根暗、引っ込み思案、コミュ障、おとなしい等と言われる内向的な人は、外向的(社交的)な人になりたいと思います。
外向的な人は誰とでも仲良くなれて友達が多く、話し上手で世渡り上手、コミュニケーション能力に長けていて明るい、プラス思考で小さなことで悩まない。内向的な人にとっては憧れでしかありません。
「自分もあんな風になれたらなぁ…」
羨望の眼差しで見つめながら、考えるたび外向的とは程遠い自分に嫌気が差してくる。
私自身も学生時代、めちゃくちゃ強く思ってました。外向的な人になりたい。なってモテたい、好かれたい、いっぱい友達欲しい…
社会人になってからも同じでした。パワハラ上司に上手く対応して営業成績抜群で、面白い話ができて、みんなから好かれてモテるあの人みたいになりたい…
ずっとずっと外向的な人に憧れを抱き続けていたのです。
でも、今は外向的な人になりたいかと聞かれたら「NO」と答えます。外向的な人になって本当に自分が幸せかどうか考えたら幸せだと思えないからです。
正直、活発に交流会等に参加していろんな人とかかわり続けるのはウザいですし、一人の時間は大切にしたい。家族との時間も大切にしたい。親族との交流も大切にしたい。その中で、友達や好きな人とのかかわりも大切にしたい。
幅広く人脈を広げて何かがしたいかと言われればしたいことはないし、それで自分の自由が奪われるくらいならなくてもいいかなと思っています。
今は自分の幸せ、自分らしさ、自分が何をしたいかが明確になってきているので、外向的になりたいとは思わないのです。
外向的な人に内向的な部下の指導はできない
内向的な人は自分に自信がないために無意識に必要以上の努力をしますが、外向的な人はそういう努力をしません。
都度都度しょうもないことで失敗もしないため、失敗する人の気持ちが理解できず相手に実行不可能なアドバイスしかできないのです。「俺はこうやってできた、だからお前もやればできる」的な。
しょうもないことでつまづき、理解しなくてもいいことにこだわって要領よくできない、臨機応変にこなすことができないといった内向的な人の感覚は外向的な人には理解できません。
そもそものスタート地点が違いすぎるため、どうやったらできるようになるかを教えられないのは当然なんですよね。
でも、外向的な人はある程度能力も高く、表面上取り繕ったり、上司に気に入られる術も持っているため、教育する立場となる役職者は外向的な人が多くなっています。
そういう上司の下で働く内向的な人は大変です。
精神論や感覚で話をされ、自分と同じ目線で話をしてもらえませんからね。
外向的な上司のほとんどは、OJTという大義名分の下に指導を放棄しているというのが実態です。
中途入社したことがある人はご存知だと思いますが、OJTというのは名ばかりで指導できない役職者の責任逃れを助長するものになっています。
内向的な人は外向的な人より損をしやすい
ただ、私は内向的な人の方が外向的な人より優れているとは思っていません。
今の社会では、間違いなく外向的な人が得をして、内向的な人は損をします。
社会人経験が少ない理想主義的なカウンセラーは、「内向的なあなたは素晴らしく、外向的な相手がダメだ」という話をしたりしますが、現実の社会にそんな考えの会社はありません。
外向的な人は仕事をやっているアピールが上手いため、実際にはたいして仕事をしていなくても上司から評価を得られます。
しかし、内向的な人はいくらやっていてもアピールができないがためにやっていないとみなされて評価されず、仕事ができない人間だと見られやすいからです。
私自身、内向的であったがためにどれだけ損をし続けたか計り知れませんし、内向的な状態からモデルチェンジしたことで周りの劇的な変化を見てきました。
どれだけ潜在的な能力が高かろうが、表面的にそれが見えていないなら無いのと同じなのです。
内向的な性格を変えたい人は自己啓発に注意
自信を持つためには「私は私のままで大丈夫」と今の自分を認めてあげることが大切です。
自己肯定感と言われるものですね。
しかし、自己啓発は「今の自分はダメだ、だから、考え方を変えないといけない」「今の自分はダメだ、だから、もっと頑張らないといけない」と自分を否定することからスタートしやすい。
内向的な人は普段から自分を否定しているのでさらに否定を強めてしまう。
否定すればするほど自信を失ってしんどくなるのです。
自己啓発で頑張って最初は上手くいったりするケースがあっても途中から息切れしてきて自分を見失ってしまうこともあったり。
自己啓発セミナーなんかに参加したら「やるぞ!やるぞ!やるぞ!」とか掛け声言ったり、セミナーに参加して人前で大声で決意表明とか本当にバカらしいと思っています。私は大嫌いです。
正直、自分がより良くなるならどんな方法でもいいと思っていますが、自己啓発系は逆に悪化するケースが多い。
場合によってはセミナーなどに参加してその参加者同士で依存しあうケースもあります。
「自分を変えたい」という気持ちはあると思いますが、くれぐれも自己啓発で悪化しないようにお気をつけください。
自己啓発の本を買ってちょっと読むくらいなら全然問題はないですけどね。
