嫌なことばかり思い出して考え続けたい人はまずいないでしょう。

しんどいし気持ちは滅入ってくるし「もう思い出したくない」となるのが当然です。

なのに、わざと自分を苦しめるためにやっているのかというくらい思い出してしまう。

思い出すことが止められない。

気をそらせようとスマホをいじってみたり、youtubeを見たり、ゲームをしてみたりする人は多いですがなかなか止まりません。

どうすれば嫌なことを思い出さないようにできるのでしょうか?

まず嫌なことが記憶に残りやすい原理からお伝えしていきます。

嫌なことばかり思い出す原因

そもそも人間は本能的に嫌なことを記憶に残す

人間が失敗した記憶を残すからというのはあります。

失敗から学び、同じ失敗を繰り返さないことは生命を維持していくうえで非常に重要。

生命を維持して遺伝子を残すという人間の本能によって、失敗は記憶に残したくなくても残ってしまうのです。

でも、嫌なことがすべて失敗の記憶とは限りませんよね。

誰かに悪口を言われたとか、馬鹿にされたとか、嫌がらせを受けたとかは失敗ではないですから。

たしかに失敗以外のことなのですが、こういった嫌なことも記憶されやすいものではあります。

人間は想定外のことも危険だと判断して記憶に残すからです。

昨日までと同じことを続ければ生命が維持できる、逆に想定外の変化が起これば維持できなくなるかもしれない。

失敗と同じく生命維持のため記憶に残さないといけないわけです。

別に悪いことをしている認識がないのに悪口を言われた。

自分では良いと思っていることを馬鹿にされた。

普通に接していたはずなのに嫌がらせを受けた。

全部想定外のことですよね。

嫌な記憶があること自体に問題はない

嫌だったことが記憶に残りやすいのはみんな同じです。

しかし、嫌なことばかり思い出して苦しむ人もいれば、嫌なことを思い出さず楽しんでいる人もいます。

なぜでしょうか?

嫌なことばかり思い出す人は他の人に比べて失敗や想定外の経験が突出して多いのでしょうか?

たしかに人によって多い少ないはありますが、失敗や想定外の経験が多くても思い出さない人はいます。

逆に嫌なことより良かったことや成功体験、ポジティブな記憶のほうが思い出しやすいという人もいますよね。

つまり、嫌なことの記憶自体が問題ではなく、嫌なことばかり思い出す状態になっていることに問題があると言えます。

嫌なことを思い出しやすい回路ができ上っている

人間の記憶は脳内に点在しており、思い出すときに統合されます。

色、形、音、におい、味、食感、手触り、感情、知識…

それぞれ別々のところに入っていて、上手く統合できないと思い出せません。

「あー、えーっと、あれあれ。何だっけ?」という度忘れも統合が上手くいかなかったときの現象です。

逆に上手く統合できることはすぐ思い出すことができます。

嫌なことばかり何度も思い出していると統合が上手くなるので、思い出しやすくなってしまうわけです。

思い出しやすくする回路が出来上がったような感じでしょうか。

また、現状が上手くいっていない、未来に不安なことが多い場合は、現在と未来から目をそむけたくなって過去に焦点が当たりやすくなるというのもあります。

嫌なことばかり思い出して過ごしていると、日常でも嫌なことに焦点が当たりやすくなる。

日常の嫌なことから過去の嫌なことにつながってまた思い出すという悪循環も生まれやすいですね。

嫌なことばかり思い出すことへの対処法

やめようと意識するのは効果がないと知る

「思い出すのをやめよう」と意識しても効果はありません。

すでに思い出しやすい回路ができあがっている以上、無意識レベルで思い出してしまいますから。

人はほぼ無意識で日常の生活を送っています。

例えば、近くのコンビニにお昼ごはんを買いに行こうと考えたとします。

まず、右足か左足どっちから歩き出そうか、ドアを開ける手は右手にしようか左手にしようかといったことは考えないですよね。よく利用しているコンビニであればどのルートで行こうかも意識しないと思います。

