「私のことを大事にしてくれていたはずなのにどうして裏切ったの?」
「不倫がバレても反省の色がなく、こっちを責めてくるのはなぜ?」
パートナーの不倫に直面したとき、多くの人が理解できないほどの自己中さに絶句します。
実は繰り返される不倫の背後には自己愛(ナシシズム)の心理構造が深く関わっていることがほとんど。
自己愛が強い人にとって不倫は単純な快楽ではなく、脆弱なプライドを維持するための生命維持装置に近い役割を果たしているのです。
本記事では、最新の心理学研究や海外の論文をもとに不倫と自己愛の切っても切れない関係についてお伝えしていきます。
なぜ自己愛が強いと不倫を繰り返すのか
「自己愛」という言葉から「自分を愛している」と解釈されがちですが、実際は自己愛が強い人ほど自分を愛することができていません。
本当の自分に自信がなく、他者からの賞賛や特別な扱いといった外付けの評価がないと自分を保つことができない状態になっているのです。
常に「他者からの賞賛」を必要としている
心理学では自己愛者が他者から得る注目や賞賛を「ナルシシスティック・サプライ(自己愛の供給源)」と呼びます。
長年連れ添ったパートナーは自分を一人の人間としか見ませんが、不倫相手は自分を理想的な存在として見てくれる。
また、パートナーがいながら別の相手と性的な関係を持つことができる(モテる)というのは一種のステータスにもなる。
他者からの賞賛につながる不倫は自己愛が強い人にとって非常に魅力的なのです。
自分だけは特別という特権意識
自己愛の強い人は「自分は選ばれた特別な人間である」という特権意識を持っています。
他人は凡人、自分は特別な能力がある人間だとナチュラルに思っているのです。
そのため、社会的なモラルや夫婦の約束といった凡人が守るべきルールは自分には適用されないという感覚になっているところがあります。
自分の考えが正しい前提である以上、他人の意見を聞いても心の中では否定していて影響を受けることがありません。
パートナーの痛みを想像できない共感性の欠如
不倫が発覚したときに「あなたが寂しい思いをさせたからだ」と平然と被害者面をするのは共感性の欠如によるものです。
相手の苦しみよりも自分の快楽や都合が優先されるため、罪悪感を抱くことが極めて困難な状態になっています。
本人は「反省している」と言いますが、客観的に見れば平然としていて反省しているようには見えない。
パートナーがどれだけ苦しんでいても、責められる自分のつらさにばかり意識が向いていて痛みを想像することができません。
海外研究が示す自己愛タイプ別の不倫傾向と動機
オハイオ州立大学のAmy Brunell(エイミー・ブルネル)教授らによる研究(2011)をはじめとする海外の心理学論文では、自己愛のタイプによって不倫の動機が異なると指摘されています。
Brunell教授の研究の核心は「自己愛が強い人ほど現在のパートナーに対するコミットメント(この人を一生大切にしようという決意)が著しく低い」という点にあります。
通常、パートナー以外の人と関係を持ちたいという誘惑に駆られても、パートナーとの絆や将来を考えて踏みとどまりますが、自己愛が強い人は自分の欲求が優先されることで不倫ができてしまうのです。
「誇大型自己愛」の不倫動機
いわゆる傲慢なナルシストである誇大型の動機は非常に外向的で能動的です。
誇大型自己愛者の恋愛は相手を落とすまでのゲームのようなもの。異性を口説き落とすプロセスの中で自分の魅力や社会的ステータスを確認します。
そして、誇大型自己愛者は常に「もっと良い条件の相手がいるのではないか」と市場を物色しているところがある。
現在のパートナーをキープしつつ、より自分のプライドを満たしてくれる存在を探し続けることで不倫が常態化するのです。
「自分は特別な人間だから複数の異性と関係を持つ権利がある」という特権意識が強いため、パートナーへの裏切りに対して罪悪感を抱くことがほとんどありません。
「過敏型自己愛」の不倫動機
一見、自信がなさそうで傷つきやすい過敏型の動機は内向的で防衛的です。
自分が正当に評価されていない、パートナーに疎まれていると感じたとき、その悲しみや虚しさを埋めるため不倫に走る。
また、パートナーとの関係で不安を感じたとき、別の相手に逃げ込むことで精神的な安定を図ろうとします。
自分で感情を制御することができず、不倫相手を精神安定剤のように扱って自分を保っているのです。
パートナーに直接不満を言えない代わりに不倫という形で裏切り、無意識に復讐を果たそうとする心理もあります。
