「もし、対人恐怖症がなかったらどういう生活をしていますか?」具体的に教えてください。

と言われても答えられないですよね。

いきなりでびっくりされたかもしれませんが、この質問にパッと答えられる人はもう悩んでいないでしょう。

人間の脳は具体的にイメージできる臨場感が高いことを現実化します。

悩みがなくなった状態が漠然としていて、悩んでいる状態が具体的で臨場感が高いとなれば悩んでいる状態が現実化されてしまう。

悩みがある状態が続いてしまうわけです。

具体的で臨場感の高いことが現実になるという話はイチロー選手の卒業文集が有名ですよね。

「プロ野球選手になる」という漠然としたものではなく、プロ野球選手になるまでの過程、今何をすべきかまで具体的に描かれています。

対人恐怖症で悩んでいない生活ってどんな感じ?

今の自分をベースにすると難しいので、対人恐怖症で悩んでいない人の生活を想像してみましょう。

当然ながら症状が気になって相手にどう思われたかばかり考え続けることはありません。

多少なり人とのかかわりで気にすることはあっても、とらわれて一日中考えたりすることはないですよね。

だから、たいていは自分の好きなことや興味関心があること、自分にとって大切なことを中心に考えて日々を過ごしています。

美味しいものを食べに行くのが好きな人であれば「今度の週末はどこに食べにいこうかな」「どのお店がいいかな」なんて考えていたり。

スマホのゲームにハマっている人であれば「次のイベントはいつ始まるのかな」「あのキャラ欲しいな」とか考えたりするわけです。

試験に向けて勉強のことで頭がいっぱいの人もいるでしょうし、転職を考えている人もいると思います。

パソコンをどうすれば安く買えるか考えて必死に調べているかもしれません。

友達関係や恋愛のこと、子育てで悩んでいる人もいるでしょう。

今、悩んで対人恐怖症のことばかり考えている人も、本来ならこういうことをメインに考えるはずなのです。

対人恐怖症ではない生活を具体化して臨場感を持たせる方法

しかし、現状は症状のことばかり考えていて、どうすれば対人恐怖症が克服できるかをネットで調べまくったり、関連する本を読んだり、さっき会った人に嫌われたんじゃないかと考えたり、来週の飲み会をどうやって断ろうと考えたり…

この状態のままで対人恐怖症が克服できた場合の生活を考えてもなかなか臨場感が生まれません。

他人事のようになってしまうだけです。

どうすれば臨場感が生まれるのか?

ほんの少しだけでもいいから対人恐怖症で悩んでいない場合の生活を今の生活に取り入れていくのです。

実際に行動を起こすのが難しいのであれば本来考えたいはずのことに意識を向けることからでもかまいません。

比率が高まれば高まるほど臨場感が高まっていきます。

対人恐怖症を克服できた生活に近づくから当然ですよね。

自分が本来考えたいはずの「自分の好きなことや興味関心があること、自分にとって大切なこと」を見失っている場合は、カウンセリングで少しずつ見つけていくところから。

対人恐怖の症状は症状として置いといて、好きなことをやろうとしたり、話したりするようになっていくのである。好きなことを熱心に聴くことは大切である。自分はこれでいいんだ、という意味での自信を育てるように思う。好きなことは、自然なこころの発露であり、人間の本質とつながっているからである。

引用元:大学生の対人恐怖症者の臨床的特徴と治癒過程 : 治癒の過程における内閉の意味について、2000、神奈川県立外語短期大学紀要総合編

好きなことや興味関心があることを見つけるだけでなく、カウンセリングで話すこと自体にも意味があります。

対人恐怖症で悩んでいない生活のイメージから本当は自分がどうしたいかを見つけ出し、その延長線上にある自分が望む未来に目を向けられるようにしていきましょう。