座っている女性を盗撮する男性

性犯罪の再犯防止カウンセリングで一番多くご相談をいただく盗撮行為。

現在までカウンセリングをおこなってきた中で気付いた盗撮をする人の実態や心理、引き起こす原因についてまとめています。

盗撮行為について

昔から小型カメラ等での盗撮はありましたが、スマートフォンの普及で一気に増えました。

盗撮系の動画を見て興味を抱き、「自分でもできそう」と思って軽い気持ちでやり始めてしまう人が多いです。

性犯罪の中でも再犯率が特に高く、2~3回目の逮捕で初めてカウンセリングを受けるケースがほとんど。

7 盗撮型

初回の性非行・性犯罪時の年齢は,29歳以下の者が約半数である(6-4-3-4図<5>参照)。 前科のある者は8割弱であるが,そのほとんどは,条例違反であり,強制わいせつの前科がある者は少ない(同図<1>, 本編第4章第3節3項(2)キ参照)。 保護処分歴のある者の割合は1割弱である(同図<4>参照)。 再犯率は36.4%で,再犯者の4分の3は条例違反による再犯であり,性犯罪再犯(刑法犯)ありの者はほとんどいない(6-4-4-3図CD-ROM参照)。 未婚の者,大学進学の者の割合が他の類型よりも高い(6-4-3-3図<3>, 同図<4>参照)。

盗撮型には,複数回の刑事処分を受けているにもかかわらず,条例違反を繰り返している者が多い。

引用元:平成27年版 犯罪白書 第6編/第5章/第2節/7

学生時代に始めて、繰り返してきた中で20代、30代になって逮捕されるパターンがよくある印象です。

最初は通学や通勤、買い物等で外出した際に盗撮をするのですが、エスカレートするにつれて盗撮目的の外出が増えていきます。

盗撮の実態

駅の構内やショッピングモール(とくに書店やCDショップ)、学校、電車内といった公共の場で、女性の全身、スカートの中、胸、お尻、足などを狙った盗撮。

商業施設やビル、学校、職場、飲食店等にあるトイレに忍び込んでおこなう盗撮。

職場やアパレルショップの更衣室、銭湯や温泉等にある脱衣室の盗撮。

ホテルでの性行為(デリヘル等含む)の盗撮、野球場や陸上競技場での盗撮、自宅で連れ子の入浴姿の盗撮、隣近所の部屋に忍び込んでおこなう盗撮、望遠カメラを使った山中からの温泉盗撮、同性愛者によるトイレ内での盗撮等も含めると多岐にわたる盗撮があります。

スマートフォンを使うケースが多いですが、一定数は小型カメラを購入して盗撮をしています。

撮った映像や画像を集めておく人もいれば、逆に撮るたびに消す人もいる。自慰行為に使う人もいれば使わずただ置いておくだけの人もいる。

同じ盗撮でも撮る過程か撮った後の映像か、何で快感を得るのかは人によって異なります。

インターネット上での公開、販売を目的とした盗撮もありますが、自分だけが楽しむためにおこなう盗撮がほとんどです。

見ず知らずの人だけでなく、一定数は同じ学校の生徒、職場の同僚、友人知人をターゲットにしています。

盗撮をする人に見られる特徴

盗撮をする人には以下のような特徴が見られることが多いです。

  • こだわりの強さ、収集癖がある
  • 興味関心の偏りが激しい
  • 盗撮を無料で手軽にできる趣味のようなものと思っている
  • 市販の盗撮動画や画像では満足できなくなっている
  • 目先の欲求を満たすことだけ考える短絡的な思考が強い
  • 場当たり的で瞬間瞬間を生きている感覚が強い
  • その場を取り繕うための嘘をつきやすい
  • 自分に自信がない
  • ストレスを抱え過ぎている
  • 普段からアダルト系の画像や動画をよく見ている
  • ストレスが溜まると自慰行為をする習慣がある
  • 女性とのかかわりが少ない
  • 女性を性の対象として見る度合いが高い
  • 普段は性的なことに対して無関心を装っている
  • 波風立てない、面倒臭いことをやらない
  • 人に相談せず抱え込む
  • 自分の気持ちをほとんど言葉にしない(とくにネガティブな内容)
  • 受け身で自分の意見をあまり持っていない
  • 仕事とプライベートが別人のように違う
  • 穏やかで優しい人と言われやすい
  • 適当さ、ルーズさがある

なぜ盗撮をしたくなるのか?

