サーカスの象の話をご存知でしょうか?

サーカスの象は小さくて非力な時期に鎖につながれて逃げようとしても逃げ出せない、杭が抜けないという経験を何度も何度もさせられます。

その結果、大人になって杭を抜く力をつけたにもかかわらず、逃げることを諦めてしまっているがために杭を抜いて逃げ出そうとはしなくなるという話です。

これは象の話なのですが、実は人間にも共通しています。

何度も失敗経験を積み重ねていくうちに「自分にはできないんだ」「難しいことなんだ」と思い込んでやらなくなる。

本当はもっと能力があるはずなのに「自分にはできない」と自分のできることの範囲をどんどん狭めて本当に何もできない状態になってしまうのです。

思い込みが対人恐怖症に与える影響は絶大

思い込みは現実を引き寄せる力を持っている

できると思い込んでいればできるようになっていく、できないと思い込んでいればできなくなっていく。

思い込みは現実になります。

ナポレオン・ヒルの自己啓発書『思考は現実化する』は有名ですよね。

例えば、「数学が得意だからテストで90点以上とるのが当たり前だ」と思い込んでいる人は90点以上をとる。

逆に「数学が苦手だからテストで50点しかとれない」と思い込んでいる人は50点しかとれなくなってしまう。

90点以上とるのが当たり前になっている人は、本人に頑張っている意識がなくても90点以上をとるために必要なことをやる。

50点しかとれない人は50点しかとれない前提だから高得点をとるために必要なことをやっていない。

これは本人の努力が足りていないという話ではありません。

できないと思い込んでいる限り、いくら努力してもできないままになってしまうということです。

対人恐怖症の改善を妨げる「症状があるからできない」という思い込み

対人恐怖症の症状が出るからできないというのも同じ。

「周りの目が気になるから外に出られない」と思い込んでいる人は外に出られない前提で考え、行動しています。

必要なものはすべてインターネットで注文をするとか、家族に頼んで買ってきてもらうとか。

外に出られる前提で考えていない、行動していないから外に出られなくなってしまうわけです。

「自分は人に嫌われる人間だ」と思い込んでいる人は他人に嫌われるようなことを無意識にやってしまうし、「自分は幸せになれない人間だ」と思い込んでいる人は幸せになれそうなタイミングでわざと上手くいかない選択をする。

偽の薬でも効くと思い込んで飲めば効くというプラシーボ(プラセボ)効果は有名ですよね。

誤診で余命宣告をされた人が実際に亡くなってしまったという話もあるくらい。

思い込みというのは本当に強力なものです。

「自分はダメ人間だ」という思い込みが生み出す悪循環

  • 暗い自分じゃダメだ
  • 面白い話ができないのはダメだ
  • 話が続かないのがダメだ
  • 自己中な部分があるのがダメだ
  • 初対面ですぐ打ち解けられないのがダメだ
  • 赤面してしまうのがダメだ
  • 緊張しやすいのがダメだ
  • どもって会話に詰まってしまうのがダメだ
  • 脇見をしてしまう自分はダメだ
  • 人に迷惑をかけてしまう自分はダメだ
  • 人生を楽しめていない自分はダメだ
  • 人と普通に話せない自分はダメだ
  • 女の子と普通に話せない自分はダメだ
  • 結婚できていない自分はダメだ
  • 完璧主義な自分はダメだ
  • 神経質な自分はダメだ
  • 不安を抱えやすい自分はダメだ
  • 仕事ができない自分はダメだ
  • 不器用な自分はダメだ
  • 頑固な自分はダメだ
  • ルックスが悪い自分はダメだ

対人恐怖症で悩んでいる人はこうやって自分を否定し続けています。

自分はダメな人間なんだと。

ダメな人間だから上手くいかない、できない。どうすればいいかわからない。

でも、症状は辛くて仕方ないから克服したい。

だから人とかかわろうとしてみるけど、自分が自分のことをダメ人間だと思っているから相手からもそう思われてると感じて話せなくなる。

こんな自分とかかわったら嫌がられるに違いないと思うわけです。

そう思うと人とかかわるのが難しくなるのでどんどん避けるようになる。

避け続ける中でまた自分で自分をダメ人間だと思い込む。さらに他人から自分はダメ人間に見られていると思い込む。

という無限の悪循環にハマって対人恐怖症を悪化させていくのです。

思い込みの悪循環から抜け出すために

「本当に自分はダメ人間なのか」一度振り返って考えてみる

あなたをダメ人間だと決めたのは誰ですか?

