スマートフォンが普及して以降「歩きスマホ」という言葉が一般的になるくらい、どんな場面でもスマホをいじる人を見かけるようになりました。
例に漏れず、私もよくスマホをいじっています(笑)
アプリでゲームをしたり、YouTubeやTikTokで動画を見たり、XやInstagramを眺めたり、漫画を読んだり、適当に検索して気になるサイトを見てみたり…
いまやスマホ一台で何でもできるようになっていますからね。
メールやLINEで連絡を取る、仕事で必要な情報を調べるなど、明確な目的があるならスマホを使う意味もあります。
しかし、「ちょっとスマホを見よう」と思って手に取っただけなのに気付いたら30分、1時間と時間が経っている。
勉強、片付け、仕事、読書…やろうと思っていたはずのことができず気付けばスマホをいじって時間を浪費してしまっていた。
このような経験は多くの人にあるのではないでしょうか。
スマホ依存症とまではいかなくても、何もしていないのが落ち着かなくて、なんとなくスマホを触ってしまう状態になることがあります。
なぜ私たちは目的もなくスマホをいじってしまうのか?
どうすればスマホをいじって時間を浪費する習慣はやめられるのか?
この記事では、スマホを触ってしまう原因を心理的な側面から考えながら具体的な対策について解説します。
目次[閉じる]
なんとなくスマホをいじってしまう原因
なんとなくスマホをいじってしまう原因は、一つではありません。
「スマホがすぐ近くにある」という環境的な問題もあれば「暇だから」という単純な理由もあります。
また、やらなければいけないことから逃げるためにスマホを使っているケースもあります。
スマホがいつでもすぐに触れる状態になっているから
まず考えられるのが、スマホをいつでもすぐに触れる環境にあることです。
スマホはポケットや机の上など、常に手の届く場所にあります。
たとえば、勉強をしようと机に向かったとしても、目の前にスマホが置いてあれば「ちょっと通知を確認しよう」「少しだけSNSを見よう」と手を伸ばしてしまう。
そしてSNSを見ているうちに動画を見始め、動画を見ているうちに別のサイトを検索し…ということが起こります。
これはスマホに限った話ではありません。
ゲームや漫画など、すぐに手に取れるものは「ちょっとだけ」と始めやすくなります。
人間は目の前にある簡単でラクな行動に流されやすいところがありますからね。
だからこそ、スマホをやめたいのであれば意志の力だけに頼るのではなく、スマホをすぐに触れない環境をつくる工夫が大切なのです。
何気なくスマホをいじることが習慣になっているから
もう一つの大きな原因がスマホを触ること自体が習慣になっていることです。
人間は同じ行動を繰り返していると、それが当たり前になっていきます。
たとえば、
-
朝起きたらスマホを見る
-
電車に乗ったらスマホを見る
-
トイレに入ったらスマホを見る
-
食事が終わったらスマホを見る
-
ベッドに入ったらスマホを見る
-
少し暇になるとスマホを見る
といった行動です。
最初は「SNSを確認したい」「連絡が来ているか確認したい」という目的があったのかもしれません。
しかし、何度も繰り返しているうちに明確な目的がなくてもスマホを手に取るようになります。
「暇だからスマホを見る」というより「暇になったらスマホを見る」という習慣ができているのです。
この状態になると「スマホを見よう」と意識しているわけではないのに気付けばスマホを触っています。
スマホをやめるためには意志の力に頼って我慢するだけではなく、今までスマホを触っていた時間に別の行動を入れていくことが重要になってくるのです。
何もしていないことが落ち着かないから
「何もしていないと落ち着かない」という人もいます。
少し時間が空くと「何かしなきゃ」「暇だな」「とりあえずスマホでも見よう」となってしまうのです。
本来なら何もせずぼーっとしていても構いません。
しかし、スマホが常に身近にあることで暇をすぐに埋められるようになりました。
- 少しでも退屈するとスマホを見る
- 少しでも待ち時間があるとスマホを見る