隠されたものを見たい欲求と性癖

スカート内の盗撮をする人は、誰もが女性の下着に興味があるという認識だったりしますが、女性の下着が見たい感覚自体がよくわからないという人もいます。

ただ、人間の心理として「隠されたものを見たい」欲求はあるため、下着に興味があろうがなかろうが少なからず見たい気持ちはあると言えます。

雑誌の袋とじ、食玩のシークレット、芸能人のプライベート等、ジャンルを変えてみると欲求があることに気付いていただけるかもしれません。

同じ盗撮でも更衣室や脱衣所、浴場等であれば、たいていの人は見てみたいと思う気持ちがあるでしょう。(人気漫画で男性キャラが女風呂を覗こうとするシーンが出てくるので一般的な感覚なのだと思います)

他の人が知らないことを知っている、他の人が見れないものを自分だけは見ているといったことが優越感、特別感につながる面もあります。

さらにスカート内の盗撮は性癖、いわゆるフェチの影響もあるため、パンツだけでなくお尻、太ももに興奮する人は見たい気持ちが強くなりやすい。

下着フェチの人は盗撮だけでなく、下着盗難にも手を染めてしまう危険性があります。

盗撮衝動を引き起こす心理

盗撮は相手を撮影するという行為ですが、一方的に欲求を押し付けるコミュニケーションでもあります。

本来女性の下着を見たいのであれば、相手の女性と下着を見ることができるような関係を築くことが必要になりますが、それができないから了承を得ず一方的に欲求を押し付けてしまうわけです。

また、盗撮には支配欲求が潜んでいるところがあります。

親子関係で支配的なかかわりをされてきた経験があったり、妻との関係で嫌なことを必死に我慢していたり、身近な人とのかかわりで支配されている感覚が強くあると、屈辱感から仕返しをしたい気持ちが芽生えてくる。

自分より強い相手には攻撃性を向けることができないため、自分より弱い相手、支配しやすい対象に向いてしまうのです。

日々の生活で刺激がなく興奮する機会がないことも盗撮衝動につながります。

人間はある程度刺激を求めているところがあるため、日々の生活がマンネリ化していて刺激が得られない状態になると、何かで強い刺激を得ようとする。

バレるかバレないかのスリルに満ちた体験である盗撮をしたいと思う気持ちが出てくるわけです。

盗撮行為を止められない原因

莫大なストレスを抱え込んでいる

ストレスがかかると理性を司る脳の働きが弱まり、衝動のまま動いてしまいやすい状態になります。

ストレスは、感情や衝動を抑制している前頭前野の支配力を弱めるため、視床下部などの進化的に古い脳領域の支配が強まった状態になり、不安を感じたり、普段は抑え込んでいる衝動(欲望にまかせた暴飲暴食や薬物乱用、お金の浪費など)に負けたりするというのです。

引用元:ストレスと脳 | 生物学科 – 東邦大学

「盗撮をやってはいけない」と思うのは理性、「盗撮をしたい」と思うのは衝動ですよね。

ストレスの度合いが少し高いくらいなら盗撮系の動画を見る頻度や自慰行為が増えるだけで収まりますが、発散できずに抱え込んでいると盗撮をせずにいられないほどの衝動が出てきます。

