「自分と向き合う」というのは言葉で表せば簡単ですが、真剣にやればやるほどこんなにしんどいものかと気付きます。

人は誰しも多少なり自分の中に抱えている問題を見ないようにして生きてますからね。

子供がいるから仕方なく結婚生活を続けている夫婦はお互いの関係をどうするかという問題から目を背けています。

ゲームに時間を費やしすぎてやるべき勉強ができていない人は勉強ができていないという問題から目を背けています。

医者から生活習慣を改善する指示が出ているにもかかわらず今まで通りの生活を続ける人は自分の健康の問題から目を背けています。

稼いだお金を毎月使い果たしている人は将来必要なお金の問題から目を背けています。

誰しも何かしら目を背けていることがありますので、すべてのことに向き合えている人はいないでしょう。

向き合わずに問題を放置していては悪化する

私自身もずっと脊柱側彎症をごまかしながら放置してきました。

その影響で食べても全然体重が増えなかったり、すごく疲れやすかったり、肩や背中の凝りが激しかったりというのがずっと続いていて、しかもどんどん悪化している状態でした。

最近は違う整骨院に通って治療しようと頑張っていますので今後は改善していくと思いますが、ちゃんと自分が抱えている問題と向き合って解決しておくことの必要性を実感させられています。

今まで通っていた整骨院の先生に治らないと言われたことで諦めていた部分もありましたが、それ以上に「今生活できているからいいや」という気持ちが強かったように思います。

でも、放置してきたことで悪化していますし、さらにこのまま放置していれば、背骨の歪みなので老後は間違いなく大変な思いをすることになったはずです。

ごまかして目を背けていると一時的にそのつらさ、苦しさから解放されるので、気持ちは楽になります。

しかし、現実は何も変わらないまま。

私のケースのようにどんどん悪化していくことがほとんどです。

これは対人恐怖症やコミュニケーションの問題にも共通しています。

自分と向き合えなくなっている原因

責任転嫁ばかりしている

以前、区役所ですごく不快な思いをしたことがありました。

必要な書類を記入して順番待ちをしていたとき、窓口の女性に対して理不尽に怒る人を見たからです。

その人は窓口の女性に対して「近くで待ってたのにお前の声が小さいから聞こえんかったやろ!」と怒鳴っていました。順番を飛ばされたことがよっぽどムカついたのだと思います。

たしかに窓口の女性の声は大きくはなかったのですが、全然聞こえないほどではなかったですし、何回か呼んで誰も反応しなかった様子を見て飛ばしてましたから対応としてとくに問題はなかったと思います。

ただ、その人がいた場所が近くは近くでも本来待つ場所ではないところにいてましたし、さらに結構大きな声で隣の人と話し込んでいたのです。

客観的に見てそれは聞こえんやろという感じでした。

でも、その人は自分が聞こえづらい場所にいたことや隣の人と話していたことを責めるのではなく、相手の声が小さかったと相手を責めたのです。

このように相手を責めて責任をなすりつけるのは家族間でもよくあります。

父親:「俺はちゃんと稼いでるし父親としての役割は果たしてる。なのに、あいつは母親として子供の問題も解決してやれない。悪いのはあいつだ。」

母親:「私はこんなにも子供のためにって心身ともクタクタになるまで頑張ってるのに、あの人は仕事にかまけて何もやっちゃくれない。結局私に丸投げして楽してるだけじゃん。」

子:「毎日夫婦喧嘩されちゃ前向きに頑張れないよ。」

それぞれが責任転嫁を繰り返して自分の問題と向き合わない。

自分は悪くない。じゃあ、誰が悪いんだ。あいつだ。

あの人のせいで私はこんなに大変な思いをさせられてるんだ。

家庭環境さえ良ければ私は絶対に上手くやれるのに。

他人を責めれば自分の問題から目をそらすことができます。自分はできているという幻想を傷付けられずに済みます。

でも、それではいつまで経っても問題が解決しないのです。

逃げられる場所がある

逃げ場があるがために向き合えず、以下のような感じで年齢を重ねるケースはよくあります。

職場で上手く適応できず過ごしていたけど、結婚して仕事をやめたからやり過ごせた。子供が生まれて公園デビューはしたけど他のママと話すのが苦手で家で遊ばせるようにした。幼稚園の送り迎えはあるけど挨拶だけして会話は避けた。子供が小学校に行きだして参観の案内を持って帰ってくるが一人で見ているのはどうしてもしんどいからたまにしか行かない。

幼稚園、小学校、中学と友達ができず、周りに馴染めなかったためついに高校で不登校となる。不登校になってからは家でニコニコ動画を観たり、漫画を読んだりしているがほとんど外には出ない。出なくても親が買ってきてくれるし、ご飯も作ってくれる。高校に行かないといけないのはわかるけどあんなに嫌な思いをするところにわざわざ行きたくはない。今のままでも生活はできているから。

大学も卒業に近づいてきたためみんな就職活動を始めている。でも、自分は就職して上手く社会に適応できる自信がない。たぶんもっと勉強して資格を持てば気持ちも変わるはずだから専門学校に行くことに決めた。専門学校で資格を取ったけど就職に対する不安は拭えないままだから、違う専門学校で勉強をしている。