- 少しでも会話が途切れるとスマホを見る
こういった行動の繰り返しによって、何もしない時間を過ごすことが苦手になっている場合があります。
面倒なことや嫌なことから逃げるため
そして、スマホをいじって時間を浪費してしまう理由として考えてもらいたいのが現実逃避です。
- 明日までに仕事を終わらせなければいけない
- 試験が近いので勉強しなければいけない
- 部屋を片付けなければいけない
- 誰かに連絡をしなければいけない
- 夫婦関係や恋愛、人間関係について考えなければいけない
やらなければいけないことがあるとき、人は必ずしもすぐ行動できるわけではありません。
面倒くさい、考えたくない、やりたくないという気持ちになることがあります。
そういうときにスマホを見るとその時間だけは目の前の問題について考えなくて済む。
つまり、スマホは「今はそのことを考えたくない」という気持ちを簡単に満たしてくれる道具でもあるわけです。
不安やストレスを紛らわせているから
現実逃避と似ていますが、スマホをいじることで不安やストレスを紛らわせていることもあります。
仕事や人間関係での悩み、将来への不安、上手くいかない恋愛、複雑な家族関係、気分の落ち込み…
こういった状態のときは嫌な気持ちになりやすいのですが、スマホを見れば思考停止して気持ちが楽になります。
繰り返していくうちに「ストレスを感じる→スマホを見る→一時的に楽になる→またスマホを見る」という習慣が形成されてしまうんですよね。
スマホが不安やストレスを紛らわせる役割を果たしているとすれば、「スマホを触らないようにしよう」と考えるだけではなかなか止められません。
スマホで紛らわせないといけないストレスや不安を解決することが本質的に必要だからです。
疲れていて何もしたくないから
単純に疲れているというケースもあります。
仕事や学校で一日頑張ったあと、家に帰って何かをする気力がない。
読書や勉強をするほどの集中力もなく、身体を動かそうにも面倒くさいと思ってしまう。
そんなときでもスマホなら横になったまま使えます。
SNSを開けば次々に関心を引く情報が出てくる。
動画を再生すれば次々に動画が出てきて楽しめる。
別に自分から何かを頑張らなくても刺激、快感が得られるんですよね。
だから、疲れているときほどスマホを長時間使ってしまう状態になりやすいと言えます。
単純にスマホを触らないようにしようと思うのではなく、まず十分に休めているのかを考えてみることも必要です。
「ドパガキ」が話題になる背景とスマホのドーパミン
最近、「ドパガキ」という言葉を見かけるようになりました。(「ガキ」という言葉に抵抗があるので本当はあまり使いたくありません)
スマホやYouTube、SNS、ゲーム、ショート動画など、手軽に強い刺激を得られる環境に慣れている人を表す言葉として使われています。
この「ドパガキ」という言葉が注目される背景には、現代では子どもだけでなく大人も、常に刺激を得られる環境の中で生活していることがありますね。
- SNSを見れば新しい投稿が表示される
- ゲームをすればイベントで課金をあおるガチャが次々に出てくる
- 動画を見終われば次の動画が自動的に再生される
「次は何が出てくるだろう?」という状態が延々と続くわけです。
こうした「すぐに楽しさや報酬を得られる環境」と関係するものとして名前が挙がるのがドーパミンです。
ドーパミンは脳内の神経伝達物質の一つで快楽だけを生み出す物質ではありません。
「何か面白そうなものがある」「もっと知りたい」「もう一度やってみたい」といった報酬を求める行動や学習、動機づけなどに関係しているものです。
そのため、SNSの「いいね」やゲームの報酬、次々に現れる動画などによって「もう少し見たい」「次も見たい」という行動が繰り返されやすくなると考えられています。
特にショート動画のように短時間で次々と内容が切り替わるコンテンツについては、過度な利用傾向と注意機能や自己コントロールとの関連を示した研究もあります。
簡単に快感が得られる行為が習慣化することで読書や勉強、仕事のようにすぐに結果が出ないことが退屈だと感じやすくなる。
