【目次】

対人恐怖症とは

周りから見た自分を過剰に意識してしまうがゆえに、人との接触を恐れて避けようとすることで生活や人間関係に支障をきたす神経症。

対人不安、対人緊張、社会不安、人間恐怖と表現されることもあります。

人とかかわりたい気持ちを強く持っているからこそ、人に嫌われること、拒絶されることが怖くて仕方ない。

嫌われないようにと相手にあわせて表面上の関係を保っているから、本当の自分がバレたらどうしようという不安が消えないのです。

何をしても受け入れてもらえるという安心感がある関係の人(家族や親友等)といるときには症状が出ない、出ても軽度となる場合が多い。逆に、職場など中途半端に継続する関係や飲み会など複数人の集まりの中で強く症状が出てしまう。初対面よりも2、3回接点がある中途半端な関係の人が苦手といった特徴があります。

また、就職や一人暮らし、結婚、出産等による環境の変化によって症状が悪化することが多く、男女問わず20~30代に多くみられるのも特徴です。

「対人恐怖症の人=人とまったく話すことができない人」というイメージを持たれがちですが、ほとんどの人が人と話すことはできる状態です。表面的にはうまく会話できる人もいます。

ただ、人と自然に緊張せず話したり、本当の自分を見せたりすることができず、人間関係をうまく構築できない状態なのです。

概念が幅広く、人見知り、過度の気遣い、対人緊張~統合失調症やうつ病、依存症と関連するものや、発達障害パーソナリティ障害と関連するものまであります。「対人恐怖症は病気ではない」と言われることもあり、診断基準としてDSM-5はあるものの明確な定義はありません。

日本固有の「恥の文化」から生まれた日本人特有の病気で、10人に1、2人がかかるもの。うつ状態、うつ病、パニック障害などで悩む方の約80%の根本的な原因として潜んでいるとも言われます。

いずれ治るだろうと症状のつらさを我慢したり、ごまかして過ごしたりする方もおられますが、対人恐怖症は放置していても治りません。

なぜなら、自然に治る機会となり得る人とのかかわりを回避してしまうからです。

対人恐怖症の状態では事実に対して偏った捉え方をしていることが自覚できないまま、不安や恐怖から逃れるための間違った選択をしてしまうため、一人で悩んで本やインターネットで調べてもほとんど効果が出ません。

対人恐怖症は大きく以下の2種類に分けられます。

緊張型対人恐怖症

自分の性格に問題があると感じ、劣等感等に苦しむ自己完結的な対人恐怖症。症状が社交不安障害とほぼ同じと言われている。

克服するために、性格を変えようと努力して、話し方教室、読書、自律訓練法、自己催眠、食事療法、宗教等に取り組む人が多いが克服できず、努力することに疲れ果ててひきこもりになってしまう場合もある。

緊張型として代表的なものは以下の通りです。

確信型対人恐怖症

自分の身体の部位に問題があると感じ、周りの人に迷惑を掛けていて、嫌がられるのではないかと、罪悪感を感じる対人恐怖症。相手の仕草や言葉を自分の気にしている部分と結びつけて、どんどん症状を悪化させていく。重度対人恐怖症とも言われ、克服までには時間がかかる。

克服するために、身体の問題を解決しようと努力して、問題があると感じる部位に該当する病院へ通院するが、客観的な証拠が認められず、異常なしと診断されて医者への不信感を募らせて病院を渡り歩く場合もある。

また、過剰に意識し過ぎて、夜でもサングラスをかけたり、匂いの強い香水をふったりして、余計に注目を浴びてしまうこともある。

確信型として代表的なものは以下の通りです。

対人恐怖症の症状

不安や恐怖に飲まれてしまうことによる過度の緊張が症状を生み出しています。

さらに、症状が出ているのを知られることに恐怖を感じるため、隠そうとしてより緊張を増していく悪循環に陥るのです。

具体的には以下のような症状があります。

⇒実際に対人恐怖症で悩んでいる方々の症状事例はこちら

対面で人と話すとき、人前で話すとき、複数人のグループで話すときといった直接人と接する場面だけでなく、道路、電車の中、人ごみ等、人がいるだけのところでも症状が出て苦痛を感じるケースが多いです。

