他人に嫌われることを異常に恐れている人は、嫌なことでも我慢して相手に合わせて、自分が思ったことも言えません。

自分の話をせず意見を主張しないことによって、嫌われること、批判されること、怒られること、意見を否定されること等を避けているのです。

相手に合わせていれば波風立たないし、相手の機嫌が悪くなることもない。嫌われる危険性もなくなる。

だから、自分を出さず相手に合わせ続ける「他人基準」のコミュニケーションを続けています。

しかし、相手に合わせるということは、相手とまったく同じ価値観でない限り、自分の本音を抑え込むという我慢をしなければなりません。

相手との関係を深められない中途半端な関係のまま、甘えられないし、頼むこともできない、嫌なことも嫌だと言えない。しんどいしストレスもかかります。

にもかかわらず、なぜここまでして嫌われないように頑張るのか。

嫌われ恐怖症の原因から改善の方向性までお伝えしていきます。

嫌われるのが怖いと感じてしまうのはなぜ?

他人の評価が自分の価値だと思っているから

「嫌われること=他人から認められない(評価されない)=自分には価値がない」という方程式が根っこにあるから、嫌われることに恐怖を感じるのです。

自分の価値というのは自分の評価と他人の評価の両方で決まるもの。

だから、自分の評価がないとすれば他人の評価がすべてになってしまうわけです。

自分の評価とは自分で自分を認めること。自分自身が自分に存在価値を見出すことにあります。

日々、些細なことでも自分ができたことを認めて評価している人は、自分自身に価値を見出すことができるため、他人の評価に依存してしまうことはありません。

しかし、自分ができたことはすべて見過ごして、逆にできなかったことばかりに焦点を当てて過ごしている人は、自分自身に価値を見出せず他人の評価に依存してしまう。

結果として他人から嫌われるというダメな評価をもらわないように必死になってしまうのです。

背景にあるのは親に嫌われることへの恐怖心

「嫌われることが怖い」の原点は親子関係にあります。

幼少期は自分で稼いで生活することができないため、生きていくためには親に養ってもらうしかありません。

どんな自分でも受け入れてくれる安心感のある親ならいいですが、言うことを聞く良い子の自分だけを受け入れる親だった場合は恐怖心がつきまとうことになります。

受け入れてもらえなければ見捨てられるかもしれない、生きていけないと思うからです。

感情的な親の顔色をうかがっていたり、母親の愚痴を延々と聞き続けたり、家庭内で波風が立たないよう調整役になったり…

親に嫌われたら生きていけないから必死に嫌われないようにする。

親からの評価がすべてという感覚が学校、社会へと進出する中で、他人や世間からの評価に広がっていく。

人に嫌われることが怖くて仕方ないのは生命の危機を感じるほどの恐怖がもとになっているからなんですよね。

急速な社会の変化も影響している

インターネットが普及してからは隣の席同士でもメールで会話、わからないことや悩みは家族や友人に相談せずネット検索。

自分の意見を持たなくても誰かの意見を自分のものとして言えばいい。依存的で波風立てないよう安全な方、安全な方へ流れる。

大学のグループディスカッションや会社の会議で「どう思う?」と意見を求められて困る人が増えたのは象徴的ですよね。

LINEやツイッター等、SNSの普及でコミュニケーションが多様化したことも影響しています。

電話しかなかった時代は会っているときや電話をしているとき以外はリアルタイムで他人の様子を知ることはできませんでした。

しかし、今はLINEでもツイッターでもインスタグラムでもリアルタイムで相手の様子を知り、いつでもつながることができる。

便利ではありますが人とのかかわりを切り離しづらく、他人のことが常に気になる状態に陥っています。

社会の変化に伴って他人への意識が強まり自分が空洞化、嫌われることへの恐怖心が強まってしまうのも仕方ありません。

相手からの攻撃に耐えられない打たれ弱さ

嫌われることを恐れている人は、否定や批判に対しても大きなダメージを受けやすくなっています。

「やさしそうな感じの人は大丈夫だけど、きつそうな雰囲気がある人は無理」と話す人は間違いなく打たれ弱いです。