もっと細かいところでいくと、何回息を吸って吐こうか、どうやって眼球を動かして前を見ようかなんて意識していません。

意識的にすることなんてほんの少ししかないのです。

「思い出さないようにしよう」と意識してもできないのは、無意識によってコントロールされているから。

嫌なことばかり思い出す人の場合、無意識全体を100として50以上は嫌なことが占めています。この度合いは人によって違うので60の人もいれば90の人もいます。

こんな状態になっているのに、ほんのわずかな意識で「考えないようにしよう」と思って、嫌な記憶から逃れられるわけがありません。

まずは思い出さないように意識するのは効果がないと知る。

そして、「今はどうしても思い出してしまうよな」と嫌々ながらも受け止めるようにしてください。

嫌なこと以外を考える比率を高めて分散する

次にやっていくのは嫌なことを思い出す習慣を変えることです。

思い出すことを続けているからどんどん思い出しやすくなって苦しむ。

だからやめればいい。

嫌なことを思い出すのは止められないからそのままに、他のことを思い出す比率を高めて分散していきます。

過去のポジティブな記憶に目を向けて分散する

まずは嫌だったこと以外のポジティブな記憶を少しずつ思い出していきましょう。

よかったこと、嬉しかったこと、楽しかったこと、感動したこと、心地よかったこと、気持ちよかったこと、達成できたこと、成長を実感できたこと、頑張れたこと…

なかなか思い出せなくても焦点を当てていれば出てくるようになります。

書き出すだけでも効果はありますが、話したほうが当時の感覚がよみがえりやすいので効果が出やすいです。

話せる相手がいない場合や身近な人に話したくない場合はカウンセリングを活用してください。

自分にとって大切なことを考えて分散する

本来人は自分が好きなことや興味関心があること、自分にとって大切なことを勝手に考える性質を持っています。

ゲームが好きな子供はゲームのことばかり考えるでしょう。

恋愛で相手に夢中な人は恋人のことばかり考えます。

つまり、嫌なことばかり思い出す人は、嫌な記憶が自分にとって大切なことになってしまっているのです。

本当に大切なことを見失っているから、嫌な記憶に支配されているということ。

自分にとって本当に大切なことを考えられるようになれば嫌な記憶は思い出しづらくなっていきます。

「自分にとって大切なことは何なのか?」

今一度、自分自身に問いかけてみてください。

今の生活に変化を取り入れるのも分散になる

新たな体験を重ねることも効果があります。

新たな体験によって何かを学び、感じ、考えとしていくと、過去の記憶に意識が向きづらくなるからです。

今の生活と関連しない体験をいきなりするのは難しいので、普段見ているものと違うジャンルの動画を見てみたり、普段聴かない音楽を聴いてみたり、普段やっていることの延長で少し変えてみるのがやりやすいでしょう。

「新しい情報とのつながりができると古い情報とのつながりが薄れる」という脳の機能的な面から考えても効果が見込めます。

未来との因果関係で嫌なことばかりの過去を手放す

時間は過去、現在、未来の3つにわけることができます。

【過去】昨日の夜、ラーメンを食べに行った。

【現在】ハンバーグを食べている。

【未来】明日はパスタを食べに行く予定にしている。

昨日ラーメンを食べたから今日はハンバーグを食べる、今日ハンバーグを食べたから明日はパスタを食べるというのが過去との因果関係。

過去に影響されて現在、未来が作られていく。

過去の親子関係に問題があったから対人恐怖症になったと考えるのは過去との因果関係です。

今日はハンバーグを食べたい気分だからハンバーグを食べる、明日は久しぶりにパスタが食べたいからパスタを食べに行くというのが未来との因果関係。

未来の目的に影響されて現在が作られていく。

未来との因果関係で対人恐怖症を考えると、未来を描けない、やりたいことがないせいで持て余す時間を埋めるために症状が出ていることになる。

過去との因果関係のほうがしっくりくる人が多いと思いますが、実はどちらの因果関係も影響しているのです。

なぜ過去との因果関係がしっくりきやすいのか

影響しているのは記憶です。

人は記憶に基づいて今を見ていますので、今さわっているスマートフォンがスマートフォンであると認識できるのも記憶のおかげだと言えます。

  • 昨日ラーメンを食べたから今日はハンバーグを食べたいと思った
  • 昨日飲み過ぎたから二日酔いになった
  • テスト前なのに遊んでいたから点数が悪かった
  • 学生時代にちゃんと勉強をしていなかったからいい会社に入れなかった

