毒親、親ガチャといった言葉が流行るくらい親との関係で悩んでいる人は多いです。

親に対する怒り、恨みつらみ…許せない気持ちで親を責め続けている。

自分がされてきた仕打ちを考えれば親は責められて当然だと思う反面、親を許せない自分はどうなんだと思ってしまう。

本記事では親を許せない気持ちに翻弄される人生から抜け出す方法をお伝えしております。

親を許せない気持ち

  • つらくて仕方がないときに精神論で説教された
  • 親の理想を押し付けてやりたくないことをやらされ続けた
  • 自分の好きなこと、やりたいことは常に否定された
  • いじめの被害者なのになぜか自分が悪いかのように言われた
  • 兄弟姉妹と比べて明らかに差がある接し方をされていた

嫌な気持ち、悲しみ、怒りを感じたとしても「仕方がない」と諦めるしかなく、納得いかない気持ちを抱えたまま成長していく。

「親に感謝すべき」という一般論に違和感がありながらも、育ててもらった恩はあるしと納得させる。

しかし、どうしても許せない気持ちから親を責めるようになっていきます。

親を許せない気持ちは幼少期から蓄積されてきたものであるため、許そうと思って簡単に許せないのは当然なのです。

なぜ親を許せないのか?

親に愛されたい、わかってほしい

「また自分の意見ばっかり押し付けて私の話を聞いてくれない…」かかわるたびに出てくる親への不満。

そして、過去を思い出し「あのとき何で助けてくれなかったの?」「なぜ私のことをちゃんと考えてくれなかったの?」と怒りがこみ上げてくる。

親に愛されたい、わかって欲しい気持ちがあるのに応えてもらえない。

求めても得られないから親を責めずにいられなくなるわけです。

どれだけぶつけても反応がない、言い訳をするといった親の態度によって、さらに許せない気持ちが強まっていくこともよくあります。

心の逃げ場を作っている

「親のせいで自分はこうなった」と思えば、自分ばかり責めることがなくなります。

上手くいかない現実が多くある中で「全部自分のせいだ」と思い続けるのは耐えがたいですからね。

親のせいにし続けることで自分が向き合わないといけない問題から目を背けることができる。やるべきことができていない自分を正当化できる。

親を責めることによって心の逃げ場を作っているところがあるわけです。

心の底で親は責めても受け止めてくれると期待している気持ちもあります。

親への強い依存心

親によって今の自分がコントロールされている感覚は依存です。

親子関係が足かせになったとしても、一定の年齢を越えれば自分の人生は自分でコントロールできますからね。

毎日のように親を責めながら一緒に暮らしている人もいます。

依存心が強いから物理的もしくは心理的に親から離れることができないのです。

「親を許せない」と親のことばかり考えるのは、親とのつながりを持ち続けるのと同じ。

「子供が親を責める、親が子供に責められる」という図式でかかわりを持つ歪な関係になっています。

愛情によって生まれた憎しみ

自分は親に愛情を抱いていたのに親は愛情を与えてくれなかった。

親に何の感情も抱いていなければ、愛されなくても傷つくことはありません。

しかし、自分が愛する人に愛してもらえないとしたらものすごく傷付きますよね。

傷付いた悲しみが怒りに、そして憎しみへと変わっていくわけです。

親を責めた後に罪悪感を抱えるのは、親への愛情がある証拠とも言えます。

親に愛されなかったという感覚が生み出す自責の無限ループ

「親を許せない自分」が許せない

親を許せないことで悩んでいる人は、幼少期から親に愛されずに育ったことで愛情飢餓感を抱えているため、親に愛されたい気持ちを抱き続けています。

愛されなかったことで感じてきた悲しみ、今も愛されていないと思う感覚が、親に対する怒りや憎しみの感情を生み出して親を許せない、親のようになりたくないという気持ちにさせる。

