HSPという言葉をご存知でしょうか?

HSPは「Highly Sensitive Person」の略で生まれつきひといちばい敏感な人を指す言葉です。

子供に対しては「Highly Sensitive Child」の略であるHSCが使われます。

数年前から書店でも見かけるようになり、最近はインターネット上でも取り上げられることが増えてきました。

発達障害のような病名ではなく性質を表す言葉なので、正式に診断を受けて薬を飲んだりするものではありません。

5人に1人は該当すると言われますが、本当にそんなに多いのかなという印象です。

対人恐怖症で悩んでいる人には多いんですけどね。

敏感であるがゆえHSCでない子が気にしないことまで気になってしまう。

親がHSPでなければ理解してもらえず、周りにもなかなか理解してもらえないことから自己肯定感が低くなりやすい傾向が見られます。

自己肯定感が低いから「わかってほしい、認められたい」という気持ちが強くなり、より他人の反応を敏感に察知するようになっていく。

学校などの集団生活ではどうしても刺激が多くなってしまうため、その場にいるだけでストレスを抱えてしんどくなる。

HSCが不登校、対人恐怖症になりやすいのも当然と言えるかもしれませんね。

社会で適応していくためには敏感な自分と上手く付き合う方法を探していくことが必要となります。

HSPに見られる4つの特徴

HSPの属性は「D」「O」「E」「S」の頭文字で表される4つの性質をすべて持ってるかどうかで判断されます。

1.深い情報処理能力(Depth of processing)

物事を深く掘り下げて本質まで見極めることができます。

相手が自覚できないレベルのことまで気づいてしまうため、相手からすれば的外れに思えることや場の空気を読めていない発言になることもしばしば。

あくまでも自然と気づいてしまうのであって裏を読もうとして考えるのではありません。

ただ、感情に左右されやすいので気持ちが乗っているときはものすごく深くなり、逆に乗らないときは全然だったり。

一点集中で狭く深くになりやすい傾向も見られます。

言語能力が高いためさりげなく感性豊かな表現ができるのも特徴です。(意図的に上手く言ってやろうとする人とは違います)

2.過剰な刺激の受けやすさ(Overstimulated)

人混みに行くだけで疲れ果ててしまうから、連休があっても旅行には絶対行きたくない、出かけるにしてもなるべく人が多い時間は避けます。

対人恐怖症の症状が出るからという話ではありません。

選択肢が多いとその情報量に混乱しやすく優柔不断に見られることも。

混乱を避けるためにパターン化させている人も多いです。

アニメやドラマで感動して号泣、些細な言動にもダメージを受けやすくちょっとしたことにも驚きやすい。

限られた時間の中で成果が求められる場面や周りから注目されている場面等では、ひといちばいプレッシャーを感じてしまうため実力が発揮できなくなります。

3.感情反応が強く共感性が高度(Emotional reactivity and high Empathy)

他人が怒られているのに自分が怒られているような感覚になって委縮する。

一緒に過ごす相手の感情が不安定だと自分も不安定になるから安定していてほしい。安定させようと働きかけることもあります。

相手よりも自分が悪いと思うから責められず抱え込んでしまう。

他の人が気付かないところまで感じ取れる分、自分が何とかしないとと思いやすい。

脳内にある神経細胞「ミラーニューロン」の働きが活発であることの影響だと言われています。

4.些細な刺激にも反応(Sensitivity to Subtle stimuli)

味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚(痛覚)、一般的に五感と呼ばれる感覚が鋭い。

小さい頃車の芳香剤で気分が悪くなっていたり、たばこのニオイに過剰反応していたり。香水の匂いがキツイ人がいたら食事ができなくなる人もいます。

ジュエリーショップのように照明が強い場所や大きな音が苦手、服の肌触りが気になって着られない素材があるとか。

直感型なので論理的に考えて答えを出すのではなくひらめきで話すことが多い。

「なぜか」と聞かれても「なんとなく」としか答えられないのに当たっているということも結構あります。

ただ、他人の感情に左右されやすいので、相手の感情が不安定すぎたりプレッシャーが大きい場面では直感が働きません。

HSPかどうかをチェックする

実際にチェックしてみたいという方は、HSPという言葉を考案したエレイン・N・アーロン博士の日本語版サイトにあるセルフテストをやってみてください。

⇒HSPセルフテストはこちら

27個のうち、いくつ当てはまりましたか?

