怒りを爆発させ発狂する女性

人間関係でトラブルを起こして職場でどんどん不利な立場に追い込まれてしまう。最終的に辞めざるをえなくなり職を転々としている方からご相談いただくことが定期的にあります。

なぜかわからないまま無意識に相手を怒らせてしまうため、なんとか関係を改善しようとするのですが、理解してもらおうと話せば話すほど相手を不快にさせて怒らせてしまうから話さなくなる。話さないから勝手な判断で仕事を進めたりして注意を受ける。上司の話を素直に聞けず反論して怒らせてしまう。怒ってはいけないと頭ではわかっているのに我慢できず職場で爆発させるといった流れでどんどん関係を悪化させてしまうのです。

普段は穏やかだったり、物静かだったりするのに、自分をないがしろにされた、責められた、認めてもらえてないと感じると豹変してしまう状態にもなります。

女性からのご相談が多い内容ですが、たいてい大きなトラブルを起こして「性格を変えられなかったら辞めさせる」と言われるほどの状態になってからカウンセリングを受けに来られるケースが多いです。

無意識に人を怒らせてしまう状態を生み出す原因

家庭環境で培われた一方通行のコミュニケーション

共通している問題の一つに幼少期からの親子関係があります。

  • 親が自分の気持ちを理解してくれなかった
  • 母親が過干渉(過保護)だった
  • 相手の気持ちを考えず自分の気持ちをぶつけ合う家庭環境だった
  • 親に甘やかされてほとんど怒られることがなかった

アダルトチルドレンに該当する人も多いですね。

このような環境で育った人は、「自分の感情を相手にぶつけるか、ぶつけられるか」の一方通行のコミュニケーションしか学べず、相手の気持ちを考える習慣がないまま成長する可能性が高くなります。

本来、人と人とのコミュニケーションはお互いの気持ちを考えながら妥協点を探すことで上手くいくのですが、相手の気持ちがわからないから妥協点が探せない。

相手の気持ちを考えたつもりでも主観的にしか考えられていないため、どこか焦点がズレた感じになってしまう。

結果として、いろんな価値観や考えを持った集団の中でなかなか受け入れられず、「なぜか上手くいかない」状態に陥ってしまうのです。

感情の抑圧も加わって余計に相手の気持ちが理解できなくなる

一方通行のコミュニケーションというのは自己中心的に相手に気持ちをぶつけるか、一方的に気持ちをぶつけられるか。

どちらにしても人とのかかわりで自分の気持ちを抑え込むことになります。

ムカついたからといって、相手に暴言を吐いたり、喧嘩をふっかければ問題になるからぶつけるのを我慢する。

嫌だと言えば波風が立つからと本当は嫌なのに相手の言うとおりにして我慢する。

こういった形で感情を抑え込んでいると自分の感情がどんどん麻痺して鈍感になっていきます。

自分の感情に気付けない状態になると、相手の気持ちにも気付けなくなってしまうため、相手の気持ちが理解できず意図せず相手の感情を逆なでることを言ってしまったりするのです。

頭では「たぶん、こういう気持ちなんだろうな」と考えることができても、その感情に共感したり感じることができなくなってしまうんですよね。

生まれつき音や光、におい等に敏感で親や先生から「そんなこと気にしなくていい」とよく言われていた経験がある場合、発達障害による感覚の敏感さを抑圧していた可能性も考えられます。

主観的に歪んだ解釈をしてしまうことでより関係を悪化させる

また、主観が強いためにマイナスに考え出すと、相手がまったく意図していないようなことまで勝手に想像して悲観的に捉える傾向も見られます。

たまたま自分への連絡がもれていたという出来事があったとして、実際には誰かが忘れただけの話であっても「わざと私にだけ連絡しなかったのでは?」と考えたりするわけです。

相手にしてみれば「そんなことするわけないじゃん」という話になるのですが、その答えすらも疑ってかかるためさらに関係をこじらせてしまいます。

たしかに、すでに関係が悪化しているケースでは、相手が無意識に「かかわると面倒くさい」と思って避けている部分もあるのはあります。

しかし、ほとんどが被害妄想的な考えによるものであって、相手に悪意はないのです。

この歪んだ解釈の裏側には幼児的万能感があり、他人との境界線が曖昧であることも影響しています。

人を怒らせてしまう状態はどうすれば改善できるのか?

自分の感情を否定して抑え込むのではなく、抑え込む必要がない状態まで自分を成長させることが解決の鍵となります。

まずは、抑え込んできた自分の感情に気付けるようにしていくことから。

普段から自分がどんな感情を抱いているのか、無意識に目を背けている自分の感情に目を向けて過ごすことが必要です。

その内容をカウンセリングで話していくことで、普段から自分の本当の感情に気付きやすい状態になっていきます。

当然、怒りや悲しみといったマイナスの感情にも気付きやすくなるのですが、それによって無意識に相手の気持ちを感じることもできるようになるため、些細なことでイライラすることがなくなって気持ちが安定しやすくなるのです。

そして、人とのかかわりの中で様々な考え方や価値観を受け止めながら、少しずつ人間的に成長していくことで意図せず相手を怒らせたり、不快な思いをさせることがなくなる。そして、本当の意味で思いやりを持った相手のための行動をとるようになっていきます。

自己中やわがままは世間一般でよくないことと思われていますが、そういう本当の自分を理性で無理やり抑え込むのはもっとよくないことです。

意図せずお互いの関係を悪化させてしまうことほど不幸なことはありませんので、非常事態になる前にカウンセリングを受けるようにしていただきたいと思っております。