自分のことにばかり意識が向いて(自意識過剰)他人のことが考えられない、相手に迷惑を掛けてはいけないのに掛けてしまう罪悪感等によって自分を責める、否定する。

「この症状さえなければ」と思って症状が出ないようにしようと頑張る方は多いですが、頑張れば頑張るほど余計に症状を意識することになりますのでやめましょう。

症状はあくまでも表面化しているものでしかありませんので、症状を生み出している原因を知ることが大切です。

対人恐怖症になる原因

対人恐怖症になる原因には先天的要素と環境要因があります。

先天的要素

不安を感じやすい、怖がり、恥ずかしがり、感受性が高い、影響を受けやすい、真に受けやすい、思い込みやすい、他人に興味が持てず一人遊びが好き等といった生まれつきの性質。

個人の特性を9つに分類するエニアグラムでタイプ4に当てはまる人は、感情に左右されやすくネガティブ思考であるため対人恐怖症になりやすい。(私もタイプ4です)

そもそも日本人の大半は「心を落ち着かせる働きをするセロトニン」を取り込むセロトニントランスポーターの数が少ないことから、脳の構造上どうしても不安を感じやすい傾向はあります。

HSP(ひといちばい敏感な人)や発達障害に該当するケースもあり、発達障害の二次障害として対人恐怖症を発症することも。

慎重で警戒心が強いことから「石橋を叩いても渡らないタイプ」と言われる人も結構います。

みんなが面白いと思うものを面白いと思えなかったり、興味関心の対象がマニアックだったり、周りと感性が大きく違っていることも影響しやすいですね。

その他、アトピー性皮膚炎、わきが、吃音、漏斗胸といった身体的特徴。

周りと異なる面が多ければ多いほどいじめやからかいの対象となりやすく「自分は変なんだ、おかしいんだ」と思うことで始まる自己否定が対人恐怖症につながっていきます。

環境要因

親子関係

自分が好きなことを否定される、感情的になりやすいことを否定される等、性質や特徴、感性に対する親からの否定。

親の考えを一方的に押し付けられることの繰り返しによる「言っても聞いてもらえない」「言ってもムダだ」という諦め。

何かができたときだけ親に認めてもらえるという条件付の愛情により「いい子」を演じる。

結果がすべてという考えによって過程の頑張りを評価されない。

ヒステリックな親の顔色をうかがうことが他人基準の始まりになることもあります。

兄弟姉妹、他人と比較してダメ出し。自分と他の兄弟姉妹に対する親の態度が違う。

ドラマやバラエティ、音楽番組を見せてもらえない等によって、学校で周りの話題についていけなくて困る。

過干渉、過保護により自我(アイデンティティ)が確立されないことも大きいです。

本来であれば「感じる→考える→行動する」のサイクルによって感性が磨かれていくのですが、親に言われた通りに行動することで考えることも感じることもなくなっていく。

例えば、お礼を言うにしても「ありがとう言いなさい」と言われて言うのと、感謝の気持ちが生まれて「ありがとう」と言うことの違いは大きいのです。

学校

集団生活により協調性が身につく反面、他人との違いを意識するようになる。

勉強ができるかどうか、運動ができるかどうか、容姿がいいかどうか、面白いかどうか、友達が多いかどうか等、表面的な要素で優劣を判断。

周りと異なる特徴があるといじめやからかいの対象になりやすい傾向があります。

スクールカースト、女子の場合はグループも意識することになり、孤立しないために集団の中で自分の居場所を確保しようと必死になる。

中学で知らない子ばかりのクラスになったり、転校したときに上手く馴染めなかった場合、周りに合わせる自分を演じて本当の自分を抑え込んでしまうこともあります。

先生からありのままの自分を否定された経験。

デリカシーのない友達からの指摘や悪意のある言いがかりによって、本当はおかしくないのにおかしいと思い込んでしまうことも。

仲良くしていた友達が急に無視してきたり、仲間外れにされたりすることで、人を信じられなくなることもあります。

発症に至るまで

自己否定の習慣により自己肯定感がどんどん失われていく。

自分の基準で生きれなくなり、他人や世間一般の基準にすがるようになる。

相手が悪くても責められず自分を責めてばかり。

プライドが高くなり頑固になるから素直に人の話が聞けなくなる。

相手を責められないから怒りが湧かず、嫌だという感覚も麻痺。