もしかすると親や先生、友達から言われたことがあるかもしれません。

しかし、今まで出会った人全員に言われた人はいないはずです。

じゃあ言ってない人が自分をダメ人間だと思っていると決めたのは誰でしょう?

そう、自分なんですよね。

自分で自分をダメ人間だと決め付けているから人とかかわれない。

人とかかわれないからより自分をダメ人間だと思い込む。

悪循環を繰り返してきたから自分がダメ人間にしか思えなくなっているのです。

自分の中では100%の感覚かもしれませんが、ダメ人間だと思わない人もいるでしょう。

そして、意外と他人も自分が思うダメ人間の要素を持っていたりします。

上手く説明ができなかったり、面白いことを言おうとしたけど全然面白くなかったり、空気が読めない発言をしてしまったり、自分で決めたことが3日も続かなかったり…

人間だから誰にでもダメな部分はあるもの。

あって当然、なければ人間じゃないし、逆にダメなところばかりの人間もいません。

ダメなところもあるなと思うなら全然OK。

でも、自分はダメなところしかないというのは極端すぎるので「ちょっとくらいはダメじゃないところもあるかな」と見方を変えてみてください。

思い込みを修正する特効薬は実際に行動してみること

行動して実際に経験することは思い込みの修正にもっとも効果的だと言えます。

なぜなら、人は自分が「これはこうなんだ」と間違って思い込んでいることに対して、誰かに正しいことを言われても頭では理解できても腑に落ちないからです。

「百聞は一見に如かず」ということわざもありますよね。

例えば、お湯を沸かしたヤカンがあるとして。

ヤカンはすでに沸かしてから時間が経っているので冷めています。

でも、そのヤカンが沸かしてすぐで熱いものと思い込んでいる人がいたら触ることはできません。

他の人が「冷めているから触っても大丈夫だよ」と言っても思い込みの度合いが強ければ触れないでしょう。

どれだけ理詰めで説明されても触っていない以上、熱いか冷めているかはわからないのです。

こんな感じで思い込みに対する言葉の影響力なんてたかが知れています。

勇気を振り絞って実際にヤカンをさわってみたとすればどうでしょう?

「あれっ?熱くない。大丈夫だった。」と自分の思い込みが間違いだったとすぐに気付けます。

実感によって思い込みが修正されたわけです。

こういったことは日常の人間関係で誰もが経験しているのですが、対人恐怖で悩んでいる人は避けてしまいます。

たまたま相手が挨拶をしてくれなかった。

「あれっ?なんか嫌われることでもしたかな?」と不安になる。

でも、次の日になれば普通に挨拶をしてくれた。

「あー、別に嫌われたわけじゃなかったんだ」と思い込みが修正される。

不安に思うことがあっても相手とかかわりを持ち続けるから修正されるわけです。

細かいところで言えば会話の中でも頻繁に起こっています。

相手の触れてはいけない話題に触れてしまい気まずい空気が流れる。

急いで別の話題に切り替えてお互いに笑顔で話すようになっていく。

「また次会おう」という話になって「あー、そこまで気にしてなかったんだ」と安心する。

それが避けてばかりでは思い込みが修正されないままになってしまいます。

たまたま相手が挨拶をしてくれなかった。

「嫌われた」と思い込んで相手を避けるようになる。

相手も「何か避けられてる。嫌われたのかな?」と不安に思う。

避けられ続けるから思い込みが修正されないまま関係が破綻してしまう。

親友と呼べるほどの関係が些細なことをキッカケに消滅してしまったケースもありました。

逆に何かのタイミングで話してみたら関係が修復された、というか、何も問題が起こっていなかったというケースもよくあります。

思い込みに苦しめられないためにもなるべく人とのかかわりは避けないようにしましょう。

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