職場でお茶出しをするとき「手が震えてしまうかもしれない」と気になって、実際に震えて困っている方からご相談いただくケースがあります。
「震えないようにしないと」と思えば思うほど震えてくる。
震えたせいでカタカタ音を立ててしまったり、こぼしてしまったりすると余計に意識が強まります。
さらに、実際に震えた経験によって「また震えたらどうしよう」という予期不安まで出てきてしまう。
震えの伝達を遮断する薬で震えないようにしている人もいれば、抗不安薬で緩和させても震えが止まらない人もいますが、他の症状に比べて薬を飲んでいる人が多い印象です。
お茶出しのときに手が震えるのはなぜ?
一般的に手が震えてしまうような場面から考えてみるとわかりやすいかなと思います。
人前でのスピーチ、大事な面接、負けられない対戦…
どれもプレッシャーがかかって緊張してしまう場面ですよね。
2017年の紅白歌合戦で総合司会を務めた内村光良さんが「実は手が震えていた」と言われていたのも緊張からでした。
つまり、プレッシャーによる緊張が手の震えを引き起こすということ。
クレジットカードの署名をするときや友達と食事をしているとき等、プレッシャーがかからない場面でも手が震えるのは、自分が自分にプレッシャーをかけているからです。
「震えてはいけない」と思うことがプレッシャーになっている
- お茶出しをするだけなのに震えるなんておかしい
- 署名欄に自分の名前を書くだけなのに震えるなんておかしい
- 友達と楽しく食事をしている最中に震えるなんておかしい
緊張するはずのない場面で手が震えるのはおかしいと思う。
だから、「震えてはいけない」と自分にプレッシャーをかけてしまうわけです。
実際に「みんなが緊張するような場面で手が震えるならわかるんですけど、誰も震えないような場面で震えるのはおかしいと思うんです」と言っていた人もいます。
緊張する場面で手が震えるのは「そうだよな」と納得できますが、緊張するはずのない場面で手が震えるのは「えっ?」となりますよね。
手が震えることに対して自分がおかしい、変だ、みっともない等と思っているから、他人からもそう見られていると感じて「震えてはいけない」と自分にプレッシャーをかけてしまうのです。
他人の目に対する過剰な意識
他人から「どう見られてもいい」と思っていたとすれば、「別に震えてもいいや」と思えるのでプレッシャーにはなりません。
逆に、他人から「どう思われているか」ばかり気にしていたとしたら「震えてもいい」だなんて思えるわけがないですよね。
誰しも多少なり他人の目を意識して生活していますが、その意識が強ければ強いほど「震えてはいけない」と思う気持ちは強くなります。
震えることで他人から変に見られてしまう、普通じゃないと思われてしまう、今まで通り接してもらえなくなる、評価が下がる、馬鹿にされる、嫌われてしまう…
他人の目を意識している人にとって耐えられないことが起こる可能性があるわけですから。
過去に人前で手が震えてすごく恥ずかしい思いをしたり、誰かから手が震えていることをからかわれたりした経験があると余計に他人の目が気になってしまうのもあります。
手が震えるのは他人がいる場面だけで一人のときは震えないというところからも他人の目が影響しているのは明白です。
人の視線が怖いと感じる他者視線恐怖症の改善方法をお伝えしています。
無自覚の問題を解消すれば手の震えは治まっていく
他人の目を気にし過ぎることが大きな要因であることは間違いないと思います。
しかし、それだけで手が震えるほどの状態になるとは言えません。
他にも自分が自分にプレッシャーをかけてしまう問題や心の余裕を失う問題が重なっているから手が震えるほどの緊張状態になるのです。
- 人前で震えるみっともない自分が受け入れられないプライドの高さ
- 自分なりの頑張りを認められない自己評価の低さ
- 「こうあるべき」「こうでなければならない」といった固定観念の強さ
- 妥協できない極端な考え
- 感情を抑圧し続けている無自覚の我慢
職場のお茶出しにおいては「お客さんに失礼があってはならない」という意識が強い人ほど震えやすい傾向が見られます。
何が問題になっているのかは人それぞれですので、まずはカウンセリングを受けて少しずつ気付いていくことから。
自分自身の問題と向き合い、解消していくことによって震えは治まっていきます。