嫌なことに耐え忍んで自暴自棄になっているのを自覚できていない方からご相談いただくケースがよくあります。

対人恐怖症やうつ状態等で苦しんだり、痴漢や盗撮等をしてしまったりと何かしらの問題が表面化したことでカウンセリングを受けに来られますが、根本には嫌なことを耐え続けてきた強い怒りや不満が渦巻いているのです。

お会いしてみるとよくわかるのですが、見るからに表情が乏しく生気がない状態になっています。

こういう方に限って、仕事やプライベートの話をお聴きすると「嫌だと思うことはあまりない」「ムカつくことはほとんどない」「とくに大きな問題はない」等と話されますが、どう見てもそういう雰囲気は感じられません。

問題を直視したくない気持ちが無意識に働いて問題ないアピールをするのですが、嫌な思いや怒りの感情を押し殺しているどんよりした気持ちは、表情や雰囲気からにじみ出てくるのです。

嫌なことばかりだから自暴自棄になる

お金をもらうためだけにやりがいを感じない仕事を無理やり頑張って、家では妻に気を遣って言いたいことも言えない。これといった趣味もなく、友達と遊びに出掛けることもない。

こんな状態ではストレスが溜まって当然なのですが、当の本人は嫌で仕方がない気持ちや莫大なストレスを感じていません。

自覚がないままに溜め込んだストレスが楽しい、嬉しいといった感情を奪い、よくわからないイライラを生み出します。

そして、「もうどうでもいい」という感覚になって、自分か他人に刃を向けてしまうのです。

極論で言うと、自分に刃を向ければ自殺、他人に刃を向ければ殺人です。

自分もしくは他人に刃を向けてしまってからでは取り返しがつきません。

些細なことで衝動的に怒りが爆発する状態は非常に危険ですので、現時点で何も起こっていなくても早く対処するようにしてください。

無自覚の自暴自棄を改善する方法

どうやって対処すればいいかですが、大きなポイントとして以下の3つがあると感じています。

1.ストレスを吐き出す

対処療法的にはなりますが、ストレスを吐き出すことは効果的です。

根本的な解決を考えると、日々の莫大なストレスを抱えづらい状態にしていくことが必要なのですが、すぐには難しいために代替手段として考えていただくと良いかと思います。

自分に合った方法を探して莫大に溜まっているストレスを吐き出すようにしてください。(ストレス発散法の具体例はこちらに書いてある通りです)

仕事帰りにコンビニに寄る等、ちょっとした楽しみを増やすこともストレス発散になります。

ただ、ストレスを自覚できていない状態では発散しようと思えないため、カウンセリングを受けながら怒りの感情やストレスを自覚できるようにすることが大前提となります。

2.感情を押し殺す習慣を変える

最近の日常を振り返って嫌だと感じていることがないかどうか、イライラしたことがないかどうか等を探してみます。

頭の中だけで考えると整理できないケースは多いですので紙に書き出して考えてみましょう。

  • 仕事ができない同僚のフォローばかりさせられている
  • 真面目に仕事をこなす自分のところにばかりどんどん仕事が回ってくる
  • 生活のためだけに自分を押し殺してやりがいのない仕事をしている
  • 親に考え方を押し付けられてイライラしながら無言になる
  • 些細なことで感情的になる妻の顔色を伺っている
  • 愚痴ばかりの友達から毎日のようにメールがきて返さないといけない

幼少期の親子関係等の影響から感情を押し殺す習慣を続けてきた人ほど、嫌だと思う感覚が麻痺していますので「ちょっと嫌かもしれない」というくらいのことから拾わないと出てこないかもしれません。

まずは「こんなにも嫌なことを我慢してるんだな」と気付き、少しずつ我慢を減らしていくことを心がけてください。

3.考え方の視野を広げて多角的に物事を捉えられるようにする

自暴自棄になっている方は、自分の考えに固執して視野が狭くなっている傾向が見られます。

自分の考えに固執している状態ではどうしても自分勝手に考えてしまうため、些細なことにイライラしてストレスを抱えやすくなります。

この状態から抜け出すためには、相手の価値観や考え方に疑問を抱き、どういう思いでやったのかを日々考えていくことが大切です。

  • 親がしつこく干渉してくる親はどういう思いで干渉してくるのか?
  • 妻がどういう気持ちになって感情的に怒るのか?
  • 友達がどういう気持ちで自分のことを心配してくれるのか?

