人目が気になる女性

人の目が気になるのは誰しも少なからずあります。

「自分がどう見られているか」「自分がどう評価されているか」は社会生活をしていく上で意識せざるをえないですからね。

ただ、意識しすぎるがあまり、買い物に行けない、美容室に行けない、仕事に行けない、学校に行けない、家から出ることさえできないとなると生活に支障をきたします。

なぜそこまで人の目が気になってしまうのでしょうか?

「自信がないから?」と思いがちですが、そんなに単純な話ではありません。

視線恐怖症のカウンセリング経験で気付いた人の目が気になる原理、克服方法をお伝えしていきます。

人の目が気になる心理

自分が嫌い

人の目が気になる人は自分のことが嫌い、嫌いまでいかなくてもあまり良く思っていません。

長所と短所をあげてもらうと短所ばかり出てくる状態の人がほとんどです。

自分に対してネガティブな印象を持っているから、他人にも同じように見られていると思う。

「変に見られている」と思うのは、自分が自分のことを変だと思っているからなんですよね。

日々の生活で上手くいかなかったこと、できなかったことばかりに焦点を当て「自分はダメだ」「ポンコツだ」等と自己否定をしやすい傾向が見られます。

人に嫌われるのが怖い

自分には好かれる要素がない、良いところなんてないと思っていながらも嫌われたくない気持ちが強い。

だから、人に嫌われる可能性が高い本当の自分を隠し、周りに合わせて自分を作っている。

嫌われるというのは拒絶されることでもあるため、他者からの拒絶による孤立「社会的な死」を恐れる心理が働いています。

他人に嫌われることが怖いから、どうしても人の目が気になってしまうわけです。

認められたい気持ち(承認欲求)の強さが嫌われることへの怖さを助長しているところもあります。

他者への依存

相手にとって都合の「いい人」であろうと相手に合わせ続ける。

自分を見失ってよくわからなくなるから、相手に合わせるしかなくなっていく。

何か聞かれても「どっちでもいいよ」「何でもいいよ」と他人任せ。

まるで自分の人生が他人次第、自分でコントロールできると思えなくなります。

他人が自分の人生を決めるのであれば、他人の目ほど重要なものはありませんよね。

他者への依存心が強いことで人の目を気にせざるをえない状態になっていると言えます。

人の目が気になる原因とは?

人の目の原点は「親の目」

人の目と言えば学校や職場、外でのことをイメージすると思います。

たしかに今は外での視線が気になっていることでしょう。

しかし、原点は親の目にあります。

世間体ばかり気にする親の基準は、人様に迷惑をかけないかどうか、他人に見られても恥ずかしくないかどうか。

親の機嫌をうかがって「いい子」にしていた人ほど人の目が気になりやすい傾向が見られます。

親の目を意識して過ごしてきた幼少期が、他人の目を気にする現在につながっているのです。

人間関係が希薄な時代

日本人は昔から世間の目を強く意識する傾向がありましたが、最近になってさらに人の目を気にする人が増えてきたようです。

NHKのハートネットTVで2016年2月3日に「山田賢治のメンタルヘルス入門 ~視線の恐怖~」が放送されたり、ネットニュースで取り上げられたりしていることからも裏付けられます。

原因として考えられるのは、PC、スマートフォンの普及や映像コンテンツの進化など、視覚優位の生活。

視覚優位の生活をしているから「見ること」に意識が向きやすい。逆に「見られる」ことにも意識が向きやすくなり、人の目を気にする度合いが強まるわけです。

また、時代の流れと共に人間関係が希薄になったこと、メールやSNSの普及により微妙な距離感で接する機会が増えたことも影響しているでしょう。

お互いにどこか安心できない不安を抱えたままの関係が多いから警戒せざるを得ない。

警戒心が人目を気にすることに現れているということです。

高校生が人の目を気にしやすい理由

思春期は誰もが自意識過剰になる

思春期真っ只中の高校生が「人からどう見られるか、どう思われるか」に敏感なのはおかしいことではありません。

性欲がピークに向かう時期となる男子は女子からの目をとくに意識し、世の中の男性から性の対象として見られるようになる女子は男性からの目を意識する。

これは人間の成長過程において誰もが経験することだからです。

青年期は,生物学的および心理社会的に著しい変化を遂げる時期である.加えて,様々な対人関係上の葛藤や不安を体験し,それに対処する心理社会的な適応機能を獲得していく時期でもある.そのような中で,他者から自分がどう見られているかを気にするあまり,自意識過剰や対人過敏になりやすい

