カウンセリングは心理学の知識や臨床経験等をもとにカウンセラーが「今抱えている問題をどうすれば解決できるか」を一緒に考えてくれるものです。

病院に行って処方された薬を飲めば治るのと同じように、症状を伝えたらあの手この手を使って治してもらえるイメージを持つ方は多いですが、カウンセリングは治してもらうものではありません

自分から話をして自分自身と向き合い、カウンセラーからの質問やアドバイスというサポートを受けながら自分で問題を解決していくもの。

カウンセリングを受ける毎に必ず大きな気付きが得られるわけではありませんが、自分のことを話して「ああでもない、こうでもない」と葛藤することも改善につながる大切な過程です。

また、カウンセラーという一人の人間との関わりの中でありのままの自分を表現して受け入れてもらえる安心感もカウンセリングの意義として大きいのではないかと感じています。

家族や世間一般に認めてもらえないような話をしても否定されることはなく、自由に自分が思っていることや感じていることを話すことで自分軸を取り戻し自己肯定感を高めていくことができるからです。

話をすることで混乱している頭の中がスッキリと整理されて自分で解決策が見えてくるケースもありますので、まずはじっくりお話を聴かせていただくことも大切だと思っております。

カウンセリングで自分のことを知ることの大切さ

自分がどういう性質を持っているのか、どういう考え、価値観を持っているのか、過去の出来事でどういう気持ちを抱えていたのか…

わからないままでは「なぜこんな状態になるんだ」と否定的に見てしまうことも、自分を知ることで「自分はこういう性質を持っているからこうなるんだな」と納得して受け入れることができるようになります。

例えば、自分が発達障害HSPを抱えていることを知れば、日々の上手くいかないことに対しても肯定的に見られるようになるわけです。

そして、性質だから変わらないものであり、変えようとするのではなく「どう付き合っていくか」を考えるようになる。

変えられないものを変えようとすることによる問題も今の悩みを生み出す原因となっていますので、少しずつカウンセリングで自分のことを話して自分を知っていくことが大切なのです。

カウンセラーからのアドバイスによる効果

基本的にはカウンセラーに話をしていくことだけでも上記のような効果が得られるため問題を解決していくことはできます。

その効果をさらに高めることができるのが、十分にお話をお聴きした上でおこなうアドバイスです。

ただ、良いアドバイスをもらえたら今抱えている問題が解決するという話ではありません。

初めてカウンセリングを受ける方は即効性の高いアドバイスを求めがちですが、それよりもまずはじっくりと自分の話をして受け入れてもらいながら自分自身の内面としっかり向き合うことが大切です。

カウンセリングを始めてすぐの頃は話をしていただくことがほとんどになりますが、継続していく中でカウンセラーからその段階に応じたアドバイスをもらえるようになります。

良いアドバイスをもらっても自分ではそのアドバイスを活かせないんじゃないかと不安を感じる方もおられますが、そのときそのときの状態に合わせたことを実践可能かどうか確認した上でお伝えしておりますのでご安心下さい。

カウンセリングのメリット

見失った本音に気付くことができる

親子関係等の影響で我慢することが当たり前になると、自分の感情を麻痺させて心を守る機能が人間には備わっています。

だから、自分では「これが本音だ」と思い込んでいることが実は違っていたりするわけです。

客観的に見れば嫌だと思って当然、怒り狂ってもおかしくないことなのに何も感じない。

カウンセラーとの対話で気持ちに焦点を当てていく中で少しずつ気付くことができます。

無意識レベルの本音と意識していることのギャップが症状を生み出すため、本当の本音に気付けるかどうかは非常に重要なのです。

理解してもらえることで安心できる

家族に話しても友達に話しても理解してもらえない。

理解しようとしてくれているならまだしも、「気にしすぎだ」「誰も見ていない」「お前が弱いだけじゃないのか」等と言われることも多いです。

自分のつらさをわかってほしくて勇気を出して話したのに…

症状のつらさだけでなく周りに理解してもらえないというのもつらいものです。

誰にも理解してもらえなかったことをカウンセラーに話せば理解してもらえる、受け止めてもらえる。

今まで一人で抱えていた孤独感のようなものが薄れていく。

自分と同じ悩みを抱えている人がいるという事実も安心感につながります。

頭の中の混乱が落ち着く

日々マイナス思考で落ち込んでいるとありもしないことまで考えて不安や恐怖を膨らませてしまうものです。

カウンセラーに話す中で「あれっ?改めて考えてみたらそんなに悩むことじゃなかったな」と気付けたり、カウンセラーからの質問やアドバイスによって今どうすればいいのかが見えるようになってくる。

