サーカスの象の話をご存知でしょうか?

サーカスの象は小さくて非力な時期に鎖につながれて逃げようとしても逃げ出せない、杭が抜けないという経験を何度も何度もさせられます。

その結果、大人になって杭を抜く力をつけたにもかかわらず、逃げることを諦めてしまっているがために杭を抜いて逃げ出そうとはしなくなるという話です。

これは象の話なのですが、実は人間にも共通しています。

何度も失敗経験を積み重ねていくうちに「自分にはできないんだ」「難しいことなんだ」と思い込んでやらなくなる。

本当はもっと能力があるはずなのに「自分にはできない」と自分のできることの範囲をどんどん狭めて本当に何もできない状態になってしまう。

自分は何もできないダメ人間だと思うようになるわけです。

思い込みはビリーフ、固定観念とも呼ばれ、自分自身の実体験、親や先生から教わったこと、友達から聞いたこと、文化的風習、宗教、メディアの情報等によって形成されます。

自分はダメ人間だという思い込みは強化され悪化していく

自分のことをダメ人間だと思っている人は、自分のダメなところを探しては「自分はダメだ」と思い込んでいます。

  • 暗い自分じゃダメだ
  • 面白い話ができないのはダメだ
  • 話が続かないのがダメだ
  • 自己中な部分があるのがダメだ
  • 初対面ですぐ打ち解けられないのがダメだ
  • 赤面してしまうのがダメだ
  • 緊張しやすいのがダメだ
  • どもって会話に詰まってしまうのがダメだ
  • 脇見をしてしまう自分はダメだ
  • 人に迷惑をかけてしまう自分はダメだ
  • 人生を楽しめていない自分はダメだ
  • 人と普通に話せない自分はダメだ
  • 女の子と普通に話せない自分はダメだ
  • 結婚できていない自分はダメだ
  • 完璧主義な自分はダメだ
  • 神経質な自分はダメだ
  • 不安を抱えやすい自分はダメだ
  • 仕事ができない自分はダメだ
  • 不器用な自分はダメだ
  • 頑固な自分はダメだ
  • ルックスが悪い自分はダメだ

ダメな人間だから上手くいかない、できない。どうすればいいかわからない。

でも、辛くて仕方ないからなんとかしたい。

だから人とかかわろうとしてみるけど、自分が自分のことをダメ人間だと思っているから相手からもそう思われてると感じて話せなくなる。

こんな自分とかかわったら嫌がられるに違いないと思うわけです。

そう思うと人とかかわるのが難しくなるのでどんどん避けるようになる。

避け続ける中でまた自分で自分をダメ人間だと思い込む。さらに他人から自分はダメ人間に見られていると思い込む。

という無限の悪循環にハマって自分はダメ人間だという思い込みを悪化させていくのです。

思い込みが与える影響は絶大

思い込みは現実を引き寄せる力を持っている

できると思い込んでいればできるようになっていく、できないと思い込んでいればできなくなっていく。

思い込みは現実になります。

ナポレオン・ヒルの自己啓発書『思考は現実化する』は有名ですよね。

例えば、「数学が得意だからテストで90点以上とるのが当たり前だ」と思い込んでいる人は90点以上をとる。

逆に「数学が苦手だからテストで50点しかとれない」と思い込んでいる人は50点しかとれなくなってしまう。

90点以上とるのが当たり前になっている人は、本人に頑張っている意識がなくても90点以上をとるために必要なことをやる。

50点しかとれない人は50点しかとれない前提だから高得点をとるために必要なことをやっていない。

これは本人の努力が足りていないという話ではありません。

できないと思い込んでいる限り、いくら努力してもできないままになってしまうということです。

思い込みは行動だけでなく生死をも左右する

「周りの目が気になるから外に出られない」と思い込んでいる人は外に出られない前提で考え、行動しています。

必要なものはすべてインターネットで注文をするとか、家族に頼んで買ってきてもらうとか。

外に出られる前提で考えていない、行動していないから外に出られなくなってしまうわけです。

「自分は人に嫌われる人間だ」と思い込んでいる人は他人に嫌われるようなことを無意識にやってしまうし、「自分は幸せになれない人間だ」と思い込んでいる人は幸せになれそうなタイミングでわざと上手くいかない選択をする。

