見た目のことを考えて憂鬱になる女性

自分の容姿に対してコンプレックスを抱く人は多いです。

見た目を絶賛されるような俳優の中にも「顔にコンプレックスがある」と言う人がいるくらい。

でも、生まれつき自分の容姿にコンプレックスがある人はいません。

なぜ人は容姿にコンプレックスを抱くようになるのでしょうか?

容姿にコンプレックスを抱く原因~容姿コンプレックスを克服する方法までお伝えしていきます。

容姿にコンプレックスを抱く原因

メディアの影響

成長の過程でコンプレックスを抱くことになるのですが、たいてい原因はメディアの影響だとされます。

モデルを使った広告戦略であったり、芸人が見た目を馬鹿にして笑いを取っていたり。

「美人すぎる」「かわいすぎる」「イケメンすぎる」といった過剰な表現で、芸能人の見た目を絶賛するニュースも頻繁に出ています。

明らかに痩せすぎで不健康な女性がもてはやされ、必死にダイエットを頑張る女性が多いのもメディアの影響です。

最近ではインスタグラム、X(旧Twitter)等にアップされる加工済みの写真、YouTubeで絶賛される容姿が優れた人たちの影響も大きくなっているのではと思っています。

見た目がいいことが素晴らしいという価値観、さらに見た目をいじるのは悪いことではないという歪んだ認識が植え付けられた結果、容姿コンプレックスを抱く人が増えやすい世の中になっているのです。

自己肯定感の低さ

自己肯定感は「ありのままの自分に価値がある」と思える感覚です。

自己肯定感が高ければ自分自身の存在に価値があると思えるため、見た目がどうであろうと気にすることはありません。

しかし、自己肯定感が低いと表面的な価値にとらわれやすくなり、簡単に評価がもらえることを求めるようになります。

小さい頃であれば他の子より運動ができるとか、絵が上手く描けるとか、最新のゲームを持っているとか、珍しいものを持っているとか。思春期にかけて見た目への意識も高まっていきます。

周りより何か優れている、勝てるものがあって初めて自分に価値があると思う状態なので、ネガティブな評価をされると自分に価値がないように思えてくる。

見た目を馬鹿にされたりすることが気になって仕方がないのは自己肯定感の低さが影響しているのです。

過度に見た目を褒められて育った経験

小さい頃から見た目を褒められ続けてきたことも影響します。

「かわいいね」「美人だね」「イケメンだね」「目鼻立ちが整っているね」等、見た目に関する話をされる機会が多ければ多いほど、見た目を意識する度合いが高まります。

その状態で集団生活が始まれば、どうしても周りの見た目を意識してしまいますよね。

自分の見た目は優れていると思っていたはずが他の子の方が優れている。

今まで自信になっていた見た目への評価が相対的に下がってしまうことにより、見た目に対するコンプレックスが生まれてくるわけです。

成長と共に顔が変わって周りから「小さい頃は可愛かったのにね」と言われ、今の自分の見た目に対してコンプレックスを強めてしまうケースもあります。

親子関係が生み出す容姿のコンプレックス

母親から見た目を馬鹿にされた経験

見た目のことを馬鹿にされた経験はコンプレックスの形成に影響します。

私もよく母親から見た目をいじられていました。

目が細すぎて開いてるかわからない、ガリガリで骨と皮しかない、髪型が変、髭が濃くなった、テレビ番組に出てくるモテない男性にソックリ…

言われるたびに自信を失い、やっぱり自分は不細工なんだと思い込み、コンプレックスは強化されていきました。

たとえ母親から見た目をいじられるようなことがあっても、養育の暖かさを感じる関係であれば、逆に見た目に関する悩みは軽減されると言われています。

母親からのネガティブな評価経験があったとしても,養育の暖かさを感じていると自分の顔についての満足度は高まり,容姿に対する悩み度を軽減する可能性が示唆された。

引用元:容姿についての悩みと親子関係の関連、2017、福岡県立大学心理教育相談室紀要

しかし、過保護、過干渉、放置等、問題のあるかかわりをする母親からは養育の暖かさを感じないため、容姿を馬鹿にされたらコンプレックスを抱くことにしかならないのです。

父親の子育てへの干渉度合い

父親の接し方も容姿のコンプレックスと関連性があると言われています。

子どもが容姿に悩むことを軽減させるために,父親が限られた時間の中で,子どもに対して時には過干渉と感じられるくらいに関心を向け,信頼感を与えられるかが,重要になることが示唆された。

