相手に合わせて真剣に話を聞く女性

相手の顔色をうかがって怒らせないように、嫌われないように、変に思われないように…人に合わせてばかりの日々。

そうすることで遠からず近からずの当たり障りない関係を作り出し、表面上は問題のないかかわりができるようになっています。

しかし、人に合わせれば合わせるほど気が休まらない状態になるため、疲れ果てて人付き合いが嫌になっていくのです。

この記事では、人に合わせてしまう原因から自分を変える具体的な方法までお伝えしています。

人に合わせてしまう本当の理由

「人に合わせる」という選択肢しかない

相手に合わせる形をとっていれば人との関係で波風立てずに済むというのはもちろんあります。

みんなが「賛成」と言っていることに本当は「反対」だと思っていても「賛成」と言っておけば丸くおさまるわけです。

合わせてさえいれば変に思われることもないし嫌われずに済む。しかし、本当の理由は違います。

人に合わせるコミュニケーションしかできないのです。

たいてい中学校入学の時期くらいに自分を出すコミュニケーションが上手くいかなくなり、自分を抑え込んで周りに合わせるコミュニケーションに切り替えた人ばかり。

自分を出して上手くコミュニケーションを取ることができないから人に合わせざるをえなかったわけです。

人に合わせてばかりで自分を出さない期間が長くなればなるほど「自分を出して受け入れてもらえるのだろうか、嫌われたらどうしよう」という不安が増していく。余計に自分を出せなくなって人に合わせてしまう状態になっています。

「自分が間違っているのではないか」という自信のなさ

相手に合わせるというのは相手に委ねることになります。

自分に考える力があって正しい判断ができる自信があれば相手に委ねる必要はありません。

しかし、自分は正しい判断ができないのではないか、たぶん自分は間違っていると思っていたらどうでしょう?

間違いなく相手に合わせたほうが上手くいくと思いますよね。

そして、相手に合わせて上手くいけば「やっぱり相手に合わせてよかったんだ」と安心する。どんどん相手に委ねることが増えて意見することがなくなっていく。

自分が意見を言わないから自信がつかず、逆に自信を失うことになるわけです。

相手の意見に依存して自分で考えることを怠っている状態とも言えるでしょう。

人に合わせてばかりで自動化されている

人に合わせてばかりだと自分で考える必要がないのでどんどん自分の意見がなくなっていきます。

自分の意見があれば他人の意見を聞いたときに「本当にそうなのかな」と疑問を抱いたり、「いや、それは違うと思う」と反発が生まれたりする。

しかし、意見がない状態で他人の意見を聞くと鵜呑みにしてしまいます。

ある人が「先輩の言うことには我慢して従うべきだ」と言えば「そうだな」と思い、また別の人が「相手が先輩であっても不満があれば言ったほうがいい」と言えば「そうだな」と思う。