これがなんとなくスマホをいじってしまうことにつながっているわけです。
スマホは別に努力をしなくても次々に新しい刺激を得ることができますからね。
もし「何もしていないと落ち着かない」「暇になると必ずスマホを見てしまう」という状態なら、一度、自分が普段どれくらい強い刺激を受け続けているのかを振り返ってみるといいでしょう。
「ドーパミンを減らせばいい」と考えすぎない
スマホとドーパミンの話をすると「ドーパミンを減らせばスマホをやめられるのでは?」と思う人がいるかもしれません。
最近では「ドーパミンデトックス」「ドーパミン断ち」といった言葉もあります。
しかし、ドーパミンそのものを悪者にする必要はありません。
ドーパミンは、何かに興味を持ったり、行動を起こしたり、学習したりするうえで重要な役割を持っていますからね。
大切なのはドーパミンを「減らす」ことではなく、刺激を受け続ける生活から少し距離を置き、自分で行動を選べる状態を取り戻すことです。
スマホを触らない時間に最初は「暇だな」「つまらないな」と感じるかもしれません。
しかし、その時間をすぐにスマホで埋めるのではなく、少しぼーっとしたり、散歩したり、本を読んだりする。
そうした時間を意識的につくることもスマホとの付き合い方を見直すきっかけになります。
スマホをいじって時間を浪費するのをやめるには?
では、なんとなくスマホをいじってしまう習慣を変えるにはどうすればいいのでしょうか。
スマホをすぐに触れない場所に置く
最も簡単で効果を期待しやすいのがスマホを物理的に遠ざけることです。
勉強をするなら別の部屋に置く。
仕事中はカバンの中に入れる。
寝るときはベッドから離れた場所で充電する。
スマホを使う必要がない時間は、手の届かない場所に置いておく。
「スマホを見ないようにしよう」と我慢するよりも、そもそもスマホが目に入らない環境をつくるほうが楽です。
「意思が弱いからスマホを見てしまう」と考える必要はありません。
誘惑が目の前にあれば、誰でも触りたくなるものですからね。
スマホを見る時間を決める
スマホを完全に使わない生活をするのはかなり難しいです。
仕事や連絡、情報収集など、スマホが必要な場面もありますからね。
だから、食後の30分間だけ使う、SNSのチェックは1時間までと時間を決めて使うようにしてみましょう。
スマホを手に取る前に「今、何をするためにスマホを開くのか?」と自分に問いかけてみるのもおすすめです。
- LINEで連絡を取る
- ○○について調べる
- スケジュールを確認する
目的が明確であればその目的が終わったところでスマホを触るのをやめやすくなります。
通知を減らす
スマホを触るきっかけを減らすことも大切です。
通知が来るたびに確認しているとスマホを触る回数が増えてしまいます。
必要のない通知をオフにしたり、SNSや動画アプリをホーム画面から外したりするだけでも、「何となく開く」という行動を減らせます。
ポイントは、スマホを使うことを禁止するのではなく、無意識に触ってしまうきっかけを減らすことです。
スマホの代わりになる習慣をつくる
習慣になっていることをやめるには、別の習慣で上書きする方法があります。
たとえば、スマホをいじっていた時間を以下のようなことに置き換えてみてください。
-
読書をする
-
筋トレをする
-
ジョギングをする
-
ウォーキングをする
-
掃除をする
-
整理整頓をする
-
日記を書く
-
音楽を聴く
-
趣味を探す
-
誰かと話す
まずは「もしスマホがなかったら何をしているだろう?」と自分に問いかけることから始めましょう。
自分が本当にやりたいことができれば満たされ、スマホをさわる必要性がなくなっていきます。
スマホを見てしまった自分を責めない
意外かもしれませんがこれも重要なことです。
「またスマホを見てしまった」
「自分は意志が弱い」
「本当にダメな人間だ」
といった感じで自分を責めればストレスがかかってしまいます。
そして、そのストレスから逃れるためにまたスマホを見るという悪循環が生まれやすいのです。