本当の意味で相手の立場になって考えることができたり、多角的に物事を捉えられるようになれば、身勝手に考えてイライラすることがなくなります。

原因として、生まれ育った家庭環境や生まれつきの脳の働き等が考えられますが、何が原因なのか明確にしていくことも的確に対処するためには必要だといえます。

無自覚の自暴自棄を改善するためにはカウンセリングが必要

上記の対処法は有効なのですが、大前提として自分が自暴自棄になっていると認識することが必要です。

そもそも、自分が危険な状態になっていると気付けない人は対処しようとすらしません。当然ですよね。

自覚できていない状態であっても、莫大なストレスによって何かしらの症状が表面化しますので、その症状を足がかりに原因となっている根本的な問題に目を向けていけば気付くことができます。

しかし、根本的な問題であればあるほど自分で見れない状態になっているため、カウンセリングを受けて見れる状態に軌道修正してもらうことはどうしても必要だと感じています。

カウンセリングを受けていくと無自覚だった問題が見えてくる

最近、体調を崩すことが増え、その中で「自分が頑張り過ぎてしまうこと」に気付いたある女性の話(フィクション)を元にお伝えします。


Aさん(30代、女性)

以前から「頑張り過ぎだ」とよく言われていたのですが、まったく自覚はありませんでした。言われてもそう思えなかったのです。

私は自分が機能不全家族で育ったアダルトチルドレンだと思っています。(アダルトチルドレンが何かわからない方はこちらをご覧ください)

両親不在の家で弟の面倒を見て、母親の代わりに家事もこなしていました。常に歯を食いしばって妥協せずに頑張って生きてきました。

落ち込むと寝られなくなるほどに自己嫌悪を繰り返し、感情を抑えきれず激怒することがよくあります。

リストカットをしていた時期もありました。彼氏と同棲していた時期に家をめちゃくちゃにして飛び出したこともあります。

仕事を始めたら妥協を許さないために自分で仕事を抱え込み、仕事ができない周りの人間に苛立ちながら疲労とストレスで腰痛や体調不良に見舞われることもよくありました。

それでも、「もうやめた方がいいんじゃない?」と言われると「絶対にやめない!」と頑なに拒絶して続けていました。

極限まで頑張ることで自分に存在意義を見出していたのかもしれません。

カウンセリングを何度か勧められたことはありますが、受けることはありませんでした。

カウンセリングを受ける必要性を感じなかったからです。


あくまでも作り話ですが、このような感じで無意識になっていることを自覚するまでかなりの時間がかかるのは事実です。

誰かに言われたとしても自分が違うと思っていれば聞き入れませんし、反発する気持ちが出てくると素直に聞けなくなったりするから気付きようがないんですよね。

この自覚できない無意識に気付けるよう、対話でサポートしていくところにカウンセリングの必要性があります。

とくに親子関係から生み出された行動の習慣や考え方は自覚しづらく、怒りや悲しみの感情を抑え込んで莫大なストレスを抱え込んでいるにもかかわらず何故かしんどさを感じないなんてケースもよくあります。

本質的な問題は無自覚の部分にあり、まずはそこに気付くことが大切です。

制御不能の家庭内暴力や犯罪行為に至ってからカウンセリングを受けに来られる方が多いですが、取り返しのつかない問題を起こしてしまう前にご相談ください。

本人が自覚できない性質がありますので、ご家族の方も含めて気付いていただければと思っております。