会話が途切れてしまうことへの不安から人と話すときは常に緊張状態。
「また沈黙になったらどうしよう」と恐怖を感じながら、沈黙を作らないようにと頑張り続ける。
人と話しているときに沈黙を過度に恐れるのは沈黙恐怖症と呼ばれる症状です。
会話を途切れさせないように話し過ぎる人、逆に話せなくなってしまう人、沈黙を恐れているのであればどちらも該当します。
カウンセリングでも沈黙が気になるから焦って話す、カウンセラーに沈黙を作らないようにして欲しいと言う人もいるくらい。
人との会話を楽しむ余裕がないほど苦しんでいます。
なぜ沈黙がそんなにも怖いのか?
沈黙を自分だけの責任にしている
沈黙の時間が流れると「自分との会話がつまらないんだな」と思う。
楽しそうに話している人たちと比べて申し訳なさがこみ上げてくる。
沈黙を打開しなきゃと思うのに、頑張って話せば話すほど訳がわからなくなるし、また沈黙の時間ができてしまう。
「やっぱり自分の話がつまらないから沈黙になった」と自分を責める。
話している相手がいる以上、沈黙の時間ができた責任は相手にもあります。
しかし、自分の会話に問題があると感じているせいで100%自分の責任にしてしまうから居たたまれない気持ちになってしまうんですよね。
沈黙によって相手に嫌われるのが怖い
「会話が続かない自分となんて一緒にいても楽しくないだろう…」
「つまらない会話しかできない自分は嫌われてしまうんじゃないか?」
沈黙を過度に恐れる人は、相手に嫌われること、拒絶されることを恐れています。
嫌われない安心感がある相手なら気にならないのが証拠です。
人とのかかわりに安心感がなく、常に嫌われないかどうかを気にしている。相手の反応をうかがいながら過度に気を遣っている人が多いですね。
誰が相手でも沈黙が耐えがたいのであれば、幼少期の親子関係で安心感が得られなかったことが影響していると考えられます。
アドラー心理学の本「嫌われる勇気」の大ヒットで注目を集めた嫌われ恐怖症とは何か~原因、克服方法までお伝えしています。
沈黙の怖さを和らげる対処法
沈黙に意味を見出す
沈黙に対するイメージがものすごく悪いからなくそうとします。
だから、沈黙にも意味がある、必要性があると思えれば沈黙に過剰反応しなくなるんですよね。
沈黙に関することわざ「沈黙は金、雄弁は銀」をご存知でしょうか?
「どれだけしゃべりが上手くても沈黙をなくしたらダメですよ」とおしゃべりな人を諭すときに使われる言葉です。
沈黙が素晴らしいという意味ではありませんが、沈黙が必要だということはわかりますよね。
会話の中で沈黙には役割があります。
考えを巡らせる時間、イメージを膨らませる時間、自分の言葉に置き換えて理解する時間、一旦休憩する時間…
沈黙をただ会話が途切れた気まずい時間と捉えるのではなく、今どんな役割を担ってくれているのかと考えてみてください。
わざと沈黙の時間を作る
沈黙をなくそうと無理にしゃべったらこんな感じになります。
「今日天気悪いですよね。」
「そうだね。台風近づいてるからね。」
「・・・」
「・・・」
「あっ、そうそう、こないだの打ち合わせどうだったんですか?」
「えっ?まぁ、別に問題なかったけど。」
「・・・」
「・・・」
「・・・(どうしよう…)」
想像するだけでしんどいですよね。
頑張っても頑張らなくても「話が続かない」という結果に変わりはないわけですから、いっそのこと頑張って別の話題を振るのをやめるほうが賢明です。
沈黙の時間ができたらわざと黙るようにしてみましょう。
自分で時間を決めて3秒なら3秒、10秒なら10秒。心の中でゆっくり数えて意図的に無言の時間を作るのです。
意外かもしれませんが、わざと黙ることで落ち着きを取り戻しやすく、相手が別の話題を振ってくれるケースもあります。
沈黙恐怖症をカウンセリングで克服する
自分は話せるという自信をつける
「自分は上手く話せない、面白い話ができない」といった自信のなさが沈黙を恐れる原因になっています。
沈黙になってもなんとでもなる、何か話したいことが出てきたら話せばいいやと思っている人は沈黙を恐れませんからね。
自信を付けるためには「話せた」という成功体験を積むことが必要ですが、いきなり頑張って話したとしても失敗を繰り返すだけ。
まずはカウンセリングを受けて自分の話を聴いてもらう体験が必要です。
たどたどしい話し方でも説明がわかりづらくても、ちゃんと聴いてもらえると「話せた」という感覚を得ることができます。
カウンセリングで自分が話す感覚を養うと、実際に普段の会話でも言葉が出やすくなり、さらに成功体験を重ねることができるのです。
嫌われても大丈夫と思える状態になる
沈黙恐怖症の根底には人に嫌われることへの恐怖があります。
「こんなこと言ったらどう思われるだろう」とブレーキがかかってしまうところがあるのです。
嫌われることを恐れている人は、自分が自分のことを嫌っています。
自分が嫌いだから人に嫌われると思いやすく、嫌われることに耐えがたい苦痛を感じる。
もし、自分のことを好きでいられたなら、他人から嫌われても大丈夫になるわけです。
自分を嫌いになるのは、親子関係、学生時代の人間関係等で、ありのままの自分を否定されたり、認められなかったりした経験があるから。
カウンセリングで自分のことを話し、肯定してもらう中で「こんな自分でもいいのかな」と少しずつ思えてくる。
世間や他人ではなく自分の基準で自分を見られるようになるから、ダメなところばかりじゃなく良いところ、好きだと思えるところが出てきます。
カウンセリングを受けながら少しずつ向き合い、ありのままの自分を好きになっていくことで沈黙恐怖症は克服できるのです。