子供を幼稚園に送迎する母親

子供を幼稚園に送るときはサッと帰ることができても、お迎えになるとなかなかそうはいきません。

人付き合いが得意ではない人にとって、子供のお母さん達が一斉に集合する幼稚園のお迎えは大変です。

すでに出来上がっているママ友グループには入れないし、一人で待っている人に声を掛けてみても会話が続かない。

「別にママ友はいらないし、ママ同士のかかわりなんて面倒なだけ」等と言い聞かせようとしても、楽しそうに話しているママたちを見ると孤独感や劣等感に苛まれてしまう。

どうすれば幼稚園のお迎えが苦痛でなくなるのかについてお伝えしていきます。

幼稚園で顔を合わせる母親同士のコミュニケーションは特殊

子供が幼稚園に通う3~6歳頃は発達心理学的に大きく変化する時期と言われており、親として子育ての悩みが増えてくる時期でもあります。

とくに初めての子供であればどうすればいいかわからないことが多く不安が強くなりやすいもの。

誰かと一緒にいること、同じ悩みを共有することによって安心感が得られるため、人とのかかわりを求める気持ちが出てきます。

こういった状況の中で幼稚園に行けば毎日のように他のママたちと顔を合わせる機会がある。

他のママたちが楽しそうに話している姿を見れば、話したい、仲良くなりたいと思うのは当然なのです。

また、子供のことを考えたとき、自分が孤立していたら子供が悲しむのではないか、他の子と仲良くできないのではないか等と不安になることでお母さん方と仲良くしなければと思いやすくなるところもあります。

女性同士のコミュニケーションの難しさ

しかし、ママ同士のコミュニケーションには女性特有の難しさがあり、すんなり良好な関係を築くことはできません。

状況に応じて本音と建前を上手く使い分けていくことが必要となるため、コミュニケーションの難易度が高いのです。

もちろん、全員が全員ややこしい人という話ではなく、何人かに一人の割合でいるだけなのですが、その人との距離感を上手く保ちつつ、他の人ともかかわりを持つことがなかなか難しい。

ママ友グループでのかかわりにおいては、誰もが気を遣いながらコミュニケーションを取っているところがあります。

女性特有のコミュニケーションに慣れている、もしくは、社会経験で培ったコミュニケーション能力が高い人以外は、神経をすり減らしながら関係を保っている可能性が高いです。

幼稚園でママ同士のかかわりで悩む人の特徴

人付き合いを避けてきた

学生時代、社会人と経験はしてきたものの、人とのかかわりはどこか避けてきたところがある。

親や家族と上手くいかないから外では上手くしようと思うが、自分を偽ってしまうことで関係が深まらず人が離れて行く。

大人になってからは話さなくても一緒にいてくれる人を探すようになっていた。

幼稚園のお迎えがキッカケで今まで水面下にあった人付き合いの問題が表面化したと言えます。

人付き合いの経験値が少ない分、厄介な人とかかわってトラブルに巻き込まれたり、建前を上手く使えず本音を態度や発言に出してしまったりという問題が起こりやすいわけです。

気遣いが過剰

他のお母さん達と話すため、事前に何を話そうか考えて準備する。帰りは自分の言動や態度、相手の反応を振り返っては一人反省会を繰り返す。

子供が遊びたがっていたらしんどくても幼稚園に残り、他の子のママたちと頑張って会話を続ける。

「自分と話しても楽しくないんじゃないか」「周りから馬鹿にされているんじゃないか」「自分がいない方がいいんじゃないか」

他人に嫌われたくない、逆に好かれたいという気持ちが強いことで、他人のことばかり意識して気遣いが過剰になるのです。

自意識過剰の状態になっているため、ママ同士が話している場に近づいて会話が止まったら自分のせいだと思ったり、自分の悪口を言っていたんじゃないかと思い、苦しんでしまうところが出てきます。

「子供の為に」が目的

本来人付き合いというのは、自分がかかわりたいと思うからかかわる、かかわりたくないと思うから距離を置くといったものであるにもかかわらず、子供の為にという目的で無理やり頑張っています。

  • 子供も自分と同じようにコミュニケーションが苦手になったらどうしよう
  • ママ同士のつながりがないことで交友関係の幅が狭まってしまうんじゃないか
  • 自分が上手く付き合えないことで子供が嫌がらせを受けるかもしれない

