客観視のイメージ

自分を客観視することができず、間違った解釈をして人間関係で問題を起こしてしまう人は少なくありません。

どうすれば自分を客観視できるようになるのかを具体的にお伝えしていきます。

自分を客観視できないのはなぜ?

自分の思いや考えを言語化できていない

自分が何に対してどう思い、どう考えているかを言語化していない人ほど客観視できない傾向が見られます。

  • 学校から帰ると一人でゲームをしていて家族との会話がほとんどなかった
  • 友達と会話はするけど表面的なことだけで踏み込んだ話はしない
  • 頭の中でグルグル考え続けるだけで人に話したり書いたりはしない

今まで言葉にしてこなかった思いや考えは、自分の外に出せていないので見ることができていません。

自分の世界に入り込んで考え続けている人は、客観視できているつもりで実はできていない状態になっているのです。

思い込みが激しい

「これはこういうものだ」「こうなるに決まっている」といった思い込みが強い人ほど客観視ができません。

自分の思い込みを前提に物事を見ることで事実が歪められてしまうからです。

人とかかわっても相手の意見を聞かず、自分の考えに固執する。

他の可能性を考える機会がないので思い込みから抜け出すことができない。

背景には発達障害等、生まれ持ったこだわりの強さが影響している可能性があります。

頑張りすぎていて余裕がない

寝坊して電車に乗り遅れそうなときは、間に合うかどうかしか考えられず極端に視野が狭くなりますよね。

必死に走りながらでは見えるものも見えません。

真面目に頑張りすぎている人も同じような状態になっています。

仕事の段取りが組めず、追われ続けるのは目の前の仕事を必死に頑張りすぎているから。

人は余裕を失っているとき、客観視することが難しくなってしまうのです。

自分を客観視するコツ

事実に焦点を当てる

例えば、通りすがりの人に自分が見られたという出来事があったとします。

たいていの人は「見られたな」と思うか、気付かないかくらいのことですが、ネガティブに考える人は「見られたということは、何か変な格好をしているのではないか?変な仕草をしていておかしなヤツだと思われたのではないか?」といった感じで、どんどん想像を膨らませてしまう。

見られることが嫌になって、余計に自分が見られているかどうかが気になりだします。

でも、振り返ってみてください。

元をたどれば、ただ「通りすがりの人に見られた」というだけの話です。

別に「おまえは変だ、ダメだ」と100人中100人から言われ続けた訳ではありません。

今の悩みを作り出している「事実」は、本当に自分が考えているほど大変なことなのでしょうか?

いつもの考えに流されずに一度立ち止まって考えてみてください。

全体像を見る

いつも仲良くしている同僚との会話が今日はあまり盛り上がらなかった

「会話が盛り上がらなかった」という部分だけを見る

自分との会話が楽しくないのではと思う

同僚に迷惑をかけないよう話しかけるのをやめる

同僚は避けられていると思って話しかけてくれなくなる

極端な例を挙げましたが、一度の素っ気ない反応だけで相手の気持ちを勝手に判断して自分から離れていく人はいます。

いつも仲良くしているという前提を含め、全体で見たときに今回の相手の反応がどれくらいの影響を与えるのかを見てください。

自分と相手を入れ替える

「昨日あんなこと言ったから嫌われたのかな。挨拶したのに返してくれなかったし…」

自分に対する相手の態度を見てネガティブに考えてしまうことはよくあります。

そんなときは自分と相手の立場を入れ替えてみると客観視がしやすくなります。

「もし、自分が同じことを言われたら相手を嫌いになるだろうか?」と自分に問いかけてみてください。

そして、挨拶を返さなかった理由を考えてみましょう。

  • ただ聞こえていなかっただけ
  • 寝不足で頭がぼーっとしていた
  • 考え事をしていて気付かなかった

相手の目線で考えてみると今まで見えなかったことが見えてきたりします。

他人事として見る

友人が頑張って勉強したのに試験に落ちてショックを受けています。

どういう対応をしたほうが良いと思うか、1~3の中から一つ選んでください。

  1. 試験に落ちた理由を分析して教えてあげる
  2. 「頑張りが足りなかったからだ」と否定して責め立てる
  3. ショックな気持ちに寄り添いながら「よく頑張ったと思うよ」と慰める

絶対の正解はありませんが、一般的には「3」を選ぶ人が多いと思います。

自分が同じ状況になったときでも同じ対応をしているでしょうか?

自分のことになるとなかなか客観視できませんが、自分を他人に見立てることによって客観視しやすい状態になります。

他人に聞いてみる

『ジョハリの窓』と呼ばれる心理学モデルがあります。

以下の図の通り、「自分から見た自分」と「他人から見た自分」を4つの窓に分類して自分を客観視するものです。

ジョハリの窓

まず「盲点の窓」と「秘密の窓」を狭め、「開放の窓」を広げていく。そして、「未知の窓」を狭めていくことが目指されます。

他人に聞いて自分を知ることによって「盲点の窓」が狭まるため、より自分を客観視できる状態になるのです。

メタ認知能力を高める

メタ認知とは、自分の感情や思考等を客観的に認知することです。

例えば、「この表現で相手にちゃんと伝わるだろうか」「どういう表現がいいだろうか」と考えながら話すとき。

また、失敗をして落ち込んでいるときに「自分はダメな人間だと思って落ち込んでいるな」と考えるとき等はメタ認知が働いています。

逆に何も考えず言いたいことを言うだけ、自分を責めて落ち込み続けるのはメタ認知が働いていない状態です。

メタ認知能力が低い人ほど衝動性が高く、感情や欲求に飲まれてしまいやすいと言われています。

メタ認知能力を高めるためには以下のような取り組みが有効です。

  • 自分の感情や思考、物事の捉え方に焦点を当てた日記を書く
  • ニュース等で一つの出来事に対して複数の意見を見る、聞く→自分なりの意見を考える
  • 過去の印象的な場面を振り返って当時の自分の感情や思考を考えてみる
  • イライラしやすい場面を振り返ってなぜイライラするのかを考える
  • 自分の仕事の進め方、やり方が本当にこれでいいのかを一度考え直す
  • 現在の生活習慣が健康や人間関係、自分自身の将来に及ぼす影響を考える
  • 将来の目標(3、5、10年後)を具体化し、進捗を確認しながら日々生活していく

今回の内容を参考にしながら、できる範囲で継続していただければと思います。