ひきこもりになってしまう専業主婦の方から、以下のようなお悩みでご相談いただくことがあります。

  • お迎えで雑談しているママ友の輪に入れない
  • 参観に行っても周りの目が気になって苦痛
  • お母さん同士でうまく話ができないため公園に行くのが苦痛
  • 近所の人と顔を合わせるのがつらくて近くのスーパーに行けない
  • 働きたいのに人付き合いが心配で働けない

いろんな事情や、いろんなきっかけで夢を諦め、専業主婦を演じながら、家族以外、夫以外との関係が遮断されているという状態になっている人たちがいて、本当は自分も働きたい、社会で役割を得たいと思いながら、家から出られずにいる状況から脱却できなくなっている現実もあるようです。

引用元:池上正樹×斎藤環が語る、「可視化されてこなかった、ひきこもる主婦という存在」

お子さんへの悪影響を心配して「この子のために」と奮起される方も多いのですが、それでも外出することは難しいのです。

近所の人に会ったらどうしよう、周りから付き合いの悪い人と思われてるんじゃないか等とビクビクしながら過ごす日々。

引きこもりになって家にいる時間が長くなればなるほど、余計なことを考えて悩み苦しむ時間も増えてしまいます。

できるだけ早い段階で引きこもり状態から脱出することが望ましいでしょう。

ひきこもりになってしまう原因

もともと人見知りであまりしゃべらず、友達が少ないタイプの方が引きこもり状態に陥りやすいのですが、根本的な原因として人間関係での悩みがあります。

「45歳で専業主婦のSさんは、中1でいじめに遭って不登校になってから、3年間ずっとひきこもりでした。なんとか大学まで卒業しましたが、就職した会社でパワハラに遭い、再び1年ほど自宅にひきこもるようになったそうです」

引用元:1、2カ月のひきこもり繰り返す主婦 内閣府試算には含まれず、2019、女性自身

常に人からどう思われるか、どう見られるかを意識して相手に合わせてばかりいるため、自分の本音を相手に伝えることができないまま人間関係で我慢をしています。

我慢することでストレスが溜まり疲れるので人に会うことが嫌になる。

さらに、予期不安人と話した後の後悔によっても苦しむことが多く、しんどいことや嫌なことばかりの外出をできるだけ避けたいがためにひきこもるのです。

無理やり外出して嫌な思いを繰り返したりと間違った方向で頑張って、余計に外出できなくなってしまうケースもあるので気をつけてください。

ひきこもっていても気は休まらない

外に出なくて済むから気楽だろうと思う人もいるでしょう。

しかし、外に出られないことを引け目に感じているから、専業主婦として頑張らないとという意識が強く気楽になれません。

ある40代の主婦は家では家事をこなすが、買い物などの外出はほとんど行けず、家族以外と関わりを持たない引きこもり状態が何年も続いていた。「世間が求める理想の主婦像と自分はかけ離れている」。そう思い、毎日生きづらさを感じていたという。

引用元:可視化されない女性引きこもり 手を差しのべる女子会、2019、産経ニュース

さらに専業主婦特有とも言える「誰からも評価されない仕事」が頑張っても報われないしんどさにつながります。

他の人たちのようにパートに出られず家にいることしかできない。

子供のためにもと思いつつ出られない自分を責め、生活費を稼いでくれる夫にも気を遣う。

本当につらい状態で悩んでいるんですよね。

ひきこもりが生み出す問題

頑張りすぎてオーバーヒートしてしまう

専業主婦である以上は家事や子育てを完璧にこなさないとと頑張りすぎて苦しむ人も多いです。

  • 夫のために毎日かかさず手料理を作る
  • 子供が良い子に育つように頑張る
  • 掃除や洗濯などの家事を自分の調子にかかわらず頑張る
  • 普段から姑との関係を良好に保つために頑張る

日常のさまざまな場面で頑張り続けることでどんどんストレスを抱えていく。

ストレスが溜まったとしても、友達と出かけたり習い事をしたりして発散できればいいのですが、外に出て人付き合いをするのが苦手であったり、仕事をしようにもできない事情があったりしてなかなか発散することができません。

普段から頑張りすぎなくらい頑張ってオーバーヒートしてしまっている感じなのですが、うつ病になって起き上がることすら困難な状態になっても今まで通り頑張って家事をこなそうとしたりします。