鵜呑みにする状態になると他人の意見を聞いても何も感じないので合わせている実感がない。

まるで相手の意見が自分の意見であるかのように錯覚しているのです。

親や先生を絶対視して義務感で動くことが多かった人ほど、人に合わせることが自動化されている傾向が見られます。

人に合わせるコミュニケーションの原点

生まれつきの性質

共感性が高い性質を持って生まれた人は、相手の気持ちに引っ張られやすいので、相手に合わせやすいところが出てきます。

「相手はこういう反応をして欲しいんだな」と察することができるから相手の求める反応をしやすくなるわけです。

また、ひといちばい敏感な人である「HSP」に該当する場合、ミラーニューロンの働きが活発な影響で反応として相手に合わせてしまいます。

人に合わせることができる能力が高いから合わせてしまうということです。

そもそも自閉症等で人に合わせるのが困難な性質を持って生まれたとすれば、合わせようにも合わせることができませんからね。

家庭や学校で形成された習慣

感情的になりやすい親の顔色をうかがって過ごしていた経験が人に合わせる習慣を生み出すことがあります。

やりたいことをやったり、言いたいことを言ったりすると親が不機嫌になる。場合によっては怒り出す。

何度か経験していくうちに「どうすれば嫌な思いをせずやり過ごせるか」を考えるようになり、結果として親に合わせるという手段を取るようになるわけです。

過干渉や過保護によって、自分の意思に関係なく親に何でもしてもらっていたことで、自分の意思がわからず合わせるしかない状態になっている人も少なくありません。

学校、とくに女子グループに入るために合わせたり、いじめに遭わないように合わせたりしたことから人に合わせるようになった人もいます。

人に合わせてしまうコミュニケーションが生み出す問題

自分の気持ちがわからなくなってくる

人に合わせていれば衝突が起こる心配はありません。

みんなが「今日はカレー食べに行こう」と言っていたら「いいね、行こう行こう」と賛成する。

とくに女性のグループでありがちですが、本音では違うのがいいと思っていても周りの様子をうかがいながら合わせていく。

反対しないことで波風立たないし円滑に物事が運ぶ、良いことばかりに見えて実は問題が生じます。

例えば、昨日カレーを食べて今日は食べたくないと思っているのにまた食べるのは嫌ですよね。

嫌なのに我慢してやる、興味ないのに興味があるようにふるまう。

繰り返していくうちに自分の気持ちがわからなくなって麻痺してくるのです。

表面的な付き合いしかできなくなってしまう

また、相手を怒らせる、嫌われる原因にもなりかねない危険性もあります。

「何食べたい?」と聞かれて「なんでもいいよ」と言う。

相手の意見を尊重しているように見えますが、毎回毎回繰り返していると相手にとっては負担です。

例えば、何度も食事の機会がある旅行とかで毎回「何でもいいよ」と言われたら全部考えないといけなくなりますよね。よく「たまには意見出してよ」と怒られた話を聞くので間違いありません。

人に合わせるから考えない、考えないから自分の意見を持たない。何を考えているかわからず相手に話しづらい印象を与えてしまうこともあります。

人と人との関係はお互いを知り合うことで深まっていくので、合わせてばかりで自己主張しないままでは深まらない。

嫌われないけど好かれもしない、表面的な付き合いしかできなくなってしまうのは大きな問題だと思っています。

人に合わせてしまう状態を改善するために

自分の本音を大切にする

人によって好き嫌いや興味関心は違いますし、気になること気にならないことも人それぞれです。

友達はピンクがかわいいと思ったとして、自分も同じピンクをかわいいと思うとは限りません。ブルーの方が綺麗でいいなと思う人もいるでしょう。

ちょっとした外出でも化粧ばっちりでないと無理な人もいれば、スッピンで気にせず外出できる人もいます。

普段の生活で「自分はどう思うのか、自分はどう感じているのか」に目を向けながら過ごしてみてください。

世間一般からすれば「変だと言われるかもしれない、おかしいかもしれない」と思うようなことでも「自分はこう思うんだな、こう感じるんだな」と受け止めてみる。

自分の本音を大切にできればできるほど、人に合わせてしまうことは減っていきます。

自己効力感を高めていく

自己効力感(self efficacy)とは、能動的に自分をコントロールできる感覚、「自分ならできる」と思える感覚です。

自分から主体的に話す機会が多い人は「自分なら話せる」という感覚を持っているので相手に合わせる必要がありません。

しかし、受け身で主体的に話す機会がない人は「自分なら話せる」という感覚がなく、相手に合わせるしかない状態になっています。

主体的な会話をしていくことで自己効力感を高めていけるのですが、今までずっと人に合わせてきた人が急に自分から話すのは難しいですよね。

まずは「自分が話したいことは何か」「自分が聞きたいことは何か」と自分に問いかけ、書き出してみるところから始めてみてください。

少しずつ主体的に話しやすい状態になっていきます。

自分のペースで話す感覚を養う

相手に合わせるコミュニケーションを続けてきた人は、自分のペースがわからなくなっています。

もともと自分がどういう性質を持っていて、どういうコミュニケーションが自分らしいのか…

振り返ってみてわかる人もいれば、幼少期からずっと人に合わせていてわからない人もいますが、まずは自分を知ろうとすることが大切です。

カウンセリングは自分のことを話す機会になるため、他人にばかり意識を向けることから抜け出し、じっくり自分を見つめ直すことができます。

また、カウンセラーからの質問で今まで見えていなかった本当の自分に気付くところもあります。

最初はカウンセラーに対しても合わせてしまう形になりますが、話せる範囲で自分のことをお話しいただければ大丈夫です。

人に合わせてしまう自分を変えたいを思っておられるのであればご相談ください。

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