親を許せないと思えば思うほど、今度は親を許せない自分のことが許せなくなっていきます。

そして、育ててくれた親に素直に感謝できず怒りや憎悪を募らせる自分はなんてダメな人間なんだと自分を責めるループに陥ってしまうのです。

「親を許すべき」という考えが強い人ほど、親を許せない自分を責めています。

「親を責める→自分を責める」を繰り返すから抜け出せない

親を許せない、絶対に同じようになりたくないという気持ちを抱いているため、

「母親のこと絶対に許せないんです。あれだけ私に酷いことしといて謝りもしないとか本当にありえない。」

「あんな母親にはなりたくないと思って感情的に子供を怒らないようにしてるんです。あと、子供には旦那の愚痴とかも絶対に言わないし、自分のしたいようにさせてあげようと思ってるんです。子供に私と同じ思いはさせたくないですから。」

「でも、ふとしたときに私と同じだなって思うことがあって、そう思うと私の育て方が間違ってたのかなと思うんですけど、できることはやってきたしどうすればいいかわからなくなるんです。」

といった感じのことを話す方が多いのですが、たいてい最後は自分を責める話になっています。

自分を責めることで苦しくなって、これは親のせいだと思って親を責める。

どれだけ酷いことをされたといえ育ててくれた親に対して怒りや憎悪を感じるなんて、自分は酷い人間だと思って自分を責める。

これを繰り返す悪循環にハマって抜け出せなくなっているのです。

親を許せない呪縛から解放されるために

親と距離を取る

親への不満や怒りが異常に強い人は、心理的に親との距離感が近すぎる、ある種の一体感のようなものがあります。

だから、なるべく親との距離を取れるようにしていくことが大切なのです。

  • 一緒に住んでいても自分のことは自分でする
  • 一人暮らしをする
  • 毎日のようにかかってくる電話になるべく出ない
  • 親と顔を合わせる頻度を減らす
  • 親が長文のLINEを送ってきてもそっけない返事にする

何かできそうなことはないでしょうか?

心理的な距離が離れてくると、依存状態が解けて親を許せない気持ちが解消されやすくなります。

親子関係で抱えてきた自分の気持ちを言葉にする

幼少期に言いたくても言えなかった気持ち、言っても聞いてもらえなかった気持ち。

大人になってからぶつけても親に受け止めてもらえなかった気持ち。

親に対する気持ちが言葉にならないまま残っており、その気持ちが親を許せない状態にさせています。

だから、親の事情や考えが理解できたところで許すことができないのです。

親を責めたくなる気持ちの裏にある悲しみ、寂しさ、つらさ等に目を向けていきましょう。

カウンセリングを受けて親に対する自分の気持ちを言葉にしていくことで少しずつ親を許せない気持ちは和らいでいきます。

大切なのは親を許すことではない

「いい大人なんだから過去のことうだうだ言わずに親を許すべき」「親に怒りや憎悪を募らせているなんて未熟な人間だ」といったことを考えて、「親を許さないといけない」と思っても許すことはできません。

親を許す許さないばかり考えている時点で自分にとって大切なことが抜け落ちてしまっているからです。

あなたの人生において大切なのは、親から受けた酷い仕打ちへの謝罪でもなく、親を許すことでもなく、自分が主体となって自分を大切にして生きていくことです。

自分がどうしたいか、どうなりたいか、どう思ったか、どう感じたかという本音に気付いて表現し、自分本位で生きていく中で自分を大切にする感覚を養っていくことで親を許せない呪縛から解放されます。

そのために、自分では気付けないほど深く深く抑え込まれた感情や本音に気付くことが必要になりますので、原理を理解した上でサポートしてくれる専門家のカウンセリングを受けるようにしてください。

自分の人生が充実すればするほど親への執着がなくなり、結果として親を許す、感謝するといったことが出てくるのです。

⇒親子関係で苦しむアダルトチルドレンを克服するカウンセリング