引用元:自己関係づけと対人恐怖心性·抑うつ·登校拒否傾向との関連、2003、日本パーソナリティ心理学会

そもそも日本人は周りの目を気にする文化が根付いているのでより敏感になってしまうところがあります。

生まれながらの気質と親子関係や学校生活などの環境要因が重なることで、高校生になって対人恐怖症を発症するケースも少なくありません。

「対人恐怖症かも?」と思って調べる高校生が多いのもうなずけます。

自我同一性の獲得に失敗すると人目が気になったままに

思春期が始まる小学校高学年くらいから少しずつ自分の価値観が芽生えてきます。

親の価値観がすべてだったのが、学校を中心とする他者とのかかわりによって自分なりの価値観を持つようになるのです。

そして、中学、高校に進むにつれ親の価値観と衝突が起こり、反抗期を迎えていく。

自立へと向かう気持ちと親に依存したい気持ちとの葛藤に苦しみながらも、他人との境界線を引いて自分と切り離せるようになります。

高校生頃になると、次第に「自分は自分、他者は他者」という感覚が育ち、自分と違う面を持つ他者を受け入れることが可能になります。これは自我同一性の獲得の基盤ができたことを意味します。

参考:e-ヘルスネット「思春期のこころの発達と問題行動の理解」

しかし、親の過干渉などの影響によって自分の価値観が育たず心が自立に向かわない。

他人との境界線が引けないままでいると、自分が思っていることを他人も思っているような感覚になります。

自我同一性(アイデンティティ)獲得の基盤ができていない人は、ずっと思春期のような感覚のまま人目が気になり続けるのです。

人の目ばかり気にしていると問題が起こる

思い込みが強くなり客観視できなくなる

人の目が気になることで悩んでいたAさんと、同行カウンセリングでショッピングモールに行ったときの話です。

Aさんが商品の説明をしてもらおうと店員さんに話しかけたのですが、その店員さんはなぜか話しかけたAさんではなく隣にいた私と目を合わせて話し出しました。

Aさんは店員さんが目を合わせてくれないのは「自分が変だと思われたからだ」と思っておられましたが、私が見た実態は違ったのです。

店員さんに話そうと意気込んでいたAさんは、目を合わせ続けて必死に店員さんの話を聞いていました。

これは相手が深刻な話をしているとき、もしくは、言いづらいことをカミングアウトしてきたときに適した対応です。

しかし、今回は商品の説明をしてもらうだけなので、そんなに真剣に聞かれたら変なプレッシャーを感じて喋りづらくなりますよね。

だから、店員さんは私と目を合わせて話したわけです。

このように他人の目ばかり意識していると、相手の反応を客観視できなくなっていきます。

「悪口を言われているんじゃないか」と思ったりするのも、客観視できない状態が生み出す症状です。

人と仲良くなれない

人の目を気にしていると「自分がどうしたいか」ではなく「相手がどうしたいか」を優先して合わせるようになります。

自分が仲良くしたいと思っても、相手が明らかに好意的な態度を見せてくれない限り近づいていけない。

相手の様子をうかがいながら距離を取ってかかわるため、仲良くなるまでに時間がかかる、もしくはどれだけ時間をかけても仲良くなれないこともあります。

相手の反応をネガティブに捉えて、他人に悪く思われているとしか考えられない。人とのかかわりを避けるようになり、余計にどう思われているかが気になってしまう。

上手くいかない原因は自分にあると考え、自分はなんてダメなんだと自信を失っていきます。

自分の殻に閉じこもり壁を作ってしまうから、仲良くしようとしてくれた人も離れていく。

思い込みではなく本当に嫌われてしまう危険性も出てくるのです。

自分の人生を生きられない

親に認めてもらうため勉強して良い点数を取り続けた。

学校では問題を起こさず先生の言うことをちゃんと聞く真面目な生徒。