私は23個当てはまりました。

とくに「痛みにとても敏感である」「明るい光や強い臭い、ザラザラした布地、サイレンの音などに圧倒されやすい」「すぐに驚いてしまう」は度合いが強いですね。

該当する数が少なくても度合いが強ければということなので当てはまる人は多いのではないでしょうか。

私がHSPの人と接してきた中で感じる特徴は以下の通りです。

  • 純粋でフワッとした雰囲気
  • 自然や美しいものを好む
  • 自分の心が痛むから人を傷つけられず抱え込む
  • 偏見を持たずに人と接することができる
  • 感情的な人やしゃべり方がキツイ人は苦手、怖い
  • 繊細で些細なことにも傷付きやすい
  • その場では相手の意見を真に受けて後から深い洞察に入る
  • 疲れやすい
  • 言葉だけでなく感覚的なところで通じ合える
  • 家庭環境に問題があると大きな影響を受けやすく、家庭を成り立たせるため自分を犠牲にしてしまう
  • 明らかに問題がある人にも優しく接することで関係を構築してしまう危険性がある
  • 威圧的な人に支配されやすい傾向があるためモラハラやパワハラのターゲットになりやすい

繊細であるがゆえの苦しみもあり、良いところばかりではありませんが人に好かれやすい性質が多くていいなと思っています。

HSPでなくても敏感な人はいる

ひといちばい敏感な人=HSPとは限りません。

HSPは生まれながらの性質ですが、後天的に敏感になることもあるからです。

もともとはHSPではなかったけど、親の顔色を敏感に察知しないと生きていけない環境だった場合。

例えば、親がヒステリックで虐待をしてくるような人であったとかですね。

常に神経を張り巡らせて命を守らないといけない状況で生活していれば嫌でも敏感になります。

また、小さい頃はむしろ鈍感な方だったのに対人恐怖症を発症してからすごく敏感になった人も多いです。

過度のストレスによって五感が過敏になることもあります。

HSPかどうかは生まれてから家庭環境の影響を受ける前、もしくは受けて間もない頃くらいを参考に判断してください。

HSPと発達障害の違い

HSPと間違われやすいものとして発達障害があります。

どちらも生まれつき敏感で情報を過剰に受け取ってしまう部分は同じですが、受け取り方を見れば違いがわかります。

HSPは1つの情報から10感じ取るのに対し、発達障害は1つの情報から感じ取るのは1つだけど多い。

情報を取捨選択するフィルターがHSPにはあって発達障害にはないところが大きな違いです。

HSPは共感性が高いと言われますが受け取る情報が多く敏感であるため、表面的な相手の感情とズレた受け取り方をしてしまうことも多い。

相手が自覚できていない感情に気付くこともありますからね。

多く受け取ることで上手く処理しきれず共感できない状態になってしまうこともあったりします。

例えば、相手が泣いているときに相手の悲しみだけを受け取れば共感しやすいですが、悲しみの裏にある怒り、そこから自分が責められるのではないかという恐怖等、感じるものが多くなると共感しづらくなるわけです。

