
1対1なら話せるのに3人以上の複数になった途端話せなくなる。
話したいけど話題についていけないし、何を話せばいいかわからない…
話すことを思いついてもタイミングがつかめないから会話に入れません。
対人恐怖症の一種、雑談恐怖症に当てはまる症状でご相談は多いです。
自信が持てず「変なこと言ってないか」「こんな話、誰も聞きたくないんじゃないか」とネガティブに考えてばかり。
自分以外の人たちが盛り上がっている中、一人だけ会話に入れないことに苦しみます。
3人以上の場で話せないのはなぜ?
コミュニケーションが依存的
相手に合わせて会話を成り立たせている人は、1対1では問題ないのですが2人以上を相手にしたときに上手くいかなくなります。
Aさんにとっては興味ある話でもBさんはあまり興味がないとか、Aさんは気にしないけどCさんはすごく気にするとか、人それぞれ違いますからね。
3人以上の場で全員に合わせようとすれば無難なことしか言えなくなり、愛想笑いとあいづちだけになっていくわけです。
自分の話したいことを話すのは自分発信だから自立的な状態だと言えます。
対して、相手に合わせて会話をするのは相手次第で話せるか話せないかが決まる依存的な状態。
相手に依存するコミュニケーションしか取れないから3人以上になると話せなくなってしまうのです。
場の空気を意識しすぎている
3人以上になることで集団特有の「場の空気」が生まれます。
1対1なら相手に合わせるだけでよかったのが、場の空気まで読まないといけなくなる。
コミュニケーションは3人以上で一気に複雑化するのです。
空気を読んで適切に振る舞おうとしても、上手くできず変な空気にしてしまって自信喪失。
自分が話に入って場の空気を壊すくらいなら、他の人同士で楽しく話してくれている方がいいとさえ思うようになります。
「空気が読めない自分は発達障害じゃないか」と考える人もいますが、空気を読もうとし過ぎておかしくなっているケースばかり。
どちらかと言えば、人一倍空気を読んでしまうHSPに該当する人の方が多いです。
3人以上で話せない人が抱えている問題
劣等感の強さ
3人以上になれば自分以外の人同士が話している姿を目の当たりにします。
みんなは楽しそうに話しているのに自分だけが上手く話せていない。自分にはなかなか話しかけてくれない。
自分だけが蚊帳の外のような感覚になって耐えがたい気持ちになる。
劣等感が強いがゆえ楽しそうにしている周りの人たちに嫉妬、参加できていない自分を責めるのです。
自分はダメだと思っているから自信はないのですが、他人に対しては自分を認めてもらいたい承認欲求が強い。
周りが普通に楽しく話しているだけで蔑ろにされたような気になってしまうところもあります。
父親との関係性における問題
3人以上で話したときに自分だけ会話に入れてもらえなかったとか、無視され続けたとか、「お前の話は面白くないからしゃべるな」と言われたとか、何か大きなショックを受けて苦手になったならわかりやすいと思います。
しかし、トラウマになるような経験があるわけでもなく、昔から3人以上で話せなかったと言われるケースばかり。
なぜなのかと原因を掘り下げてみたところ、初めて三者関係が形成される父親とのコミュニケーションで問題を抱えている人がほとんどでした。
集団との不適合感と父親との関係性は研究結果からも導き出されています。
注目すべきことは,日本人にあってはこうした集団への不適合感と「父親」との対話の有無が著しく関係していることである。(中略)日本人の場合,集団への適合という social skill は「父親」を媒介にして促進されるのではないかと考えられた。
引用元:対人恐怖症者に認められる対人不安意識に関する研究(3) : 幼少期の家庭環境と自己像に関する比較文化的検討、1980、横浜国立大学教育紀要
人間は生まれてから母親との関係、1対1の関係を築きながら成長していきますが、次にかかわる2人目がたいていの場合父親になる。
父親との関係でつまずいたから、3人以上で話すための土台が上手く形成されなかったわけです。
3人以上で話すときのしんどさを和らげる方法
「あいづちだけでもいい」という考えを持つ
3人以上で上手く話せないと思っていると、何とかして話せるようにならないとと思います。
自分が話すことがものすごく大事に思えてくるんですよね。
でも、実際はあいづちだけでも気まずい思いをせず、楽しく輪に入って周りから仲間と認識されている人もいます。
今までそういう人を見たことはありませんか?