不安や恐怖のメカニズムを知ることができれば、「ああ、今は睡眠不足のせいで過敏に反応してしまうんだな」とか「もともと敏感な性質を持っているから気になるだけなんだな」と納得できることも増えていく。

頭の中の混乱が落ち着いて冷静な自分を取り戻すことができます。

考え方の視野が広がる

マイナス思考で悩み続けていると視野が狭くなり物事の一面しか見えなくなるため、自分勝手なマイナスの解釈から抜け出せなくなります。

かといって、無理やりプラス思考になろうとしても感情がついてこない。

カウンセラーとの対話で感情に折り合いをつけながら視野を広げていけるので、マイナス思考で自分を責め続ける日々から抜け出しやすくなります。

他人の反応に対しても偏った見方をして実際に関係を悪化させてしまうケースも多いです。

一つの可能性だけでなく複数の可能性を考えられるようになれば、仕事も人間関係も上手くいくようになります。

「克服できるかも」と思えるようになる

一人で考えて抱え込んでいた悩みをカウンセラーが一緒に解決策を考えて提示してくれるので、自分だけでいくら考えても気付けなかったことに気付けたりと停滞していた状態が前に進むようになって症状が改善していきます。

一回ではなかなか難しいですが、回数を重ねていくうちに変化が実感できてくると克服できるかもと思えてくる。

「克服できない」が「克服できるかも」に変わるのは大きなことです。

一人では怖くて向き合えなかったことにも、カウンセラーが親身になって一緒に考えてくれることで向き合おうとする勇気も湧いてきます。

コミュニケーションの感覚や自信を取り戻すことができる

普段の生活では出せない本当の自分をカウンセリングの時間だけでも出していくことで自分のペースで話す感覚を取り戻す。

自分のペースで話せれば緊張することなく、湧き上がってきて話す感覚「話したいから話す」「聞いてほしいから話す」「聞きたいから聞く」で話せるようになる。

少しずつ日々の中でも出せるようになっていくことによって、対人恐怖症で悩む前の自分らしい自然なコミュニケーションの感覚や自信を取り戻すことができます。

カウンセリングのデメリット

自尊心が傷つく

自分の問題なのに自分で解決できずに誰かに相談せざるを得ないこと、見ず知らずの人に自分の悩みを打ち明けないといけない恥ずかしさを感じることになります。

日本におけるカウンセリングへの偏見がまだまだ強いため、「カウンセリングを受ける自分=異常」という感覚も出やすい。

とくに男性は「男たるもの弱音を吐いてはいけない」という文化的な固定観念もあるからカウンセリングを受ける自分はダメだと余計に思ってしまいます。

自発的な気持ちがないと効果が出ない

カウンセリングはマッサージとは違い、受けたら勝手に良くなっていくものではありません。

自分で話をして自分で行動して、現実を変えていくことが必要となります。

治してもらおうとしてカウンセリングを受けると期待していたものが得られない。

失望から怒りを抱えてより悪化していく危険性もありますのでご注意ください。

蓋をしてきたことに向き合わないといけない

代表例として過去の親子関係やいじめられた経験など。

人間には思い出すとつらいから無意識に思い出さないようにしていること、感じると耐えきれなくなるから感じないようにしていることがあります。

段階的に最低限のところだけだとしても、蓋をしていた部分と向き合っていかないといけないのはつらいものです。

本当の自分を知ることで苦しむことになる

自分自身と向き合っていくことによって、「こんな人はダメだ」「こんな人には絶対になりたくない」と思っている他人の悪い部分が自分の中にもあるという事実、世間一般でよくないとされる感情(怒り、憎しみ、蔑み、ずるさ等)を抱いているという事実を知る苦しみが出てきます。

また、万能感を抱いて何でもできると思っていたのが実はできないと知ることも痛みが伴うものです。

自分を認めるにあたって必要なことですが、知っていく段階では自己否定が強まって余計につらさを感じる面もあります。

疾病利得を失う

疾病利得とは病気であることによって得られる利益のことであり、今の症状を改善しないことで受けられるメリットがあります。

例えば、仕事をしなくていい、家族に心配してもらえる、何かにつけて言い訳がしやすい等。

カウンセリングを受けて症状が改善してしまうと、この疾病利得を失うことになってしまいます。

アドラー心理学では、すべての症状は自分が望んで生み出していると言われるほど。

疾病利得を失うデメリットは非常に大きいため、「自分は本当に改善したいのか」を問いかけたうえでカウンセリングに臨んでいただくといいのかもしれません。

その他

お金がかかるというのはよくデメリットとして挙げられますが、専門家に相談すると考えた場合、同じ専門家である弁護士や税理士と同等の料金であることからデメリットとしては挙げておりません。