存在意義を見失って「自分がいない方が上手くいく、自分じゃない人と話す方が相手のためになる」等と考え出す。

誰でも嫌がるようなこと、怒るようなことにも反応しなくなることで優しい人に見られる。

周りのイメージによってより自分のネガティブな側面が抑圧されて苦しくなっていく。

自分から壁を作って接しづらくしておきながら、相手が自分を嫌っていると被害妄想。人間不信を募らせる。

そして、限界を超えたときに症状が表面化するのです。

先天的要素と環境要因を抱えていても、限界を超えない限り発症には至りません。

発症の時期が中学という人もいれば、社会人になってからという人もいますし、事例からも限界を超えたときに発症していることがわかります。

対人恐怖症で悩んでいる人の特徴

自己評価

自分は周りより劣っていると思うから無理をして周りに合わせようとする。頭が真っ白になる、顔のこわばり、赤面や震え、発汗は無理をし過ぎたオーバーヒートによるもの。

余裕がないから相手のことを考えられず、自分のことしか考えられない自分を責める。

自分が自分を否定しているから、他人も自分を否定するとしか思えない。自分を出せないから人との関係が築けないまま、表面的な付き合いで相手に合わせるだけ。

相手に負担をかけたり変に思われて「嫌われるんじゃないか」という恐怖心から悩みを打ち明けること、相談ができない。一人で解決しようと抱え込む。

自分の基準で自分を評価できないから、いくら頑張っても自信が持てない。だから、他人からの評価で埋めるしかなくなり、他人の目がどうしても気になってしまう。

相手に合わせてばかりで自分を見失うから意見が持てず「どっちでもいい」ばかりになる。

自己否定により自己肯定感が失われ、自我が確立されていないから自分に価値を感じられない。価値を見出すために大変な仕事を押し付けられても頑張ってこなそうとする傾向もある。

思考

白黒思考で葛藤を避け正しいか間違っているか、正義か悪かにこだわる。正解を求めて会話をしたり、行動したり。相手が間違っていることが許せない人ほど、自分が正しいということに価値を見出している。

頑固さ、プライドの高さ、執着、シャットアウト思考は自分を守るため。守りを固めているから人の話を素直に聞けない、受け取ることができない。自分の考えに固執するから視野が狭くなる。

周りの反応にアンテナを張っているから他人が気付かないような些細なことも拾ってはネガティブに考えてしまう。

感情

感情や欲求を抑圧しているから不安や恐怖に飲まれやすい。

嫌なことも嫌と言えず怒りや不満が蓄積されているから他人に投影されて怖さを感じる。相手が怒っていないのに怒っていると思ってしまう。怒りが出せないから相手からの攻撃が怖くて仕方なくなる。打たれ弱い。

本当なら耐えきれないほどのしんどさ、つらさがあるはずなのに、自分の気持ちを麻痺させて成り立たせている状態。嫌でも嫌と言えないから我慢することの積み重ねで心が悲鳴を上げているのが症状として表面化する。

症状を隠していたり安心できる相手には症状が出ないこともあって表面上は悩んでいないように見られやすく、家族や友人に話しても「誰も気にしてないよ」等と自分の苦しさを理解してもらえないことで余計に苦しむ。

認められたい、わかって欲しいが強いから、わかってもらえないことに悲しみ、怒りを感じる。「わかってもらえない=愛されていない」という感覚にもなるから耐えきれない。

対人恐怖症克服に効果的だと言われる心理療法

対人恐怖症を克服するにあたって効果的だと言われている代表的な心理療法として以下の5つが挙げられます。

認知行動療法

認知の歪みが原因で精神疾患が起きているということを前提と考えて、その認知の歪みを修正していく療法。

うつ病と対人恐怖などの不安障害に対して確実な効果があることが科学的に証明されており、他の治療技法に比べて短時間で大きな効果があらわれると言われています。

ただし、ある程度改善して自分を客観視できる状態になってからでないと効果が出づらい面はあります。

視線恐怖症で何年も悩んでいる人が認知行動療法を受けたケースで、「見られていない可能性もあるのでは?」という話をされて「いや、絶対に見られています」と答えて何の効果も感じなかったという事例は多いです。

はじめはうつ病に対する治療法として確立され、その後、パニック障害・強迫性障害・対人恐怖などの不安障害や、発達障害、摂食障害、統合失調症の症状(幻覚や妄想)、パーソナリティ障害にも適用されるようになりました。

