「カウンセリングを受けてみたいけれど、一度始めたらやめられなくなるのでは?」
「カウンセラーに依存して、一人で何も決められなくなったらどうしよう……」
悩みを解決したい気持ちがある一方で、このような不満や恐怖を抱えて一歩を踏み出せずにいませんか?
実は「カウンセリングへの依存」を心配される方は決して少なくありません。
むしろ、そうやって自分の未来や心の健康を真剣に考えているからこその健全な危機感だと言えます。
結論からお伝えすると、正しいカウンセリングはあなたを依存させるものではなく、むしろ「あなたの自立(自分の力で歩む力)」をサポートするためのものです。
なぜカウンセリングが依存に繋がらないのか、その仕組みと、安心してカウンセリングを利用するためのポイントをお伝えしていきます。
なぜ「依存してしまうかも」と不安になるのか?
まず「依存しそうで怖い」と感じるのはなぜか、その心理を紐解いてみましょう。
心が弱っているときや、一人で重大な決断を下せないとき、誰かに話を聴いてもらい、受け入れてもらう時間は、砂漠で見つけたオアシスのように心地よいものです。
「こんなに心地よい場所なら、ずっとすがりつきたくなるかもしれない」
「先生の言う通りにしていれば安心だから、自分で考えなくなってしまうかも」
そう考えてしまうのは、人間としてごく自然な防衛反応です。
しかし、カウンセリングというサービスの本質を知ればその不安はスーッと消えていくはずです。
カウンセリングのゴールは「依存」ではなく「自立」
カウンセリングと友人や家族への相談との最大の違いは、明確なゴール(終結)を設定している点にあります。
カウンセリングの本当の目的は、あなたの悩みを代わりに解決することでも、進むべき道を指示することでもありません。
カウンセリングの真の目的
カウンセリングでは相談者(クライエント)が自分自身の力で問題を整理し、受け入れ、これからの人生を自分の足で歩んでいけるようになること(=自立)を目指します。
医療で例えるならカウンセラーは「松葉杖」のようなものです。
足を怪我して歩けないときは松葉杖を使って歩く練習をしますが、怪我が治れば松葉杖は不要になりますよね。
カウンセラーも同じ役割だと思っておいてください。
精神的に自立して一人で歩けるようになるまでの一時的な支えとして存在しています。
カウンセラーが「依存させない」ために行っていること
プロの公認心理師や臨床心理士、カウンセラーは、相談者が自分に依存しないよう、明確な「倫理規定」と「技術」を持ってセッションを行っています。
答えを誘導せずクライエントの判断を尊重する
カウンセラーは「離婚しなさい」「その仕事はやめなさい」といった指示は原則としておこないません。
基本的に傾聴という手法でしっかり話を聴き、頭の中を整理するお手伝いをします。
最終的に「どうするか」を決めるのはどこまで行ってもクライエント自身です。
自分で決める体験を積み重ねることによって心理的成長が促され、自立心が育っていきます。
適切な境界線(バウンダリー)を保つ
カウンセラーとクライエントの間には厳格な境界線があります。
- カウンセリングの時間外(プライベート)での連絡は取らない
- 二人きりで遊びに行ったり、友達関係になったりしない
- カウンセリング以外のサービスや物品の販売をしない
- 料金と時間のルールを厳格に守る
こういった明確な線引きがあるからこそ、過度な依存が生まれにくい環境が保たれているのです。
公認心理師が守らないといけない「公認心理師法」によって取り決めされている内容でもあります。
自己理解を深めて安定した状態で対応する
カウンセラー自身が不安定な心理状態であったり、自分の欲求や感情を把握できていなかったりする場合、クライエントを依存させてしまう確率は高くなります。
依存につながりやすい代表的なものとして挙げられるメサイアコンプレックスは、自分が抱えている劣等感や無価値感を相手のメサイア(救世主)となることで解消しようとする心理です。
カウンセリングをおこなうにあたって依存させてしまう可能性がある要素が自分の中にないかどうか、あったとすればどうやって付き合っていくのかを考えて対応しています。
安心して受けるために知っておきたい「良い依存」と「悪い依存」
心理学の世界では、すべての依存が悪とされるわけではありません。
| 依存の種類 | 状態 | カウンセリングでの位置づけ |
| 一時的で健康的な依存 | 辛い時期に専門家の力を借りてエネルギーを充電する | 推奨される状態自立するための準備期間 |
| 不健康な依存(過度の依存) | 自分で考えることを放棄し、カウンセラーの意見がないと行動できなくなる | 避けるべき状態 |
誰しも幼少の頃は親に依存していますが、成長と共に自立へと向かいますよね。
親にしっかり依存する、甘えることができている人の方が自立しやすく、逆に依存しきれなかった、甘えることが許されなかった人の方が自立しづらい。
カウンセリングも同じで一旦依存して、そこから自立に向かっていくという考えを持っているのが良いと思います。
人間は誰にも頼らずに一人で生きていくことはできません。
本当に辛いときに信頼できる専門家に一時的に頼ることはむしろ自分を守るための賢い選択です。
心が回復してくれば自然と「もう一人で大丈夫そうだな」と思える時期がやってきます。
依存が不安なあなたに試してほしい3つのアクション
それでもまだ不安が残るという方は、以下の3つのポイントを意識してカウンセリングを申し込んでみてください。
最初のカウンセリングで「依存が怖い」と正直に伝える
初回面談(インテーク)の際に「カウンセリングに依存してしまわないか不安です」とそのままカウンセラーに伝えてみてください。
優秀なカウンセラーであれば、その不安をしっかりと受け止め、「では、依存が起きないようにこういう進め方をしましょうね」と具体的なアプローチを提案してくれます。
この質問に対するカウンセラーの回答自体が、信頼できる相手かどうかを見極めるリトマス試験紙にもなります。
「目標」をカウンセラーと一緒に決める
「どうなったらこのカウンセリングを卒業とするか」というゴールを最初に言語化しておきましょう。
- 人の目を気にしすぎず生活できるようになる
- 自分の感情を他人に振り回されずにコントロールできるようになる
- 性的なことに依存せず自分の人生を歩んでいけるようになる
ゴールが明確であれば、そこに向かうためのプロセスとしてカウンセリングを捉えられるため、目的のないダラダラとした通い方を防ぐことができます。
通う頻度をあらかじめ設定する
「毎週必ず受ける」と決めてしまうと義務感や依存心が生まれやすくなることもあります。
「まずは隔週で3回」「調子が良い時は月1回に減らす」など、自分の回復度合いに合わせて頻度をコントロールできるようにカウンセラーと相談しながら進めましょう。
逆に調子が悪いときは間隔を狭めて受けるというのも、自分の判断でしているのであれば依存につながりにくいです。
最後に:カウンセリングは人生の主役に戻るための場所
「依存してしまうかも」と不安になるのは、あなたがそれだけ「自分の力で生きていきたい」という強い意志を持っている証拠です。
その気持ちがあれば、カウンセリングに依存してしまうことはまずありません。
カウンセリングはあなたの主体性を奪うものではなく、むしろ奪われていた主体性を取り戻すものです。
一人で抱え込み、悩み続けてエネルギーを消耗してしまうくらいなら、一度その重い荷物をカウンセリングルームに置きに来てください。
再び自分の足で歩き出すサポートをさせていただきます。