しかし、その思いとは裏腹に身体は重く、家事をこなすことが全くできないわけですから、そんな状態になってしまった自分を責めて、さらに頑張って動こうとします。

こうしてどんどん悪循環に陥ってしまうのです。

うつ状態になって苦しむ

ひきこもりの人がうつ状態になっているケースは珍しくありません。

  • 気持ちが落ち込んで何もやる気が出ない
  • マイナス思考に拍車がかかってとめられなくなる
  • 仕事で普段しないような簡単なミスをしてしまう
  • イライラや焦りの気持ちが強くなる
  • 死にたいと思ってしまう
  • 身体が重たくて気だるい感じが抜けない

カウンセリングをおこなっていても対人恐怖症で悩んでいるほとんどの人がうつ状態にあると感じています。

対人恐怖症とうつ病の関連性が毎日新聞の連載記事で掲載されたこともありました。

他人の評価を過度に気遣い、否定されたり、嫌われたり、恥をかかされることを心配します。このような状態が高じ、あらゆることを避けて外出しなくなり、家に引きこもる場合も少なくありません。

「引きこもり」が持続すると、抑うつ気分、意欲の低下、興味の喪失などの症状を生じ、うつ病を発症しやすくなります。一方、うつ病になるとうつ症状のため、他人と会うのが面倒になり、これを避けるため、対人恐怖症の状態になります。このように、対人恐怖症とうつ病は密接に関連しています。

引用元:毎日新聞 2007年7月28日 大阪朝刊 第17回 対人恐怖症と密接関連(大阪市立大大学院医学研究科准教授・神経精神医学、永田利彦)

ひきこもりの持続がうつ症状を引き起こし、さらに人と会うのが億劫になって対人恐怖症、うつ病になっていくのです。

ひきこもっていると人とのかかわりがどんどん怖くなる

ひきこもりは究極の安全策

人間関係で悩む人の奥底には、他人に嫌われたり、否定されたり、拒絶されたりすることへの恐怖が強くあります。

だから、この恐怖心から自分を守るために安全策を考えて実行しています。

  • 変な間があかないように頑張ってしゃべる
  • 相手に合わせた話しかしない
  • 頑張って笑顔を作る
  • 食事会に誘われても参加しない

こんなことをしても毎日苦しいし悩みから解放されはしないけど、安全策を頑張って講じることでなんとか生活できている。

ひきこもりはまさに究極の安全策です。

そもそも人とかかわりを持たなければ悩まされることがありませんからね。

でも、安全策を講じているからこそ、人と会ったときに周りの目が気になって不自然になるし、自信も持てないままになってしまう。

一生誰ともかかわらず生きていくことはできないため、ひきこもりを続けても不安は消えてくれないのです。

人とのかかわりを回避することによる弊害

人とのかかわりが減ることによって相手の気持ちがわからなくなります。

どういう気持ちで接してくれているのか、なぜそういう態度をとるのかが読み取れなくなり、わからないから勝手に主観でマイナスに決めつけてしまう。

人とのかかわりが浅くなればなるほど表面的にしか見れなくなるのもあります。

例えば、通りすがりの人を判断する材料は見た目くらいしかありません。

中身がわからないから相手と自分の切り分けができず、自分と同じように考えていると思ってしまう。

つまり、人とのかかわりを避ければ避けるほど人を表面的に見るようになって、自分が気にしていることを他人も同じように気にしていると思いがちになるわけです。

ひきこもりから脱出するために

根本にある人間関係の悩みを解消することが必要です。

カウンセリングで話していく中で、人間関係で抑え込んできた自分の本音に気付けるようになります。

お隣さんや子供の関係でかかわりがあるママ友だけでなく、夫や子供、親に対しても我慢してきたことがいっぱいあるかもしれません。

少しずつ自分らしく人とかかわれるようになり、他人に抱く気持ちにも変化が出てきだす。

○○さんに会いたいから会う、△△さんには会いたくないから会わない。

誰とでも上手くやろうとすることがなくなり、かかわりたい人と少しずつ会って話す機会が出てきます。

自分から積極的にかかわっていくわけではなく、どちらかというと今まで回避していた誘いや集まりに参加するようになる感じですね。

最初は相手の反応を気にしすぎたり、上手くいかないことも出てきますが、人と話す楽しさも感じられるようになっていきます。

他人と一緒にいても変に気を遣いすぎることなく居心地の良さを感じる。

誰とでも社交的にかかわっていけるようになるのは難しいですが、自分が仲良くしたい人とかかわりを持ち、嫌な人とは上手く距離を取ってかかわれるようにはなれます。

ただ、カウンセリングを受けようにも家から出られないというケースばかりのため、通える範囲でも電話やスカイプでのカウンセリングを受ける方が多いです。

お子さんへの影響は代々続くと言われていますので、とくに小さなお子さんがいらっしゃる方はできるだけ早く対処するようにしてください。