視界に入った人を気にする女性

集中して授業を受けることができず内容がまったく頭に入ってこない。

日中はデスクワークがほとんどできずいつも残業して何とか終わらせている。

視界に入った人が気になって目の前のことに集中できない状態では学校や職場で支障をきたすから大変です。

なぜ人が視界に入ると集中できなくなるのか、どうすれば改善できるのかについてお伝えしていきます。

人が視界に入ると集中できなくなってしまう原因

生まれ持った性質による二次障害

人一倍敏感な性質であるHSPもしくは注意欠陥のADHD

いずれかの性質を持っている人は、診断が下りないグレーゾーンも含め、二次障害として視界に入った人が気になる問題が起こりやすい傾向が見られます。

HSPは人の気持ちに敏感であるがゆえ、他人の些細な反応にも気付いて意識が向いてしまう。

ADHDは注意力が散漫で目の前のことに集中しづらいから視界に入った人に意識が向きやすい。

単純にHSPかADHDであれば視界に入った人が気になってしまうとは言えませんが、今までのカウンセリング事例からも関連が深いことが証明されています。

他者からの評価への依存

視界に入った人が気になる原因として「他人が自分をどう見ているか」という他人からの評価への依存があります。

相手に嫌われたくない気持ちが強いから相手にどう思われているかが気になって意識してしまう。意識することで相手に嫌がられるのはわかっているけど気になって仕方がないからどうしても意識してしまう。

自信がなくて他人の反応にビクビク、オドオドしている状態をイメージしていただければわかりやすいかと思います。

自分で考えて実行すること、結果を出すためにどうすればいいかを考えながら試行錯誤し続けること、自分の感情を上手くコントロールすること等の経験が少ないため、他人の評価に依存せざるを得ない状態になっているのです。

自分のことを自分でコントロールできる感覚がないから、視線もコントロールできず見てしまう側面があります。

怒りの感情の抑圧

例えば、凶器を持っているとか奇声を発しているとか、明らかに危険だとわかる人がいたら誰でも警戒して意識を向けますよね。

視界に入った人に意識が向いてしまうのは警戒心の表れであり、まるで相手を危険人物であるかのように見ている状態だと言えます。

なぜ他人を危険人物のように見てしまうのでしょうか?

それは「投影」と呼ばれる心理現象によって自分の不満や怒りが他人に映し出されているからです。

不満や怒りを抑圧している人ほど他人に恐怖を感じやすく、視界に入った人に意識を向けざるをえない状態になっています。

人が視界に入っても目の前のことに集中しやすくするための対処法

自分が集中しやすい本来の体勢に戻す

「どうすれば人を視界に入れないようにできるか」と考え、対策を打っている人がほとんどです。

職場であればパソコンの向きを調整したり、座る位置や体の向きを変えてみたり。

集中できないと仕事が進まないから必死にやります。

しかし、人を視界に入れないようにするほど不自然な体勢になるから集中しづらくなってしまう。

集中できるようになるためには、自分が集中しやすい体勢にすることが必要なのです。

「本来の自分の体勢はどんな感じだったのか?自分はどういう状態なら集中しやすいのか?」を考えた上で少しでも近づけてみてください。

実際に体勢を変えたら集中しやすくなったと言う人は何人もいました。

視界に入った人がどうしても気になってしまうので、なかなか難しいとは思いますができる範囲でやっていただければと思います。

緊張を緩和させる

人が視界に入って集中できないときはものすごく緊張しています。

緊張状態だから周りの些細な反応にも過敏に反応、注視する視線の向け方になってしまうのです。

人はリラックスしているときに自然と集中します。

だから、「目の前のことに集中しよう」と意識を強めるのではなく、リラックスで集中できる状態を作ることが効果的です。

呼吸法が有効なのですが、一般的な腹式呼吸ではなかなか深い呼吸ができずリラックスできません。

効果があるのは息を吸ったときにお腹がへこみ、吐くときにお腹が膨らむ逆腹式呼吸。もしくは、息を吸って一旦息を止め、心の中で5秒数えてから吐き出す方法になります。

どちらか自分に合う方を使ってみてください。

人が視界に入ると集中できない状態を改善するために

自分の中に蓄積された不満や怒りに気付く

まずは抱え込んだ不満や怒りの感情に気付いていくところから取り組んでいきます。

親子関係や学校生活などでずっと我慢してきたこと、我慢させられてきたことはありませんか?

自分では我慢と気付けないまま我慢してきた人も非常に多いです。

とくに親子関係では無意識に正当化して自分を納得させてきた人が多いので気付きにくいと思います。

まずできることは日々の生活で自分の感情の動きに目を向けること。

不満や怒りにつながる感情、人間の一番原始的な感情と言われる「不快」を探してみてください。

そして、「嫌(嫌悪)」「嫌い」へと順番に少しずつやっていきましょう。

人が視界に入ると集中できない状態の人は、相手に迷惑をかけないことを大前提と考え、自分が嫌だと感じないようにしていることが多いです。

本当は嫌いな相手なのに嫌いだと思わないようにしている人も少なくありません。

カウンセリングでは本来あるはずの感情を知ることができるため、自覚しづらい感情にも気付きやすくなります。

過去の不満や怒りと折り合いをつける

自分の中にどれだけ不満や怒りが蓄積されているかを知るだけでも変わります。

「これだけの不満や怒りがあるから視界に入る人に不安や恐怖を感じるんだな」と納得できてくるからです。

ただ、不満や怒りを抱えている以上、どうしても視界に入る人に意識が向いてしまうため、過去の未消化の感情も含めて折り合いをつけていくことが必要となります。

親に本当はやりたくない勉強を無理やりさせられ、いい子でないと受け入れてもらえなかった悲しみ、怒りがあるなら書き出してみる。

本当はどうして欲しかったのか、本当はどうしたかったのか。当時の感情も交えて。

振り返ってみてもよくわからない、当時は何も感じていなかったのなら「たぶんこういう気持ちだったんじゃないか」と予想するでもかまいません。

簡単ではありませんが、繰り返していくうちに少しずつ折り合いがついてきます。

頭ではなく心で納得することがなかなか難しいため、上手くいかない場合はカウンセリングをご利用ください。

視線のことが気になりながらも人とのかかわりを持つ

「自分が視界に入れたら相手が嫌な思いをするに違いない」という自分の考えを相手に押し付けているから、相手も自分と同じくらい視線に対して過敏だと思ってしまう。

「でも、実際は気にしない人もいるわけだし相手によって変わるはず」と頭では理解していても感覚的に理解できていないからどうしてもそう考えてしまいます。

自分が視界に入れることで迷惑を掛けてしまうから人とのかかわりを避ける。

避けることによってどんどん自分の考えに固執する。

自分の考えに固執することによって自分が視線を気にするのと同じくらい他人も視線を気にすると思い込んでしまう。

余計に意識が向いて迷惑を掛けてしまうことを気にして人とかかわれなくなる。

この悪循環を改善するために人とのかかわりは必須となるのです。

できるだけ多く他人の価値観や考えに触れていくことによって自分の考えの視野が広がり、「自分はこういう風に考えるけど、あの人はこう考えるんだな」と線引きができるようになります。

⇒脇見恐怖症と呼ばれる症状の克服とカウンセリング