最近、高校生、大学生の方のカウンセリングと依存症で悩む親御さんからご相談いただく機会が増えており、その中で直面する親子関係の問題を肌で感じています。

母親が子供に過度に干渉することによって、子供が対人恐怖症や依存症になるケースは非常に多いです。

「あれしなさい」「これしなさい」「あれはできているの?」「準備したの?」「大丈夫?」と干渉をされ続けて育つと、自分で考えることがなくなってしまう。

そして、自分がよくわからないまま育ち、人間関係などの問題に直面したときに何かしらの症状が表面化するのです。

私自身、母親に「ちゃんとお礼言わなあかんで」「ありがとう言った?」「あいさつした?」等とよく干渉されていたため、実家にいた頃は自発的に感謝したり挨拶をしたいと思うことがありませんでした。

親子関係の問題として、無関心、過干渉、過保護などが挙げられますが、とくに過干渉が問題になりやすいかなと思っています。

過干渉な親に育てられた子供によく見られる症状

依存症

過干渉を繰り返された子供は自分を見失います。

面倒くさいことはやりたくない、少しでも楽したい、嫌なことから逃げたい、嫌いな人とは話したくない、好きなことだけやっていたい、自分のペースでやりたい…

こういった人間誰しも持っている本音を過干渉によって否定され続けるからです。

本当の気持ちを出せない状態はしんどいので、自分の中にそういう気持ちはないんだと否認して見ないようにする。

否認するからそういう自分の気持ちと向き合わなくなって精神的な成長が止まってしまう。

人付き合い等の現実が上手くいかないことで不安やストレスを抱えてしまい、日常の楽しみも失われていく。

そして、ゲームやネット、何かしらの問題行動による強い快感で誤魔化すようになり、依存症になってしまうのです。

そもそも過干渉の親子関係が共依存なので、依存症になる前からしっかり土台ができている。

依存症になりやすい因子を持っていると言えます。

依存症には、アルコール依存、ギャンブル依存、買い物依存、性依存などがありますが、子供に起こりうる依存症としては、インターネット依存、ゲーム依存、スマホ依存、テレビ依存が多いですね。

対人恐怖症

学校や職場で表面上は上手くやれたとしても、人とのかかわりでつらさやしんどさを感じやすくなります。

  • 相手にどう思われているかが異常に気になって本音が言えない
  • 仲良くしていたはずの友達から急に嫌がらせやイジメを受けるようになる
  • なぜかわからないけど無性にイライラして人と話したくなくなる
  • 意見を求められても出てこない
  • 感情表現が上手くできず他人の感情に共感できなくなる

といった感じの問題がどんどん周りの人との関係に歪みを生み出して、人間関係でものすごいストレスを抱えるようになるんですよね。

そして、限界を超えたときに対人恐怖症を発症、不登校やひきこもりになってしまう。

親(特に母親)が過干渉であったと感じている大学生の対人恐怖心性は、過干渉であったと感じていない大学生の対人恐怖心性よりも有意に高いことが報告されている。

引用元:青年期における対人恐怖心性の特徴とその関連要因についての省察、2013、愛知大学教職課程研究年報

今まで対人恐怖症のカウンセリングを何千件と対応していますが、親が過干渉だったケースは非常に多いです。

過干渉は子供に無自覚の問題を抱えさせる

傷付けられた自尊心

過干渉によって自尊心が傷付けられるため、気付かないうちに以下のような問題を抱えてしまいます。

  • わかってもらえないと思うから自分の本音(感情)を押し殺す
  • 自分の意志を伝えることに罪悪感を抱いて自由に表現できなくなる
  • 価値観が育たず自分という存在が確立されない(反抗期がなくなる)
  • 自分の気持ちが理解してもらえないことへの悲しみが募り、諦めが習慣化する
  • 甘えによって自己中心的な傾向が強くなり相手の立場に立つことができなくなる
  • 何をやっても続かなくてすぐ辞めてしまう

母親に挨拶しなさいと言われて「そんなこと言われなくてもわかってるよ」と思いながら挨拶する状態ならまだいいですが、何も思わずに言われた通り挨拶をするのは末期状態だと言えます。