不倫を繰り返す自己愛が強い人に見られる特徴
自己愛が強いことで不倫を繰り返す人には以下のような特徴が見られます。
「特別な存在」でありたい欲求
- 周囲から常に注目や称賛を浴びていないと気が済まない
- 社会的地位や外見など、ステータスへの執着が異常に強い
- 自分には特別なルールが適用されるべきだという特権意識がある
共感性の欠如と自己中心性
- パートナーの涙や怒りを見ても、同情より先に「面倒だ」と感じる
- 自分の非を認めず、問題が起きるとすべて他人のせいにする
- 「自分が寂しい思いをしたから不倫した」と加害者なのに被害者面をする
対人関係のパターン
- 「釣った魚に餌をあげない」という感覚で手に入れた瞬間に相手への興味を失う
- 常に予備の異性を確保しており、孤独に耐える力が極めて低い
- 嘘をつくことに抵抗がなく矛盾を指摘されても平然と嘘を重ねる
スリルと全能感への依存
- 「自分だけは絶対にバレない」という根拠のない万能感を持っている
- 平穏な日常を退屈と切り捨ててリスクのある刺激を追い求める
- 複数の異性を同時にコントロールしている状態に強い優越感を覚える
自己愛型不倫の被害に遭った心の回復ステップ
「自分のせい」という呪いから自分を解き放つ
自己愛が強い人は自分の非を認めないため、あらゆる手段で責めてきます。
「お前が太って女として見られなくなったからだ」「子どもの相手ばかりで放ったらかされていたからだ」等。
しかし、不倫は100%「不倫をした側」の選択であり、責任です。
暴言や責任転嫁はすべて自分の罪悪感を回避するための防衛でしかありません。
自分に落ち度があったから裏切られたのではなく、パートナーが問題を抱えていたから不倫をしたのだと理解しておいてください。
物理的・心理的距離の確保
回復の第一歩として自己愛者と物理的、心理的に距離を取ることが必要です。
最低限の連絡、会話で別々のことをして過ごす時間をなるべく増やしましょう。
自己愛が強い人はターゲットを精神的に支配し続けることで自尊心を保とうとします。
「なぜあんなことをしたのか」という問いに対して誠実な回答をもらえることはありません。
距離を置くことによって自己愛者に利用される役割を降りることが回復には必要なのです。
専門家に相談して自己愛者の問題を切り離す
自己愛者に裏切られた人は特殊な心理的ダメージを負ってしまうため、一人で抱え込むとPTSDのような症状に陥ることが少なくありません。
自己愛者は自分を良く見せようとする意識が強く、身近な人に話しても理解してもらいにくい傾向があります。
第三者で専門的な知見を持つカウンセラーに頼ることで実態を把握することが必要です。
「自己愛性パーソナリティ障害」等の特徴を学ぶことで「自分の身に起きていたのは心理的支配だったのだ」と客観視できるようになります。
自分軸の再構築と未来への投資
最後のステップは、自己愛者に奪われた「自分の人生の主権」を取り戻すことです。
趣味、仕事、美容など、自分のために時間とエネルギーを使いましょう。
相手の顔色をうかがう癖を捨て自分が「嫌だ」と思うことにNOと言う練習をします。
自分にとって何が嫌かがわからない状態であればそれを知ることから。
わかっている場合は伝え方を学び、アサーティブなコミュニケーションが取れる状態を目指します。
自己愛が強い状態は改善できるのか?不倫癖を更生させるための厳しい現実
自己愛が強いというレベルであれば不倫してしまう状態を変えていくことはできます。
ただ、「自己愛性パーソナリティ障害」レベルの自己愛を持つ状態になっている場合は、不倫を反省して心から変わる可能性は極めて低いと言わざるを得ません。
変化のために自分の問題を認める自省が必要となりますが、自己愛の本質が「自分に問題があることを絶対に認めない」という防御機能にあるからです。
自己愛性パーソナリティ障害の人がカウンセリングを受ける場合、そのほとんどがパートナーを繋ぎ止めるためのパフォーマンスになっています。
あなたは「ターゲット」ではなく「愛されるべき存在」
自己愛の強いパートナーに振り回される時間は、あなたの自尊心を少しずつ削り取っていきます。
彼らにとっての不倫が自己確認の儀式である以上、あなたがどれだけ努力してもその穴が埋まることはありません。
あなたは誰かの自己愛を満たすための道具ではありません。
裏切りの苦しみの中にいる今こそ、意識のベクトルを「相手」から「自分」に向け直してください。
パートナーの正体を正しく知り、執着を手放した先に本当の意味での心の自由と誠実な愛が待っています。
