「母親のことが許せない」と思い続けて悩んでいる女性は非常に多いです。
父親が母親に子育てを丸投げ、抱え込んだ母親が娘に依存してしまう。
母と娘はお互いに依存しあう共依存の関係となり、愛されることなく育ったケースがよく見られます。
男性は親に対する感情を誤魔化して見ないようにする人が多いので、言われても気付けない、「問題なんてあるはずない!」と怒り出す人もいますね。
子供は当然親に愛情を求めるのですが、親が愛情を与えてくれなかったと感じるとものすごく傷付きます。
傷付いたことで怒りを抱き、そして憎しみへと変わっていく。
対人恐怖症やアダルトチルドレン、依存症などで悩んでいる方の話を聴いてみると、必ずと言っていいほど親子関係の問題にぶち当たります。
だから、親子関係を改善しないといけないんだという単純な話ではなく、本質的な原因を考えた上でどうすればいいかお伝えしていきます。
親を許せない気持ちの真相
親に愛されたい、わかってほしい
「また自分の意見ばっかり押し付けて私の話を聞いてくれない…」かかわるたびに出てくる親への不満。
そして、過去を思い出し「あのとき何で助けてくれなかったの?」と怒りがこみ上げてくる。
親に愛されたい、わかって欲しい気持ちがあるのに応えてもらえない。
求めても得られないから親を責めずにいられなくなるわけです。
心の逃げ場を作っている
「親のせいで自分はこうなった」と思えば、自分ばかり責めることがなくなります。
「全部自分のせいだ」と思い続けるのは耐えがたいですからね。
心の底では親は責めても受け止めてくれると期待しているから言える。
親を責めることによって心の逃げ場を作っているところがあるのです。
親への強い依存心
親によって今の自分がコントロールされている感覚は依存です。
親子関係が足かせになったとしても、一定の年齢を越えれば自分の人生は自分でコントロールできますからね。
「親を許せない」と親のことばかり考えるのは、親とのつながりを持ち続けるのと同じ。
毎日のように親を責めながら一緒に暮らしている人もいます。
依存心が強いから物理的もしくは心理的に親から離れることができません。
「子供が親を責める、親が子供に責められる」という図式でかかわりを持つ歪な関係になっているわけです。
愛情によって生まれた憎しみ
自分は親に愛情を抱いていたのに親は愛情を与えてくれなかった。
親に何の感情も抱いていなければ、愛されなくても傷つくことはありません。
しかし、自分が愛する人に愛してもらえないとしたらものすごく傷付きますよね。
傷付いた悲しみが怒りに、そして憎しみへと変わっていく。
親を責めた後に罪悪感を抱えるのは、親への愛情がある証拠とも言えます。
親に愛されなかったという感覚が生み出す自責の無限ループ
「親を許せない自分」が許せない
親を許せないことで悩んでいる人は、幼少期から親に愛されずに育ったことで愛情飢餓感を抱えているため、親に愛されたい気持ちを抱き続けています。
愛されなかったことで感じてきた悲しみ、今も愛されていないと思う感覚が、親に対する怒りや憎しみの感情を生み出して親を許せない、親のようになりたくないという気持ちにさせる。
親を許せないと思えば思うほど、今度は親を許せない自分のことが許せなくなっていきます。
そして、育ててくれた親に素直に感謝できず怒りや憎悪を募らせる自分はなんてダメな人間なんだと自分を責めるループに陥ってしまうのです。
「親を許すべき」という考えが強い人ほど、親を許せない自分を責めています。
「親を責める→自分を責める」を繰り返すから抜け出せない
親を許せない、絶対に同じようになりたくないという気持ちを抱いているため、
「母親のこと絶対に許せないんです。あれだけ私に酷いことしといて謝りもしないとか本当にありえない。」
「あんな母親にはなりたくないと思って感情的に子供を怒らないようにしてるんです。あと、子供には旦那の愚痴とかも絶対に言わないし、自分のしたいようにさせてあげようと思ってるんです。子供に私と同じ思いはさせたくないですから。」
「でも、ふとしたときに私と同じだなって思うことがあって、そう思うと私の育て方が間違ってたのかなと思うんですけど、できることはやってきたしどうすればいいかわからなくなるんです。」
といった感じのことを話す方が多いのですが、たいてい最後は自分を責める話になっています。
自分を責めることで苦しくなって、これは親のせいだと思って親を責める。
どれだけ酷いことをされたといえ育ててくれた親に対して怒りや憎悪を感じるなんて、自分は酷い人間だと思って自分を責める。
これを繰り返す悪循環にハマって抜け出せなくなっているのです。
親を許せない呪縛から解放されるために
必要なのは親を許すことではない
「いい大人なんだから過去のことうだうだ言わずに親のこと許すべき」
「親に怒りや憎悪を募らせているなんて人として最低だ」
といったことを考えているため、親を許さないといけないという固定観念を抱いて許そうと頑張るのですが、親子関係の呪縛から解放されることはありません。
なぜなら、親を許す許さないを考えている以上、自責の無限ループから抜け出すことはできないからです。
あなたの人生において大切なのは、親から受けた酷い仕打ちへの謝罪でもなく、親を許すことでもなく、自分が主体となって自分を大切にして生きていくことです。
自分がどうしたいか、どうなりたいか、どう思ったか、どう感じたかという本音に気付いて表現し、自分本位で生きていく中で自分を大切にする感覚を養って、自己肯定感を高めていくことで親を許せない呪縛から解放されます。
そのために、自分では気付けないほど深く深く抑え込まれた感情や本音に気付いていくことが必要になりますので、原理を理解した上でサポートしてくれる専門家のカウンセリングを受けるようにしてください。
自己肯定感が高まっていく過程でいずれ親を許せるようになり、純粋に感謝できるようにもなれます。
親との距離を取ることも大事
親への不満や怒りが異常に強い人は、心理的に親との距離感が近すぎる、ある種の一体感のようなものがあります。
だから、なるべく親との距離を取れるようにしていくことも大切なのです。
- 一緒に住んでいても自分のことは自分でする
- 一人暮らしをする
- 毎日のようにかかってくる電話になるべく出ない
- 親と顔を合わせる頻度を減らす
- 親が長文のLINEを送ってきてもそっけない返事にする
- 自分がより良くなることを考える時間を増やす
何かできそうなことはないでしょうか?
心理的な距離が離れてくると、依存状態が解けて関係が改善されやすくなります。