偽の薬でも効くと思い込んで飲めば効くというプラシーボ(プラセボ)効果は有名ですよね。

誤診で余命宣告をされた人が実際に亡くなってしまったという話もあるくらい。

思い込みというのは本当に強力なものです。

自分はダメ人間だという思い込みをなくすために

まずは自分が持っている思い込みに気付く

自分はダメ人間だという思い込みをなくすために、まずは自分が持っている思い込みに気付くところからやっていきましょう。

自分が持っている思い込みは出来事に対する感情の動きを見ていただくと気付きやすいです。

年長者を敬っていない、失礼な態度をとる人に怒りを感じたら「年長者は敬うべきだ」という思い込みを持っている。

人に迷惑を掛けたときに強い罪悪感を抱いたら「人に迷惑を掛けてはいけない」という思い込みを持っているといった感じで。

思い込みすべてが悪というわけではありませんが、自分を苦しめるような思い込みはなくせたほうがいいですよね。

ただ、学習によって形成された思い込みをいきなり変えるのは難しいので、まずは自分が持っている思い込みを知るところからやっていきましょう。

自分が持っている思い込みを知れば「自分にはこういう思い込みがあるからこういう感情になってしまうんだな」と自分を客観的に見やすくなります。

さらに、自分が納得できれば現状を受け入れることにもなりますので、感情に飲まれづらい状態になるのです。

感情と距離を置けるようになれば、自分はダメ人間だという思い込みも客観視しやすくなります。

自分の中にどういう思い込みがあるか。

一度考えてみてください。

自分を苦しめることになりやすい思い込みの一覧

自己否定や感情の抑圧につながるネガティブな思い込みには以下のようなものがあります。

自分を苦しめる思い込みに気付くための参考にしてください。

  • 自分は何をやってもダメな人間だ
  • 目を見て話さないといけない
  • 人に迷惑を掛けてはいけない
  • どれだけ頑張っても結果が出なければやっていないのと同じ
  • 人は見た目が100%
  • イケメンは浮気をする
  • 男女で食事に行けば男性が奢るのが当然
  • 飲み会で料理を取り分けるのは女性の仕事
  • 家事や育児は女性がするものだ
  • 年上だからリードしないといけない
  • 空気を読めない人はダメだ
  • 逃げるのはダメなことだ
  • 甘えるのはダメなことだ
  • 人前で泣いてはいけない
  • 弱音を吐くのは格好悪い
  • 相談しても意味がない
  • 現状に満足してはいけない
  • 人を嫌いになってはいけない
  • ちゃんとしていないといけない
  • 聞き返すのは失礼に当たる
  • 困っている人がいたら助けないといけない
  • ネガティブな感情を抱いてはいけない
  • 完璧じゃないといけない
  • 仕事を家庭に持ち込んではいけない
  • 食べ残しは絶対にしてはいけない
  • 就職したら3年は続けないといけない
  • 他人を信用すると痛い目にあう
  • どうせ自分の話なんて聞いてくれない
  • 自分のことを好きになってくれる人なんているはずがない
  • 誰も自分のことをわかってくれない
  • 20歳を超えたからしっかりしないといけない
  • 年長者は敬うべきだ
  • 世間の目が一番大事
  • 自分は説明が下手でわかりづらい話をしてしまう
  • 高齢者に席を譲らないといけない
  • 愚痴や悪口を言ってはいけない
  • 嘘をついてはいけない
  • 自分を犠牲にしてでも人のために尽くすことが素晴らしい
  • 自己中な人は嫌われる
  • マスクをすると体調が悪くなる
  • 人生は我慢するものだ
  • 上司は仕事ができる人でないといけない
  • 頑張ることは素晴らしいことだ
  • 40歳(不惑)を超えたら人はもう変われない
  • 好きなことで食っていくのは難しい
  • 愛ゆえに人は苦しまねばならぬ、愛ゆえに人は悲しまねばならぬ

