隣近所、マンションの上の階に住んでいる人の生活音が気になって仕方がないというお悩みでご相談いただくことがあります。

子供が走り回る音や騒ぎ声、大音量の音楽、深夜に洗濯機を回す音などは気になって当然ですが、普通に生活する上で生じる音まで気になってしまうのはしんどいですよね。

気になりすぎるとわざわざ壁に耳を当てて隣の家の音を聞こうとしてしまうこともあってどんどん気になっていきます。

音が気になりすぎて引越しを繰り返したり、工事で壁を防音にしたりというケースも少なくありません。

なぜ隣人の生活音が気になって仕方がないのか、改善していくためにはどうすればいいのかをお伝えしていきます。

隣人の生活音を気にしすぎてしまう原因

「気にしないようにしよう」とするから余計に気になる

隣人の音が気になりだすと気にしないようにしようとします。

誤魔化すためにイヤホンで音楽を聴いたりする人も多いですが、結局は音を気にしていることに変わりありません。

気にしないようにしようとすることで逆に意識してしまっています。

誰しも多少なり隣人の音を気にしていますが、音にとらわれないから悩まないということ。

音を気にしないようにするのではなく、どうすればとらわれずに済むかを考えることが大切なのです。

生まれ持った性質の影響

発達障害HSP(人一倍敏感な人)の人は音が気になってしまう傾向があります。

発達障害のある人の中には、聴覚に過敏性のある人がいます。特定の音に過剰反応したり、多くの人にとって気にならないような音が、耐えられないほど大きく感じられたり…その結果、イライラしてしまうことや、ぐったりと疲れて寝込んでしまうこともあります。

引用元:聴覚が過敏「音」で極端に疲れる:困りごとのトリセツ(取扱説明書)発達障害プロジェクト

発達障害の場合はフィルターがなくダイレクトに音が流れ込んでくる状態、HSPの場合はフィルターの目が細かく感じ取ることが多くなってしまう状態になるため、他の人が気にならないような音でも気になってしまうのです。

もともと音に敏感な性質があるのか、それとも、音を気にしすぎて敏感になっている状態なのか。

知ったところで「他人より音に敏感」という性質は変えられませんが、知ることによって音が気になる状態を受け入れやすくなる。

聴覚の過敏性は生まれつきなので、当事者さえも、この問題を自覚しにくいことにあります。困難が生じても、「みんな我慢している」「自分の我慢が足りないだけだ」と、自分を責めてしまうことも少なくありません。

引用元:聴覚が過敏「音」で極端に疲れる:困りごとのトリセツ(取扱説明書)発達障害プロジェクト

音が異常に気になるのは「音が気になるおかしい自分」を排除しようとしていることも影響しているのです。

「発達障害(HSP)の傾向があるから気になりやすいよな」と少しでも受け止めることができれば音を気にする度合いは和らぎます。

ストレスが聴覚過敏を引き起こすことも

発達障害やHSPでない人も聴覚過敏になっている可能性があります。

掃除機の音や雑踏の中など、周りの人が気にしないような生活の音が頭に響いて辛い。こうした症状は「聴覚過敏」と呼ばれる。近年は発達障害の特性である感覚過敏のひとつとして知られるようになったが、実は障害の有無にかかわらず、病気やストレスなどによって後天的に誰にでも起こりうるものだ。

引用元:生活音が頭に響く「聴覚過敏」 ストレス原因も、2019、産経ニュース

ブラック企業で働いているとか、身内が病気になって大変とか、明確にストレスがかかっているケースもあれば、とくに思い当たることがない人もいるでしょう。

環境に大きな問題がなかったとしても、コミュニケーションに問題を抱えていたりするとストレスを抱えやすくなります。

個人的にストレスを抱えやすい要素があるのかもしれません。

さらに、生活音が気になることもストレスになるから聴覚過敏が悪化していると考えられます。

音が気になる度合いは悪化していく

自分の発する音まで気になってしまう

相手の発する音を気にしているとだんだん自分の発する音が迷惑ではないかと考えるようになります。

自分が迷惑だと感じているから相手も迷惑だと感じるに違いないと思ってしまうんですよね。

そして、相手の発する音と自分が発する音の両方に意識が向くようになると、自分の発した音で相手が反応しているように思えてきてどんどん音を出せなくなっていく。

友達と電話で話すときに小声で話したり、足音を立てないようにしたり、パソコンのキーボードを音が出ないように叩いたり、キッチンで料理をするときもなるべく音をたてないようにしたり…