内向的な性格のままでもポジティブにはなれる
内向的な人はネガティブ、外向的な人はポジティブというイメージを持っている人は多いでしょう。
一昔前からポジティブ信仰の強い人が増えてきた影響で、ポジティブが良くてネガティブはダメという概念が生まれてきました。
その結果、内向的はネガティブでダメ、外向的はポジティブだからいいという思い込みが蔓延しています。
人間の心にはネガティブな面とポジティブな面と両方あって当然なのですが、ネガティブな面は忌み嫌われるからできるだけ出さないようにしようとする。繰り返していくうちに自分のネガティブな本音が抑え込まれ過ぎてわからなくなってしまう。
そして、解消されないままのネガティブな気持ちが暴走しだして、相手の反応が悪く見えて苦しんだり、原因不明の緊張感に悩まされたりすることになるのです。
ポジティブに考えるだけでいい方向に向かうなんてありえない
- 何事もいい方向に考えればいい
- 「なるようになるさ」と考えればいい
- 嘘でもいいから前向きな言葉を言い続ければいい
こういう内容のことをよくポジティブ信仰の人は言いますが、人生そんな単純ではありません。
例えば、お金がなくて困っている人が毎日「自分はお金持ちになれるんだ」と数万回唱え続けたとしても、何か仕事をするなりしない限りお金は入ってこないのです。
お金がない状態になっている現実というネガティブな側面としっかり向き合って、そこを解決するために何ができるかを考えていく必要があります。
いくらポジティブに考えたとしても、自分の中にあるネガティブな面から目をそらして解決しようとしなければ、いつまで経ってもいい方向に向かうことはないんですよね。
相手のネガティブな言葉をかき消すのは自分のため?
ネガティブな気持ちを口に出したときに「大丈夫だって」「そんなことないよ」とか言ってかき消された経験は誰にでもあると思います。
相手からすれば励ますつもり、つまり、相手のためを思って言っているつもりの言葉ですが本質は違います。
本質は聞く側の人間が自分の中にあるネガティブな面から目を背けているところにあるのです。ネガティブな側面を見たくないから相手のネガティブな話をかき消すのを相手のためだと正当化しているに過ぎません。
これって親や友達がよくやる当たり前のことですが、こういうところにもネガティブから目を背ける傾向が出ているのです。
まさにネガティブが悪であるかのように追い払おうとする。臭いものに蓋ですね。
だから、みんなそういう話をしないようにしたり、落ち込んでいても明るく振舞うのが当たり前になってしまうのです。
ネガティブな気持ちが渦巻いていたらポジティブに捉えられないのが当たり前
でも、本当の気持ちはネガティブなんだから、いくらポジティブに振舞っても誤魔化しきれずにボロがでる。それが対人恐怖症であったり、うつであったりするわけです。
ポジティブな面だけを見せるカウンセラーやセラピストがいますが、それもおかしな話だと思うのです。
心理系のセミナーに参加したときに、暗い気持ちなのに初対面の相手と褒めあって嬉しそうな顔をするのも変な話。
怒りが爆発しそうな状態なのに、何事にも感謝、嫌なことでも前向きに捉えていることをFacebookでアップした有名人に「いいね!」するのもおかしな話。
自分の中にネガティブな気持ちが渦巻いてる人が、そんな馬鹿みたいにポジティブな話聞いて、素直に「いいね!」なんて思えるわけがないんです。
ネガティブにもしっかりと目を向けて前を向くのが本当のポジティブ
人はいつも自分に嘘をついて誤魔化して生きています。
無意識に目を背けていることを話さなかったり、触れられたくない話題を切り替えたり、暗い話を無理やり前向きにしようとしたり、美化したり、記憶を消してみたり…
ひとくくりにネガティブという表現を使ってきましたが、人間は自分の都合の悪いことから目を背ける性質があります。
それも人間が自分の心を守るための大切な役割を果たしているため全否定するつもりはありません。
ただ、最近はポジティブ思考でそれが正当化されすぎているように感じています。
ポジティブな気持ちというのは無理やり作り出すものではなく、ネガティブにもしっかり目を向けていくことによって自然と湧いてくるもの。
だから、内向的な人でもポジティブになれるのです。
ネガティブから目をそらす言い訳をポジティブだと捉えないようにしていただきたいなと思っています。
内向的な人は聞き上手を目指そう
ご存知の通りコミュニケーション能力は採用選考基準の一位となるくらいビジネスで重要視されています。
当然ながら評価や昇進にも密接にかかわっていて、仕事のスキルが高くなくともコミュニケーションが上手く取れれば評価されるという仕組みです。
コミュニケーション能力が高い人と言えば、「しゃべりが上手い人」「面白い話ができる人」「話題が豊富な人」というイメージではないでしょうか。
しかし、本当にコミュニケーション能力が高い人は話を聞く力を持っています。
明石家さんまさん、タモリさんといった話し上手と言われる芸能人の方を思い出してください。
