視界に入った人を気にする女性

集中して授業を受けることができず内容がまったく頭に入ってこない。

日中はデスクワークがほとんどできずいつも残業して何とか終わらせている。

視界に入った人が気になって目の前のことに集中できない状態では学校や職場で支障をきたすから大変です。

人が視界に入ると集中できなくなるのはなぜか、どうすれば改善できるのかについてお伝えしていきます。

脇見恐怖症?

  • 人が視界に入ると気になって仕方がない
  • 人が視界に入るのが怖くて意識してしまう
  • 人が視界に入ると見てはいけないのに見てしまう

このような症状は『脇見恐怖症』と呼ばれますが、正式な診断名ではありません。

実際に他人を見てしまう人もいれば、ただ視界に入れただけで見ていると思う人もいる。

どちらにしても、相手に不快な思いをさせていると思い、罪悪感に苛まれるのは共通しています。

自分が意図的にやってるわけではないことから、反応してくる相手に対して怒りを覚える人も少なくありません。

誰かに「見てくる」と言われたり、自分の視線で相手の反応が変わったと思ったりした経験をキッカケに発症することが多いです。

人によって症状が異なるため、対人恐怖症や強迫性障害、統合失調症、パーソナリティ障害、愛着障害等、幅広く該当します。

人が視界に入ると集中できなくなってしまう原因

生まれ持った性質による二次障害

人一倍敏感な性質であるHSPもしくは注意欠陥のADHD

いずれかの性質を持っている人は、診断が下りないグレーゾーンも含め、二次障害として視界に入った人が気になる問題が起こりやすい傾向が見られます。

HSPは人の気持ちに敏感であるがゆえ、他人の些細な反応にも気付いて意識が向いてしまう。

ADHDは注意力が散漫で目の前のことに集中しづらいから視界に入った人に意識が向きやすい。

単純にHSPかADHDであれば視界に入った人が気になってしまうとは言えませんが、今までのカウンセリング事例からも関連が深いことが証明されています。

他者からの評価への依存

視界に入った人が気になる原因として「他人が自分をどう見ているか」という他人からの評価への依存があります。

相手に嫌われたくない気持ちが強いから相手にどう思われているかが気になって意識してしまう。意識することで相手に嫌がられるのはわかっているけど気になって仕方がないからどうしても意識してしまう。

自信がなくて他人の反応にビクビク、オドオドしている状態をイメージしていただければわかりやすいかと思います。

自分で考えて実行すること、結果を出すためにどうすればいいかを考えながら試行錯誤し続けること、自分の感情を上手くコントロールすること等の経験が少ないため、他人の評価に依存せざるを得ない状態になっているのです。

自分のことを自分でコントロールできる感覚がないから、視線もコントロールできず見てしまう側面があります。

怒りの感情の抑圧

例えば、凶器を持っているとか奇声を発しているとか、明らかに危険だとわかる人がいたら誰でも警戒して意識を向けますよね。

視界に入った人に意識が向いてしまうのは警戒心の表れであり、まるで相手を危険人物であるかのように見ている状態だと言えます。

なぜ他人を危険人物のように見てしまうのでしょうか?

それは「投影」と呼ばれる心理現象によって自分の不満や怒りが他人に映し出されているからです。

不満や怒りを抑圧している人ほど他人に恐怖を感じやすく、視界に入った人に意識を向けざるをえない状態になっています。

視界に入る人が気になる度合いは強まっていく

「見てはいけない」という意識

人間の視界は180~200°くらいと言われていますので、意識的に見ようとしていない人が視界に入るのは珍しいことではありません。

例えば、電車でうつむいてスマホをいじっていたとしても、隣の人の体や前に立っている人の足が視界に入ります。

その中で気になる対象があれば自然と視線が向くことはあるのですが、自分が見られることに対して敏感だと相手も見られるのが嫌ではないかと思いやすい。

だから、見てはいけないと思うようになって、視界に入った人を意識するようになります。

視界に入れてしまった人への罪悪感、見てしまう自分が許せない怒り、自分が変に思われたのではないかという不安が出てくることで、視界に入る人への意識がより強化されていくのです。

見れないから余計に怖くなる

見てはいけないという意識が強いことで周りを見ないようにしています。

なんとなく視界に入れても見ないとなると、相手がどんな顔していて、どんな動きをしていて、どんな感じの人なのかがわからない。

例えば、家で1人でいるときにガタッと物音がして「もしかしてドロボー?」と気になっても、実際にその場を確認して風でドアが閉まっただけだとわかれば安心しますよね。

逆に確認せず放置したら「ドロボーかもしれない」という疑念が残ったままになって安心できません。

視界に入った人が気になって仕方がないのに、相手を確認できないことも怖さを強める要因になっているのです。

視界に入れた相手が嫌がっていると思うのはなぜ?

