投影された心の闇

「人の反応が怖い」と感じるのは、自分に対する相手の反応が悪いように感じるからです。

「怒ってるんじゃないか」

「攻撃されるんじゃないか」

「嫌われているんじゃないか」

と相手の些細な反応をもって確信して身構えています。

でも、実際に相手はそんなことを思っていないケースがほとんどですから、勝手に思い込んで取り越し苦労をしているようなものです。

なぜ、こんなことが起こってしまうのでしょうか?

相手の反応に自分の気持ちを投影している

心理学の用語に「投影」という言葉があります。

投影とは、自分の思っていることを相手に映し出すことを意味します。

例えば、自分の方を見ている女性を見て「自分のことを気持ち悪いと思ってるんじゃないか」と思うのは、自分が自分に対して気持ち悪いと思っているからであって、逆に自分が格好いいと思っていたら「自分に惚れてるんじゃないか」と思うといった感じですね。

だから、他人に攻撃されるんじゃないかと思うということは、自分が攻撃的な気持ちを持っているということ。

相手が怒っているんじゃないかと思うということは、自分が怒っているということ。

相手が嫌な思いをしているんじゃないかと思うということは、自分が嫌な思いをしているということになります。

自分が思っているからこそ、相手もそう思うはずだと確信するわけです。

普段から自分の気持ちを大事にしていない

自分の中に怒りや不満が全くない人はいないでしょう。

少しでも怒りがあれば相手の反応が怖いと感じるのかというと違います。

怖さを感じるほど自分の中に怒りや不満が溜まっているから怖いと感じるのです。

つまり、普段から怒りや不満をものすごく溜め込んでいるということ。

周りから「いい人」に見られていて、怒りや不満を出せず我慢している。

本当に言いたいことが言えずいつも相手に合わせてばかり。

自分が嫌われることを恐れて愚痴も言えない。

いつも自分の気持ちを大事にせず、ないがしろにし続けているから怖さを感じるほどの状態になっているのです。

まずは自分の気持ちと向き合うところから

自分が思っていることを投影するのは誰にでもあることなのでなくすことはできません。

しかし、投影して相手が怖いと感じるのは、自分の中に怒りの感情を解消していくことによってなくすことができます。

そのためにまずは相手が思っているのではなく、自分の中にある気持ちが相手に映し出されているという実態に目を向けましょう。

そして、投影のもとになっている自分の気持ちと向き合っていくことが必要です。

何か嫌なことを我慢していないか?

不満を感じてイライラしていることがあるんじゃないか?

ないがしろにされてつらい思いをしている自分の気持ちに寄り添いながら聞いてあげてください。

自分の気持ちを大事にするために、普段から自分はどういう気持ちを抱えているかを書いていくのもいいですね。

自分の気持ちを大事にできれば相手の反応を怖いと感じなくなる

自分の気持ちを大事にして怒りや不満を抱え過ぎないようになれば、相手の反応が怖いと感じることはなくなります。

ただ、今までずっと自分の気持ちに目を向けずに来たのでなかなか自覚できないところもあるでしょう。

無意識に見ないようにしてしまうこともあって意外と難しいんですよね。

どうしても自分で気づけない、自分の気持ちがよくわからないという場合はカウンセリングでサポートいたします。

投影は身近な人に起こりやすいと言われますが、赤の他人にも起こりうるものです。

同僚や友達だけでなく、見ず知らずの道行く人や電車で偶然乗り合わせた人にも恐怖を感じる状態であればかなりしんどいと思います。

少しずつできる範囲で自分の気持ちと向き合うところからやってみてください。

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