確かに精神的に悩んでいる方にとって安い金額ではありませんが、改善できることを考えれば異常に高い金額ではないと言えるのではないでしょうか。

あと、カウンセラー自身に問題があり悪化させられるケースもあるのですが、これは論外なのでデメリットには含めておりません。

カウンセリングの継続について

カウンセリングに継続が必要な理由

最近は1回のカウンセリングで「今までなぜ克服できなかったのか」に気付かれる方も増えてきていますが、気付いたから克服できるかというと、そう簡単なものではありません。

なぜなら、対人恐怖症やうつ病、依存症などを発症させた原因が習慣として根付いているからです。

  • 相手の顔色を伺って相手に合わせる習慣
  • トラブルを恐れて思ったことを言わずに溜め込む習慣
  • 人に頼らず何でも自分で頑張って解決しようとする習慣
  • 少しでも上手くいかないと全部を台無しにしてしまう習慣
  • 他人のことばかり考えて自分のことを振り返らない習慣

こういった習慣が何年、何十年の中で無意識に根付いてるために、カウンセリングを受けて克服できる方向に軌道修正されたとしても、また何かふとしたキッカケですぐ元の状態に戻ってしまうのです。

それでも元の状態に戻ろうとしていることに自分で気付ければ軌道修正できるのですが、根付いている習慣が無意識であるため自分では気付けません。

ですので、定期的にカウンセリングを受けて軌道修正を繰り返すことがどうしても必要となるのです。

初回のカウンセリングですっきりして克服への方向性が見えると「もう大丈夫なんじゃないか」と思ってしまいがちですが、そう考えてしまうこと自体も今の症状を作り出している原因ですので気をつけてください。

※カウンセリングの効果が出なくなるため、継続する気持ちがない方に継続を強要することは一切ありません。

カウンセリングの継続と好転反応

カウンセリングを受け始めてすぐの頃、受ける前よりしんどい状態になることがあります。

例えば、イライラしやすくなったり、嫌だと思うことが増えたり、好きだった親をうっとうしく思うようになったり、体調を崩したり…

受ける前よりしんどくなったわけですから「カウンセリングを受けて悪化した」と思われるのは当然だと思いますが、実はこれは改善に向かっている証拠であり、良い兆し(好転反応)なのです。

なぜしんどくなるのか?

克服するためには抑え込んで見ないように感じないようにしてきた自分の本音と向き合っていく必要があるからです。

カウンセラーとの会話で今まで目を背けてきたことを少しずつ話すことになり、話していく中で自分の気持ちに気付きやすくなっていきます。

気付きやすくなることによって、今までは感じなかった自分の感情や本音が出てくるようになり、それを上手く表現できない現実にしんどさを感じるようになるのです。

カウンセリングは癒しではない

意外と勘違いされているのが、カウンセリングをヒーリングか何かだと思っておられるケースです。

こう考えている方の場合、カウンセラーに話をしてスッキリ(カタルシス効果)しやすい初回は満足されます。

しかし、数回受けていく中でしんどくなる時期に差し掛かるとやめてしまうのです。

癒されると思っていたはずがしんどくなるなんて、本人にしてみればありえない話ですからね。

本音と向き合う覚悟が必要

カウンセリングは自分の本心と向き合うことになりますので、症状のつらさを抱えながらでも本心を隠して今のままやっていきたいと無意識に望んでいる方はやめます。

ただ、そのやめ方に関してはある意味いいのかなと思っています。

表面的に克服したいと思ってカウンセリングを受けては見たものの、本心と向き合って本当の問題を乗り切るほどではなかったということですから、それを知れただけでもよかったのではと思うのです。

もし、カウンセリングを受けて続かなかったとしても、また別の問題に直面してカウンセリングを受ける。本質的な問題が解決されていないままではどこかのタイミングでまた問題が起きるわけですから、そのときにまた克服したいと思ってカウンセリングを受ける。

もしかすると、そこで本質的な問題と向き合う覚悟ができて克服できるのかもしれませんし、また同じように現状維持を選ぶのかもしれません。

克服するかしないかの選択

カウンセリングの継続はカウンセラーの力量や相性も影響するため、好転反応だけの話ではありません。

ただ、好転反応が出た時点でどうするかは自分が選ぶことになります。

続けるか、やめるか。

しんどいのを乗り越えて克服するか、しんどいのを避けて今まで通り現状維持するか。

カウンセリングはお金もかかるし、時間もとられる。

しかも、本質的な問題に向き合うことによるつらさを乗り越えないといけない。

と考えると結構続ける壁は高いですが、絶対に克服するんだという覚悟を持っているなら休みながらでも継続していただきたいなと思っています。