確証バイアスの影響

視界に入れてしまうことで相手が何かしらの反応をすると言う人は多いですが、確証バイアスの影響が大半であると言えます。

確証バイアスは社会心理学の用語で『思い込みの強化』を意味しており、自分が思い込んだ内容を裏付ける情報ばかりに目を向け、逆に否定する情報はスルー、どんどん自分の思い込みを確信へと変えていくものです。

「なんか見てきて気持ち悪い」と自分の方を向いて言われた。視界に入っている人が咳払いをした。電車で隣に座っていた人が別の席に移動した…

人が視界に入っていて何も起こっていないときもあるはずなのに、それはすべて見落として相手の反応が変わったと感じたときだけをピックアップしてしまう状態になります

ただ、事実として横目で睨んで絡まれたり、見ないで欲しいと直接言われたケースもありますので、全てが全て確証バイアスの影響によるものとは言い切れません。

直接見なかったとしても電波を飛ばしているから不快な思いをさせるんだとおっしゃる方もおられますが、客観的に考えて電波を飛ばすというのは人間の能力として至難の技ではないかと思っております。

人を視界に入れてしまうことを気にするあまりキョドキョドして不自然な態度をとっていたり、不安や緊張で違った雰囲気を出しているために変な目で見られることが、もしかするとこの電波という表現に該当する部分なのかもしれませんね。

一対一の因果関係

「自分が視界に入れた」ことが原因で「相手が反応した」という結果が起こったと考えていますが、物事の因果関係というのは一対一ではありません。

以前私がマクドナルドに行ったときの事例でご説明します。

カウンター席で食事をしていると、隣にいた大学生くらいの男性がテーブルに物を叩きつけて席を立ち、「あー」と苛立った声を上げて帰って行ったことがありました。

隣の席が2つ空いていたのに自分の方に詰めて座られたのが嫌だったのか、勉強か何か上手くいかないことがあってイライラしていたのか、私が視界に入ったことで集中できなくなってイライラしたのか、体調が悪くてイライラしていたのか、店内が混んでいたことでイライラしていたのか。

いくつか挙げましたが、どれか一つだけが原因とは言えません。

室温、天気、体調、におい、音、光、時間帯、性格、思考、感情、かかわった人、過去の出来事…

結果は様々な原因が重なって生まれています。

自分が人を視界に入れたことと相手の反応を一対一で結び付けているから、自分のせいで相手に不快な思いをさせたとしか思えなくなっているのです。

人が視界に入っても目の前のことに集中しやすくするための対処法

自分が集中しやすい本来の体勢に戻す

「どうすれば人を視界に入れないようにできるか」と考え、対策を打っている人がほとんどです。

職場であればパソコンの向きを調整したり、座る位置や体の向きを変えてみたり。

集中できないと仕事が進まないから必死にやります。

しかし、人を視界に入れないようにするほど不自然な体勢になるから集中しづらくなってしまう。

集中できるようになるためには、自分が集中しやすい体勢にすることが必要なのです。

「本来の自分の体勢はどんな感じだったのか?自分はどういう状態なら集中しやすいのか?」を考えた上で少しでも近づけてみてください。

実際に体勢を変えたら集中しやすくなったと言う人は何人もいました。

視界に入った人がどうしても気になってしまうので、なかなか難しいとは思いますができる範囲でやっていただければと思います。

緊張を緩和させる

人が視界に入って集中できないときはものすごく緊張しています。

緊張状態だから周りの些細な反応にも過敏に反応、注視する視線の向け方になってしまうのです。

人はリラックスしているときに自然と集中します。

だから、「目の前のことに集中しよう」と意識を強めるのではなく、リラックスで集中できる状態を作ることが効果的です。

呼吸法が有効なのですが、一般的な腹式呼吸ではなかなか深い呼吸ができずリラックスできません。

効果があるのは息を吸ったときにお腹がへこみ、吐くときにお腹が膨らむ逆腹式呼吸。もしくは、息を吸って一旦息を止め、心の中で5秒数えてから吐き出す方法になります。

どちらか自分に合う方を使ってみてください。

人が視界に入ると集中できない状態を改善するために

自分の中に蓄積された不満や怒りに気付く

まずは抱え込んだ不満や怒りの感情に気付いていくところから取り組んでいきます。

親子関係や学校生活などでずっと我慢してきたこと、我慢させられてきたことはありませんか?