過去の記憶をもとにして見るからすんなり入ってくるのですが、すべて未来との因果関係に置き換えることもできます。

  • 今日はハンバーグを食べたい気分だったからハンバーグを食べた
  • 明日休みで支障が出ないから二日酔いになった
  • 別に目指している大学がないから勉強せず悪い点数になった
  • とくに目標がなかったから勉強に身が入らずいい会社に入れなかった

どうでしょうか?

過去、未来、どちらの因果関係でも捉えることはできるのです。

未来との因果関係は日常体験と一致する

そもそも私たちの日常では未来との因果がメインになっています。

例えば、映画を観にいくとき。

上映時間に間に合うように映画館に行く必要があります。

電車の時間を調べて、行ったことのない映画館なら場所を調べないと行けませんよね。

電車の時間を調べるとき上映時間から逆算して、受付の時間、ポップコーンを買う時間、人によっては買い物をする時間とかを考えた上で逆算すると思います。

場所を調べるときはグーグルマップか何かで目的地を設定してルートを表示させる。

未来にどうするかを考えて動いている、未来との因果関係なのです。

ふらっとコンビニに行くときでも同じ。

ジュースを買うとか、雑誌を見るとか、何かしらの目的があって行きますよね。

未来との因果関係が今の自分を作っている

もしすべてが過去との因果関係だけで成り立っているとすれば、今歩くことさえできていないことになります。

生まれたときは立ち上がることすらできなかったわけですから。

  • 歩いたことはなかったけど歩けるようになった
  • 言葉を話したことはなかったけど話せるようになった
  • 行ったことのない場所だったのに行けた
  • 自転車に乗ったことがないのに乗れるようになった

これらはすべて未来との因果関係によるものです。

たしかに未来に向かって調べたり、努力したり積み重ねがあって結果は生まれています。

積み重ねているのが過去なら「過去との因果関係じゃないのか」と言う人もいるかもしれません。

しかし、積み重ねは未来との因果関係によって生まれています。

未来との因果関係があるからこそ、努力を重ねできないことをできるようにしてこれたのです。

つまり、過去に何かしらの問題があったから今悩んでいるのではなく、過去との因果関係に縛られて未来が描けなくなったから悩んでいるということ。

燃え尽き症候群になった人の平均余命は一年半、未来が描けなくなることがどれだけのストレスかを物語っています。

未来との因果関係で現状を変えていこう

せっかく話しかけてもらったのにうなずくことしかできなかった…また話しかけてもらっても話せないだろうな…

そういえば、昨日も一昨日も普通に話せなかったよな…

今まで何年も友達できていないしずっと話せないままに違いない…

過去との因果関係で見ると絶望しかありません。

だから、症状がなくなると思えないし気分も上がらない。鬱々としてどんどん悪化していくのです。

未来との因果関係で見ればどうでしょうか?

いつか起業して一人で仕事ができるようになりたい。

自分で事業をやるってことは人とのコミュニケーションは避けられないよな。

ちょっとずつでも人とかかわっていくようにしないと。

全然人と話せないけど勇気を振り絞って飲食店のアルバイトをやってみよう。

上記の過去との因果、未来との因果は私の実体験です。

「起業する」というのは、人とまともに話せず学校で孤立していた自分(過去)から見ればありえないこと。

でも、本気でやりたいと思ったからどうすればいいか考えたし、時間はかかりましたができなかったことができるようになりました。

私たちは過去ではなく未来に向かって生きています。

過去に何があったかよりも「これからどうしていくのか、どうしていきたいか」の方が大切なのです。

実際に悩みが解決できない状態に陥っている人は過去のとの因果が強く、解決していく人は未来との因果が強まっている傾向が見られます。

過去と現在の自分から見て「できるかどうか」ではなく、「やりたいかどうか」で自分の未来を考えてみてください。

過去との因果にとらわれて未来に目を向けられない状態の方はカウンセリングでサポートいたします。