こういった形で直面する現実から逃げ続けている人は、何かしらのキッカケでカウンセリングを受けてみてもほとんど続きません。

カウンセリングを受けて改善していくということは、今まで逃げていた現実と向き合っていくことであり、逃げ続けていた人にとって一番嫌なことだからです。

ときには必要に応じて「逃げる」という選択も必要です。

しかし、いつまでも直面する目の前の問題から逃げていては何も変わりません。

逃げ場がある人ほど目の前の問題に向き合わない。

当然のことですが逃げ続けてきた人の人生はスカスカです。

できれば問題を抱えたまま逃げ続けるスカスカの人生は過ごさないようにして欲しいなと思っています。

ごまかさず自分の問題と向き合っていくために

まずは頭の中を整理することから

今抱えている問題と向き合うにあたって頭の中を整理することは非常に大切です。

なぜなら、頭の中がグチャグチャな状態では冷静に考えることができず、明らかにおかしな矛盾があったとしても気づけなくなってしまうからです。

その状態でいくら頑張っても向き合えているようで向き合えていない状態になります。

カウンセリングもそのためにあると言える部分があり、アドバイスを受けなくてもカウンセラーに話している中で頭の中が整理されて自己解決されるケースもあるくらいです。

カウンセラーは頭の中を整理してもらいやすい話の聴き方をしています。

とにかく自由に話すだけでも整理はされていくのですが、適切なタイミングで客観的に考える質問をしたり、何を話していたかわからなくなった時に現在地を教えたり、物事を見る角度を変える質問をしたりすることで頭の中が整理されやすくなるんですよね。

あなたの頭の中は整理されていますか?

誰かに話すことが一番有効ですが、無理なら紙に書き出してみる方法でもかまいません。

頭の中で考えているだけでなく文字にして見える化しましょう。

意外と同じことばっかり考えてるなとか、いつもイライラしているんだなとか、普段気づけなかったことが見えてきたりもします。

悩んでいる自分の状態を知る

頭の中が整理できたら次は自分を知っていきましょう。

以前、太宰治の「人間失格」を読んだことがあったのですが、自意識過剰に悩む主人公の気持ちが少し分かるような気がしました。

いまだに人気のある昔の小説や、最近人気が出た小説にも共通しているのが人間関係の悩みや恋愛などのドロドロした部分で共感を呼ぶところかなと感じています。

人間関係が悩み全体の90%と言われるくらいですから誰しも抱えてるものなんですよね。

例えば、人間関係で悩んでいる人は大きく以下の2つに分類されます。

  1. 平均以上の能力を持っているのに無いと思い込んで頑張りすぎて空回りでうまくいかない人
  2. 経験不足で本当に能力がなくてうまくいかない人

1の場合は、その頑張りすぎをいかに無くしていくかがポイントとなり、2の場合はいかに逃げずに経験を重ねていくかがポイントとなります。

このようにタイプや考え方、性格などによっても効果が出る方法は変わりますので、まずそれを知ることが大切です。

勇気を出して一歩前へ

不安や恐怖が強ければ強いほど逃げたくなる気持ちはわかります。

誰しも辛い思い、嫌な思いはしたくないですからね。

  • 友達に誘われても断る
  • 相手と目を合わせないようにする
  • 話しかけられても返事しかしないようにする
  • 挨拶をしない
  • ごまかして自分の意見を言わない

日々の辛さ、しんどさ、苦しさがマシになるから習慣化。

やり続けながら解決できる方法を頑張ろうとする。

でも、何も効果が出ないからどうしようかと途方に暮れてしまう。

「日々の辛さ、しんどさ、苦しさから逃れる行動を繰り返すこと」は問題を維持させている原因です。

問題を解決するためには前に進むことが必要。

なのに、日々の辛さ、しんどさ、苦しさが耐えられないからと後退を繰り返してばかりでどうやって解決するのでしょうか?

一歩進んで二歩下がる状態で前進していこうなんて無理な話です。

しんどいながらも人とかかわっていくことで「意外と大丈夫だな」という安心感が得られたり、人と話すことの楽しみや喜びを実感できたりする。

積み重ねが自信となって不安を乗り越えていけるから対人恐怖症だって克服できるのです。

まずは後退をやめる。そして、少しずつ前進していく。

この順番を守ってやれば気合入れて頑張らずとも、今抱えている問題を解決していくことはできます。

何がキッカケであれ向き合うことで人生はより良くなっていく

私がカウンセラーをやっていて一番しんどいなと思うのは、自分と向き合わなければならないことです。

夫婦関係、親子関係、家族関係、友達関係、子育て、健康、仕事、お金、性格、将来…

いろいろな問題を抱える方々の話を真剣に聞くと自分の中にも問題があることに嫌でも気付かされますからね。

人によっては気付いてそのままにしておくこともできるのかもしれませんが、私の場合「自分がやっていないことは人には言えない」という感覚があるためそれは絶対にできません。

自分が心に嘘ついて生きている状態で自分の心に正直に生きましょうなんて口が裂けても言えないので。

カウンセリングを受ける方も私と同じように自分と向き合うことになるわけです。

今までちゃんと向き合ってこなかった人ほど向き合うことを嫌がりますが、向き合わない限り今の問題は解決しないので向き合わざるをえない。

それをいつやるかだけの話です。

自分と向き合わずにいろんなことを避けて何とか人生を全うするのもできなくはないと思います。

ただ、それでは本当の意味で自分の人生を生きたとは言えないのではないでしょうか?

自分と向き合うキッカケは対人恐怖やうつ等の症状が出たからというケースもあれば、職場の人間関係でトラブルを起こして辞めさせられたり、離婚届を突きつけられたり、盗撮や痴漢などの犯罪で逮捕されたりといったケースもあり様々です。

キッカケが何であったとしても自分と向き合って本当の問題を解決していけば自分の人生は必ずよりよくなります。

私自身もまだまだ解決できていない問題がありますので、少しずつ一緒に向き合っていきましょう。