
現在まで対人恐怖症のカウンセリングをおこなってきた中で、HSPの方にお会いする機会は多くありました。
対人恐怖症になる人は小さい頃から神経質、気にしいと言われていた人がほとんど。生まれつき過敏な性質を持っています。
HSPが必ず対人恐怖症になるとは言えませんが、二次障害として発症しやすい症状の一つなのは間違いないでしょう。
なぜHSPは対人恐怖症になりやすいのか、とくに発症しやすい症状もあわせてお伝えしていきます。
HSPが対人恐怖症になりやすい理由
敏感であるがゆえ些細なことにもビクビクと反応、相手の気持ちを感じ取りすぎて混乱する。家では家族が上手くいくようにと神経を遣い、外でも相手の気持ちを感じ取って過剰に気を遣います。
親や兄弟姉妹が気にしないことを気にするため、「そんなこと気にしなくていいじゃん」と言われることが多く、なかなか理解してもらえません。
学校という集団生活の環境では周りの音、におい、光、それぞれの感情…
多くの情報が入り乱れる中で過ごすことで疲れやすく、周りと比較して自己否定をすることが増えてしまいます。
「弱い」「根性がない」といったネガティブな目で見られるから、自分で自分を肯定することができなくなっていく。
自己肯定感が低い土台ができ上ってしまうため、どうしても対人恐怖症になりやすいのです。
人が怖い、人と話すのが怖い。対人恐怖症の実態と克服方法をまとめました。
HSPが発症しやすい対人恐怖症の症状
視線恐怖症
対人恐怖症の中でもとくにHSPと関係が深いのが視線恐怖症です。
視覚が過敏なので視界に入る人がどうしても気になってしまったり、相手の細かいしぐさを観察して自分も見られているような感覚になってしまったりする。
気にしないようにしようと思っても、生まれつき気になるというか反応してしまう以上どうしようもありません。
HSP以外の人が気付かないような反応まで拾ってはネガティブに解釈するのも視線恐怖症につながっています。
視線恐怖症は、「自分が他人からどう見られているか」もしくは「自分の視線が何か迷惑を掛けているのでは」と視線のことばかり考えて日常生活に支障をきたす症状です。
音恐怖症
HSPは唾液恐怖症、雑音恐怖症といった音に関する症状を抱えやすいところがあります。
唾を飲み込む音が他人に迷惑を掛けるレベルに感じるのは自分が音に過敏だから。隣人の生活音が気になって仕方がないのはそれだけ細かい音を拾ってしまうからです。
他人との境界線が上手く引けないHSPは、自分が音を気にしているレベルで他人も気にしていると思っている。
だから、自分が出す音にまで気を遣い、ストレスを抱え込んでより音に敏感になっています。
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対人恐怖症とHSPの掛け合わせが生み出す悪循環
HSPが対人恐怖症になると症状に過度な反応をしてしまい、さらに他人の反応を拾うから余計に不安になる。焦るという悪循環が生まれます。
不安や恐怖はリラックスできれば収まりやすいのですが、逆にどんどん緊張状態になっていく。落ち着きがなく呼吸が浅くなっている人ばかりです。
疲れやすい性質を持つHSPが症状まで気にし出すから疲れ果てる。家に帰っても十分な休息が取れないまま眠り、また学校や職場に行くという繰り返しで回復がまったく追いつかなくなることも症状の悪化につながっています。
一人の世界に入り込んでしまうところがあるため、相手の反応をネガティブに捉えたらどんどん膨らませてしまうのも悪循環です。妄想のレベルに至ることも少なくありません。
HSPが対人恐怖症になると厄介な状態に陥りやすいのです。
HSPで対人恐怖症を抱えている場合はカウンセリングが必要
HSPで加速度的に悪化していく対人恐怖症はセルフケアで何とかできるものではありません。
カウンセリングを受けて以下のようなことを手伝ってもらう必要があります。
- 考えすぎて膨らませたネガティブな発想を転換する
- 他人の反応に対する偏った捉え方を修正する
- 追いつかなくなった心の整理をする
- いっぱいいっぱいになった気持ちを吐き出す
- HSPと対人恐怖症の症状を切り分ける
- 自分と他人の感覚を切り離す、境界線を引く
- カウンセラーとの対話でリラックスを実感する
ある程度状態が落ち着いてくれば一人で取り組むことも効果が出てきます。
まずはカウンセリングで非常事態から脱することをご検討ください。