電車で降りたがっている人や室内で寒そうにしている人に気付いたりというのは問題ないんですけどね。

HSPは共感はしているものの多すぎて処理ができず、発達障害は共感そのものが難しいという違いがあります。

しかし、側から見れば共感できていないだけにしか見えないので見分けるのは至難の業かもしれません。

HSPは親の顔色を見て動いたり他人に合わせたりしてしまう過剰適応の傾向があり、逆に発達障害は空気が読めず合わせられない不適応の傾向がある。

環境への適応にはどちらも問題が生じやすいと言えます。

HSPの生きづらさを解消して社会に適応していくために

まずは自分の感性を知るところから

私は音に敏感な性質があります。

苦手な音は口笛、犬が水を飲む音、咀嚼音とか。

とくに予測できない大きな音が苦手なので、風船が割れる音とかはめちゃくちゃ怖いです。

だから、風船を配っている店員さんとか風船を持っている子供がいたら近づかない。

バルーンアートなんかは怖くて見てられません。

風船をねじるって…

娘が風船好きなので一緒に見たことがあるのですが、ねじるたびに心の中で悲鳴をあげていました。

「あー、割れそう、待って、それ以上ねじったら、あー、もう無理やって。あかんって。もう絶対割れるやん…」

ムンクの叫び状態ですよ(笑)

これほどまでに風船を怖がる人は少ないと思いますので、周りからは変わってるとかおかしいとか言われるかもしれません。

他人の基準で見ればの話です。

でも、自分の基準で見ればどうでしょう。

音に敏感な性質を持っているから反応する。

ごく自然で当たり前のことですよね。

このように自分の感性を知れば知るほど、自分を自分の基準で見れるようになっていきます。

HSPの生きづらさの大きな原因となっている自己肯定感のなさを解消するために大切なことです。

「自分がどう感じるか」を言葉で伝えていくことが必要

私は嗅覚も過敏なので食事中に何か別のにおいがあると食べられなくなります。

中学時代は食事中に近くで父親がタバコを吸うと食欲を失っていたほど。

しかし、妻はまったく気にならないタイプなので私が食事をしている最中に歯磨きをしながら目の前に来て座りました。

「えっ?うそやろ?」

そんなことされたら気持ち悪くて食事どころではありません。

無理してでも食べようかと思いましたが、妻はわからないからやっているだけなので伝えようと決意。

考え抜いた上で「目の前で歯磨きをされたら歯磨き粉を食べているような感覚になるから食べられへん。ハンドクリームを塗られたらハンドクリームを食べている感覚になるから気持ち悪い。」と伝えたのです。(ハンドクリームも以前あって我慢していたのであわせて伝えました)

妻は「ふーん」という感じでしたが、娘は「なんで気になるかわからんけど、ハンドクリームを食べるのは気持ち悪いな」と言ってくれました。

もし、言っても理解されないからと我慢して食べていたとしたら、機嫌が悪くなってしゃべらなくなっていたと思います。

となれば、妻も娘も「何か機嫌悪そうで面倒くさいな」と嫌な気持ちになったでしょう。

感覚過敏等の特殊な感覚は理解されにくいものではありますが、相手に少しでも伝わりやすい言葉で伝える努力は必要かと思います。

些細なことを気にしやすいので気になることは気になると伝える。

なかなか自分の中で消化できないことがあれば何回でも言う。何回も言うことに抵抗を感じるなら書く。

ほとんどの人が不安に感じなさそうなことでも自分が不安なら話してみる。

自分が信頼できそうと思える人には少しずつでも話していくようにしましょう。

ただ、伝えたからといって理解してもらえるとは限りませんし、何でもかんでも配慮してもらうのは違います。

HSPという自分の特性を理解して上手く付き合っていく方法を身に着けることも必要なのです。

  • 耐えられないニオイを回避するための対策を考えておく
  • 話を聞いてくれる相手が嫌にならないようにちょっと笑える話にする
  • 自分の時間を確保できるようにスケジュールを調整する
  • 省エネのためになるべくパターン化させる

自分の特性がよくわからない、どう付き合っていけばいいかわからない場合、カウンセリングを受けていただければ一緒に考えます。

HSPだから特性が多いのはありますが、誰にでも固有の特性はあるもの。

お互いに特性を伝えて配慮し合うことが関係性をより良いものにしていくのかなと思っています。

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