引用元:容姿についての悩みと親子関係の関連、2017、福岡県立大学心理教育相談室紀要

鬱陶しいくらい父親がかかわってくれた人の方が容姿にコンプレックスを抱きづらいのです。

父親の子育てへの関与は、母子関係に良い影響を与えるところもあるため、温かみを感じる母親との関係が形成されやすい。

逆に、父親が子育てに無関心でほとんど干渉しない場合、母親が過干渉、過保護になりやすく、子供が容姿のコンプレックスを抱えやすい最悪のパターンになってしまいます。

男性よりも女性が容姿にコンプレックスを抱きやすい

男性が容姿のコンプレックスを抱かないわけではありませんが、女性の方がコンプレックスを抱きやすい傾向があります。

とくに日本の10代女性は顕著で容姿の自信のなさに関して以下のような調査結果が出ていました。

ユニリーバのビューティーケアブランド「ダヴ」が発表した「少女たちの美と自己肯定感に関する世界調査(2017年)」によると、日本の10代女性の93%が、容姿に「自信がない」と答えている。

引用元:日本の女性は、世界で一番「見た目」に自信がない。調査でわかった7つのこと

思春期の女性を対象にした調査とはいえ、93%というのはすごい数値ですよね。(参考:世界の平均=54%)

これは日本がまだまだ男性優位の社会であり、男性が女性を「見る側」、女性が男性に「見られる側」とする認識がベースにあることが影響しています。

確かに、無遠慮に女性の容姿のことを口にする男性は多いです。多くの男達は、自分のことを「見る性」だと思って、女性を「見られる性」だと決めつけています。

引用元:25歳女性が苦しんできた容姿コンプレックス… 鴻上尚史が分析した、「自分は見る側」という男達の思い込み、2019、AERA dot.

女性も男性の見た目について批評することはありますが、男性の方が女性の見た目を意識する度合いは高いと言えます。

なぜなら、男性は幼い頃から変わらず女性の容姿を重視する傾向があるからです。

会話をはずませて、場の雰囲気を和らげるために、「どんな男の子(女の子)が好き?」と毎回、聞きました。

女の子達は、幼い時は、「楽しい人」と答える人が多く、それがやがて「面白い人」「賢い人」「頼りがいのある人」と、さまざまに変化しました。

男の子は、幼い時はほぼ全員が、「可愛い子」と答え、小学生になるとほぼ全員が「可愛い子」と答え、中学生になるとほぼ全員が「可愛い子」と答え、高校生になるとほぼ全員が「可愛い子」と、なんのことはない、ほぼ全員がずっと「可愛い子」のままでした。

引用元:25歳女性が苦しんできた容姿コンプレックス… 鴻上尚史が分析した、「自分は見る側」という男達の思い込み、2019、AERA dot.

成長と共に容姿以外の様々な要素に魅力を感じていく女性と一貫して容姿に魅力を感じ続ける男性…

女性の容姿によって態度を変える男性が多いのも頷けます。

男性が容姿を過度に意識する理由

一時期流行った「ただし、イケメンに限る」のような外見に関する言葉はネット上に蔓延っています。

同じ犯罪を犯した人間でもイケメンなら許され、ブサイクは許されないといったことが、さも真理であるかのように比較画像で掲載されていたりします。

しかし、実態は見た目を重視する一部の女性が書いたコメントが誇張されていたりするもので、前述の通り女性は男性ほど見た目を重視してはいません。

にもかかわらず、ここまで男性が「女性は見た目を重視する」と思い込むのは、自分が女性の容姿を重視しているからです。

ではなぜ男達の中で「イケメンに限る」という言い方が広がっているかというと、男達は、自分が外見で女性を判断しているから、女性も同じように外見で判断しているに決まっていると思い込んでいるのです。

引用元:25歳女性が苦しんできた容姿コンプレックス… 鴻上尚史が分析した、「自分は見る側」という男達の思い込み、2019、AERA dot.

