先日、電話カウンセリングを受けていただいている方が「私は本当に良くなるのかなとずっと思っていたのですが、最近になって同僚から話しかけてもらえる機会が増えたりして自分でも雰囲気が変わって良くなってきた実感があります。」という内容のお話をされていました。
ほとんどの方が口に出さなかったとしても「本当に克服できるのか?」と思いながらカウンセリングを受けられておられます。
確かに今までいろんな方法を試して頑張ってきて無理だったことが、カウンセリングを受ければ解決するなんて信じられないのも当然ですからね。
さて、今回は「コミュニケーション方法の改善」に関する克服法をお伝えしたいと思います。
私を対人恐怖症克服に導いてくれた名言
「話しやすい人とだけでいいから、付き合いしていくようにした方がいいよ。」
これは、外資系保険会社を解雇される寸前に言われた先輩からの言葉です。
外資系保険会社に在籍していた当時、私はほとんど誰とも話をせずに自己流の営業手法で頑張っていました。
給料の半分が固定で半分が歩合という半分自営業のような仕組みの中で働いていたにもかかわらず、一般のサラリーマンのように定時に出社して定時に帰社するというやる気のなさ。
チーム制になっていたため、チーム内のほとんどの人が交流を持とうとしてくれたのに私だけ離れた席に一人。飲み会があっても参加せず、挨拶すらまともにできない状態で過ごしていたために100人近くがいるオフィスの中で完全に孤立していました。
主に電話で営業をかけてアポイントを取り付けて訪問するスタイルだったのですが、電話で断られたり怒られたりしているのを周りの人に聞かれるのが怖くて、離れたブースで人に聞かれないように電話をすることが多かったです。
当然、そんな状態でしたから、電話でもまともに話せることが少ないのでアポイントは取れず、行ってもなかなか契約にはつながらないという状態で苦しみました。
会社でも同僚と話をできないどころか挨拶すらまともにできないような人間が、営業で他人と話して契約を取れるなんてありえない話ですよね(笑)
でも当時の私にはそれがわからずに、とうとう成績不振で解雇されるという最悪の事態にまで進んでしまったのです…
解雇される少し前の出来事でした。
上司から解雇を防ぐために「休日出勤をして営業を頑張ってみないか」と言われ、一度だけ土曜日に出勤したことがあったのです。
そのとき、同じチームで優秀な成績を上げている人がたまたま出勤されていて私に声をかけてくれました。
そして、私に諭すように、
「西ちゃんはいつも飲み会にも参加しないし、挨拶もしないよね。俺も挨拶してもらった記憶が無いくらいだし。難しいかもしれないけど話しやすい人とだけでいいから、付き合いしていくようにした方がいいよ。」
とアドバイスをしてくださったのです。
その話を聞いたとき、ほぼ解雇が確定していましたので、私のプライドは崩壊して精神的にもズタズタの状態でしたが心にしみるようにスッと入ってきて泣きそうになりました。
それまでは上司の話でもかたくなに聞き入れなかったのですが、「その通りだな」と初めて感じて受け入れることができたのです。
その後、解雇はされたのですが、当時の上司が転職先をあっせんしてくださって、何とか失業を免れることができました。当時の上司には今でも頭が上がらないほど感謝しています。
転職してから先輩からいただいたアドバイスの通り、転職先の同僚や上司と一緒に飲みに行ったり、今まで連絡を取っていなかった以前の職場の同僚で話しやすかった人と連絡をとって飲みに行ったりしました。
断られるのではという不安はすごく強くて勇気を振り絞ったのですが、会ってみたら「びっくりしたけど嬉しかった」と言ってもらえて本当に嬉しかったです。
そういう行動を繰り返していく中で、人との接し方、コミュニケーションの取り方を思い出すことができ、また新たにコミュニケーション能力を向上させることもできて人とのかかわりを持つことへの恐怖が次第に薄れていきました。
そして、心理学と出会ってついに対人恐怖症を克服するに至ったのです。
あの時、休日出勤をして、なおかつ先輩が出勤をしてくれたという偶然が重なっていただけたアドバイスでしたが、あの言葉がなければ今も対人恐怖症を克服できずにいたかもしれません。
本当に感謝しています。
「対人恐怖症は人とのかかわりの中でしか克服できません。」
よく、他のカウンセラーの方もおっしゃっていることですが、本当にそうだと思います。
勇気を振り絞らないといけませんし、人とかかわることを続けることも最初はすごく苦痛に感じますが、それを乗り越えて対人恐怖症を克服すれば今までと違う人生を歩むことができるようになります。
自分を信じることができるようになって(自信が付いて)、周りからも評価されることでさらに揺るぎない自信にも変わってどんどん好転していきます。
私はこの経験から「素直になること」の大切さを学び、「素直に」本当の自分も他人も受け入れることができるようになりました。
人との出会いに勝る良薬はない。
カウンセリングはこういう出会いを逃さないためのキッカケに過ぎないのではないかとも感じています。
実際に克服されていく方も、カウンセリングによってその人の雰囲気が変わって周りから話しかけられやすくなったり、話すときに「何を話せば良いか?」「どう思われるか?」といった考えが浮かびづらくなって話すことで自然に話ができてそれが自信になったり、友達ができたり、恋人ができたり…
どんどん人とのかかわりの中で好循環を生み出して、その中で克服していきます。(ですので、この状態になった時点でカウンセリングを自然にやめていく方が多いです。)
そして、気付いたら対人恐怖症のことなんてどうでも良くなって、悩んでいたときの感覚が思い出せなくなります。
人との出会い、そしてかかわりは本当に大切ですね。