このような不安な気持ちを解消するために他のママたちとかかわろうとしているわけです。

自分が上手くコミュニケーションが取れない問題を子供に映し出し、「同じようになってしまうのでは」という不安からママ同士のかかわりを持とうとしているところがあります。

幼稚園のお迎えが苦痛ではない状態になるために

カウンセリングでは以下のような取り組みをおこない、幼稚園のお迎え、他のママたちとのかかわりが大丈夫になっていきます。

思っていることを言う

家族や友人には言いたいことを言っている感覚の人は多いですが、実際は自分の思いや考えを言っていないことがよくあります。

基本的には相手の話を聞く形で、言っても大丈夫そうなことだけを言う状態になっているからです。

言わないことで相手との間にズレが生じ、相手が思い通りにしてくれないことに不満を抱きやすくなる。普段は温厚なのに突然イライラを爆発させてしまう人も少なくありません。

家族や友人など、まず話しやすい人からで大丈夫ですので、なるべく自分の考えていることや思っていることをそのまま話すようにしてみましょう。

最初はどうしても不安が出てきますが、実際に言ってみて大丈夫だったという経験をすると、言っても良かったんだと思えてきます。

相手を責めるのではなく相手に押し付けるわけでもなく、ただただ話してみることを心がけてみてください。

ネガティブな捉え方を修正する

相手の些細な反応で「嫌われているんじゃないか」「何か悪い噂を広められているんじゃないか」等と勝手な推測をしてしまうところがあります。

しかし、以下のように実態は違っていることがほとんどです。

挨拶を無視されたと思っていたけど、相手が気付いていないだけだった。

失言をしたと思っていたが、相手は気にしていないどころか覚えてさえいなかった。

嫌な感じの人が周りに受け入れられていて自分がおかしいのかと思っていたけど、実は他の人たちも嫌がっていて表面上だけ仲良さげに話していた。

カウンセリングでは、どういう場面でどういう捉え方をしたかをお話しいただく中で、客観的な視点からネガティブな捉え方を修正できるように働きかけていきます。

緊張を和らげる

「挨拶をしなければいけない」「子供同士が仲良ければ親同士も仲良くしなければならない」「笑顔で話さないといけない」といった固定観念がプレッシャーとなり、緊張状態を生み出しています。

緊張状態でコミュニケーションを取ろうとするからなかなか上手くいかないのです。

まずは自分にプレッシャーをかけている固定観念に気付くこと。そして、固定観念に反する行動を取っても問題が起こらない経験を重ねれば、固定観念が崩れて緊張は和らいでいきます。

幼稚園のお迎えで「別に話さなくても笑わなくても良い」と思いながら待っていると、今まで話しかけてくれなかった先生が話しかけてくれたという事例がありました。

自分がプレッシャーから解放されて楽になると、雰囲気が柔らかくなるため周りの人に声をかけてもらいやすくもなるのです。

どれだけ親しい人にでも緊張してしまうのは、過去の経験による防衛反応が影響している可能性が高いため、カウンセリングで少しずつ外していくことが必要となります。

自分がどうしたいかを大事にする

他人を優先して自分が我慢するばかりだから自分がどうしたいかがわからなくなっています。

結果として、人に対する好き嫌いもよくわからなくなり、自分と合わない人、嫌な人が判別できずにかかわって苦しむケースは少なくありません。

周りの目が気になることにも影響しているため、自分がどうしたいかを考えて少しずつでも優先していくことが大切です。

夫や子供があまり好きではない料理でも自分が好きなら作ってみる。

先生に迷惑がかかると思っても今自分が聞きたいことがある、聞いたほうがいいと思うなら聞いてみる。

ママ同士のかかわりがしたいと思うならする。別に一人がいいと思うなら一人で過ごす。

自分の中で「どうしたいか」の方向が決まれば、気楽に人と接することができるようになるのです。

最後に

改善に向かっていく中でママたちの輪に入った人もいれば、入らなかった人もいます。

どちらにしても幼稚園でのママ同士の付き合いが苦痛ではなくなっていました。

不思議に思われるかもしれませんが、一人でいることを選んだ結果、逆に上手くコミュニケーションが取れるようになった事例は多々あります。

一人でいられないから仲良くなろうとするのと、一人でいられるから一人でいる、一人でもいられるけど仲良くしたいから仲良くするのとでは全然違うのです。

幼稚園のお迎えが苦痛、ママ同士のかかわりがしんどくて仕方がないとお悩みでしたらご相談ください。

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