アメリカの保険会社やイギリス政府は、認知療法の治療効果を正式に認めており、欧米の精神療法のガイドラインには認知行動療法が推奨されていますが、日本ではまだまだ導入が遅れています。(2010年4月からうつ病に対する治療を中心に保険適応化されてきています)

森田療法

人間が本来持っている自然治癒力を活かし、不安をあるがままに受け入れて捉われから脱出する療法。神経症の治療法であり、対人恐怖症やパニック障害などに有効とされています。

不安をあるがままにしておいた状態で、本来の現実的な欲求や目的にそって行動して、少しずつ不安を受け入れて改善していくという流れですが、そもそも不安に対処しないまま我慢して行動できないので取り組むのが非常に難しいです。

森田療法によるカウンセラーとクライエントの会話が記載された本を読んでみて、行動をする前にしっかりとカウンセリングで対話することが準備となって行動できていたのかなという印象を受けました。

このカウンセリングでの対話という前提を抜きにあるがままだけを意識してやろうとするから、結局、あるがままにしようと思いつつもできないまま、できない自分を責めて悪化していくケースが増えているのではないかと思っています。

昔は入院させて何もできない状態にすることで人間の持つ本質的な欲求を呼び覚まして改善する入院治療が中心でしたが、近年は通院治療に変わってきており、日記をつけて指導する方法が一般的になっています。

催眠療法(ヒプノセラピー)

症状の原因が潜在意識にあるとして、催眠状態にして潜在意識を書き換えていく療法。

他の療法と比較すると料金が高いのも特徴の一つです。

ヒーリング系の音楽を流しながら催眠状態にしていくところもあれば、音楽を流さずにおこなうところもあります。

人によって催眠状態にならない人もいるため効果を感じないケースもあります。

また、一定以上の度合いの対人恐怖症は症状へのこだわりが強くなっているため、催眠療法ではなかなか効果が出ずにやめてしまうこともよくあるようです。

ちなみに、私自身も催眠療法を一度受けたことがありますが、効果はあまり感じませんでした。

来談者中心療法

来談者(クライエント)が自力で解決する力を持っていると信じて話を聴き続ける療法。

否定も肯定もせずただひたすらに話を聴くことで、クライエント自ら解決策に気付き動き出すのを待ちます。

傍から見れば単に話を聴いているだけのように見えますが、相手の話を否定も肯定もせずに聴き続けること、クライエント自らが解決する力を持っていると信じることは意外と難しく、来談者中心療法とうたっているところでも実はできていないことが多いです。

とくに大阪を中心とする関西圏では、おせっかいな性質を持つカウンセラーが多いため、本来クライエントを信じて待つべきところなのに、必要以上にアドバイスをして改善を妨げるケースが多いように感じます。

カウンセラーが自分の感情や価値観に左右されるとクライエントの話を否定したり、誘導したりしてしまうことも出てくるため、しっかりと教育分析を受けたカウンセラーでないと実践が難しいと言われています。

NLP(エヌエルピー)

「Neuro-Linguistic Programming」の略で、神経言語プログラミングと訳されます。

NLPとは、過去の心理学の最適化された所だけをコミュニケーション、ビジネス、セールス、教育などの現場に合わせて作られたものと言われています。

心理治療の現場で使用され、現在はビジネスや教育などの分野でも応用されています。

多くのNLPの研究家が独自のNLPを作り出しており、団体ごとで内容が異なっているため、NLPと言ってもまったく違う療法をおこなうところもあるようです。

対人恐怖症を克服するために有効なこと

対人恐怖症を克服するために有効なこととして以下の3つがあり、カウンセリングを受けながら複合的に進めていくことによって効果を発揮します。

客観視する力を養う

物事に対する考え方、捉え方と距離をとって自分で自由にコントロールできる力を養うことです。

対人恐怖症は以下のような偏った考え方に固執することによって引き起こされるものです。

  • 本当の自分を見せると嫌われてしまうに違いない
  • 人前で話すときは堂々と話さなければならない
  • 顔が赤くなると変に見られるに違いない
  • 私の方を見て話している人は私の悪口を言っているに違いない