そもそも3人以上の会話では、意外とあいづちを打つことの方が大事だったりします。
会話参加者間の情報量が均等でなくてもラポールが生まれる。聞き手の役割を担い、あいづちを打つ人が存在することが重要なのである。まさに共話的な会話展開である。
※「ラポール」は信頼関係を意味する言葉です。
私も飲み会ではたいてい聞き役であいづちを打っていることが多いですが、気まずい感じになったことはありません。
話そう話そうとするとプレッシャーで余計に喋れなくなってしまうので、「あいづちを打つだけでも意味があるんだ」という考えを持っておいてください。
自意識過剰を緩和する
3人以上の場で話せずに苦しんでいるときは自意識過剰になっています。
自分が変に見られていないかどうかの不安から、会話に入れていないことへの焦り、話せないことに対する自己嫌悪。
自意識過剰によって視野が狭くなり、冷静さを失うことで苦しい状態になっているのです。
以下のような取り組みによって別のことに意識を向ければ、自意識過剰が緩和して楽になります。
- 他の人が話している内容から情景をイメージしてみる
- 会話以外で自分がしたいことを考えてみる
- 自分の気になる物がないかを探してみる
- 最近あった嬉しい出来事を思い出す
なかなか難しいところはありますが、上手くできなくても別のことに意識を向けようとするだけで少し気分は変わります。
3人以上で話せない状態を改善するために
1対1でも主体的に話せるようにしていく
普段から1対1の会話でも受け身にならず、主体的に話す機会を増やせば3人以上でも話しやすくなっていきます。
ただ、今まで受け身だった人がいきなり自分から話すのは無理ですよね。
まずは主体的な会話をしやすくするために、自分が話したい、聞きたいと思う気持ちを強めていくところから始めましょう。
「自分が何を思って何を感じているのか」に焦点を当てながら日々を過ごすようにしてみてください。
何もなかったと思うような日でも、意識を向けて過ごせば何かしら話したいこと、聞きたいことが出てくるものです。
「相手がどう思うか」を気にしながらになりますが、話したいから話す、聞きたいから聞くという経験を積み重ねていけば主体的に話せるようになっていきます。
自分らしいコミュニケーションを知る
話すペースがゆっくりの人もいれば速い人もいる。話すのが好きか話を聞くのが好きかも人によって違いますよね。
あとはリアクションが大きいか小さいかとか、身振り手振り使って話すかどうかとか…
3人以上の会話で困っていない人は自分らしいコミュニケーションが取れています。
自分は気の利いた返しができるタイプじゃないと認識していれば、上手く返せなくても気にしないでしょう。
輪に入って話を聞ければ満足という人は聞き役で全然話さないけど、自分が話せていないことを気にしません。
生まれ持った性質や経験等を思い返して自分らしいコミュニケーションを探してみてください。
一人で考えてもわからない場合はカウンセリングでサポートいたします。
相手の反応に対する捉え方を修正する
3人以上の場で話してみたときに、周りの反応がどうだったのか、自分がどう感じたのかをカウンセリングでお話しいただきながら、偏った捉え方があれば修正していきます。
相手の反応をネガティブに捉えがちな傾向があるため、客観的に見てどうなのかを知っていくことは大切です。
本当は問題ないことまで問題視して自信を失い、どんどん話せなくなる悪循環になっていますからね。
自分だけで考えると落ち込むだけの失敗体験が、違った視点から見ることで次につながる体験になる。
問題のあるコミュニケーションの取り方があれば、改善できるようアドバイスもさせていただいております。
3人以上になると話せないことでお困りでしたらカウンセリングをご検討ください。