症状に苦しめられたと感じる度合いが強い人ほど、期間が長い人ほど改善に時間がかかる傾向があります。

それは症状に価値を感じているから。

症状に価値を感じている度合いが強い人ほどなかなか治りません。

意識では治そうとしても無意識では治したくないという反発が起こってしまうのです。

症状にあまり価値を感じていない人はカウンセリングで気付いたことを「もしかしたら治るかも」と思って実践します。

そして、自分なりにどうすればいいかを考えるようになって、どんどん改善へと向かっていきます。

無意識の反発が起こらないからどうすれば治せるかを考えることができるわけです。

しかし、症状に価値を感じている度合いが強い人ほど「こんなことやっても治るはずがない」と思ってやりません。

やらないというより無意識に邪魔されるからできないという感じでしょうか。

アドバイスを実践してもとりあえずやっただけ。自分の問題として捉えられずカウンセラーに治してもらおうとより効果の高いアドバイスを求め続けてしまいます。

「こんなことやっても治るはずがない」の根拠は「自分の症状は特別」だから。

特別な自分の症状が簡単に治っては困るのです。

症状が出ないように出ないように症状のことばかり考えて生きてきた自分の人生にとって症状は特別なもの。

自分の症状が特別だと思えばこれまで悩み続けてきたこと、自分ではどうにもできなかったことが納得できる。

逆に特別でなく簡単に治るものだとしたら納得できませんよね。

自分を納得させるために特別なものとして存在している部分はあると思っています。

症状が価値のない自分に価値を与えてくれている

親や他人、世間一般を基準に生きてきた人ほど無価値感を抱えているケースが多いです。

人より勉強ができたり、仕事ができたり、一定の収入を得られていたり、家庭を築けていたり、何かしらの条件を満たさないと自分に価値があると思えない。

幼少期の親子関係やアイデンティティを形成する上で重要な思春期に躓いたりすると、「自分とは」の答えが出ないまま自分の存在に価値を見出せない状態になる。

症状によって他人に迷惑を掛けていることは自分自身が存在している証でもあります。

存在していなければ他人に影響を与えることはできませんからね。

自分が存在しているからこそ、良い面でも悪い面でも他人に影響を与えることができるわけです。

本来なら良い影響を与えたいけど与えることができない。

影響を与えられないということは存在しないことになるから耐えられない。

何かしらの影響を与えて存在を証明しないといけない。

そこで症状が生み出されるわけです。

症状は悪い影響を与えてでも自分自身の存在価値を見出してくれているもの。

「目立ちたい、他人に勝ちたい、特別扱いをされたい」といった思いが強くなるのも、価値を見出そうとする気持ちの表れと言えます。

症状が可能性を残してくれる

症状がなくなってしまうと「症状があるから上手くいかなかったんだ」という正当化ができなくなる。

ということは、必然的に自分ができないことを受け入れざるを得なくなってしまう。

自分ができないということを受け入れると自分の価値が下がる。

「症状さえなければできる自分」が消えてしまうデメリットは大きいのかなと感じています。

本当の自信は「できない自分」も受け入れている状態なので、「できない自分を受け入れないまま症状さえなければできるはず」と思っている状態は自信がないということでしょう。

自分はすごい人間なんだと思い込もうとしている状態だと言えます。

本当の自分は優れているはずという幻想。

症状があるから能力が発揮できていないだけと思えればその幻想を保つことができます。

以前にもコラムで書いた可能性です。

「症状があるからできなかったんだ」と自分を納得させる役割も果たします。

症状は大切な想いの結晶

親への怒り憎しみ悲しみ、いじめてきた相手への怒り憎しみ、夢が閉ざされたことへの絶望感、異性への恋愛感情、症状によって行動が制限されるつらさ…

壮絶ないじめを受けて今も苦しんでいるのに「そんな過去のこと忘れちゃいなよ」と言われてパッと忘れられる人なんていませんよね。

今までの人生で感じてきた想いが結晶となったものが症状。

だから、症状をなくすことは自分の大切な想いもなくすことになるわけです。

症状がなくせない人はそれだけ想いが強いということ。

今までいろんな症状を抱えている人を見てきましたが、想いの強さと症状の強さは比例していると思います。

大切な想いである症状をなくそうとするのではなく、自分の中で抱えられるようにしていくこと。

想いは抱え受け入れていくことによって少しずつ消化されていきます。

想いを大切にすることは自分の気持ちを大切にすることになりますから、自分に価値を感じられるようにもなっていきます。

症状は自分を守ってくれているもの

乖離状態や多重人格、依存症だって、ストレスから自分を守ってくれている。

視線恐怖だって、周りにアンテナを張って攻撃されないように守ってくれている。

つまり、症状は排除すべき対象ではなく、感謝して大切にする対象だと言えます。

守らないといけない状態だと無意識レベルで思っているから、症状をなくそうとすると反発が起こるのです。

症状をなくそうとするとき、無意識の自分は言います。「何やってんねん!守るものがなくなったら恐ろしいことになるんやぞ!」

「別に守ってもらわなくて結構。症状なんていらないから早く消えてくれ!」と言ったところで聞いてはくれません。

必要なことは無理やり症状をなくそうとすることではなく、症状に守ってもらわなくても大丈夫な状態になること。

「涙くんさよなら」の原理。

守らなくても大丈夫なんだと心の底から思えたときに症状はその役割を終え消えていくのです。