対人恐怖症で悩んでいる人が克服するために接客の仕事をしてみようと思うことはよくあります。

「接客業のバイトをしてみたほうがいいでしょうか?」とご質問いただくことも多いですね。

私自身も話さざるをえない環境に身を置くことで克服しようと、飲食店のバイト、営業の仕事をやっていた時期があります。

最初にやってみた飲食店のホールスタッフでは悪化。

次にチャレンジした飲食店の調理では自分から話すことはなかったものの改善。

営業の仕事では自分から話しかけられるようになったり経験を重ねるごとに改善していきました。

接客の仕事をやってみたらどんどん人とかかわることに怖さを感じなくなってきて克服に向かったケースもあれば、逆に全然上手くいかなくてやっぱり自分はダメなんだと自信を失って悪化したケースもある。

頑張って接客業をやれば必ず対人恐怖症が克服できるという単純な話ではありません。

克服できる可能性はあるけど悪化してしまう危険性もあるということ。

接客業をやってみて改善するか悪化するかは運次第なのでしょうか?

たしかに自分ではどうしようもない職場環境等の影響は大きいですが、他にも影響を及ぼしていることがあったのです。

接客業をやってみて扁桃体の過剰反応が強まるか弱まるか

対人恐怖症は脳内にある扁桃体の過剰反応により引き起こされています。

扁桃体は危険を察知するところなので、目の前にライオンが出てきたりしたら「危ないから逃げろ!」と反応して警報を鳴らします。

本当に身の危険が迫っているときは問題ないのですが、対人恐怖症になっていると危険ではないはずのことにも警報を鳴らしてしまう。

別に危害を与えてくるわけでもないのに、人が近くにいるだけで扁桃体が過剰反応したり。

頭では大丈夫とわかっていても危険を察知しているので不安や恐怖を感じます。

対人恐怖症は扁桃体の過剰反応が弱まれば克服へと向かい、強まれば悪化してしまうのです。

接客の仕事をしてみて「意外と大丈夫だったな」「話してみれば何とかなるもんだな」と思えれば扁桃体の反応は弱まる。

繰り返していくうちに不安や恐怖を感じることが減って改善していく。

逆に「やっぱり上手くいかなかった」「思っていた以上に自分は人と話せないんだ」と思えば扁桃体の反応が強まってしまう。

今まで以上に反応しやすくなるから不安や恐怖を感じやすくなって対人恐怖症が悪化するのです。

接客業で対人恐怖症を克服できるかどうかは自分の状態から推測できる

扁桃体の過剰反応を弱めていく心理療法に暴露療法(エクスポージャー法)があります。

対人恐怖症の治療法として有名なので知っている人は多いかもしれませんね。

ざっくり言うと、不安や恐怖を感じる場面に少しずつ自分をさらしていくことによって慣らす方法です。

実際にやってみて「大丈夫だった」をどれだけ重ねられるかがポイントなので、取り組むことは今の自分が少し頑張ればできるくらいで設定します。

話しかけてもらって頷くのがやっとの人が自分から話しかけるとなれば、ハードルが高すぎてほぼ間違いなく失敗しますよね。

つまり、接客業が少しハードルを上げればできるくらいなら克服に向かう可能性は高く、ハードルがめちゃくちゃ高いなら悪化しやすいということ。

赤の他人となら頑張れば話せるくらいの人が接客の仕事をやると改善する可能性は高い。

誰と話すにしても緊張しすぎて声が出せないレベルの人が接客の仕事をすれば悪化する危険性が高いでしょう。

一か八かでチャレンジしてみることを否定はしませんが、せっかく勇気を出して接客の仕事をやったのに悪化するのはもったいないなと思います。

今の自分にとって接客の仕事はハードルが高すぎないかどうか、自分自身と向き合ってしっかり考えてみてください。

わかりやすい例を挙げましたが、自分の状態がどれくらいなのか自分ではわからない人もいると思います。

対人恐怖症の状態で自分を客観視するのは難しいですからね。

カウンセリングで状態をお聴きした上であれば、接客業をやってみたほうがいいかどうかお伝えすることも可能です。

接客の仕事をするにあたって、過去の記憶を再評価して自信を取り戻したり、対処法の準備やイメージ法等で不安や恐怖を感じづらい状態にしたりすることもカウンセリングでおこなっています。

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