「対人恐怖症は本当に克服できるのでしょうか?」というご質問をよくいただきますが、本当に克服できます。
ただし、正しい方法で行動して、それを継続することが条件となります。
これが簡単なようで難しいのです。
正しい方法で行動することはコラムを読んだり、カウンセリングを受けたりすることでクリアできたとして、継続できないから克服できないという人は多いです。
今回はこの継続することができない理由についてお伝えしますね。
以前にも書いたことがあるのですが、「克服したい」と思ってカウンセリングを受けたり、自分でワークに取り組んでみたりしても、何かしら理由をつけたりして途中でやめてしまうことが多いのです。
なぜでしょうか?
別に努力が足りないわけでも、気持ちが足りないわけでもありません。
ただ、無意識の自分が、「克服したくない」と思っていることが原因なのです。
人間は現状維持を好む生き物。
たとえそれが思わしくないものであったとしても…
ですから、大きな変化が起こりそうだと感じたら、現状維持のために無意識の自分が邪魔をしてくるのです。
例えば、何かすごく不安な気持ちになったり、余計に悪化したように感じる場合もあります。とにかく、何かしらの違和感を感じることが多いです。
でも、実はその「違和感」が大切です。
それが克服へ向かっている証拠なんです。
克服していく過程ではこの違和感を感じていることが多いのですが、克服後の自分が当たり前になれば違和感を感じなくなって、今以上に心地よく感じるようになります。
克服後の世界に移るまでの旅に違和感はつきもの。
これを忘れずに、違和感を感じても克服するための行動だけはとにかく継続していただければと思います。
克服して欲しくない人もいる
人間は現状維持を好む生き物だから変化を嫌い、違和感を感じさせて克服の邪魔をしてくる。
実は、それは自分に対してだけではなく、他人に対しても同じなのです。
ですから、対人恐怖症もしくは対人恐怖症的な考え方を持っていて人とうまくコミュニケーションがとれない自分を知っている人が周りに多くいればいるほど、邪魔をされて克服しづらくなってしまいます。
例えば、久しぶりに会った親戚や友達が、「相変わらずおとなしいよね、昔とちっとも変わってないわ。」などと言ってきたりするのもその一つです。
そういう言葉を発する人達はあなたに変わって欲しくないと思っているのです。
ですから、変わっていないところを探してその部分だけを言います。
他の部分を見れば変わっているところもあるはずなのですが、それは見ない(見えない)のです。
こういうことを周りから言われるだけでも、「やっぱり自分は変わっていないのか」と思ったりして、せっかく克服へ向かっていたのに元の状態に引き戻されてしまう場合もあります。
じゃあ、克服しようと決めたらそういう人達と付き合わないようにした方が良いのか?
確かにそれができれば邪魔はされないですが、相手が家族や親戚、友達など身近な人であれば付き合わずに過ごすことは不可能でしょう。
ですので、結局はそういう周りの人達とも付き合いながら克服していかなければなりませんので、周りに影響されない強い意志が必要となるのです。
強い意志があれば邪魔をされてもそれを振り切って克服へと向かっていくことができますので。
そのために何をすれば良いか?
『克服した場合のメリット>克服した場合のデメリット』
これをしっかりと自分の中で明確にしておくことです。
克服できたらどんなメリットが待っているのか、逆にどんなデメリットが待っているのかをノートに書き出してみてください。
書き出した時に、デメリットの方が多いなら克服するのは非常に難しいです。
わざわざデメリットが多いことを苦労してまで得ようとしないですからね。
ただ、本当に幸せに生きていくことを考えれば、克服した場合のメリットの方が大きくなるはずです。
克服した後なんてイメージできないかもしれませんが一度考えてみてください。