他にもいろいろ挙げられますがキリがないのでこれくらいにしておきます。

「本当に自分はダメ人間なのか」を一度振り返って考えてみる

自分をダメ人間なのかを以下のような感じで自分に問いかけながら振り返っていきます。

「あなたをダメ人間だと決めたのは誰ですか?」

もしかすると親や先生、友達から言われたことがあるかもしれません。

しかし、今まで出会った人全員に言われた人はいないはずです。

「じゃあ言ってない人が自分をダメ人間だと思っていると決めたのは誰でしょう?」

そう、自分なんですよね。

自分で自分をダメ人間だと決め付けているから人とかかわれない。

人とかかわれないからより自分をダメ人間だと思い込む。

悪循環を繰り返してきたから自分がダメ人間にしか思えなくなっているのです。

自分の中では100%の感覚かもしれませんが、ダメ人間だと思わない人もいるでしょう。

そして、意外と他人も自分が思うダメ人間の要素を持っていたりします。

上手く説明ができなかったり、面白いことを言おうとしたけど全然面白くなかったり、空気が読めない発言をしてしまったり、自分で決めたことが3日も続かなかったり…

人間だから誰にでもダメな部分はあるもの。

あって当然、なければ人間じゃないし、逆にダメなところばかりの人間もいません。

ダメなところもあるなと思うなら全然OK。

でも、自分はダメなところしかないというのは極端すぎるので「ちょっとくらいはダメじゃないところもあるかな」と見方を変えてみてください。

思い込みをなくす特効薬は実際に行動してみること

行動して実際に経験することは、思い込みの修正にもっとも効果的だと言えます。

なぜなら、人は自分が「これはこうなんだ」と間違って思い込んでいることに対して、誰かに正しいことを言われても腑に落ちないからです。

「百聞は一見に如かず」ということわざもありますよね。

例えば、お湯を沸かしたヤカンがあるとして。

ヤカンはすでに沸かしてから時間が経っているので冷めています。

でも、そのヤカンが沸かしてすぐで熱いものと思い込んでいる人がいたら触ることはできません。

他の人が「冷めているから触っても大丈夫だよ」と言っても思い込みの度合いが強ければ触れないでしょう。

どれだけ理詰めで説明されても触っていない以上、熱いか冷めているかはわからないのです。

こんな感じで思い込みに対する言葉の影響力なんてたかが知れています。

勇気を振り絞って実際にヤカンをさわってみたとすればどうでしょう?

「あれっ?熱くない。大丈夫だった。」と自分の思い込みが間違いだったとすぐに気付けます。

行動によって思い込みが修正されたわけです。

こういったことは日常の人間関係で誰もが経験しているのですが、思い込みが強い人は避けてしまいます。

たまたま相手が挨拶をしてくれなかった。

「自分がダメ人間だから挨拶する価値もないと思われたのかな?」と不安になる。

でも、次の日になれば普通に挨拶をしてくれた。

「あー、別に見下されてなかったんだ」と思い込みが修正される。

不安に思うことがあっても相手とかかわりを持ち続けるから修正されるわけです。

細かいところで言えば会話の中でも頻繁に起こっています。

相手の触れてはいけない話題に触れてしまい気まずい空気が流れる。

急いで別の話題に切り替えてお互いに笑顔で話すようになっていく。

「また次会おう」という話になって「あー、そこまで気にしてなかったんだ」と安心する。

それが避けてばかりでは思い込みが修正されないどころか逆に強化されてしまいます。

話を振ってもらったのに上手く返せず変な空気になった。

「こんなこともできない自分はなんてダメなんだ」と自分を責めて話さなくなる。

「あれっ?急に話さなくなったな。どうしたんだろう」と相手が気を遣う。

ぎこちない空気のまま終わって「ああ、やっぱり自分は会話もまともにできないダメ人間だ」と思い込みを強化する。

自分がダメなところを知られたくないと思うから、同じ失敗をしないようにと避けるのです。

今回は振ってくれた話に興味が持てなかっただけかもしれないし、他の話題だったら上手く返せたかもしれません。

チャレンジして実際にできたら「もしかするとダメ人間じゃないかも」と思えてきます。

自分はダメ人間だという思い込みに苦しめられないためにも、なるべく避けずに行動していくようにしましょう。