赤の他人でもなく家族や親友のような親しい関係でもない、近所の人や職場で一緒に働く人のような知り合いに苦手意識を持つ人は多いです。

出先でたまたま知り合いに出くわしたらどうしようと常にビクビク。

ちょっと買い物に出かけるだけでも神経をすり減らして疲弊する。

知り合いを見つけたら出会わないように避けたり、隠れたりしています。

話しかけられると頭が真っ白になってしまう人も多いですね。

対人恐怖症の特徴に「半知り(親しい人と知らない人の中間)が苦手」があることから、知り合い遭遇恐怖症は対人恐怖症の一種と考えられます。

知り合い遭遇恐怖症とは?

知り合い遭遇恐怖症は、近所の人やクラスメイト、職場の知り合いにバッタリ出くわすことを恐れる症状です。

かかわりのない初対面の人、逆に家族や友人のような深い関係の人とのかかわりは全く問題がありません。

それが「知り合い」という中途半端な関係になったとき急に怖さを感じる。

知り合いに会うのが怖いという悩みは、都会よりも田舎の人が抱えやすい傾向が見られます。

なぜ、知り合いが怖くなってしまうのでしょうか?

臨床経験を重ねてきた中で考えうる原因を挙げていきます。

知り合いに会うのが怖くなる原因

中途半端な関係であるがゆえどう接していいかわからない

店員さんのように赤の他人ならわざわざ話す必要もないし、用件を済ませるために最低限の会話だけすればいい。

家族や親友なら話したいときに話して、聞きたいことがあったら聞いて、必要に応じて相手の話を聞いてお互いにやりたいことをやればいい。

でも、知り合いと接するときはどうすればいいかよくわからない。

ほとんど話さない職場の同僚とショッピングモールで出くわしたら挨拶だけでいいのか。

それとも、少しは立ち止まって雑談をしないといけないのか。

知り合いだからある程度親しげに話すのが普通なのか。

会ったときにどう接したらいいかわからないから怖いというのはあります。

相手と自分が感じている距離感にギャップがある

人に良く思われたい、嫌われたくないという思いが強い人ほど、人前で本当の自分を出さないようにしています。

本当の自分を出すと嫌われると無意識に思っているからなんですよね。

とくに田舎では絶対的な力を持つ「世間体」があるため、世間様にどう思われるかを意識しやすくなってしまう。

初対面であれば相手に合わせた表面上のコミュニケーションで本当の自分を隠したまま付き合うことができます。

しかし、2回、3回と会う回数が増えていく毎に本当の自分がばれる危険性が高まってしまうため、本来縮まっていくはずの距離感が縮まらない。

相手は知り合いだからと親しみを感じているのに自分には親しみがない状態になっています。

お互いの距離感に大きなギャップがあることで温度差が生じて話しづらくなるのです。

どこまでの関係を築きたいかを自分がわかっていない

例えば、職場の人とプライベートでも遊びに行ける関係になりたいなら、ある程度自己開示して相手に歩み寄る必要があります。

逆に、職場は職場、プライベートはプライベートと割り切って、その場限りのコミュニケーションが取れればいいと思うなら、あまり自己開示する必要はありません。

しかし、どこまでの関係を相手と築きたいか自分がわかっていない状態であれば、どういう接し方をしていいのかがよくわからいため、関係を築いていく段階でうまくいかず苦手だと感じるようになるのです。

人によっては100人中100人誰とでも仲良くなりたいという非現実的な願望を抱いているケースもあり、そういう場合は現実に可能な落としどころを探していくことからになります。

知り合いに出くわす不安を緩和する対処法

出会ったときに対処するでは遅いので、事前に以下のことを準備しておきましょう。

準備ができていればできているほど不安は和らぎます。

自分の行動方針を決めておく

知り合いに会ったらどうしようと不安になっている人は、どうすれば会わずに済むかばかり考えています。

つまり、実際に会ってしまったときにどう対応するかは考えていないのです。

会ったときにどうすればいいかわからないから怖いと感じてしまう。

不安を解消するためには会ったときにどうするかを考えておくことが有効なのです。

ただ、マニュアルのようにかっちり決めてしまうと、決めた通りやろうと考えて緊張してしまいます。

会釈だけする、挨拶だけする、一言だけ話す…

大まかに今の自分にできそうなことを事前に決めておきましょう。

相手とどういう関係になりたいかを考える

知り合いのAさんは感じがいい人だから仲良くなりたい。

知り合いのBさんは苦手なタイプの人だからあまりかかわりたくない。

人によって自分がどういう関係を築きたいかは違いますよね。

仲良くなって食事に行くような関係になりたいのか?

会ったときに楽しく会話ができればいいのか?

とりあえず挨拶だけして表面上の関係を成り立たせればいいのか?

誰とどこまでの関係を築きたいかを考えてみてください。

「自分がどうしたいか」がハッキリしていれば、自分が主体となってコミュニケーションが取れるため恐怖を感じなくなります。

知り合い遭遇恐怖症を克服するために

結果ではなく過程に意識を向ける

人間関係が両極端になるのは結果に意識が向きすぎているからです。

人との会話が上手くいったかどうか、仲良くなれたかどうか。

本当のコミュニケーションというのは、結果ではなく過程にあります。

普段のコミュニケーションで自分が何を感じているか、過程に目を向けてみましょう。

ただ出会えて嬉しかった、一緒に話ができて楽しかった。

小さな過程の積み重ねが仲良くなるという結果につながるだけなのです。

人のかかわりにおいて主体性を持つ

知り合いに会うのが怖いのは、自分がどうしていいかわからないから。

他人に合わせてばかりで自分を見失っていることが根本的な問題なのです。

まずはカウンセリングで話していく中で少しずつ自分を知っていきます。

世間一般から見てどうかではなく、純粋に自分を見れるようになることが必要です。

自分を取り戻すことができてくれば、知り合いに出会ったときにどうすればいいか自分で判断できるようになります。

知り合いに出会いそうだから出かけないではなく、知り合いに出会うかもしれないけど自分が出かけたいから出かける。

しっかり自分を持ち、主体的に動ける状態になったとき知り合い遭遇恐怖症は克服できるのです。

赤の他人でもなく家族や親友のような親しい関係でもなくという中途半端な関係は、職場や学校でいくらでもあります。

人見知りがひどくて初対面が苦手な人は最初だけ乗り切ればなんとかなりますが、関係が継続する人が苦手だと逃れることができません。

近所の人に会うのが苦痛で引っ越しを考えていたり、仕事を続けられず職を転々としたり、人とのかかわりにお困りの状態であればご相談ください。

知り合いに会うことを恐れながらのしんどい生活はもう終わりにしましょう。