人と話すときに緊張しながらでも言葉を発せられる人もいれば、緊張が強すぎて言葉が出せなくなってしまう人もいます。

言葉が出ないとさすがに困るから何とか絞り出そうとする。

話しかけてもらっても返事をするのがやっと、自分から話しかけるなんて到底できません。

緊張が強いとうなずくだけになってしまうこともあったり…

言葉が出なくなるほど緊張するのは不安や恐怖に飲まれているからです。

それでも無理やり話そうと頑張れば緊張が増して今以上に話せなくなっていく。

今の状態が続くだけでも大変なのに悪化したらどうしようもなくなりますよね。

だから、早い段階で改善に向けて動き出す必要があるのです。

今回のコラムでは話すときに緊張して言葉が出なくなるメカニズムと改善するために何をすればいいかをお伝えしていきます。

人と話すとき緊張して言葉が出なくなるメカニズム

湧き上がる言葉を抑え込んで話すから緊張する

たわいもない話を何気なくしている人たちは必死に考えながら話しているわけではありません。

「今日はすごい雨ですね」と話しかけるのも、天気の話題だったら無難だからとか、共通する話題だからとかを考えているわけではなく、ただ土砂降りの雨に驚きや困惑、何かしら感じたから言葉が出てきただけ。

何かを感じたときに自然と言葉は湧き上がってくるのです。

人と話すときに緊張して言葉が出なくなってしまう人は、この自然と湧き上がってくる言葉を抑え込んでいます。

「こんなこと言ったら変に思われるんじゃないか」

「相手に不快な思いをさせたらどうしよう」

「上手く説明できないかもしれない」

「興味を持ってもらえる内容じゃないといけない」

いろいろ考えてブレーキをかけるから言葉が出てこない。

抑え込んでいる状態で無理やり言葉を出そうとするなんて、ブレーキをかけながらアクセルを踏み込むようなもの。

そもそもすごく難しいことをやろうとしているんですよね。

抑え続けることでより緊張しやすい状態に

ブレーキをかけ続けていると言葉が湧き上がらない状態になっていきます。

毎回抑え込まれるのであれば最初から湧かない方が抑え込む必要もなくて楽ですからね。

言葉が湧き上がらなくなるというのは気持ちの動きが小さくなる、感じなくなっていくということ。

「どう思う?」と意見を求められても答えられない。

どっちでもいいと思うことが増えてきた。

やりたいことがとくに思い浮かばない。

自分の気持ちがどんどんわからなくなって、自分が本当に何を思っているのかすら見失っていく。

言葉が湧き上がってこないから頭が真っ白になって話せなくなる、話すことを考えざるをえない状態になって緊張が強まってしまうのです。

湧き上がる言葉を抑え込むキッカケは親子関係

幼稚園や保育園、小学校に入るまでの間、話し相手になるのはたいてい母親です。

子供は自分が思ったこと、感じたことを自由に話す。些細なことを疑問に思って「なんで?」「あれって何?」と質問をする。

それに対して親が話を聞かず一方的に自分の考えを押し付けてきたとすればどうでしょう?

子供はせっかく話したのに聞いてもらえない悲しみと共に「自分の話は聞いてもらえないんだ」ということを学習します。

毎日繰り返されていく中で話してもムダだと思うようになる。

話すのが得意でない子供の代わりに親が話すケースも同じです。

「親が話してくれるから自分は話さなくていい」ということを学習して自分から話そうとしなくなりますからね。

自分の話をせず親の話を聞いているだけになっていく。

小さい頃はあったはずの湧き上がってくる言葉を失い、誰と話すときでも自分の話をしようと思えなくなるわけです。

「普通に話せるようになりたい」は逆効果

人と話すときに緊張してしまう状態になっていると他の人と同じように話せません。

だから、「普通に話せるようになりたい」と思う人は多いのですが、脳の働きから言えば間違いなく逆効果になります。

「普通に話せるようになりたい」と意識した時点で、脳内では普段の「普通に話せていない自分」がイメージされるからです。

意識すればするほど「普通に話せない自分」のイメージが強化されてどんどん話せなくなっていく。

これは「幸せになりたい」と言いながら不幸であり続ける人と同じ原理です。

人間の脳が高度に発達したことによって、体温を一定に保つ等の役割を果たすホメオスタシス(恒常性)が思考にまで働くようになりました。

「普通に話せるようになりたい」という意識は現状に反することになるから「普通に話せていない自分」を維持するために強化されるということ。

熱くなれば汗をかいて体温を下げる、寒くなれば鳥肌が立って体温を下げないようにするのと何ら変わりありません。

生命維持のために働くホメオスタシスの力は非常に強いのです。

普通に話せない自分が前提になっているのは問題

「普通に話せるようになりたい」と思うということは、普通に話せていない現状があるということ。

普通に話せない自分を前提として生まれた考えです。

つまり、「普通に話せるようになりたい」と思うたび「自分は普通に話せないんだ」と認識することになる。

認識すればするほど「自分は普通に話せない」という思い込みが強化、どんどん普通に話せなくなっていきます。

普通に話せるようになりたかったはずが、逆に話せなくなっていくのは大変ですよね。

そもそも「普通に話せない自分」というセルフイメージに問題があります。

たしかに今は不安や恐怖による緊張で普通に話せないかもしれません。

しかし、それはあくまでも「普通に話せる自分」が緊張によって普通に話せない状態になっているだけの話です。

「普通に話せる自分」という前提は崩さず状態として捉えるようにしてみてください。

自分がどうなりたいか、どうしたいかは 「普通に話せるようになりたい」 といった本来自分ができるはずのこと以外で考えましょう。

人と話すときに緊張してしまう状態を改善するために

気にせず話せているように見える人たちも不安を抱えている

「相手は興味ないかも」「上手く説明できないかも」といった不安は大なり小なり誰もが抱えています。

それでも普通に話せるのは不安に飲まれず抱えることができているから。

親しい人に会えて嬉しい、最近気になっていることを聞いて欲しい、興味があるから知りたい、すごくよかったから教えてあげたい、自分のしんどさをわかって欲しい…

何かしら不安を上回る気持ちの動きがあるから抱えることができるのです。

つまり、人と話すときに緊張して言葉が出なくなるのは、不安や恐怖があることではなく不安や恐怖を抱えられないことが原因だと言えます。

不安や恐怖、症状がなくなれば話せるようになるということではありません。

必要なのは不安や恐怖を抱えながら人とかかわれる状態になることなのです。

不安や恐怖を抱えながら人とかかわれる状態になるために

不安や恐怖以外の感情に目を向けて表現していくことが大切です。

自分が感じたことや思ったことを話す、書く、描く、行動する…何かしらの形で表現していくと強まっていきます。

かわいいと思ったら「かわいい」と言ってみたり、美味しそうと思ったら買って食べてみたり、絵を描きたいと思ったら描いてみたり、些細なことからでかまいません。

自分が感じていることに焦点を当てて実感してみてください。

何かを感じたときにやりたいと思うことをなるべくやっていくといいですね。

ただ、自分の気持ちがまったくわからない状態では表現しようがないので、カウンセリングを受けながら少しずつ自分の気持ちがわかる状態にしていくことが必要となります。

自分の気持ちに添って動くとエネルギーが生み出され、そのエネルギーが強まるほど不安や恐怖を抱えやすくなるのです。

不安や恐怖に飲まれた緊張状態で無理やり考えて話すのではなく、言葉が湧き上がってくる状態をいかに作るかに焦点を当ててみてください。

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