自分では我慢と気付けないまま我慢してきた人も非常に多いです。

とくに親子関係では無意識に正当化して自分を納得させてきた人が多いので気付きにくいと思います。

まずできることは日々の生活で自分の感情の動きに目を向けること。

不満や怒りにつながる感情、人間の一番原始的な感情と言われる「不快」を探してみてください。

そして、「嫌(嫌悪)」「嫌い」へと順番に少しずつやっていきましょう。

人が視界に入ると集中できない状態の人は、相手に迷惑をかけないことを大前提と考え、自分が嫌だと感じないようにしていることが多いです。

本当は嫌いな相手なのに嫌いだと思わないようにしている人も少なくありません。

カウンセリングでは本来あるはずの感情を知ることができるため、自覚しづらい感情にも気付きやすくなります。

過去の不満や怒りと折り合いをつける

自分の中にどれだけ不満や怒りが蓄積されているかを知るだけでも変わります。

「これだけの不満や怒りがあるから視界に入る人に不安や恐怖を感じるんだな」と納得できてくるからです。

ただ、不満や怒りを抱えている以上、どうしても視界に入る人に意識が向いてしまうため、過去の未消化の感情も含めて折り合いをつけていくことが必要となります。

親に本当はやりたくない勉強を無理やりさせられ、いい子でないと受け入れてもらえなかった悲しみ、怒りがあるなら書き出してみる。

本当はどうして欲しかったのか、本当はどうしたかったのか。当時の感情も交えて。

振り返ってみてもよくわからない、当時は何も感じていなかったのなら「たぶんこういう気持ちだったんじゃないか」と予想するでもかまいません。

簡単ではありませんが、繰り返していくうちに少しずつ折り合いがついてきます。

頭ではなく心で納得することがなかなか難しいため、上手くいかない場合はカウンセリングをご利用ください。

他人と自分の境界線を引けるようにする

「自分が視界に入れたら相手が嫌な思いをするに違いない」という自分の考えを相手に押し付けているから、相手も自分と同じくらい視線に対して過敏だと思ってしまう。

「でも、実際は気にしない人もいるわけだし相手によって変わるはず」と頭では理解していても感覚的に理解できていないからどうしてもそう考えてしまいます。

自分が視界に入れることで迷惑を掛けてしまうから人とのかかわりを避ける。

避けることによってどんどん自分の考えに固執する。

自分の考えに固執することによって自分が視線を気にするのと同じくらい他人も視線を気にすると思い込んでしまう。

余計に意識が向いて迷惑を掛けてしまうことを気にして人とかかわれなくなる。

この悪循環を改善するために人とのかかわりは必須となるのです。

できるだけ多く他人の価値観や考えに触れていくことによって自分の考えの視野が広がり、「自分はこういう風に考えるけど、あの人はこう考えるんだな」と線引きができるようになります。

自分の人生の主役を見つけ出しそのために生きること

人が視界に入ることを意識してしまうのを止められない、これはそもそもどうでもいいことであって役でいうと脇役みたいなもの。

ドラマで言えば極端な話エキストラのレベルですから、ドラマ見てるのに主役じゃなくてエキストラの人ばっかり気にしているような状態ですね。

もし、エキストラが知り合いだったとか一目惚れしたとかなら話は別ですが、そうでない場合にドラマでエキストラばっかり追いかける人はいないと思います。

なぜそうなってしまうのか?

それは自分の主になるはずのものを見失っているから。

自分がどうしたいのか、どうなりたいのか、どう思ってどう感じてといった自分の本音が薄れていることで脇の優先順位が上がっているのです。

自分の人生においてもっとも大切なことは「人を視界に入れてしまうかどうか」ではありません。

本当に大切なことが何なのかをカウンセリングを受けながら見つけ出し、その大切なことのために生きられるようになれば視線を過度に意識することはなくなります。

人が視界に入ると集中できず、学校や職場でつらい思いをしておられるのであれば一度ご相談ください。

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