勝手に女性が男性を見た目で判断すると決めつけ、自分の見た目は良くないから何をしてもムダだという言い訳にする。

そういう男性のふてくされた姿勢に嫌悪感を抱いた女性が離れていくことで、「やっぱり女性は見た目重視なんだ」という思い込みを強化させる。

結果として自分の見た目をより強く意識することになるわけです。

実際に女性に聞いてみた結果

たしかにブサイクよりイケメンの方がいいということでした。

ただ、恋愛においてはルックスより母性本能をくすぐるかどうか、面白いかどうか、一緒にいて楽しいかどうか、居心地がいいかどうかといったところが重視されるようです。

ルックスに関しては気持ち悪いと感じさせない清潔感があって女性への気遣いがある程度できるのであれば土俵に乗れるとのこと。

実際に街を歩いているカップル、夫婦を見ていてもわかるような気がします。

「イケメンじゃないと」と卑屈になった人が清潔感も意識せず、女性を気遣うどころか自分の欲求ばかり満たそうとするところが問題なのではと感じました。

たしかにルックスがいい方が有利なのは間違いありません。

しかし、それは一つの要素であって男性が女性に対して抱くほどのものではないという印象でした。

容姿コンプレックスを克服していくために

人との内面的な触れ合いを増やす

見た目というのは表面的なものであり、関係が浅い人との間では重視されやすいところになります。

例えば、通りすがりの人、偶然電車に乗り合わせた人等は、内面を知らないのでどうしても見た目だけの判断になりますよね。

つまり、人とのかかわりが表面的であればあるほど容姿への意識が強くなってしまうのです。

たいてい思春期まではどうしても表面的なところしか見れませんが、社会に出るにつれてかかわる人の幅が広がり、見た目以外の魅力に意識が向きやすくなっていきます。

「可愛い人」しか恋愛対象じゃなかったのに、いろんなきっかけで、容姿以外の魅力に気付く男性もいます。これが一番、多いかもしれません。

年齢を重ねる中で、人はいろんな魅力を発見するのです。

引用元:25歳女性が苦しんできた容姿コンプレックス… 鴻上尚史が分析した、「自分は見る側」という男達の思い込み、2019、AERA dot.

見た目やお金、地位、権力等、表面的なもの以外にどういう要素があるのかをしっかり見ながら人とかかわっていきましょう。

ただ、自分の内面を見ないようにしている人は、他人の内面に目を向けることが難しいため、カウンセリングで自分の内面と向き合っていくことが必要になります。

客観的に見る力を養う

人は誰しも自分が気にしていることは周りも気にしているように感じてしまうところがあります。

しかし、実際に他人がどれだけ気にするかは人によって変わります。

自分と同じくらい気にする人もいれば、全然気にしない人もいる。

例えば、近くのコンビニに行くだけでもバッチリ化粧をしないといけない人もいれば、近所だったら化粧しなくても出られる人だっています。

見た目を気にする度合いも人によって全く違うのです。

「〇〇さんだったら相手の見た目を気にするかな?」と相手の感覚で考えてみることをやってみてください。

他人の感覚でイメージすることが難しい場合は、カウンセリングで具体的な事例をもとにレクチャーさせていただきます。

自分がどうしたいのかに目を向ける

見た目というのは他人からどう見られているかの指標として象徴的なものです。

他人からどう思われているか、どう見られているかを意識する度合いが強いため、容姿コンプレックスを抱いていると言えます。

自分にとって見た目というのはどれだけ重要なものなのか。

自分がやりたいことをやる上で必要なのかどうか、自分がなりたい姿の要素で見た目は重要なのか。

考えてみた結果、自分にとって見た目が重要だと思うなら、見た目を良くする方法を取る。

あまり重要ではないとわかったなら自分にとって重要なことを考え、取り組むようにしてください。

人は自分にとって重要なことにお金と時間を費やしているとき、本当の幸せを実感することができるものです。

自分がどうしたいかよくわからない、見た目のことが気になって仕方がないという場合は、カウンセリングで改善していけるようにサポートいたします。