対人恐怖症のカウンセリングを重ねる中で、緊張を和らげる方法は常に考えてきました。

日常的な緊張だけでなく、面接やプレゼン、朝のスピーチ等、人前で話す場面でのご相談も多いです。

「緊張しないようになりたい」とおっしゃる方もいますが、完全に緊張をなくすことはできません。

ただ、緩和する方法とその場をしのぐ応急処置であればお伝えすることができます。

実際に効果があった方法のみご紹介しますので参考にしていただけると幸いです。

人前での緊張を緩和する4つの方法

緊張は誰にでも起こりうる必要な反応だと理解する

ストレスを感じると脳内でノルアドレナリンという物質が分泌され、自律神経が交感神経優位の状態になります。

結果として、体温、血圧、心拍数が上昇、赤面、震え、発汗、喉の渇き、呼吸の乱れ等が出てくる。

これが緊張と呼ばれるものであり、人間である以上誰にでも起こりうる正常な反応です。

頭が働きづらくなるのは、瞬時に闘うか逃げるかを選択できるようにするため、自分の命を守るための本能的な現象。

緊張の度合いが強すぎると思考停止状態になってしまうから、上手く言葉が出てこなくなったりするんですよね。

適度な緊張はパフォーマンスを高める上で必要でもあります。

緊張感がまったくない職場と適度な緊張感がある職場であれば、後者の方が高いパフォーマンスになるのは間違いありません。

緊張のメカニズムを理解することによって、「緊張してはいけない」ではなく「緊張するのは当然だ」「緊張は役立つところもあるんだ」と思えるようになれば緊張は緩和していきます。

目的を意識する

目的を意識することは緊張緩和につながります。

森田療法の目的本位や選択理論心理学の考え方に近いですが、私は多くの場面でこの「目的意識」に救われてきました。

人前でスピーチする場面であれば「何を伝えたいのか?」「何を伝えなければならないのか?」に集中するというように、その行為の目的に集中します。

目的に意識を向けることができればできるほど「失敗したらどうしよう」「上手く喋れなかったらどうしよう」といった不安が薄れ、緊張が緩和していくのです。

誰しも人前で話すときは多少なり緊張しますが、「これだけは絶対に伝えたい」という目的がある人と、ただやれと言われたからやる目的のない人とでは、緊張の度合いが違うのは何となくわかっていただけるのではないでしょうか。

目的なくただやらないといけないからやる状態になっているのであれば、自分なりの目的を探すことから始めてみてください。

一人で考えても見つからない場合は、カウンセリングを活用していただければと思います。

相手の反応に対する捉え方を変える

緊張しやすい人は物事をネガティブに捉えてしまう傾向が強くあります。

私自身も悩んでいた時期は「自分の話が下手だからわかりづらいのかな」「こいつ大丈夫かと思われているのかな」とかよく思いましたからね。

でも、実態はたまたま反応が薄い人だったとか、真剣に話を聞いてくれているだけだったとかでした。

原因は相手が作り出してるのではなく、自分が勝手に作り出しているに過ぎなかったのです。

朝礼のスピーチで退屈そうに聞いている人は、眠くて頭がぼーっとしているのかもしれませんし、たいして意味をなさない朝礼自体が嫌いなのかもしれません。

面接で険しい顔をしている面接官は、もともと強面なのかもしれませんし、真剣に話を聞こうとしているからこその顔なのかもしれません。

相手の反応をいつものネガティブな捉え方以外、自分以外の原因と結び付けてみると緊張しづらくなります。

頭で理解するのではなく感覚的に理解することが必要なのでなかなか難しいですけどね。

最悪の事態を想定して具体化しておく

例えば、朝礼で緊張しすぎて言葉が出なくなったとします。

たいていの人は「どうしたんだろう?大丈夫かな?」と思うでしょう。

気遣って何事もなかったかのように振る舞ってくれる人もいれば、意地の悪い人はからかってくるかもしれません。

もし、職場の人たちにそういう対応をされたらどうなるでしょう?

恥ずかしくて逃げだしたい気持ち、気を遣わせていることへの申し訳なさが出てくる。

からかわれたら嫌な気持ちになって怒りが湧いてくるかもしれません。

だからといって、何か日常に大きな変化があるわけでもなく、今まで通りまた時間が過ぎていく。

人間の記憶は長くて1ヶ月、短ければ1週間も持たず消えていくもの。

失敗しても何とかなったというところまで、自分の体の感覚も交えて具体的にイメージできればできるほど緊張から解放されていきます。

緊張を緩和できる応急処置

五感の刺激

緊張状態は五感を刺激することで解消できます。

手を近くの机に触れるなどして、意識を違うところに向けましょう。

緊張が強ければ同等の刺激が必要となるため、手に輪ゴムをはめておいてパチンとする痛み、片方の足でもう片方の足を踏む等が必要となるかもしれません。

アロマをしみこませたハンカチを用意しておくとか、フリスクを噛むとかも効果はあるので、場面によって可能であればやってみてください。

呼吸法

緊張すると呼吸が浅くなり肩に力が入ります。

呼吸法によって深い呼吸にしていくことができればリラックス状態となり緊張から抜け出せます。

緊張状態のときにおすすめの呼吸法は「逆腹式呼吸」です。

腹式呼吸の逆、息を吸っているときにお腹をへこませ、息を吐いているときにお腹を膨らませる形で呼吸をしてください。

横隔膜がしっかり上下している感覚があれば上手くできています。

身体を動かす

肩を上げて力を入れた状態からストンと下ろしたり、ジャンプをして緊張から脱します。

両腕を上げて伸びをするのもいいですね。

あまり大きな動作ができないときは、肩甲骨を寄せる動作をしてみてください。肩が上がってしまうと効果が出づらいため、なるべく下げながらを心がけましょう。

緊張する出来事の前に走っておくのも有効ですが、普段から運動していない人がいきなりやると逆効果になるためお勧めはしておりません。