「人と話すのが苦手なのを克服したい、変わりたい」と思っている方は多いと思います。

学校でも職場でも保護者同士の集まりでも何かしらのコミュニティに属する以上人の会話は避けられませんからね。

私自身も会話が苦手でしたので「どうすれば普通に人と話せるようになるか」とよく考えていました。

経験が足りないのかと思って自分から頑張って話しかけてみたり、スキルが足りないのかと思ってコミュニケーションに関する本を読み漁ったり、知識が足りないのかと思って話題になるテレビ番組を観てみたり…

いろいろやってみたのですが人と話すのは苦手なまま。

とくにやることもないのに雑談が始まる休憩時間に忙しそうなふりをしてみたり、予定がないのにあると嘘ついて飲み会の誘いを断ったり、知り合いを見かけても気付かないふりをしてみたり…

気がつけば人と話さないといけない場面を避けるようになっていました。

私のように人と話すのが苦手で悩んでしまう人もいれば、逆に人と話すのをまったく苦にせず誰とでも楽しく話せる人もいますよね。

なぜ人と話すのが苦手になるのでしょうか?

人と話すのが苦手になってしまう原因

警戒心が強い

人見知りをするのは警戒心が強いからです。

生まれつき不安や恐怖を感じやすく、危険察知能力が高い傾向が見られます。

相手がどんな人かわからない状態では安心できない。

少しずつ会話を重ねて相手を知ることができれば緊張は緩和していきます。

初対面で緊張するのはもともと生まれ持った性質が影響しているのです。

また、安心感のない家庭で育った、過去にいじめに遭った等、人とのかかわりにおけるネガティブな経験も警戒心を強化します。

経験で学んだ人への不安、恐怖心があまり知らない相手に警笛を鳴らすから。

嫌な目にあった相手と同じタイプであればより緊張しやすくなります。

日本に根付く「察する文化」の圧力

日本人は人と話すのを苦にする人が多いと言われます。

察する文化と言われるほど空気を読むことが重視され、相手の様子や場の雰囲気を感じ取って、言いたいことをストレートに言わないわけですからそもそもしゃべりにくいですよね。

「これを言ったら相手はどう思うか」

「こんなこと聞いても大丈夫なのか」

「今この話をしたら場の空気を乱すんじゃないか」

こんなことばかり考えていては話せなくなって当然だと思います。

器用な人はあまり考えず上手く立ち回れるのですが、できない人は上手く話せないまま自信を失っていくわけです。

時代と共に人付き合いが希薄になったことやメールやLINE等の普及で面と向かって会話する機会が減ったことも影響してはいるでしょう。

しかし、それ以上に日本人特有のコミュニケーションのとり方が影響していると思っています。

人と話すのが下手だと思って気にしすぎている

人と話すことが苦手だと思っている人は過去に何かしら会話が下手だと思う経験をしています。

  • 普通に話しているつもりだったのに友達から「何言ってるかわからない」と言われた
  • 親から「あんたの話は面白くない」と言われた
  • みんなと一緒に話を聞いて楽しんでいるつもりだったのに「ノリが悪い」と言われた

相手が何気なく言ったことでも人によってはすごく気にしてしまうもの。

言われずとも勝手に周りと比較して自分は話すのが下手だと思ってしまうケースもあります。

自分の話が面白くないと思うと「面白い話をしなきゃ」と自分にプレッシャーをかける。

プレッシャーがかかることで考え過ぎて余計に話せなくなって「やっぱり自分は会話が下手なんだ」と思う。

繰り返していくことでどんどん話すことに自信が持てなくなって人と話すことを避けるようになってしまう。

話しても自信を失うだけ、話さないと感覚をつかめず会話が上手くならないという悪循環にはまってしまうわけです。

コミュニケーションに問題がある親の影響

人と話すこと、他人とコミュニケーションを取ることにおいて相手の立場に立てるかどうかは非常に大切な感覚なのですが、その感覚は成長過程の中で通常は親子関係で養われていきます。

  • 末っ子だったからお母さんが何も言わなくても身の回りのことをやってくれていた
  • お父さんの言うことが絶対で逆らうことは許されなかった
  • 両親が夫婦喧嘩ばかりでなぜかよく八つ当たりされていた

こういう感じの家庭環境で育った場合、相手のことを考えて何かをしたり、何かを言ったりする機会がなくなってしまうため、相手の立場に立つ客観的な見方ができないまま成長していくことになります。

その結果相手のことも主観的にしか見れずに上手くコミュニケーションがとれなくなり、人と話すのが苦手だと感じるようになるのです。

よく言われる「相手との距離感が分からない」というのも客観的に見れなくなっている証拠だと言えます。

初対面での会話を乗り切る方法

会話が苦手な人のほとんどが初対面で困っています。

どうすれば乗り切れるのかを具体的にお伝えしますので参考にしてください。

事前に質問を用意しておく

質問の用意は何度も顔を合わせる相手には使えませんが、初対面を乗り切ることだけを考えれば有効です。

初対面で質問する内容はたいてい決まっています。

  • どこから来られたのですか?
  • どこの大学ですか?
  • どういったお仕事をされているんですか?
  • 普段どういったことをされているんですか?
  • 出身地はどちらですか?
  • お休みの日とか、だいたい何をされているんですか?

