
依存症のご相談でとくに多いのですが、妻の気持ちがわかっていないことで夫婦関係を悪化させているケースはよくあります。
夫からすれば妻の話は聞くし家事も育児もやっている。でも、妻は自分の気持ちをわかってもらえないことで不満を募らせる。
妻のために何もしていないわけではなく、むしろ行動だけ見ればよくやっている人もいます。
しかし、どれだけ頑張っても妻の気持ちをわかっていない以上、的外れになってしまうのです。
なぜ妻の気持ちがわからないのでしょうか?
妻の気持ちがわからなくなっている原因
受け身で妻に依存している
妻が言ってくれたらやるという受け身の傾向が見られます。家庭において自分から何かをしていこうとする意識が低いのです。
例えば、妻が家事と子供の相手でバタバタしている状況があったとします。
妻にしてみれば手が空いているなら手伝ってほしいと思う。でも、「手伝って」と言われない限りは動かない。
そもそも自分の仕事ではないと思っている人もいれば、「手伝って」と言わないということは大丈夫なんだろう、自分が手伝って逆に邪魔になってはいけないと考える人もいます。
後者は妻の気持ちを考えているように見えますが、勝手な解釈の可能性が高く、妻が本当にそう思っているかはわかりません。
妻に言われたことを表面的に受け取るだけ。日常で妻の気持ちを考える機会がないからわからないのです。
否認によって妻の気持ちから目を背けている
妻の気持ちがわからないのは否認の心理が影響しています。
とくに依存症は別名「否認の病」と呼ばれており、自分にとって都合の悪いことから目を背ける傾向が非常に強いのです。
だから、本当は夫婦関係が上手くいっていないのに、上手くいっていないところを見ないようにして上手くいっていると思い込む。
テレビを見ながら話を聞き流しているだけなのに「俺はちゃんと妻の話を聞いている」となっていたりします。
妻の気持ちに関しても自分にとって都合の悪いところは見ていない。自分に都合よく捻じ曲げられた世界で生きているからかみ合わないんですよね。
妻に求める気持ちが非常に強い
自分を愛して欲しい、認めて欲しい、受け入れて欲しいという気持ちを妻に歪んだ形で押し付けています。
言わずに察してもらおうとするのが典型例。
本来であれば母親の愛情によって満たされるはずだった「愛されたい欲求」が満たされないまま成長してしまったために、妻に母親の代わりを求めるかのように「愛してくれ」と訴え続けているわけです。
直接言わず嫌味な態度で出したり、心の中では思っているけど出さない人もいます。被害者ぶって思い通りにさせようとするタイプの人もいますね。
自分が愛されることにばかり意識が向いているため、妻の気持ちに目を向けることができないのです。
妻の気持ちを理解していくために
妻の気持ちに目を向ける習慣を持つ
愛して欲しいという自分の欲求ばかり押し付けるのは身勝手な話です。
普段の些細な会話や接し方、行動、すべてにおいてその身勝手さが顔を出すため、妻はどんどん疲弊して嫌な気持ちが募っていきます。
にもかかわらず、愛して欲しいしか考えていないためにそういう妻の気持ちの変化にも気付けない。気付けないから勝手に上手くいっているものと解釈して自分の非を認めないまま妻に我慢を強いるわけです。
こんな状態で上手くいくはずがありません。
人との関係、とくに夫婦関係においてはお互いの気持ちを感じ取りながら折り合いをつけていくことが必要だからです。
普段の会話やLINEでやり取りをしているときに「妻は今どういう気持ちなのだろうか?」と少し考えるようにしてみましょう。
問題が起こった背景を考えてみる
些細なことで激怒された経験がある人は多く、なぜ怒られたかを理解できないまま妻の問題と認識しています。
しかし、本当の問題は夫にあることがほとんど。些細なことで激怒させる原因を普段から作っているのです。
妻の気持ちを考えられていないことで、気付かないうちに怒り、悲しみ、不安等、ネガティブな感情を蓄積させています。失言を繰り返して不快な思いをさせているケースも珍しくありません。
妻を爆発寸前の状態にしておいて、機嫌を損ねることをしでかせば激怒されるのは当然ですよね。
単純に「これをやったら怒られた」と思うのではなく、「些細なことで激怒させるほどのことをしているのかもしれない」と自分の行いを振り返るようにしましょう。普段通り接してくれるから問題なしと捉えるのはやめてください。
妻だけの問題として切り離さない
妻が自分のことをわかってくれない、いつも不機嫌で些細なことで怒ってくる。気持ちが不安定でかかわりたくない。
「もうこんな生活は嫌だ」と家に帰る時間をわざと遅らせたり、他の女性との恋愛に走ったりする人もいます。
表面的に話を聞くと妻に問題があるように思うのですが、実は自覚ないまま妻を傷付けてそういう状態にさせてしまっている。
夫婦関係が上手くいかないのは「自分にも問題があるのでは」という視点を持つことが大切です。
家事も育児もやっているし、他の家より自分はやっていると思っても、妻の気持ちを理解できているか、共感できているかは別の話。
無意識に目を背ける否認の影響でなかなか自覚するのは難しいですが、カウンセリングで話していくと少しずつ気付いていきます。
夫婦でカウンセリングを受けていただくと、感覚のズレがその場でわかるのでより効果的です。