震え、汗、何かしらの身体症状が出ているはずなので周りもわかります。

「緊張しすぎて頭が真っ白になってしまったのかな」と。

気遣って何事もなかったかのように振る舞ってくれる人もいれば、意地の悪い人はからかってくるかもしれません。

もし、職場の人たちにそういう対応をされたらどうなるでしょう?

恥ずかしくて逃げだしたい気持ち、気を遣わせていることへの申し訳なさが出てくる。

からかわれたら嫌な気持ちになって怒りが湧いてくるかもしれません。

だからといって、何か日常に大きな変化があるわけでもなく、今まで通りまた時間が過ぎていく。

朝礼の失敗をネタにする人がいたとしても、同じ話ばかりしていてはその人が嫌がられます。

人間の記憶は長くて1ヶ月、短ければ1週間も持たず消えていくもの。

失敗しても何とかなったというところまで、自分の体の感覚も交えて具体的にイメージできればできるほど緊張から解放されていきます。

不安や恐怖を感じていることに対処法を準備する

不安や恐怖を感じるのは「対処法を知らないから」とも言えます。

例えば、変なことを言って仲良くなりたい人に嫌われたとしても、その関係を修復できる魔法が使えるなら全く不安や恐怖なんて感じないはずです。

さすがにそんな魔法はありませんが(笑)

でも、以下のような不安や恐怖への対処法はあります。

誰かにひどいことを言われても、いつも味方でいてくれる家族がいる

もし相手を不快にさせたとしても謝って関係を修復することができる

10人中9人に嫌われても残りの1人とは仲良くなれる

失業しても雇用保険から一定のお金がもらえる

失業してもお金をもらいながら勉強できる職業訓練学校に通える

周りから嫌われようが批判されようが「勝手に言わせておけばいい」と開き直れる自信がある

その時々に応じた対処法を持っていればいるほど、不安や恐怖を感じずに、人と接することができるようになるのです。

そのためには、まず今感じている不安が的中して最悪の事態になったときの対処法を事前に考えておくこと。

今の自分が実践できる対処法を考えてください。

どれだけ立派な対処法でも使えないものでは意味がありませんので。

そして、実際に緊張する場面で何とか乗り越えることができたという成功体験を積み重ねると緊張しなくなっていきます。

緊張してしまったときの緊急対処法

思考中断法

緊張状態は五感を刺激することで解消できます。

手を近くの机に触れるなどして、意識を違うところに向けましょう。

緊張が強ければ同等の刺激が必要となるため、手に輪ゴムをはめておいてパチンとする痛み、片方の足でもう片方の足を踏むとかが必要となるかもしれません。

アロマをしみこませたハンカチを用意しておくとか、フリスクを噛むとかも効果はあるので、場面によって可能であればやってみてください。

呼吸法

緊張すると呼吸が浅くなり肩に力が入ります。

呼吸法によって深い呼吸にしていくことができればリラックス状態となり緊張から抜け出せます。

緊張状態のときにおすすめの呼吸法は「逆腹式呼吸」です。

腹式呼吸の逆、息を吸っているときにお腹をへこませ、息を吐いているときにお腹を膨らませる形で呼吸をしてください。

横隔膜がしっかり上下している感覚があれば上手くできています。

ストレッチ

肩を上げて力を入れた状態からストンと下ろしたり、ジャンプをして緊張から脱します。

緊張する出来事の前に走っておくのも一つの対処法です。

最後に

いくら準備しても、緊張してしまうかもという不安は完全には消えないので、このような緊急してしまったときの対策も事前に知っておくことが安心感にもつながります。

緊張に飲み込まれずに、コントロールすることで平気になれます。そのために、事前にしっかりと準備をしておくことが大切なのです。

大勢の人前でスピーチする場面など多くの人が緊張するような特定の場面だけではなく、普通に人と話すだけ、人がいる場所にいるだけでも緊張してしまう場合や、不安や恐怖が高まりすぎて緊張する場面から逃げてしまう場合などは対人恐怖症の可能性もあります。

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