「母原病」という言葉が流行っていた時期があるくらい母親が子供に与える影響はよく取り沙汰されます。
しかし、実際には母親以外の身近な存在である父親、祖父母等の影響が少ないはずはありません。
幼児的万能感、感情や欲求の制御、社会的なコミュニケーション能力に関しては母親よりも父親の与える影響が大きいと言われています。
今回は子供の幼児的万能感に対して父親がどう接していけばいいのかをお伝えしますので参考にしていただけると幸いです。
幼児的万能感が子供に引き起こす問題
子供なら誰でも幼児的万能感を抱いています。
小さい頃、幼児的万能感があるからこそ、自分の欲求を満たそうと能動的に行動する。
幼少期において幼児的万能感は必要なのですが、思春期を迎えても強く残っていると何かしらの問題が表面化してきます。
家庭内暴力、依存症、万引きや盗撮といった犯罪行為、対人恐怖症、パーソナリティ障害等を引き起こすことになってしまう。
なぜなら、幼児的万能感を強く抱いたままだと自己中心的で自分の欲求を叶えるために相手をコントロールすることを考えてしまうからです。
親子関係などによって幼児的万能感がある程度なくなっていれば、他人はコントロールできないと認識できるので他人の事情も考えて欲求が収まるのですが、幼児的万能感が強いとこれが収まってくれません。
だから、自分の思い通りにならないことがあるとすぐにイライラしてストレスを抱えやすくなる。
ストレスのはけ口として親に暴言を吐いたり、暴力を振るったり、物に当たったりしてしまうわけです。
幼児的万能感は何でもコントロールできる感覚にさせる
「自分でコントロールできることは限られている、コントロールできないことがあって当然だ」と無意識に理解できているなら、自分の思い通りにならなくてもイライラすることはほとんどありません。
娘が小さい頃は幼児的万能感が強いことを認識する場面がよくありました。
例えば、仕事に出る前の時間に私と遊ぼうと言ってきたときに「じゃあ、先に服着替えるから」と自分のことを優先しようとすると怒り出す。
それでも私が服を着替え続けようものなら「早くしてよ!」と泣きわめいていました。
娘とすれば今すぐ遊びたいのに、私が服を着替えることによって遊べない。
遊べる時間が減ってしまうから泣きわめいて今すぐ遊べるように私をコントロールしようとしていたのです。
これが幼児的万能感と言われるもので、欲しいものが買ってもらえなくて駄々をこねている子供をイメージしていただくとわかりやすいかもしれませんね。
子供の幼児的万能感に歯止めをかけるのは父親の役割
この幼児的万能感に対して小さい頃から父親がどうやって接するかは子供の成長過程において非常に重要な意味を持ちます。
なぜなら、父親の接し方次第でこの幼児的万能感をなくしていくことができるからです。
幼児的万能感が中学、高校と思春期を迎える頃まで強く残っていると、子供を苦しめることになってしまいます。
本当に子供のためを思うのであれば、父親の役割としてダメなことはダメ、無理なことは無理としっかり突き放すことが必要なのです。
父親には、子どもに「ダメなものはダメ」と否を突き付け、社会の掟や現実の厳しさを教え込む役割がある。父親が「何でも許される」という万能感に歯止めをかけ、自分の限界を体感させないと、誇大な万能感と自己顕示性が残り、将来的に社会への適応を妨げることとなる。
そして、同時になぜなのかという理由もちゃんと伝えるようにして下さい。
子供は自分の欲求優先で相手の事情を考慮しづらいところはありますが、どういう事情でダメなのか、無理なのかをちゃんと伝えていくことで少しずつ相手の事情を理解できるようになってきます。
私にも当てはまる話ですが、どうしても父親は娘に甘くなってしまうところがあるため、頑張って意識して取り組むことが必要だと意識しながら現在までかかわりを持ってきました。
子供が成長過程で苦しまないように、親として今のうちにできる限りのことをやっておきましょう。