打たれ弱い人は、相手の攻撃を恐れているがためにビクビク、オドオドして、攻撃されないように見えない壁を作って壁越しに話をしています。

文字通り「壁を感じる」と言われるタイプの人です。

相手との距離感を保って遠からず近からずをキープして、いかに相手から攻撃されないかに意識を向けています。

ですので、自分に火の粉が降りかかる可能性がある場面で喧嘩や揉め事が起こりそうになったら、なんとか調整しようと間に入るなど消火活動にまで買って出ることもあります。

また、苦手な相手や知らない人、つまり、自分の話をどう捉えるかわからない人には話したくないと思うケースも多いです。

この人ならここまで話しても大丈夫、これ以上はダメというところをある程度見極めた上でないと、否定されたり批判されたり攻撃される危険性が出てきますからね。

嫌われ恐怖症を克服するために

まず嫌われるのが怖い気持ちを緩和する

カウンセリングの技法の中に「認知療法」というものがあります。

簡単に説明すると自分の非現実的な考えに対して客観的に反論して捉え方(考え方)を変えていく手法です。

例えば「周りに変だと思われているはずだ。」と思っても「いや、そんなことはない。私を見てる人なんて一人もいないじゃないか。もし、変だと思われても死ぬわけじゃないし大丈夫だよ。」と自分に言い聞かせて納得させていく。

この方法は人に嫌われるのが怖い気持ちが強くない場合は効果が出ます。

ただ、人に嫌われるのが怖い気持ちが強い場合は効果が出ないので「それに、○○だから」を付け足してください。

わかりやすいようにさっきの例をそのまま使うと以下のような感じになります。

「周りに変だと思われているはずだ。」と思っても「いや、そんなことはない。私を見てる人なんて一人もいないじゃないか。もし、変だと思われても死ぬわけじゃないし大丈夫だよ。」「それに、私には誰からどんなに変だと思われても味方になってくれる親がいるから。」

最後に付け足す言葉が出てこない人はまず探すことから始めてください。

自分が否定されても味方してくれる人はいませんか?

誰かに褒めてもらったことはありませんか?

何か一つでも見つかれば心の拠り所となってあなたを助けてくれます。

具体的な探し方は人によって変わりますので、どうやって探せばいいかわからない場合はカウンセリングでサポートさせていただくことも可能です。

嫌われ恐怖症に「嫌われてもいい」は効果なし

嫌われることが自分の存在価値と結びついている状態のまま、嫌われてもいいなんて思えるわけがありません。

大切なのは嫌われていいと言い聞かせることでも無理やり開き直ることでもなく、嫌われてもいいと思える状態にすることなのです。

そのために、まず必要なのは「自分がどうしたいのか」に気付くこと。

いつも考えている「相手にどう思われるか」から離れて、「自分がどうしたいのか」をカウンセリングを受けながら明確にしていくところからになります。

そして、どうしたいかに従った行動をとってみることで、上手くいった経験、上手くいかなかった経験を積んでいく。

その中で自分の人生は自分でコントロールできるものであって他人の評価だけに左右されるものではないという感覚を掴めるため、嫌われてもいいと思えるようになってくるのです。

嫌われてもいいと思おうとすればするほど、嫌われることへの意識が強くなって「嫌われたらどうしよう…」という気持ちが強くなってしまいます。

無理やり言い聞かせるのではなく、嫌われても大丈夫と思える状態をいかに作っていくかを考えるようにしてください。

嫌われ恐怖症チェック

以前テレビの取材を受けたときに作成したチェックリストです。

  • 相手に合わせてばかりで本音が言えない
  • メールの文章を考え過ぎて異様に時間がかかる(返信が遅いのも気になる)
  • 愚痴や他人を批判するようなことを言うのに抵抗を感じる
  • 沈黙の時間ができると焦る
  • 頼みごとや相談ができない
  • 相手の発言の意図や態度を過剰に気にする
  • 自分の方を見て話している人たちに陰口を言われているように感じる

4つ以上当てはまる場合は嫌われ恐怖症の可能性が高いと言えます。

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⇒人と話すのが怖いと思う原因は意外なところにあった