クラスメイトからキモいと言われて悩む女子

脇見恐怖症の人は気持ち悪いと思われているかもしれないという不安を抱えており、実際に「気持ち悪い」と言われた人が一定数います。

本人にしてみれば脇見をしているから「気持ち悪い」と言われたと思うのですが実際は違うケースがほとんど。

たしかに、チラチラ見ていることに相手が気付いていれば気持ち悪いと思われるでしょう。

若年層の視線耐性が低いことは、株式会社マンダムの「視線耐性とデジタルコミュニケーションに関する調査」で明らかになっていますからね。

見られることに対して過敏で「見られたくない」と思う人が増えているのは事実。

しかし、脇見恐怖症の人が気持ち悪いと言われてしまう理由は別のところにあります。

気持ち悪いと言われる理由が脇見でなければ何なのか?

緊張による挙動不審な態度

脇見恐怖症の人は視界に人が入ると緊張しやすく、挙動不審になってしまう傾向があります。

例えば、隣の席にいる人がずっと緊張していて落ち着かない感じだったらどうでしょう?

何か変だなと思って嫌な感じがしたり、緊張が移る感覚になったりしますよね。

試験とか集中しないといけないときなんて特に気になりやすいと思います。

だから、視界に入れないように手でガードしたりするわけです。

挙動不審な相手からカンニングされるのを防ぐ目的もあるかもしれませんね。

落ち着きがないことで知らず知らずのうちに不快感を与えてしまい、苛立った相手が「気持ち悪い」と言いだす可能性があるのです。

何を考えているかわからない様子

脇見恐怖症で悩んでいると鬱々として表情がなくなります。

周りに迷惑をかけてしまう罪悪感、脇見に反応されることへの怒り、どうしようもない絶望感…

ネガティブな感情を抑え込み、学校や職場に行くだけで精一杯の状態。

これ以上迷惑をかけてはいけないと必死に気を遣い、他人に合わせて自分の言いたいことも言えない。

しかし、周りはそんな事情を知らないので、何を考えているかわからない暗い人と思ったりします。

人は理解できない相手を拒絶しやすいため、何か気持ち悪いなと思うわけです。

授業中に脇見で顔が上げられず寝るしかない状態の人に、「なんであいつ学校来てるんやろ」と言うのも理解不能だから。

私も対人恐怖症で苦しんでいた高校時代に言われた経験があります。

いじめによる侮辱

「あいつキモいな」というのは、何かが具体的に気持ち悪いわけではなく、相手を侮辱するための言葉です。

おそらく、「キモい」(= “病気や感染を思い起こさせる対象である”)という言葉を拡張させて、一種のスティグマ(烙印)として「気に入らない他者」に向けたレッテルとして活用することで、社会的ダメージを与えたり、隔離や排除を“正当に”成し遂げられたりする「効果」がひそかに期待されているのだろう。

引用元:「キモい」がいじめっ子と差別主義者の口グセになった「根深い原因」、2020、現代ビジネス

自分にとって気にくわない相手に対して「キモい」と言うわけです。

脇見恐怖症で悩んでいる人は自信がなく、どこかオドオドした感じになっているため、いじめのターゲットにされやすい傾向があります。

いじめ出した人にすれば何か気持ち悪いと思う要素があったのかもしれませんが、便乗した人たちはとくに何が気持ち悪いというわけではなく「キモい」と言う。

脇見がどうこうではなく「キモい」と言われている可能性があるのです。

「気持ち悪いと言われている」という思い込みの可能性もある

自分の不快感が相手に映し出されている

脇見恐怖症で悩む人は、他人に嫌われることを過度に恐れています。

だから、迷惑をかけないように必死なのです。

迷惑をかけたくないのは自分が嫌われたくないから。

良い人であろうと、人を嫌いだと思わないように愚痴も言わないようにしています。

本当は嫌いな人もいるし、愚痴を言いたくなることだってあるのに、ずっと認めず抑え込んで生きてきた。

だから、親子関係や友達関係など、人とのかかわりでネガティブな感情をものすごく抱えている。

自分の感情を相手に映し出す投影によって、相手が自分を不快に思っている、気持ち悪がられていると感じてしまうわけです。

その不快感や怒り、嫌な気持ち、本当は自分のものなんですけどね。

自分が自分のことを気持ち悪いと思っている

人が視界に入ると変に意識しすぎて、どこを見ていいかわからない。

電車で顔が上げられなくなったり、人によっては身体の震えや動悸が出るほど緊張したりする。

ビクビクオドオドしていて周りの言動や態度にものすごく過敏。

明らかに他の人とは違う自分、普通のことすらできない自分は変だとしか思えない。

自分が自分のことを変だとか、気持ち悪いだとか思っているから、実際に他人が言っていなくても気持ち悪いと言われているような気がしてくるのです。

他人との境界線が上手く引けていない

人の視線、見られることへの耐性は人によって違います。

見られることに敏感で苦痛を感じやすい人もいれば、見られても気にしない人、見られていることに気付かない人もいたりしますよね。

視線のことばかり意識して生活していると人から見られることに対して過敏になりやすい。

見られるのが嫌、気持ち悪いと感じやすいわけです。

脇見恐怖症の人は他人との境界線が上手く引けていないため、自分が嫌だと思うことは他人も同じくらい嫌だと感じてしまうところがあります。

自分が人に見られるのが嫌だからみんな嫌だという感覚になっているんですよね。

脇見をして気持ち悪いと言われている可能性はゼロではない

ここまでは脇見恐怖症で一番多い「人を視界に入れただけで見た感覚になってしまう人」に対する内容を書いてきました。

「視界に入れた=見た」になっているから相手は見られたと思っていないんですよね。

しかし、実際にチラチラと見ていたり、ジーッと見つめていたとしたら話は別。

面と向かってハッキリ「見ないで欲しい」と言われたなら、見ていることが気持ち悪いのでしょう。

脇見恐怖症には見てはいけないのに見てしまう症状もあります。

実際に見て「気持ち悪い」と言われている場合はどうすればいいのか?

脇見恐怖症で人を見てしまうのであればやめないといけませんが、見てはいけないと思うほど見てしまうのがこの症状の厄介なところ。

「脇見恐怖症だからどうしても見てしまうよな」と受け止める考え方をしたほうが収まりやすいのはあります。

ただ、人に迷惑をかけていることへの罪悪感が強い場合、見てしまう状態をなかなか受け止めることができません。

カウンセリングでは視線の向け方や捉え方等、状態に応じて人を見てしまう症状を改善できる働きかけをおこなっております。

「気持ち悪い」と言われてしまうことはもちろん、気持ち悪いと思われているかもという不安を抱えている状態はしんどいものです。

脇見恐怖症で悩み、苦しい思いをしておられるのであれば一度ご相談ください。

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