気にすることが増えれば増えるほど制限がかかるので、莫大なストレスを抱えて眠れなくなったりすることも多いです。

隣人の音が自分への攻撃だと感じる

自分が音を出すたびに「音を立てるな!と言わんばかりに相手も音を立ててくる」と言う人もいます。

隣の人が自分に対して攻撃をしてきていると思うのは、自分が相手に対して「音を立てるな!」と思っているからです。

自分が相手の音に怒りを感じるから、相手も自分の音に怒りを感じていると思ってしまうということ。

過去の経験や普段の生活で我慢していることが多い人ほど怒りを感じやすいので、相手が怒っていると考えてしまいやすいというのもあります。

つまり、自分の中にある怒りの感情が隣人に映し出されているということです。

音が気になりすぎてトラブルに発展するケースも

人が住んでいる以上生活音が消えないのは当たり前ですが、気になっている人にとっては耐え難いもの。

我慢できなくなって壁を叩いたり、天井を突いたり、怒鳴ってしまったりすることで相手が怒鳴り込んできてトラブルになったというケースも聞きます。

また、気になるからと隣人の様子をうかがう、不自然に音を立てないようにする等によって不審がられてしまうこともありました。

ずっと音を気にして生活し続けているとイライラしやすくなるのは当然だと思いますが、トラブルだけは起こさないようにしたいものです。

隣人の生活音を気にしない方法

ワーキングメモリを鍛える

ワーキングメモリは特定の目的や作業のために記憶を出し入れする同時処理能力のことを指します。

例えば、会話の場面では相手の話を記憶しながら自分の意見を伝えたり、頭の中で次に話すことを組み立てながら相手の話を聞いてタイミングを見計らって話したり、というときに使っています。

生活音が気になりすぎる状態の人は、このワーキングメモリの容量がいっぱいになっているから他のことをやろうとしてもできない。集中しようとしても集中できないといった問題が起こるのです。

他にも会話中に言葉がつっかえて出づらくなってしまったり、感情のコントロールもしづらくなったりというのもあります。

不安を感じながらでも行動していくことで不安が解消されていくのですが、ワーキングメモリに空きがないと不安を感じるだけで終わって行動ができない。

行動できないから不安が解消されず、常に不安なことばかり考えて過ごしてしまうことになります。

ワーキングメモリを鍛えたいのであれば以下のことが効果的です。

  • Nバック課題
  • 百マス計算
  • スロージョギング

あとは「東北大学加齢医学研究所 川島隆太教授監修 ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング」というゲーム(ニンテンドー3DS)もありますが、5分間は結構しんどいのでなかなか続かないかもしれません。

ワーキングメモリを鍛えることで不安をコントロールしやすくなり、不安を感じながらでも行動できるようになるから緩和されるんですよね。

生活音が出ることを受け入れる

神経質で音が気になりすぎる人にとって「排除」というのはキーワードだと思っています。

排除できないのに排除しようとして執着する。

異物を排除しないと気が済まない感覚が強い人ほど他人に対しても批判的。

自分から見て問題だと思う他人の行動や言動、考え方、性質を排除しようとするから、気になるしイライラもしやすいんですよね。

排除したくなる気持ちの裏には、何かが気になったら動けなくなる、動けてもかなり制約を受けて動きづらくなる問題があります。

感情を抱える力がものすごく弱いのです。

人間が生活していく上で発生する音をなくすことはできません。

排除できないものを排除しようと頑張るのではなく、「排除できないんだな」「変わらないんだな」と受け入れて抱えながら生きていけるようにすることが大切なのです。

自分の軸を持つ

隣人の生活音が気になっても他のやるべきことに集中できる人もいます。

しかし、普段から自分で考えて行動することが少なく、他人の考えや意見に流されやすい人ほど音が気になったときにとらわれてしまう傾向があります。

自分の軸をしっかりと持ち、自分をコントロールできるかどうか。

自分がやりたいことややるべきことへの意識が強くなればなるほど、隣人の生活音はどうもでいいことになっていきます。

ただ、音が気になる度合いが強い人ほど音のことばかり考えて生活しているから、自分にとって大切なことに目を向けるのは簡単ではありません。

カウンセリングを受けながら少しずつ音以外のことに意識が向けられるようにしていく。

本当に大切なことに気付き行動できるようになれば、音のことを考える時間がどんどん減って改善へと向かっていくのです。

音が気になる度合いや状態、もともとの性質の影響などによって何をすればいいかは異なりますので、しっかりお話をお聴きした上で改善できるようサポートしております。

⇒音が気になって仕方ない対人恐怖症を克服するカウンセリング