スマホを見てしまったときは「またやってしまった」と責めるのではなく、「やめようと頑張ることはできている」と自分なりの頑張りを認めてあげてください。
心の状態に目を向けてみる
「スマホをいじる時間を減らしたい」と思っているのにどうしてもやめられない場合、背景には以下のような問題が潜んでいるのかもしれません。
-
強いストレスを感じている
-
仕事や勉強に疲れている
-
人間関係で悩んでいる
-
将来に不安を感じている
-
やらなければいけないことが多すぎる
-
失敗することを恐れている
-
完璧にやろうとしてしまう
-
一人で悩みを抱え込んでいる
スマホをいじることが問題から目を背ける役割を果たしている以上、無理やりやめることはできないのです。
「何がスマホをいじらないといけない状態にさせているのか?」と自分に問いかけ、まず問題に気付くことが必要となります。
現実逃避を繰り返しても現実そのものは変わらない
スマホは非常に便利な道具です。
嫌なことがあったときに気分転換することもできますし、疲れたときに動画を見て休むこともできます。
ですから、スマホを使うこと自体が悪いわけではありません。
問題なのは、現実から逃げるためだけにスマホを使い続けてしまうことです。
勉強や仕事、人間関係、お金、恋愛といった自分が抱えている問題から目をそらし続けても、問題そのものがなくなるわけではありません。
むしろ、以下のような悪循環に陥って状況がどんどん悪化していくだけです。
やらなければいけないことを後回しにする
↓
時間だけが過ぎる
↓
「まだ何もできていない」と焦る
↓
さらにストレスが増える
↓
またスマホを見る
だからこそ、現実から逃げたくなったときにいきなり全部解決しようとせず、今の自分にできる小さなことを一つだけやってみることが大切です。
5分だけやってみようと自分にとって負担にならない時間を決める。
すぐ取り掛かれるように準備だけしておく。
何かのついでにほんの少しだけ取り掛かろうとしてみる。
日々の小さな選択のひとつひとつが今の自分の状態を作っています。
スマホに逃げるのではなく、現実と向き合って解決へと向けていくようにしましょう。
まとめ|スマホをやめたいならスマホを触ってしまう理由を考えてみよう
なんとなくスマホをいじって時間を浪費してしまうことは決して珍しいことではありません。
スマホがすぐ近くにあること、何気なく触ることが習慣になっていること、何もしていないことが落ち着かないことなど、さまざまな要因が影響します。
また、やるべきこと、嫌な感情やストレスから逃れたい心理がスマホへと向かわせる部分もある。
スマホをやめたいと思ったら、まずは以下の対処法から始めてみてください。
- スマホをすぐ触れない場所に置く
- スマホを見る時間を決める
- 通知を減らす
- スマホの代わりになる習慣をつくる
- ほんの少しだけやるべきことに取り掛かる
そして、もう一つ大切なのが「私はなぜスマホをいじっているのだろう?」と考えてみることです。
- やりたいことがわからず時間を持て余しているのか
- 日々の生活で無理をしていて疲れが溜まっているのか
- 人とのかかわりで気遣いが半端なく神経がすり減っているのか
- 面倒くさがりで何でも後回しにして堕落しているのか
- ネガティブな感情に飲まれやすくて上手く消化できていないのか
スマホをいじってしまう行動の裏側には自覚できていない問題があることが多いです。
スマホを触ること自体が悪いわけではありません。
ただ、スマホに依存してしまっている、スマホがないと困るような状態になっているのは問題だと言えます。
一人でなかなか整理できない問題であれば、カウンセリングを利用して自分が何から逃げようとしているのか、何にストレスを感じているのかを整理していくこともできます。
「スマホをやめる」という行動だけを変えるのではなく、スマホがなくても向き合える自分の心をつくっていくこと。
それが、なんとなくスマホをいじって時間を浪費してしまう状態を変えるための本当の意味での一歩になるかもしれません。