このような考え方に固執して人と接していくと、その通りにできない自分を責めたり、なんとかそう思われないようにしなければと必死になって苦しむことになります。また、そのせいでぎこちない行動や仕草になってしまうので、相手に話しづらい印象や壁を感じさせてしまい、人間関係がうまくいかずに余計に悩み苦しんでしまいます。

ですから、固執してしまわないように客観視する力を養っていくことが克服に有効なのです。

この客観視する力は、まず自分を苦しめる考え方を見つけ出して、それが偏っているのか現実的なのかということを行動して得られる相手の様子や反応といった事実によって、客観的に検証していくことを繰り返して養っていきます。

客観視する力は次の「自己評価の見直し」とも深くかかわっています。

自己評価の見直し

自分に対する評価を客観的に見直すことです。

対人恐怖症の方は、

  • 私は生きている価値がない
  • 長所が一つもない
  • 変で気持ち悪い人間だ
  • 暗くて人を不快な思いにさせる人間だ

というように全般的に自分に対する評価が非常に低いのが特徴です。(過去にいじめを受けた経験がある人や育てられた家庭環境に問題があった人は、特に低くなっている場合が多いです。)

こういった思い込みがある影響で、変に気を遣い過ぎたり、自分に否がないことまで自分の責任にしたりしてどんどん対人恐怖症を悪化させて苦しんでいきます。

でも、その評価は客観的に見れば間違っているものばかりです。そんな人はなかなかいません。

ですから、自分の長所と短所はどこなのか等を考えながら自分に対する評価が偏っていることを無意識の自分に認識させていくことでその間違いを修正していきます。

自分の評価を見直すことで自分を信じる力(自信)がついて、人からどう思われているか、どう見られているかといった評価に左右されづらくなるので、対人恐怖症を克服するために有効なのです。

コミュニケーション方法の改善

人とかかわる際のコミュニケーションの取り方を勉強して改善することです。

対人恐怖症は対人関係に不安や恐怖を感じるものです。その不安や恐怖を感じる原因の一つとしてコミュニケーションの取り方が下手であるということが言えます。

元々コミュニケーションの取り方が下手な人はいないのですが、育てられた家庭環境やいじめ等の原因で、人間が本来できるはずの自然なコミュニケーションの取り方を忘れてしまって下手になってしまうのです。

ですから、その忘れてしまった自然なコミュニケーションの取り方を、人と話すときにどういうことを意識して話すのか、自分の意見を言いたいときはどうやって言うのが良いか等を勉強して行動していきながら思い出していきます。

人の性格や状態、場面など様々な条件の中でコミュニケーションの取り方は変化しますので、場数を踏んでいろんなパターンを経験することが大切になります。

対人恐怖症を克服するにあたって考慮すべき7つの要素も参考にしてください。

対人恐怖症と関連する病気等

対人恐怖症と関連する病気や症状には以下のようなものがあります。

症状が似ているもの

社交不安障害(旧名:社会不安障害)

人前での会話や行動、目上の人や初対面の人と話す場合などに、必要以上に強い不安や緊張を感じ、また、そのような場面を避けようとして社会生活に適合できなくなる病気。社会恐怖、SAD(social anxiety disorder)とも表記される。

不安や緊張が原因で日常生活に支障をきたすという面では対人恐怖症と同じだが、対人恐怖症が相手に配慮しすぎて起こるのに対し、社会不安障害は自己中心的な考え方が原因で起こるところが異なる。そのため、アメリカ的思考パターンであるとも言われる。

しかし、最近では対人恐怖症と同じものとして扱われることが多くなっている。

⇒社交不安障害と対人恐怖症の違い

回避性パーソナリティ障害(旧名:回避性人格障害)

不安人格障害(APD)とも呼ばれるもので、極端に低い自己評価から自分は社会的に不適格で魅力に欠けていると考えて人から嫌われること、受け入れられないことを異常に怖がり、人とのかかわりや愛情、人に受け入れられることに対する願望が強いにもかかわらず、失望や批判を恐れるあまり親密な人間関係や社会的状況を避けてしまう人格障害。

過保護な家庭環境、幼い頃に親や友人から拒絶されたと感じた経験、親からの遺伝を主な原因として、100人に1、2人(対人恐怖症の10分の1)の割合で男女問わずもっていると言われている。年齢が上がれば上がるほど治りにくくなる。

