愛情飢餓感に苦しむ女性

対人恐怖症アダルトチルドレン、依存症、パーソナリティ障害、うつ等で苦しむ人が抱えている問題に愛情飢餓感があります。

愛情飢餓感とは、名前の通り愛情に飢えた感覚であり、親に愛されなかったと感じることが原因になるものです。

子供が愛されなかったと感じたら愛情飢餓になってしまうため、虐待がおこなわれるような家庭環境、毒親との関係だけで起こる問題ではありません。

愛情飢餓感を抱えてしまう原因

条件付きの愛

愛情飢餓感には親の条件付きの愛が影響します。

親にとって都合の良い子供。例えば、弟や妹の面倒をよく見る子、聞き分けのいい子であれば愛される。

でも、わがままを言う子、親の手を煩わせる子だったら愛されない。

このようにある条件を満たした自分だけ愛されるのが『条件付きの愛』と言われるものです。

親にとって都合がいい自分なら受け入れてもらえるけど、ありのままの自分は受け入れてもらえない。

    親が思っていなかったとしても子供がこのように受け取っていたら「ありのままの自分は愛されないんだ」という感覚を持つようになってしまいます。

    愛情の掛け違い

    親は子供の為に頑張って欠かさずお弁当を作った。元気がないときは好きな料理を振る舞った。

    でも、子供がして欲しかったのは自分の話を聞いてもらうことだった。

    子供が求めていることを知ろうとせず、親の目線で押し付ける形になった愛情は受け取ってもらうことができません。

    キャッチボールに例えると、子供が親に投げてくれたボールを受け取らず子供のいない場所に投げ続けていたような感じでしょうか。

    子供が求めていることと親の愛情表現にズレがあることで愛情飢餓感を抱えてしまうこともあるのです。

    過受容なかかわり

    何をやっても親が受け入れてくれたという体験も愛情飢餓感につながります。

    幼少期に愛情を過度にもらいすぎて育つと、愛情を受け取る器が大きくなってしまい、ある程度愛情をもらえても満足できない。

    常に愛情が足りない感覚になってしまうのです。

    親に愛された実感はあるのになぜか過剰に他人に愛されること、認めてもらうことを求めてしまう。

    その背景には幼少期の過受容なかかわりがあったのかもしれません。

    愛情飢餓感の世代間連鎖

    愛情飢餓感を抱えた親は子供の愛し方がわからない

    Acid Black Cherryの「少女の祈りⅢ」という歌が愛情飢餓感を抱えた娘の心情をリアルに表現していてわかりやすいので聴いてみてください。

    Acid Black Cherry『少女の祈りⅢ』の歌詞

    最後は愛に飢えていた娘に子供ができて、生きる意味を見つけたという内容で締めくくられています。

    しかし、これは新たな世代間連鎖の始まりでしかありません。

    愛に飢えた親は子供に愛情を注ぐことができないからです。

    どうやって子供に愛情を与えればいいかわからない、そもそも愛情を注ぐってどういう感覚なのかわからない。

    ここで過干渉、過保護、放任、友達親子が登場することになります。

    愛情飢餓感を抱える親の苦しみ

    結果的に大嫌いな母親がしてきたように自分も愛情を与えない子育てをしてしまう。

    そして、子供の成長とともに映し出されるのが大嫌いな母親と自分が似ているという事実。

    あんな親には絶対になりたくないと誓っていたはずなのになぜ同じようなことをしてしまうのかと葛藤を繰り返して苦しみます。

    そうこうしているうちに子供は思春期を迎え自分から離れていく。

    せっかくいてくれた子供という自分の存在意義が離れていくことへの不安。

    自分は何のために生きているのか、今更ながら考えさせられるのです。

    愛情飢餓感を抱える子供の苦しみ

    子供は子供で小さい頃は親に愛情を求めるサインを出すのですが、親が与えてくれないとわかると愛情に固執するようになります。

    得られないと思うから愛情に執着して「愛されたい」と異常なほど求めるようになり、ありのままの自分が愛されると思えないまま無価値感を抱えて満たされない毎日を過ごす。

    親から依存され親に依存してしまう共依存。

    学校の友達関係でも相手に求めすぎてわがままになるから、わがままさを出して関係を破綻させるか、わがままさを抑え込んで表面上成り立たせるか。

    親と同じように「愛されたい」という気持ちに翻弄されて生きることになってしまうのです。

    親を許せない気持ちが湧き上がってくる

    子育てをしていて幼少期の記憶が蘇ってくることは多いです。

    子供と自分を重ね合わせて親の接し方を思い出す。

    • あのときちゃんと向き合って話を聞いてほしかった
    • 親のエゴを押し付けずやりたいようにさせて欲しかった
    • もっとかまってほしかった

    なぜ親は自分のことをもっと考えてくれなかったんだろう。

    愛されなかった当時を思い出しどんどん怒りが湧き上がってくる。

    「当時親が大変だったのはわかるけど許せない!」

    頭では親には親の事情があったと理解できても、気持ちがどうしても収まらず苦しみます。

    親に愛されなかった愛情飢餓感を克服するために

    親に自分の気持ちを伝えてみる

    話せばわかってくれる可能性がありそうな親なら、一度自分の正直な気持ちをぶつけてみるのもいいと思います。

    今まで親に言いたいけど言えなかったこと、聞きたいけど聞けなかったこと…

    かなり勇気がいることなので事前に整理してから取り組むようにしてください。

    自分の気持ちを伝えて親が受け止めてくれたと思えれば愛されていたと実感することができます。

    ただし、話してもわかってくれない親の場合、愛情飢餓感を悪化させてしまう危険性があるため、慎重に判断していただくことが必要です。

    自分で自分を愛する感覚を養う

    カウンセリングで自分の本音を話して受け入れてもらう体験を重ねていきます。

    ありのままの自分を受け止めてもらうことによって、「自分は愛されないのではないか」という不安が少しずつ解消され、他の人とのかかわりでもありのままの自分を表現できるようになっていく。

    自分を表現することで受け入れてもらえた安心感が得られ、自分で自分を愛する感覚が養われていきます。

    「愛されたい」と過剰に求めることがなくなるため、他人に愛されやすい状態になって愛情飢餓感が克服に向かうのです。

    愛情飢餓感の世代間連鎖を断ち切る

    愛情飢餓の世代間連鎖は誰かの代で止めない限り、延々と続いていきます。

    ただ、頑張って親に訴えかけても愛情を注いでくれない可能性が非常に高く、誰かに満たしてもらおうとすればするほど関係を破壊して余計に満たされなくなる危険性が出てきます。

    外に求め続ける限り愛情飢餓が根本的に解消されることはありませんので、カウンセリングを受けながら自分で自分を認めて愛せる状態にしていくことが必要となるのです。

    非常に大変なことですが、気付いたなら自分の代で止めるようにしていただきたいと思っております。

    ⇒親子関係で苦しむアダルトチルドレンを克服するカウンセリング