会う場面や相手によって変わるところはありますが、同じようなニュアンスのことばかりです。

可能であれば「質問したらたぶん相手はこう返してきて、自分はこう返して」とシミュレーションまでしておくといいですね。

なるべく複数のパターンを想定して挑みましょう。

何を話せばいいかわからなくなったら?

事前に準備していても実際の会話でネタ切れしてしまうことはあります。

頑張って話題を考えても思い浮かばず、気まずい沈黙の時間が流れる…

何を話せばいいかわからなくなるのは正解を求めているから。

相手が言って欲しいこと、求めていることを話そうとするあまり緊張してしまうんですよね。

知り合いや親密な関係の相手ならまだしも、よく知らない相手の求めていることを話すのは至難の業。

そもそも現実離れしたことをやろうとしているんだと認識してください。

地に足が着いて緊張が少し和らいでくるはずです。

「実はみんな不安を抱えている」という事実を知る

初対面で「相手は興味ないかも」「上手く説明できないかも」「変なこと言っちゃったかな」といった不安は大なり小なり誰もが抱えています。

「気持ちが落ち着かない」「どきどきして心細い」といった症状は、「不安」や「緊張」といわれるもので、誰でも感じる感情の一種です。
何か心配事や気がかりなことがある時、目上の人や初対面の人に会う時、試験の前などにこのような症状を感じることは正常な反応で、別に病気ではありません。原因となる心配事などがなくなれば、症状も自然に消えてしまいます。

引用元:不安・緊張 ~気持ちが落ち着かない・どきどきしてこころ細い~|こんな症状ありませんか?|みんなのメンタルヘルス総合サイト

安心感がある親しい人に比べて不安が大きくなるのは当然です。

それでも普通に話せるのは不安に飲まれず抱えることができているから。

相手に出会えて嬉しい、興味があるから知りたい、最近気になっていることについて聞いてみたい、自分なりの考えを話したい、自分が感じたことを共有したい、話してみたら結構楽しい…

何かしら不安を上回る気持ちの動きがあるから抱えることができるのです。

つまり、人と話すときに緊張して言葉が出なくなるのは、不安があることではなく不安を抱えられないことが原因だと言えます。

不安がなくなれば話せるようになるということではありません。

必要なのは不安を抱えながら人とかかわれる状態になることなのです。

人と話すのが苦手な状態を克服するために

まずは今の自分にできる会話を心がける

人と話すのがどれだけ苦手であったとしても、今の自分にできることはあるはずです。

盛り上がるような会話はできずとも、話しかけてもらえたら何か一言返すことはできるかもしれません。少し勇気を出せば自分から話せる人もいるかもしれません。

「できない、できない」とできないことにばかり目を向けていてはできることもできなくなっていきます。

人間は思い込みの生き物です。

できると思えばできるし、逆にできないと思えばできなくなります。

今の状態の自分にでもできることはないか、あるとしたら何なのかを考えてみましょう。

ずっとできないことばかり考えていたから簡単ではないと思いますが、「自分は話すのが苦手だから」と思考停止させないでください。

答えが出なくとも考えてみるだけで意味があります。

自分を出して失敗する経験が必要

会話が上手くなる本を読んでみたり、ネットで調べたりしていたとしても、実際の人とのかかわりを避けてばかりいては、いつまで経っても上手くコミュニケーションがとれるようにはなれません。

対人恐怖症や引きこもりは典型例です。

上手くコミュニケーションをとれるようになるためには、どうしても人とかかわることが必要となります。

でも、人とのかかわりはマニュアル通りにいかないことがほとんどですから、失敗することが多く、その失敗を恐れるから人とのかかわりを避けてしまうんですよね。

本当は会話が上手くなるためのチャンスのはずなのに、なぜかピンチと捉えてしまう。

十人十色、人の性格や考え方、価値観がひとりずつ違うように、人によって対応の仕方も違ってきて当たり前ですが、それを知らない状態だと間違った対応をしてしまうことが多く、最初の頃は失敗が続きます。

その失敗の中で、「このタイプの人にこう言ったら怒らせてしまったな」とか「このタイプの人にこれをしたら喜ばれたな」といった経験を積み、対応力を高めていくことで少しずつ上手く会話できるようになっていくのです。

衝突を避けずに人とかかわっていく

今コミュニケーションを上手くとれている人たちも、最初からできていたわけではありません。

家族や親せき、そして学校や地域の人たち、かかわりを持つ中で意見をぶつけ合ったり、時には喧嘩をしたこともあったでしょう。

とくに本音と建前が上手く使えない小学生の頃までは衝突が起こりやすいですからね。

成長の過程で衝突を避けてこなかった人が、上手くコミュニケーションを取れている人たちです。

今現在、上手く話せないから人とのかかわりを最低限におさえていたとしても、いずれ自分の立場や環境が変化したときには人とかかわらなくてはならない時期がきます。

就職、異動、転勤、転職、出産、子育て、引っ越し、転校、進学…

生きていくうえで環境が変わる要素なんていくらでもありますよね。

その時期がくれば結局やらないといけなくなるわけですから、苦しみながら日々を過ごして追い込まれてからやるよりは今から始めた方がいいのではないでしょうか?

大なり小なり、人とのかかわりは一生付きまとってくるものです。

コミュニケーションを上手く取れるようになりたいと思っているのなら、避けずに少しずつでも取り組んでいくようにしましょう。

人と話すのが苦手な自分にできるコミュニケーションを少しずつ、克服するためにどうすればいいかは人によって様々ですのでカウンセリングでサポートしております。