相手の話をしっかり聞くことで意図を上手く汲み取って、それを話題として広げることで上手く話してますから。
コミュニケーション能力がないほど低いと思っている人は間違いなく社交的な人を過大評価しています。
極端な話よくしゃべっているだけですごいと思ってしまうくらいに。
でも、実際は社交的と言われる人もできていないところがある、むしろコミュ障と言われる人の方が優位なところもあったりするんですよね。
意外と話を聞けていない人が多いという事実
あるアンケートで「あなたは人の話をちゃんと聞けていますか?」という質問を受けたとき、50%以上の人が「聞けている」と答えたそうです。
私自身、カウンセラーとして活動する中で「聞くこと」は基本中の基本なのですが、意外と難しくてできている人に会うことがほとんどありません。
その確率から考えても「50%以上はないだろ」って思いました。
以前通っていた整骨院の先生とのやり取りですが、たいていの人はこんな感じのコミュニケーションを取っています。
私:「こないだ天橋立に行ったんですけど、あの辺りはめちゃくちゃ遠いですよね。」
相手:「あ~、天橋立って京都の北の方ですよね?実は私近くに住んでたことがありまして…そのとき付き合ってた彼女がね…(延々と続く)」
相手の話を自分の話にすり替える、話を聞けてない人にありがちなパターン。
私は心の中で「いやいや、あなたの彼女の話とか別に聞きたくないし」って思いながら聞いてました(笑)
よくしゃべる人ってこういう人多いんですよね。
「あなたは人の話をちゃんと聞けていますか?」という質問に対して、自信持って「聞けている」と言う人はたいてい聞けていない。
そもそも話を聞くことを軽視しているから「聞けている」と言えてしまう。
よくしゃべる社交的な人に多いのは、人間関係で悩むことがないからだと思います。
話が聞けるコミュニケーション上手を目指せばいい
人の話が聞けるコミュニケーション上手な人には以下のような特徴がみられます。
- 相手の話を途中で遮らずに最後まで聞ける「忍耐力」
- わからないことを正直に質問できる「素直さ」
- 話の背景を想像しながら聞ける「想像力」
- 相手の話が膨らみやすい質問ができる「質問力」
実は社交的な人より内向的な人の方が素質があったりするんですよね。
話を聞くしかできず我慢が習慣化しているから忍耐力があったり、マウントを取ろうとしても勝てないから素直に聞く感じになったり…
想像力や質問力は乏しい人が多いかもしれませんが。
どこができていて、どこができていないかも、自分のコミュニケーションを振り返って考えてみてください。
まずは「自分が話を聞けていない」ということに気付くこと、そして、それを認めることが人の話を聞けるようになるための第一ステップです。
「話し上手は聞き上手」と言われるように、聞き上手になれば、必然的に話し上手にもなれます。
相手の真意や意図を汲み取って話せるようになるから話し上手になるんですよね。
コミュニケーション能力が高まると必然的に人から好かれやすく尊敬されやすくなり、今まで嫌われていた同僚や低い評価を受けていた上司との関係を変えていくことだってできます。
ただ、表面だけ取り繕ってスキルであるように見せかけても何も変わりません。
自然とできるようになって初めて上手くいくようになります。
そのためには普段から聞くことを習慣化させて聞く力をつけたり、さらにその根本にある人間力を高めたりすることがどうしても必要となるのです。
内向的な人が周りから評価されるために何をすればいいのか?
内向的な人に必要なのは、そのままの自分が素晴らしいんだと我を貫くことでもなく、外向的な人になろうと変な努力をすることでもなく、その潜在的な能力を表面化させることです。
これをしないままでは、いつまで経っても社会では通用しない底辺に追いやられた社会生活を営まなければなりません。
そんな人生の何が面白いのか、楽しいのか、もし「自分は自分、優れた能力があるんだ」と実感できたとしても、今の社会では評価されずただひたすら不利な条件を飲むことになります。
内向的な人はアピールが下手であまり目立ちたくないと思いがちなので、アピールしなくても気付かれるほどスキルを高めていきましょう。
仕事の全体像を捉えつつ、いかに効果を出すかを考えながら目の前の仕事に精一杯取り組み続けること。
最初から器用にこなすことはできませんが、試行錯誤を繰り返せば自分の中にノウハウを蓄積して自分にしかできない仕事の絶対領域を作り出すことができます。
また、全体像を見ながら仕事ができるようになると人とのコミュニケーションにおいても全容が見やすくなるため、相手を自分の望む答えに導けるようになっていきます。
内向的な人が外向的な人になることはできませんが、能力を表面化させて会社で評価されるようになれるのです。
これは実際に私がやったモデルチェンジであり、最終的に同僚だけでなく、上司や役員からも高い評価を得られるようになりました。
仕事への取り組み方や自分が好きなこと、興味あることがわからない人は、まずカウンセリングを受けてそれを知ることから始めてください。