対人恐怖症の影響で回避を重ねた結果、それが習慣となり根付いた後天的な性格のようなものなので簡単には治せないが、対人恐怖症の人の4分の1は回避性人格障害を併発していると言われている。また、「ひきこもり」「不登校」「出社拒否」の人の多くがもっているとされる。

とにかく回避するためには手段をいとわないため、生活に大きな支障をきたす。また、回避するための言い訳や手段を考えることに苦しみ、回避した後は自分や他人を納得させるために回避した理由を正当化する。

カウンセリングを受けても、カウンセラーまでも回避しようとしてスムーズに進まず、治るまで時間がかかるのも特徴として挙げられるが、克服するためには認知行動療法によるカウンセリングが一番有効であると言われている。

⇒回避性パーソナリティ障害と対人恐怖症の違い

統合失調症

誰も話していないのに声が聞こえたり、何の異常もない猫の目から血が流れ出すのが見えたりといった幻覚、自分のことを周りの人が監視している、自分を貶めるために嫌がらせをしてくるんだといった妄想に苦しむ病気。

あたかも本当に自分が攻撃されているかのように感じるため、「そんなことはない」と言われても聞けない状態になる。

100人に1人がかかる病気だと言われている。

⇒統合失調症と対人恐怖症の違い

適応障害

職場や学校といった特定の社会環境うまく適応できずに感じるストレスによって、憂鬱な気持ちになったり、強い不安を感じたりするもの。

人との接触を避けるようになる傾向もあり、動悸や倦怠感といった身体症状がでることも多い。

うつ病との区別がつきづらいと言われるが、一度その環境から離れると症状が出ないという特徴で区別できるケースがある。

アスペルガー症候群

自閉症の一種でコミュニケーションにおいて特異性が見られる発達障害。知的障害はない。

曖昧な表現に対して回答できず具体的に質問を返してきたり、相手の意図を理解できず会話が成り立たないケースもある。

強いこだわりを持つことが多く、状況に応じて臨機応変な対応ができない。

非言語コミュニケーションと言われる仕草や表情などが独特で、一般的な感覚からずれている。

相手の状態を無視して自分の興味がある話をし続けたり、相手がどう感じるかを考えず自分が思ったことをストレートに伝えることもある。

⇒対人恐怖症や依存症と関連が深い発達障害について

強迫神経症

不安な気持ちに駆られてある特定のことを気にするのをやめられない状態になり、日常生活に支障をきたすもの。

具体例として、家の鍵を閉めたかどうかが気になって通勤途中に家に戻って遅刻したり、自分の手が汚ないと思って何度も何度も繰り返し頻繁に手を洗ったりといったことが挙げられる。

頭では「そんな小さなことを気にするなんてバカバカしい」と思っているにもかかわらず、気にするのを止めることができない。

几帳面、生真面目な性格の人がなりやすいと言われている。

併発しやすいもの

抑うつ状態

ストレスを主な原因として、憂うつな気分、意欲喪失、集中力低下、思考力低下、食欲不振または過食、物事への興味関心の喪失などの症状が出る状態。あくまでも「一時的な状態」であるので「病気」であるうつ病とは一線を画すものであり、抗うつ薬が効かない場合もある。

⇒うつ状態と対人恐怖症の深い関係

うつ病

ストレスを主な原因として、憂うつな気分、意欲喪失、集中力低下、思考力低下、食欲不振または過食、物事への興味関心の喪失などの症状が出る状態が続く精神疾患。うつ状態が一定期間以上続き、抜け出せない場合はうつ病の可能性がある。

抗うつ薬が効きやすいのが特徴でもあるため、薬を服用しながら回復するまでできるだけ休むことが大切だと言われている。

「こころの風邪」とも言われ誰もがかかりうるものとされているが、放っておいても自然に回復しづらい病気で、投薬治療が一般的である。

⇒うつ状態とうつ病の違い

パニック障害

突然何の理由もなく、激しい動悸や息苦しさ等の自律神経症状に襲われて、死ぬのではないかという恐怖感にとらわれる病気。一時的に手足が震える程度で、身体的には異常がないにもかかわらず発作が繰り返されるので、また起こるのではないかという不安に悩まされ続ける。

また、「同じ場所で発作が起こるのではないか」「逃げ場のない場所で発作が起こったらどうしよう」という不安から、電車やバス、人ごみ等を避けようとする。

⇒死ぬかもしれない不安に苦しむパニック障害