何も思わないのは、自尊心が傷つけられ自分の感情や本音がわからない状態になっている証拠だからです。

精神的に自立できない依存体質

親に「挨拶しなさい」「お礼言いなさい」「ちゃんと謝りなさい」等と言われ続けると、子供はなぜするのかを考えないままとにかく言われたことをやるようになります。

感謝の気持ちが出てくるからお礼を言いたくなる、自分が悪いことをしたと思うから謝るといった行動の元となる自分の感情に目を向けないまま育ってしまうため、自分の感情がよくわからない状態になってしまう。

その結果、人間が生きていく上で指針となる「自分がどうしたいか」が曖昧になってしまい、自発的に考えて行動することができなくなるのです。

子供も年齢とともに成長していくわけですから、本来なら親が年相応の接し方をしてくれて自分の成長を実感できます。

しかし、過干渉が続くといつまでも子ども扱いされているように感じて成長が妨げられてしまいます。

愛された実感がない愛情飢餓

愛されたという実感は自分が求めたことに応じてもらったときに出るのですが、求めていない状態であるにもかかわらず先回りされると愛された実感が得られないままになります。

親からすれば愛情を注いだつもりが子供は愛された実感がないという状態になるのです。

子供からすれば親子関係は良好なはずなのに愛された感覚がないという奇妙な感じになってしまう。

ありのままの自分が愛されるという実感を親からもらえなかった子供は「ありのままの自分は愛されないのではないか」という自分の存在に対する不安を抱えてしまうために人にありのままの自分を見せられなくなります。

過干渉の親に育てられた子供が自己主張を苦手とするのは、自分を出すことに対する不安が強いからです。

過干渉は親も子供も気付きづらい

子供は過干渉を愛情と錯覚してしまう

過干渉を受けている子供が母親に対して心の底から嫌悪や怒りの感情を抱くことはありません。

と言うより、嫌な思いと良い思いとを繰り返す両価性(アンビバレンス)の影響で抱けなくなっているのが正しいでしょう。

反抗期や何かのキッカケで母親に暴言を吐いたりすることはあるのですが、基本的に自分の母親は良くしてくれているという感覚だから責めきれない。

イライラして母親に八つ当たりしてしまったときは罪悪感にかられますし、自分が悪かったんだと思います。

体調を崩したらすぐ病院に連れて行ってくれたり、学校の用意も抜けがないようにチェックしてくれたり、進路についても自分に合いそうな学校を探してきてくれたり、先生に言いづらいことも代わりに言ってくれたり…

こんなにも自分の為に愛情を注いでくれる母親に感謝するのは当たり前だと思うんですよね。

だから、母親のことを思いやって愚痴を聞き続ける子も結構います。

親子でお互いに依存し合う共依存の状態になっているのです。

親が過干渉を自覚するために

子供に対して過干渉になっている親は自分が過干渉であることに気付いていません。

お互いに依存し合っていて子供が嫌がらないから気付けないのもあります。

そもそも、過干渉の自覚があればやめようとするでしょう。

自覚がないからこそ、無意識に過干渉を続けてしまうのです。

子供から言われても、他人から指摘されても「これは過干渉ではなく子育てにおいて必要な干渉だ」と思い込んで聞き入れないケースもあったり。

だから、親自身が過干渉だと自覚するのは難しいのですが、子供の異変によって間接的に気付くことはできるのではないかと思っています。

  • 自分で決められず何かにつけて確認してくる
  • 自分の意見を言わず何を考えているかよくわからない
  • 同年代の子と比べて幼い印象を受ける
  • 親に反抗することが少なく従うのが当然という感じになっている
  • インターネットの動画を観続けて注意してもやめない
  • たまにキレて物を壊したりすることがある
  • 学校でのコミュニケーションが上手くとれず登校拒否をする
  • 嫌なこと、苦手なことにはチャレンジせず逃げる
  • 対人恐怖症かもしれないと言い出す

こういった傾向がある場合、子供への接し方が過干渉になっている可能性は高いです。

どこまでが過干渉でどこまでが過干渉ではないかの判断がつかない、自分ではどうかわからないのであればご相談ください。

親自身が自分自身の問題と向き合って解決しながら、精神的に自立していくことによって過干渉はやめることができます。

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