自分がしんどくても友達の相談に乗り、頼まれごとは断らない。

いい大学に入っていい会社に就職して、結婚して子供ができて。

周りから見ればすべてが上手くいっているように見える理想の家庭。

でも、他人の目を気にしてやってきたことばかりならすべてが虚しいものになります。

どれだけ他人に称賛されても、自分の人生を生きられなければ心は満たされないのです。

昔は良い大学を出て、良い会社に入って、終身雇用で老後を迎えるという流れに乗ることで人生に意味を見出すことはできましたが、今は昔と違ってそんな保証された道はありません。

自分で選び、責任を負って生きていくことが必要になっているため、人の目を気にしてばかりでは生活することも困難になっていきます。

人の目が気になる状態を克服する方法

自分の思い込みから抜け出す

人の目を気にしている人は、相手の反応を自分が気にしていることと結びつけて苦しむ傾向があります。

事実はどうなのかを確認できないまま、人の視線を感じるたび「また変に見られた」と思い込んで悩む。

これを繰り返していくうちに、頭では「自分のことなんて誰も気にしていない」とわかっていても、見られている感覚が消えない状態になっているのです。

人から見られているという思い込みは自分の感覚であるため、人とかかわって他人の感覚に触れれば触れるほど修正されやすくなります。

ただ、自分から積極的に人とかかわっていくのは難しいと思いますので、まずは人とのかかわりを「なるべく避けないこと」を意識してみてください。

カウンセリングでは、人の目が気になる過剰な自意識を緩和する働きかけをおこない、「自分の見た目がおかしいから見られたんじゃないか」といった思い込みから抜け出していきます。

自分にとって大切なことに目を向ける

人の目をコントロールできればいいのですがそれは無理ですよね。

人が見たいと思ったものを見て生活している以上、たまたま自分がその対象になれば見られることから逃れられません。

他人の視線はコントロールできないので、自分の視線への意識をコントロールしていくことが必要になります。

もし、視線を気にする悩みがなかったとすれば、何を考えているでしょうか?

今は人からどう見られているかばかり考えていると思いますが、それは自分の人生にとって重要なことではないはずです。

好きなこと、興味関心があること、やっておいた方がいいこと…

自分がどう見られるかよりも大事なことがあることに気付きましょう。

カウンセリングは、自分のことを話していただく場となるため、自分にとって大事なことに気付くキッカケとなります。

自分の軸をしっかりと持つ

人の目ばかり気にしてしまう状態を改善する上で一番大切なのは自分にしっかりと軸を持つことです。

自分に軸があれば相手次第ではなく自分次第の感覚になるため、「自分がどうしたいか、何をしたくないか、どうなりたいか」で物事を判断できるようになります。

まずはニュースや普段の出来事に対して自分がどういう考えを持っているか、どう思っているかに焦点を当て、ノートかスマートフォンのメモに書き残すようにしてみてください。

世間一般の常識から外れていることでも他人から変に思われそうなことでも自由に書くことが大切です。

カウンセリングでは、自分の価値観や感じ方、考え方、特徴などを知っていくところから始めていきます。

本当の自分を知り、認めることができればできるほど自分に軸ができ、人の目が気にならない状態になっていくのです。

他人が自分をどう見るか、どう思うかはその人その人の価値観次第であり、いくら自分が頑張って「こう見て欲しい」と思っても思い通りにはなりません。

自分でコントロールできない他人の目に悩まされる日々はもう終わりにしましょう。

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