そして、「ストレスがかかると盗撮をする」ということが繰り返されていく中で習慣化。

最終的に意思と関係なく条件反射レベルで盗撮をしてしまう状態になるため、アルコールや薬物等と同じ依存症に分類されているのです。

ストレスを自覚できていない人は多いですが、盗撮行為を止められない原因になっているのは間違いありません。

盗撮を別枠で考えている

盗撮をしている人は、痴漢や強制わいせつはもちろん、レイプなんてとんでもないと言います。

盗撮は相手に触れることがなく、バレさえしなければ傷つけることはない。

だから、盗撮ならやってもいいという認識になっているわけです。

とくに女性の後ろ姿等は風景の一部のような捉え方で正当化してしまいやすい傾向が見られます。

相手に触れるか触れないか、直接嫌がっている姿が見えるかどうかは関係ありません。

度合いは違えど盗撮もレイプも同じ性犯罪に該当します。

盗撮を犯罪としてやってはいけない範囲に入れることができていないところに問題があるのです。

リスクの大きさを認識できていない

盗撮は犯罪行為であるため、一般的な感覚の人は脅されでもしない限りできません。

もし、犯罪行為がバレて逮捕されようものなら、仕事を失うかもしれないし、既婚者なら妻から離婚を切り出されるかもしれない。家族を深い悲しみに陥れてしまう。

前科がついて刑事罰を受けることになる。罰金や示談金、弁護士費用で莫大なお金を払うことになってしまう。最悪刑務所に入らないといけない可能性だってある。

報道されてしまえばその後お金を稼ぐことすら困難になるかもしれない。一生犯罪者として人目を気にして生きていくことになる。

自分のことだけ考えていてもこれだけのリスクがあり、さらに被害者、被害者の周りの人たちをどれだけ傷つけ苦しめるのかを考えれば、たとえ欲求があっても盗撮はできないことになります。

盗撮のリスクの大きさが把握できていないから軽い気持ちで盗撮ができてしまう状態になっているのです。

盗撮はバレやすい行為である

盗撮がばれていないと思い込んでいる人は多いのですが、意外とバレています。

盗撮をするために以下のような行動を取ることになり、女性の近くで明らかに怪しい動きをするからです。

  • 女性の後ろに必要以上に近づく
  • 女性についてまわる
  • エスカレーター付近や書店内を徘徊する
  • スカートの下まで手を伸ばす
  • 女性にカメラを向ける

盗撮をされている本人が異様に近づく男性の気配に気付くのはもちろん、周りにいる人も異様な行動に気付きます。

恐怖のあまりその場では気付いていないふりをして、後で被害届を出している女性もいます。

カメラを設置する場合であれば、設置と回収の作業が必要であり、本来あるはずがない物が置かれていたりすることでバレやすい。

さらに盗撮を繰り返すうちに脳内の快楽物質であるドーパミンが過剰に分泌され、より強い快感を得ようと行動が大胆になっていくため、最終的に逮捕されてしまうわけです。

何十年も繰り返しながら捕まっていない人もいますが、それはたまたまでしかなく、捕まる可能性が高いことをやっているんだという認識を持っていただければと思います。

盗撮の再犯防止において大切なこと

自分の感情や欲求を認識して適度に満たす

盗撮をしてしまう人は自分の感情や欲求に鈍感です。

あまり感情を出さずに抑え込みがちで、自分にとって都合の悪い感情や欲求から目を背ける習慣を持っています。

  • 本当はイライラしているのに自覚していない
  • 本当は女性とかかわりたい欲求があるのに認めない
  • 本当は人に認められたい欲求があるのに気付かない

自覚がないまま感情や欲求を蔑ろにし続けた結果、歪んだ形で満たそうと引き起こされる行為が盗撮なのです。

まず日々の生活で自分がどういう感情を抱いているのか、どういう欲求があるのかに目を向けるようにしてみてください。

そして、感情は口に出すか紙に書くか、欲求は少しでも満たせる方法を探していきましょう。

自分の中で認めたくない感情や欲求は自覚することが難しいため、カウンセリングでお話しいただきながら少しずつ気付いていけるようにしていきます。

女性に対する配慮の気持ちを持つ

そもそも盗撮は逮捕されるからやってはいけないというレベルのものではなく、盗撮をされる女性の気持ちを考えればできないはずのことです。

最近メディアに取り上げられているハラスメントの中に「見るハラ」というものがあります。

盗撮をしなかったとしても女性をジロジロ見ること自体が問題になるわけです。

盗撮をしない人は学校や職場はもちろん、電車内等の公共の場でも女性に対してある程度配慮しながら生活しています。

例えば、女性のスカートが風でめくり上がった時、盗撮をする人は凝視する、盗撮をしない人は目をそらすといった反応になりやすい。

普段から女性に対する配慮ができていない人が盗撮行為をしてしまう。できてしまう状態になっていると言えます。

まず女性を盗撮のターゲットとして見るのではなく、ひとりの人として見ることから始めてください。

そして、身近な女性を中心に相手の気持ちを考えながら接する機会を持つようにしていきましょう。

カウンセリングでは盗撮ができてしまう状態になっている問題としっかり向き合い、再犯防止につながる具体的な取り組みをお伝えしております。

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